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シャープ、Ultra HD Blu-rayプレーヤー開発へ。HDR対応強化
8K+波面合成サウンド。湾曲画面FFDも
(2015/10/6 19:57)
シャープは、7日から開幕するCEATEC JAPAN 2015において、Ultra HD Blu-rayプレーヤー/レコーダを参考展示する。CEATEC開幕前日の6日にブースをプレス向けに先行公開したもので、シャープブースでは、8K相当の「AQUOS 4K NEXT」など4K/8KソリューションやHDRなどとあわせて次世代映像をアピールしている。
Ultra HD Blu-rayプレーヤー開発へ
シャープブースで初披露されたのはAQUOSブルーレイの次世代モデルとなる、Ultra HD Blu-ray(UHD BD)再生対応のBDレコーダ。パナソニックが11月13日より世界初のUHD BD再生対応レコーダ「DMR-UBZ1」を発売予定だが、シャープもUHD BD対応に向けた取り組みを進めており、その一環としてCEATECでの参考展示に至ったとする。
UHD BDプレーヤー/レコーダの展示は、80型の4K AQUOS NEXT「LC-80XU30」のHDR再生デモの脇で行なわれている。ただし、今回の展示機は実動はしておらず、今後HDR対応とともに、UHD BD対応を強化することを示すものとして参考展示しているという。ドライブだけでなく、SoC(システムLSI)などの大幅な変更も必要なため、現時点では発売時期や価格等は未定としている。
なお、参考展示の名称は「AQUOS 4K Recorder」となっており、4K放送録画には対応すると思われるが、仕様は未定とのこと。なお、現時点では、4K放送のディスク/HDDへのダビング規格は存在しておらず、Ultra HD Blu-rayの録画規格も策定されていない。
なお、LC-80XU30や70型の「LC-70XG35」など最上位4K AQUOS XシリーズのHDR対応は2015年度中を予定している。
8K+波面合成サウンド
8Kについてもアピール。9月に発表した85型の8K液晶ディスプレイ「LV-85001」に、NHKによる8K映像を表示し、さらに60chスピーカーの新オーディオシステムで、その迫力を訴求している。
「LV-85001」は、NHKを中心に、8K放送(スーパーハイビジョン/SHV)に向けた準備関連設備としての納入を予定している。今回のCEATECの展示では、さらにサラウンドシステムも組み合わせて、8K時代の映像体験を提案している。
NHKのSHVでは、22.2ch音声による立体音場を提案しているが、シャープが開発したサウンドシステムも、高さ方向の表現を含む立体音場の実現を目指すもので、「波面合成サウンドシステム」と命名されている。LV-85001とあわせて、2016年に実施予定の8K放送のパブリックビューイングでの利用に向けて開発が進められている。
LV-850001の上下にサウンドバー状のスピーカーを備え、合計60ユニットを搭載。背面には、情報や側面などにもユニットを備えた、6ユニットのトールボーイスピーカーを設置し、包囲感と上下の拡がりから臨場感の向上を図っている。デモで用いた音声は5.1ch信号を波面合成サウンドシステム用にオーサリングしている。
曲面FFDでディスプレイをさらに自由に
また、自由なデザインを実現するフリーフォームディスプレイ(FFD)を進化させた曲面型FFDなどの4種類の新ディスプレイを開発した。
シャープイチオシのFFDは「曲面FFD(Curved FFD)」。従来のFFDは、丸型などの自由な形状を特徴としていたが、ディスプレイ面自体は平面となっていた。しかし、曲面FFDでは、12.3型の中央部が凸型に湾曲しているため、曲面デザインの自動車のダッシュボードなどへの搭載も行なえるという。
接地スペースや自動車などの車内デザインにあわせたディスプレイを実現できることを訴求。おもに自動車メーカー向けの提案を進め、2019年度頃の実用化を目指しているという。
また、円形型ディスプレイ周囲に操作ダイヤルを備えた「ダイヤル型UI搭載円形型FFD」も展示。ナビのマップを前後移動や、エアコンの温度調整、音楽のボリューム操作などをタッチパネルではなく、液晶パネルを備えたダイヤル部で操作を行なうもの。タッチパネルように、常に視線をディスプレイに向けずに、手で触りながら操作できるなど、新たな車内UIの実現を期待しているという。
また、車のバックミラーを想定し、FFD側面にタッチセンサーを備えた「エッジUI搭載ミラー型FFD」や、台形型FFDなども展示。
FFDは、IGZO技術の応用と回路設計手法の確立により、様々な形状ニーズに対応可能となったもの。従来のディスプレイでは、表示領域外周部にゲートドライバと呼ばれる駆動回路を配置するため、一定の額縁幅が必要だったが、FFDではゲートドライバを表示領域内の画素内に分散して配置することで、額縁を極小化。表示領域にあわせた自由な形状を実現可能とした。
FFDの主要販路は自動車向けで、顧客の製品企画やデザインに応じたカスタマイズを行なうため、実際の製品化には早くて2年程度かかる。実用化は2018年頃を目指しているとのこと。また、精細度は200ppi程度だが、顧客の要望に応じて変更可能で、技術的にはスマホ並の高精細化も困難ではないという。