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テレビを操作するスマートグラスや次世代シューズなど、センサー活用の新提案

 10月7日~10日に千葉・幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2015」から、スマートグラスなどのウェアラブル製品を中心に、様々なセンサーを活用したユニークな製品を紹介する。

CEATECが行なわれている幕張メッセ

村田製作所と鯖江市がコラボした「Cool Design Smart Glass」

 村田製作所は、ウェアラブル機器のHMI(Human Machine Interface)向けのスイッチモジュール「micro PS(マイクロポジションセンサ)」を活用し、メガネ産地の福井県鯖江市とコラボレーションしたスマートグラスのデモを行なっている。

村田製作所ブースに展示されている「Cool Design Smart Glass」

 今回参考展示された「Cool Design Smart Glass」の試作機は、例えばテレビのある場所を向くとテレビのチャンネル/ボリューム調整ができたり、照明のある上を向くと調光ができるといったリモコン操作が可能。そのほか、ダイヤルを回すことで天気予報や電車の運行情報、ニュース、スケジュールといったアプリを選んで利用するといったことも想定しており、左目側に備えたARディスプレイに情報を表示できる。

様々なカラー/デザインの試作機を用意
アプリなどを切り替えて使える
テレビなどの家電を操作するデモ

 ディスプレイはソニーの「SmartEyeglass」の技術を採用。本体の側面から高輝度のLEDを投写して、薄型のレンズ内に埋め込まれたホログラムによって光を反射させることで目の前にモノクロ(色はグリーン)で文字などの情報が表示される。ソニーのSmartEyeglassは両目で見るが、村田製作所のCool Design Smart Glassは左目だけで見る方法にしたことで本体をシンプルにし、軽量化も図っている。

左目に見える映像の例

 メガネフレームの国内生産1位である鯖江市が協力したことで、デザインや掛け心地も追求。グラス設計・製作はメガネフレームのメーカーCHARMANT(シャルマン)、デザインはBOSTON CLUBが手掛けた。装着時の前後の重量バランスなども調整し、ツルの部分も実際のメガネに近いフィット感を実現している。鯖江市の他にも、今回のプロジェクトにはSAPジャパンや、UXアプリケーション提案としてSITE4Dも賛同している。

鯖江市とのコラボにより、メガネの技術を活かして装着性を向上。見た目よりもかなり軽い掛け心地を体感できた

 現在開発しているスイッチモジュールのmicro PS(SVM3シリーズ)は、2016年に量産予定で、従来のモジュールに比べ大幅に小型化したことで、回転・プッシュスイッチを世界最小サイズ(3.2×3.4×2.3mm)にパッケージングしたのが特徴。昨年までのスマートグラス試作機との違いとして、ダイヤルにクリック感を持たせて、操作性を向上している。

 スマートグラス以外にも、スマートウォッチの操作スイッチや、ヘッドフォン/デジタルカメラなどのスイッチ/フィードバックセンサーなどへの採用も見込んでいる。

スイッチモジュールのmicro PS「SVM3シリーズ」(右)。左の従来モデルと比べて小型化している
スマートウォッチへの搭載例
ヘッドフォンなどにも活用が見込まれる

2020年の運転スタイルを提案する京セラ

 京セラは、次世代のドライブを想定したコックピットを用意。フロントガラス前方に映像を表示するヘッドアップディスプレイ(HUD)用の高透過率液晶や、指の感触で確実な操作感や警告などを伝える触覚伝達システム「Haptivity」、高精細CIDカメラモジュールなどを組み合わせた技術展示となっている。自動運転技術などとの連携も想定しており、2020年の実現を見越している。

京セラの次世代コックピット

 発進の前にはカメラとディスプレイで周囲の状況を確認し、歩行者がいる場合などを検知して注意を促すほか、法定速度を超えるとHUDの表示が赤色に変わり、ハンドルに内蔵されたHaptivityのシステムにより、指への感触で警告を伝える。渋滞時にはハンドル部のスイッチで自動運転に切り替え、その間に映像コンテンツなどを楽しむといった活用も紹介している。

HUDで速度超過を表示
Haptivityのシステムで指の触感で警告することも
渋滞時は自動運転モードに切り替える

 その他、空気などのにおいを判別する嗅覚センサーのデモも行なっている。人の息を吹きかけると、その中からアルコールなど様々な成分を検知できるもので、大阪大学やNECらとともに業界標準化を目指す「MSSアライアンス」を発足。呼気から病気などを判定する健康用途や、食品のにおいで熟成度合などを判別したり、ワインのブランドが正しいか判別するといったことまで応用が見込まれている。

嗅覚センサーを使ったデモ
スマホとウェアラブル端末で健康管理などができる「デイリーサポート」の紹介。スマホをお腹に当てて内臓脂肪を推定できたり、食事の写真を撮ると自動でカロリーを推定するといったユニークな機能を備え、健保組合などに販売予定

ドローンの侵入を検知する監視システム、足が入力装置にもなるセンサーシューズなど

 NECは、映像監視の一例として、ドローンが施設などに不正侵入した場合に検知できるというシステムを展示。30cm程度までの小型ドローンに対応し、映像内で検知すると四角い枠で囲んでその動きを追尾して表示する。レンズは光学30倍に対応。

NECのドローン検知システム

 技術的には、超高感度PTZ可視カメラやサーマルカメラ、電波方位探知センサー、音響センサーなどを活用。さらに、NEC独自の機械学習により、雲や鳥との違いを判別して誤検知を防いだり、ドローンの機種まで細かく判別することも可能になるという。

 これを活用し、2016年にはドローンの捕獲システムなども整備予定。機種を判別することで、不正侵入したドローンを捕獲するといったことができ、ドローンを操作する信号のジャミングにより無力化する。'17年には、迎撃ドローン管制システムの整備を目指しており、自社のドローンで追いかけ、ネットなどで捕獲するといったことも検討している。

活用例
ドローンとして検知すると、四角の枠で囲んで表示
高感度可視カメラも活用

 富士通のブースでは、「次世代センサーシューズ」を紹介。これはシューズの中敷きに圧力や曲げを検知するセンサーや加速度/ジャイロ/気圧/温度/湿度の各センサーを備え、スマートフォンなどと連携して様々なデータを得られるアプリを開発可能にするというもの。

 靴の動きを3D表示したり、履いて足を動かすゲームを楽しむことなどができるほか、地図上のどこを歩き、走り、どこで座って休んだかといった行動を記録可能。健康管理や見守りといった用途にも使える。そのほか、足を使うことでハンズフリー操作ができる新しいインターフェイスとしての利用も実現可能としている。

富士通の「次世代センサーシューズ」
インソールのセンサー部分
行動履歴を地図上に表示
ゲームや様々なアプリに応用可能
エプソンブースでは、業務向けのMOVERIO PROを展示
Cerevoは、Bluetooth通信対応スノーボード・バインディング「SNOW-1」と連携し、荷重などの測定データを重ねて表示可能にするアクションカメラ「REC-1」や、連動する骨伝導デバイスなどをBluetooth SIGブースに出展
ソニーはブースを出展していないが、クラウドファンディングサイトの「First Flight」で資金を集めた、FeliCa内蔵の腕時計型端末「wena wrist」のブースを展示。時計部分ではなく、バンド部分にFeliCaが内蔵され、その部分をタッチして決済ができる

(中林暁)