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独自コンテンツが鍵。“地上波は無理”をBSスカパー!で

年末は格闘技や音楽ライブ。HDRドラマ「螻蛄」制作

 スカパーJSATは8日、第4回メディアラウンドテーブルを開催し、格闘技や音楽ライブなどの年末年始の番組編成方針や、4K HDR放送への取り組みを説明した。

スカパーJSAT高田真治社長。「視聴者にとって重要なのは、チャンネル数ではなく、見たい番組があるかどうかだけ」と強調
小牧次郎 専務

 小牧次郎 取締役執行役員専務によれば、年末年始の目玉は、総合格闘技イベント「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015」で、12月29日と31日に完全ノーカット生中継を実施予定。世界各団体のヘビー級トップファイターの8人トーナメントや、元大関「把瑠都」の総合格闘技デビュー戦、桜庭和志 vs 青木真也などの試合を放送。両日ともPPVで、各3,240円となる。試合の具体的な日程については追って決定予定。

 加えて力を入れるのが音楽ライブ。独自チャンネルの「BSスカパー!」では、「井上陽水コンサート 2015 UNITED COVER2」を'16年1月11日に、サカナクション「SAKANAQUARIUM2015-2016 NF Records launch tour」を12月26日に放送する。サカナクションは同日に、井上陽水は'16年1月30日に4K放送も行なうなど、4Kの音楽ライブ対応も強化している。

サカナクションライブを4K放送

 12月20日の乃木坂46「乃木坂46 Merry X'mas Show 2015完全生中継」は、BSスカパー!で生中継。さらに、ドリカムの「史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDER LANSD 2015」を12月に収録し、'16年3月放送。2003年版は12月26日に放送するなど、BSスカパー!では、音楽ライブを重点的に編成。また、「ゲームセンターCX」の特番(フジテレビONE)や、「シェーン デジタル・リマスター版」(スターチャンネル2)、「大谷 vs 藤浪 対談スペシャル」(GAORA SPORTS)などを目玉コンテンツに据えている。

 正月三が日には、300番組の無料放送を実施。BSスカパー!独自制作のドラマ「破門(疫病神シリーズ)」全8話を一挙放送するほか、黒澤明の「静かなる決闘」(BS日本映画専門チャンネル)、歴史ドラマ「THE BIBLE」(ヒストリーチャンネル)などを無料放送する。

音楽やバラエティ強化。BSスカパー!が差別化の鍵。ニコ生連動

 今回強調されたのが、独自チャンネルの「BSスカパー!」の強化。2014年10月のリニューアル後、独自制作の音楽やバラエティ、ドラマなどを展開しているが、「ミスチルライブ」、「AKB総選挙」、「ポール・マッカートニーライブ」などの大型企画の投入により、5~7月までは新規加入者の加入目的のトップが「BSスカパー!の視聴」になったという。

BSスカパー!の2015年放送コンテンツ
BSスカパー!の現状

 10月にも新規加入の6%がBSスカパー!目的となっているほか、「解約防止にも繋がっている(小牧専務)」という。「NetflixやAmazonが日本に入ってきて、映像プラットフォームが乱立している。オンデマンド化が進み、スマホ向けとテレビ向けの垣根もなくなっている中では、オリジナルコンテンツの差がそのサービスの魅力に直結する。だから、BSスカパー!を差別化の最大の武器として取り組んでいく」と今後も強化する方針を示した。

新規加入にBSスカパー!が貢献
解約防止も

 BSスカパー!では、ドラマやバラエティも強化。「地上波では放送できない」をキーワードに番組作りを進めており、12月13日放送予定の徹底商品比較バラエティ「モノクラ~ベ 2015 年末放送スペシャル」は、コンドームや大人用おむつの2社徹底比較を実施。さらに、ニコニコ動画でも同時生配信を行なう。

モノクラーベの年末特番は「コンドーム」や「大人用おむつ」がテーマの徹底比較。ニコ生も

 また、地上波で一斉を風靡したものの、近年実現不可能となった「女だらけの水泳大会」のBSスカパー!版「セクシー女優ダラケ! のスカパー!水泳大会」の再放送も12月24日に実施。来春には70歳以上限定の情報参加型バラエティ「元気に死ぬテレビ」の第2回放送など、「地デジでできない」番組編成を推進していく。

 加えて、BSスカパー!初のオリジナル連続ドラマ「破門」の続編となる「螻蛄(けら)」の放送も決定。北村一輝と濱田岳のダブル主演で2016年2月19日から毎週金曜日午後9時に放送。4K同時放送も実施予定。

 さらに同作品は、スカパーのドラマで初の4K HDR(ハイダイナミックレンジ)制作を行なう。放送はSDR(通常レンジ)となるが、この制作によりHDRの知見を取り込み、将来の4K HDR放送へつなげていく考え。

HDRを積極展開

 HDRについては、ドラマだけでなく、スポーツや音楽ライブでの利用を想定し、すでに制作を進めている。「日本では4K/8Kが進んでいるが、海外では4KとHDRと、広色域、100Hz(HFR)が次世代放送という位置づけ。極力早くやりたい」としており、特に自社制作コンテンツとして力を入れている、音楽ライブやスポーツでの導入を目指す考え。

HDRの映像デモ

 4Kとともに、プレミアムコンテンツとしてHDRの魅力を訴求してく方針だが、現時点ではスカパー!4K総合で放送するのか、新たなチャンネルを作るのか等の方向は固まっていないとのこと。スカパー側での設備投資などは「それほど重くない」とのことだが、受信機等の環境整備や、視聴者の健康を害さないためのガイドライン作りなどが今後の課題という。

HDR推進の環境が整う
HDR信号とSDR信号の比較
HDR導入のメリット

(臼田勤哉)