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TAD、パワーアンプ直結可能なUSB DAC搭載SACDプレーヤー
DSD対応/電源強化の「TAD-D1000MK2」。パワーアンプも
(2015/8/28 16:00)
テクニカル オーディオ デバイセズ ラボラトリーズ(TAD)は、Evolutionシリーズの新製品として、USB DAC機能付きSACD/CDプレーヤーの「TAD-D1000MK2」とステレオパワーアンプ「TAD-M2500MK2」を9月中旬に発売する。価格はD1000MK2が160万円、M2500MK2が168万円。カラーはいずれもブラック(K)とシルバー(S)を用意する。
さらに、ブックシェルフ型スピーカー「TAD-CE1」において、上記製品とカラーを合わせたブラックモデル「TAD-CE1K-KJ」も11月中旬に発売する。価格は1本84万円。数量限定の漆仕上げモデルなども用意しており、スピーカーについては別記事で掲載する。
ディスクプレーヤーの「TAD-D1000MK2」は、'13年に発売した「TAD-D1000」の超高C/N(搬送波対雑音比:Carrier to Noise ratio)マスタークロック「UPCG」や、豊富なデジタル入力を受け継ぎ、新たに電子ボリューム機能を搭載したのが特徴で、パワーアンプと直結してシンプルな構成で高音質再生ができるようなデジタルメディアセンターとしての機能を持たせている。パワーアンプの「TAD-M2500MK2」は、電源回路とスピーカー出力回路の低インピーダンス化などのチューニングを施している。
USB DAC搭載SACDプレーヤー「TAD-D1000MK2」はパワーアンプ直結可能に
SACD/CD再生対応のディスクプレーヤーで、DSD 5.6MHz対応のUSB DAC機能も搭載。ライン出力に電子ボリューム機能を新たに搭載したことで、プリアンプを介さずにパワーアンプへダイレクトに接続可能とした。なお、D1000MK2では本体前面にボリューム上下ボタンを設けたことで、従来機D1000本体にあったディスプレイOFFボタンとSACD/CD切り替えボタンは、リモコンで操作するように変更されている。
従来のD1000に比べ中低域の量感アップなどを目指し、電源トランスの量を増加。大型トロイダル電源トランス2基の低インピーダンス化を図り、電源回路の基準電位を最適化したという。また、底面のインシュレータも一新。従来は鋳鉄の1部品だったが、新モデルではスパイク部(クロムモリブデン鋼)と可動式スパイクベース(特殊鋼)で構成し、床面の平面度(凹凸)や柔らかさなどの影響も受けにくくなり、荷重ポイントの明確化や設置面からの振動影響の低減、アイソレーション性能の向上を実現したという。
D1000から継承しているマスタークロック「UPCG」(Ultra High Precision Crystal Generator)は、高速デジタル通信基地局で使われる高C/N化技術をベースに、物理特性の追求と試聴の繰り返しにより高純度(ジッタの少なさ)を追求。ディスクに記録された信号や入力信号の再現性を高めている。また、常温でも高精度な発振が可能で、クイックスタートと長寿命を実現。
DAC回路は従来モデルから継承。TI/バーブラウンの「PCM1794A」を左右独立で配置。並列接続したバランス型DAC回路を構成することで、正確な変換と高S/Nを達成したという。残留ノイズと高スルーレートを実現する独自のディスクリートIV変換回路も採用することで、音の立ち上がりや広がりに優れ、高品位での迫力ある音を再現するとしている。
入力端子として、USB×1、XLRデジタル×1、同軸デジタル×2、光デジタル×1を搭載。USBは独自に開発したアシンクロナス(非同期)USB伝送エンジンを採用。受信したデジタル信号を精度の高いクロックで読み出すため、ジッタから開放されるという。DSDはDoP伝送で、2.8MHzと5.6MHzに対応。PCMは32bit/384kHzまで対応。なお、対応OSはWindows Vista/7/8、Mac OS 10.6以降だが、WindowsではPCMが192kHz、DSDは2.8MHzまでの対応となる。Mac OS 10.6以降のみ、PCMが384kHzまで、DSDは5.6MHzまでサポートする。
ディスクプレーヤー部は、スムーズで精度の高いローディング動作に加え、外部振動がサーボ系に与える影響を抑えた独自のメカを採用。アルミ削り出し加工によるトレイ部分は黒色の素材を使うことでレーザー光の乱反射を防ぎ、読み取り精度を高めている。
筐体は8mm厚の無垢材アルミニウムシャーシで、重量のあるパーツを下底部に配した低重心構造で制振性を追求。消費電力は43W(待機時0.5W以下)。外形寸法は440×406×150mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は18.5kg。リモコンが付属する。
パワーアンプ「TAD-M2500MK2」は電源強化などで応答性向上
従来モデルのTAD-M2500は、対称性やバランス増幅などのTADのコンセプトを継承しつつ、シンプルな構成としたステレオパワーアンプ。新たに、電源回路とスピーカー出力回路を低インピーダンス化し、それぞれの配置構造を見直すことで、電気的振動や歪みの元とされる、配線材や回路などのストレスから解放。配線の見直しにより、伝送路を流れる電流によって発生する電磁誘導を低減し、応答性を向上させたという。また、上記のD1000MK2と共通の新開発インシュレータも採用している。
従来のM2500と同様に、対称性へのこだわりとして、増幅回路は入力から出力まで完全独立した2台のアンプをバランス接続したBTL方式。電源回路は、正負電源の対称性だけでなく、全ての電源回路をL/R独立設計としている。構造面でも電源トランスの配置や基板パターン構成だけでなく、配線の長さまで左右対称としている。
定格出力は500W×2ch。パワーMOS FETを採用したクラスD出力段により、電力利用効率は90%以上とし、信号の立ち上がりが早く、応答性の良い音を実現するという。SN比は112dB以上、周波数特性は5Hz~50kHz、利得は29.5dB。入力はバランス、アンバランスを装備する。
電源は、スイッチングノイズの影響を防ぐため、トランスドロッパー方式を採用し、SNを向上。オリエント材を使った1kVAクラスのトロイダル型トランスを用いたアナログ電源でSNを向上。整流回路は、専用に開発した33,000μFの電解コンデンサーと高速ショットキーバリアダイオードで構成。スピード感やダイナミックな音質を追求している。
シャーシはアルミブロックからの削り出しで、外部振動の影響を排除。消費電力は250W。外形寸法は440×467×170mm(幅×奥行き×高さ)、重量は43kg。
従来のD1000/M2500ユーザーに有償アップグレードも検討
従来モデルのTAD-D1000とTAD-M2500のユーザーに対し、有償でパージョンアップを行なうサービスも計画中。両機種でインシュレータ変更を行なうほか、D1000ではソフトウェア変更(ボリューム追加)、ディスプレイパネル変更、トランス/電源回路変更を実施する。M2500は電源回路とスピーカー出力回路、内部配線材を変更する。受付時期などは、今後検討していくという。
今回の新製品を含むモデルは、9月25日~27日に開催されるイベント「2015 東京インターナショナルオーディオショウ」にも出展。同社の出展ブースはガラス棟4階の「G401」。