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エソテリック、フルバランスで80万円のプリアンプ「C-03Xs」。パワーアンプ「S-03」も

 エソテリックは、セパレートアンプの新製品として、ステレオプリアンプ「C-03Xs」と、ステレオパワーアンプ「S-03」を9月10日に発売する。価格は、「C-03Xs」が80万円、「S-03」が90万円。

ステレオプリアンプ「C-03Xs」

 両機種とも、フラッグシップシリーズ「Grandioso」(グランディオーソ)に連なる準旗艦モデル「02」系の音楽再生能力を受け継ぎ、磨き上げたという製品。

プリアンプ「C-03Xs」

 左右独立のデュアルモノ設計やフルバランス構成を採用するステレオプリアンプ。電源部から左右チャンネルを独立することでチャンネル間の相互干渉を排除し、左右それぞれに専用の電源トランスを用いて電源ラインを経由したノイズの混入も防いでいる。さらに、左右独立した2枚の電源整流回路基板を新規設計とし、電源回路パターンの細部もGrandiosoの技術を取り入れてブラッシュアップした。

 入力系統ごとに専用の入力バッファアンプ(バランス設計)で信号を受け、その後は低インピーダンスのフルバランス信号伝送を行ない、コモンモードノイズを除去。信号経路でノイズの影響を受けにくく、信号伝送の純度を高め、S/N感の向上を図っている。

 ピュアな信号経路にこだわったボリュームコントロール方式のESOTERIC-QVCS(Quad Volume Control System)を採用。左右チャンネルと、ホット/コールドごとに独立させた合計4回路のラダー抵抗切替型ボリュームを一括連動させ、チャンネルセパレーションと位相特性を向上。オーディオ基板からボリューム素子への配線をなくすことで、信号経路を短縮し、音質の劣化を防いでいる。

 ロジック系コントロール部はフロントパネルに内蔵。プリアンプモジュールとの接続には、フォトカプラを使用して、物理的/電気的に独立。操作時以外は回路を完全停止させ、オーディオ回路への影響を防いでいる。

 電源回路は、左右のオーディオ回路、コントロール部それぞれを専用の電源トランスから電源供給する3トランス構成。大容量ブロックコンデンサーを組み合わせ、クリーンかつ低インピーダンス、高応答性の電源回路とした。

 電流伝送能力とスピードを高めるため、ESOTERIC-HCLD出力バッファ回路には、電流出力能力が高く、スルーレートが2,000V/μsというハイスピードが特徴の素子を採用。出力端子のXLR/RCA全4系統を独立したバッファ回路構成として電流供給能力を高め、瞬発力を確保した。また、バッファ回路の直近には、安定化電源としてGrandioso C1用に開発されたEDLC(スーパーキャパシター)アレイを搭載。チャンネルあたり合計100,000μF(0.1F)の容量を持つ安定した電源としている。

 アナログ入力はRCA×3系統と、AVプリ入力用のRCA、XLR×2系統を装備。アナログ出力として、RCA/XLRを各2系統備える。RCA端子は、AVスルー出力と通常のライン出力の切り替えが可能。

 ボリュームカーブは5種類をプリセット。また、入力ごとにゲインを±18dB(0.5dBステップ)の範囲で調整できる。左右チャンネルの音量バランスは±6dBの範囲(0.5dBステップ)で調整可能。位相反転が可能なフェーズインバート機能も、ソースごとに設定できる。

C-03Xsの背面

 ボリュームノブと入力セレクタは無垢のアルミブロックから削り出し。各ノブの軸には、Grandioso C1/C-02Xと同じく、VRDSドライブメカのベアリング機構を応用し、芯ブレの無い高精度な回転を可能にしたという。

 シャーシは、従来の03系プリアンプよりも大型の02系シャーシを採用。内部は5分割のダブルデッキ(2階建て)構造で、各回路ブロックを専用のコンパートメントに収め、立体的に配置する「3Dオプティマイズド・シャーシ」。従来の03系プリアンプよりも余裕度の高いレイアウトとなり、回路同士の相互干渉を抑え、信号経路を最短化した。外装は肉厚アルミ材を使用し、5mm厚のスチール製ボトムシャーシを独自のスチール製インシュレータで4点支持。振動の抑制と高剛性を追求している。

