ニュース

パイオニア、バランス入力/ハイレゾ強化したデジタルアンプ「A-70DA」。約11万円のA-50DAも

 パイオニアは、ダイレクトパワーFETを採用した2chのクラスDアンプ3機種を9月下旬に発売する。価格は、ハイレゾ対応のUSB DAC機能も搭載した「A-70DA」が210,000円、同モデルからUSB DACを省いた「A-70A」が188,000円。USB DAC搭載の下位モデル「A-50DA」が113,000円。

ハイレゾ対応のUSB DAC機能も搭載した「A-70DA」

 2012年に発売した「A-70」、「A-50」の後継モデル。DACを刷新し、ハイレゾデータへの対応を拡充したほか、A-70DAとA-70Aは新たにバランス入力を装備。バランス出力を備えたネットワークプレーヤー「N-70A」や、ヘッドフォンアンプ内蔵型USB DAC「U-05」などとのバランス接続を可能にしている。XLR端子はノイトリック製で、2番3番HOTの切り替えも可能。

A-70DA

A-70DA/A-70A

プリ部とパワー部の電源は独立している
クラスDアンプとフルバランスのプリアンプ回路を組み合わせている

 A-70/50発売後に培った様々な技術を投入した、最新のクラスDアンプを採用。パワー素子は「Direct Power FET」。プリ部はフルバランス構成になっており、高純度な信号に外部ノイズの影響を与えずにクラスDアンプを搭載した出力段まで信号を伝送する。「優れたエネルギー変換効率によるスピード感や低域におけるエネルギッシュなドライブ性能と融合。様々な楽器が持つ本来のリズミカルな音の響きや生き生きとしたボーカルの声を再現する」という。

 筐体内ではプリ部とパワー部の電源を独立させており、大容量の電源トランスを搭載しても、パワー部の電源がプリ部の小信号系に影響を与えにくい構造になっている。電源トランスはシールドケースで覆われ、磁束ノイズを低減。ケース内には充填材を注入し、トランスの不要振動も抑制している。「クラスDアンプを採用している事で、セパレートアンプのクオリティを、一つの筐体に収められる」とする。

「A-70DA」の内部
クラスDアンプ回路内部

 音質向上に重要なメインコンデンサは、ケースの内側に定在波を除去する特殊形状を施し、ノイズの発生を抑えたオリジナル仕様。音質に寄与するフィルムコンデンサの新開発や、オーディオ用リレーなど、厳選したパーツを使っているという。

 A-70DAとA-70Aの違いは、USB DAC機能と同軸/光デジタル入力の有無のみ。アンプ部分の仕様は共通している。定格出力は90W×2ch(4Ω)。

USB DACとデジタル入力を省いたA-70A
DACはESS製の「SABRE32 Ultra DAC ES9016S」

 A-70DAにはUSB DACを搭載。従来はPCM 192kHz/32bitまでの対応だったが、新モデルではPCM 384kHZ/32bitまでサポート。DSD 11.2MHzの再生にも対応している。PCのクロックを使わず、A-70DAの高精度クロックで信号伝送を制御し、ジッターレス再生を実現するアシンクロナス転送もサポートする。

 DACはESS製の「SABRE32 Ultra DAC ES9016S」を採用。このDACは8ch向けのものだが、L/Rそれぞれに4chパラレルで使用している。192kHz/24bitまで対応する同軸、光デジタル入力も各1系統装備する。

DAC回路

 発熱が少ないクラスDアンプのため、大型のヒートシンクが不要で筐体内スペースに余裕があるため、電源部、パワー部、プリ部を明確に分離した3分割シャーシ構造を可能とした。各回路ブロックにはシールドも施され、筐体の高剛性化も実現。リジッドアンダーベースを採用することで低重心化も徹底している。

アルミ無垢材の削り出しボリュームノブを採用

 音質に影響を及ぼさないアッテネーター回路を採用。ボリュームの可変量を減衰させる本来の機能に加え、小音量時には微調整も可能。アルミ無垢材の削り出しボリュームノブは、ボリューム軸へ2カ所の強固なネジ止めによる制振化に加え、新形状で触感や操作性にもこだわっている。インシュレータは真鍮削り出し。

 アナログレコードプレーヤーとの接続用に、Phono(MM/MC)端子も搭載。MMとMCはフロントパネルのスイッチで切り替えられる。

付属のリモコン

 A-70DA/70Aのアナログ入力端子は、バランス×1、Phono×1、アンバランス×4、パワーアンプダイレクト入力も1系統備えている。A-70DAのデジタル入力は同軸、光デジタル、USBの3系統。

 外形寸法は435×370×141.5mm(幅×奥行き×高さ)。重量は70DAが18.3kg、70Aが18.2kg。消費電力は74Wで共通。

A-50DA

 USB DACやデジタル入力を備えたプリメインで、DACを省いたモデルはラインナップされない。

A-50DA

 70DAと50DAの大きな違いは電源部。70DAはプリ部とパワー部の電源が独立しており、2つのトランスを備えているが、50DAは1つのトランス。だが、プリ部とパワー部の電源巻き線を独立させており、電源回路のノイズ対策も施している。

70DA、70A、50DAの主な違い

 また、バランス入力は50DAには搭載されていない。また、プリアンプ部は70DAと異なり、フルバランス回路ではない。さらにPhono入力はMMのみ対応。ボリュームノブはアルミ製。

A-50DA

 それ以外の主な仕様は70DAと同じ。パワー素子の「Direct Power FET」や、搭載しているDAC、USB DAC機能がDSD 11.2MHzやPCM 384kHzに対応しているところも共通している。

 上位モデルと同様に、電源部、パワー部、プリ部の3分割シャーシ構造を採用。各ブロックのシールドと筐体の剛性強化も行なっている。メインコンデンサはオリジナル仕様だが、ケース内側の定在波を除去する特使形状は採用していない。その他に、音質に定評のあるフィルムコンデンサやオーディオ用リレーなどを搭載している。

 アナログ入力端子は、Phono×1、アンバランス×4、パワーアンプダイレクト入力×1。デジタル入力は同軸、光デジタル、USBの3系統。

 外形寸法は435×368×138.5mm(幅×奥行き×高さ)。重量は11.1kg。消費電力は72W。

パイオニアはクラスD

シアター&オーディオ事業本部 マーケティング部の佐藤誠氏
「パイオニアはクラスD」がキャッチフレーズ

 シアター&オーディオ事業本部 マーケティング部の佐藤誠氏は、パイオニアがこれまでデジタルアンプに長年注力してきた歴史を紹介。「日本メーカーもかつてはデジタルアンプを使っていたが、パイオニアは現在まで使い続けている。デジタルアンプは素材としては良いが、使いこなしが難しい技術。それをここまで使いこなし、完成度を上げてきている。エンジニアの努力のたまもので、日々進化している。前モデルの発売から約3年が経過しており、その間に蓄積した進化を反映させた集大成として、第二世代を送り出す事にした」と説明。「パイオニアはクラスD」とキーワードを掲げ、今後もクラスDに注力していく姿勢をアピールした。

 また、第二世代の音質テーマとして追求した要素として、「“凛”とした低域」というキーワードも紹介。凛という言葉には「きりっとひきしまって威厳のあるさま」、「容姿や声などがりりしいさま」、「きちんと、精確に」といった意味があるが、そうした言葉を体現した低域を実現していると説明。「躍動感のある凛とした低域を楽しんで欲しい」とした。

(山崎健太郎)