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エソテリック、190万円のステレオパワー最上位「Grandioso S1」。600W/ch(2Ω)

 エソテリックは、フラッグシップシリーズ「Grandioso」(グランディオーソ)のステレオパワーアンプ「S1」を3月末に発売する。価格は190万円。

「Grandioso」のステレオパワーアンプ「S1」

 最大出力600W×2ch(2Ω)のステレオパワーアンプ。連続動作17A、瞬間動作34Aの電流供給能力を持ち、一般的なパワートランジスタの2倍近いサイズの大型バイポーラLAPT(Linear Amplified Power Transistor)素子を採用。ハイパワーなだけでなく、「高域特性に優れ、繊細な音色を生み出す」という。

 この素子を5パラレル・プッシュプルとした3段ダーリントン構成を採用。素子の優れた高域特性を引き出すため、パラレル数を極力減らしたシンプルな増幅回路としている。増幅段の部品点数も最小限に抑え、高域特性劣化の原因となる出力段のコイルを排除。バスバーを多用して内部インピーダンスも低減している。

 ドライブ段2段目から最終段への出力インピーダンスを下げる事で、電流供給能力を高める独自のLIDSC(Low Impedance Drive Stage Coupling)回路も採用。電源電圧内で最大の振幅が得られ、歪を低減。ステレオパワーアンプであるS1で、モノラルパワーの「M1」に肉薄するスピーカー駆動能力を実現したとする。

 また、増幅回路を可能な限りシンプルに設計する事で、前段の裸ゲインを小さくし、NFB(ネガティブフィードバック)を最少としている。

「Grandioso C1」と組み合わせた利用イメージ

 電源部には、2,180VAの大型トロイダルコアを採用。巻き線から左右チャンネルを独立させ、内部の5mm鋼板製のベース部にリジッドにマウント。ベアマウント(ケース無し)仕様とすることで、ケースによる僅かな音質の劣化にも配慮。電源部のコンデンサーは、チャンネルごとに4,700μF×3パラレルでデュアルモノ構成としている。

 また、ドライブ段からの影響を受けないように、入力段から微弱な信号を受ける電圧増幅段(ドライブ段の前段)には、専用のトロイダル電源トランスと電源回路を装備。前段への安定的な電源を確保している。電圧増幅段とドライブ段はケーブルレスでダイレクトに結合されており、増幅ロスも最小化した。

 入力端子はRCA×1、XLR×1端子を採用。XLR端子には、高い信頼性やコネクト性のあるパーツを、RCAにはエソテリック・オリジナルの端子を使っている。スピーカーターミナルはドイツのWBT製「WBT-0702Cu」。高周波特性に優れた低インピーダンスの電解コンデンサ、トランジスタ、ハイスピードで整流ノイズの少ないMUSES SiC(シリコンカーバイド)ショットキーバリアダイオードなども採用している。

背面

 シャーシは2層式。2mmの鋼板を使った内部構造体は、回路ブロックごとに専用コンパートメント化し、相互干渉を防止。筐体内はリアパネルまで左右分割されている。35mm厚アルミ材から削り出した5mmのアルミパネルをフロントに、5mm鋼材を採用したボトムシャーシを採用。独自のピンポイントフットで4点支持する。

 周波数特性は5Hz~100kHz(+0dB、-3dB、8Ω)。外形寸法は445×497.8×221.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は47g。消費電力は430W、無信号時で150W。

(山崎健太郎)