 出力インピーダンスはXLRが100Ω、RCAが47Ω。全高調波歪み率は0.0004%(XLR)、0.0006%(RCA)。周波数特性は1Hz~200kHz(-3dB)、3Hz~50kHz(-0.2dB)。SN比は116dB(2V入力)。ゲインは+12dB。定格出力は2V。最大出力レベルは15V(XLR)、7.5V(RCA)。消費電力は19W。外形寸法と重量は、445×457×162mm(幅×奥行き×高さ)、重量は28kg。

 付属リモコン「RC-1301」はアルミ製で、エソテリックのSACDプレーヤーも操作可能。ディスプレイに表示するソース機器名をリモコンでプログラムできる。ディスプレイのディマーやミュート、ディスプレイ自動OFFなども設定可能。

パワーアンプ「S-03」

 定格出力145W×2ch(8Ω)、290W×2ch(4Ω)、最大出力580W×2ch(2Ω)のステレオパワーアンプ。「上級機と肩を並べるパワーとダイナミズム」を持つという。

ステレオパワーアンプ「S-03」

 Grandiosoなどと同様に、前段とドライブ段の電源部を独立させ、それぞれをデュアルモノ化した4セクション独立の「2×2 Dual Mono」パワーサプライを採用。微弱な信号を扱う前段(電圧増幅段)と、電流変動の大きいドライブ段(電流増幅段)それぞれに電源部を独立することで、フルドライブ時でもフォーカスが際立つディテールや、圧倒的なダイナミクスを獲得したという。さらに、トランスの2次側巻き線から整流回路に至るまで左右独立のデュアルモノ構成を徹底し、チャンネルセパレーションを高めている。

 ドライブ段の電源トランスは、素材からサイズ、マウント方法などまでこだわったカスタム仕様。EI方式で940VAの大容量トランスを5mm鋼板製のベース部へ強固にマウントすることで、高いドライブ力とピュアな音質を獲得したという。電源部のコンデンサは、4,700μF×3パラレルのデュアルモノ構成。電源部の全ての配線は、極太ケーブルをボルトで固定するハードワイヤリングで、低インピーダンス化を図っている。

 アンプの出力インピーダンスを下げてスピーカー駆動能力を高めるために、全段でチャンネルごとに9本のバスバーを使用し、出力段のコイルを無くすなど、低インピーダンスと、シンプル/ワイドレンジを追求した回路設計を採用。ウーファの駆動能力を示すダンピングファクターは1,000を達成している。

 バランス設計の入力バッファアンプで信号を受け、増幅段までの信号経路を低インピーダンスでバランス伝送。ノイズを抑えた増幅により聴感上のダイナミックレンジを高め、音楽のクライマックスと静寂の間にあるグラデーションを、より細やかに表現できるという。

 連続動作17A、瞬間動作34Aの電流供給能力を持ち、一般的なパワートランジスターの2倍近いサイズの大型バイポーラLAPT(Linear Amplified Power Transistor)素子を採用し、ハイパワーと高域特性の向上を図っている。パワーアンプモジュールは、バイポーラLAPT素子を5パラレル・プッシュプルとした3段ダーリントン構成。バイポーラ素子の高域特性を引き出すため、部品点数やパラレル数を極力減らしたシンプルな増幅回路とした。

 ドライブ段の2段目から最終段への出力インピーダンスを下げ、電流供給能力を高める独自のLIDSC(Low Impedance Drive Stage Coupling)回路を採用。「スペースファクターに優れたステレオ機で、モノブロックM1に肉薄するスピーカー駆動能力」としている。増幅回路はシンプルに設計し、前段の裸ゲインを小さくすることによりNFB(ネガティブフィードバック)を最小化した。

 入力端子はRCA×1とXLR×1。伝統の2層式シャーシ構成で、2mm鋼板の堅牢な内部構造体は、回路ブロックごとに専用コンパートメント化し、信号経路を最短化した。ブロック化された内部構造体を肉厚アルミパネルで包囲し、5mm鋼材を採用したボトムシャーシと、独自のスチール製インシュレータで4点支持している。

 周波数特性は5Hz~100kHz、SN比は115dB、全高調波歪率は0.003%。外形寸法は445×476×221.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は48kg。

背面

(中林暁)