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Netflix初のオリジナル映画「ビースト・オブ・ノー・ネーション」。公開と同時に配信

 Netflixは、初のオリジナル映画「ビースト・オブ・ノー・ネーション」を制作し、10月16日より全米での劇場公開とともに、Netflix独占配信を開始。日本でもNetflixで視聴できるほか、22日に開幕した第28回 東京国際映画祭のパノラマ部門でも上映された。

キャリー・ジョージ・フクナガ監督

 「ビースト・オブ・ノー・ネーション」は、ナイジェリア在住の作家ウゾディンマ・イワエラによるデビュー作「Beasts of No Nation」を、エミー賞受賞経験を持つ38歳の日系監督キャリー・ジョージ・フクナガが、イドリス・エルバ主演で、映画化。ごく普通の少年がゲリラ兵に変貌していくさまを[少年の目線]で描き、実社会でより混乱を増すアフリカの内情を伝える。

 東京国際映画祭での公開にあわせて、キャリー・ジョージ・フクナガ監督が来日し、Netflix株式会社のグレッグ・ピーターズ社長とともに、記者会見を行なった。

 フクナガ監督は、「この題材の作品を作りたいと15年程、思っていた。大学で、歴史と政治学を学び、特に西アフリカでは様々な内戦が行なわれていることを知った。子供たちが兵士としてつかわれているという話を聞き、映画学校に通っていた時に3年以上この題材についてのリサーチをしたが、2005年に原作となる小説と出会って、非常に美しくも悲しい話に感銘を受けた。それ以来映画を撮りたいという具体的な構想が出来上がり、そこから10年かかってようやく完成に至った」と説明。主人公のアグーを演じるアブラハム・アッターは、役者経験がなかったが、「撮影をガーナで行なうと決めた時点で、現地の子供を出演させたかった。金曜日の放課後に友達とサッカーをしていたアブラハムに出会ったが、『サッカーチームのスカウトだと思った』と言っていた。役者の経験が無い人にとっては、凄く難しい役柄。一人の少年が変わり行く様を描いているので、最初のアグーと映画が終わる頃のアグーでは、様々な経験から表情や感情が変わっていくが、彼は実に上手く、はじめての映画とは思えない程だった」とした。

 また、Netflixで配信する利点については、「作品を作った以上、できるだけ多くの人たちに観てもらって感動してもらいたい。世界中に1,900万人のユーザーを誇るNetflixで、多くの人に届けられる」と説明。Netflixのグレッグ・ピーターズ氏は、「我々にとっては、キャリーのような本当に優れたクリエイターの作品を伝えること。劇場公開では、観ることができなかった人に届けられること、また、そういう人たちがみたいと思ってくれるような作品をしっかりサジェスチョンして、レコメンド機能を通して紹介できる。2つの観点からこの作品を最大限に世界に広められるのがNetflix」と説明している。

Netflixのグレッグ・ピーターズ社長(左)とキャリー・ジョージ・フクナガ監督(右)

 また、劇場公開と同時に配信を行なうことについては、「ユーザーに多くの作品を観るチャンスを提供したい。しかし、機会が無い人や、家で観たいという人たちもいる。そういう人たちに、4K、5.1サラウンドといったテクノロジーを駆使して、多くの方々にたくさんの選択肢を提供したい」(ピーターズ氏)と説明。今後の映画製作については、「決まったやり方は無い。『ビースト・オブ・ノー・ネーション』は、完成したものを観て、素晴らしいビジョンを持った方たちと共同で発表できることを嬉しく思う。同時にもっと早い段階からその作品に関連して、製作者と一緒に作っていくものもある。いろいろなやり方を今後模索して追求していきたい」としている。

(臼田勤哉)