ミニレビュー

出張に重宝。Bluetoothスピーカー「SRS-X33」とウォークマンAの“LDACコンビ”

 出張や旅行などで初めて行くホテルでも、好きな音楽を聴くと少しでもリラックスできることから、筆者はホテルでも音楽を聴くことが多い。プレーヤーやスマートフォンとイヤフォンがあればどこでも簡単に楽しめるが、何も着けずに自由に聴きたいという思いから、持ち運びやすく音質も悪くないポータブルスピーカーを探していた。選んだのはソニーのBluetoothスピーカー「SRS-X33」。これを手持ちのウォークマンA「NW-A16」と組み合わせ、新たに対応したコーデック「LDAC」の音質や使い勝手などトータルで見て、“出張先ホテルでの音楽環境”としてどこまで使えるかを試した。

LDAC対応でペアリングの選択肢が増加。意外に高い設置の自由度

SRS-X33

 SRS-X33は、片手で持てる500mlペットボトルほどのサイズながら、出力10W×2chでパッシブラジエータにより低音も強化。さらに、ソニーが開発した高音質オーディオコーデックの「LDAC」もサポートしているのがポイント。筆者が持っているウォークマンA「NW-A16」も、このLDACに4月7日のアップデートで対応したことから最適な組み合わせだと思い、購入した。

 LDAC対応モデルは、このほかにも上位機のSRS-X55にも対応している。当然、エントリーモデルのX33は音質では勝てない部分もあるが、海外の場合は飛行機に預ける重量制限を気にしないわけにはいかない。X55は約1,200g、X33は約730gという差だが、軽さと省スペースを優先してX33を選んでいる。購入時の価格は18,230円(税込)だった。

 出張したのはラスベガス。「2015 NAB Show」取材のため、約1週間弱の滞在だった。

 12時間ほどのフライトで目的地に到着。今回は比較的新しいホテルで、設備としては申し分ない場所だった。ただ、ベッドサイドに置いてあったiPhone/iPodスピーカーは30ピンDockコネクタのもの。たまたま筆者は目覚まし用に古いiPhone 4Sを持っていたが、Androidユーザーや、LightningコネクタのiPhone/iPodユーザーの場合はせっかくあるスピーカーも使えない。こうした、実際部屋に着いてみないとわからないことも多い。

 さっそくX33をスーツケースから出し、部屋に置いた。広めのデスクがあったので、パソコンの脇に置いて作業しながら聴いてみた。天面にNFCマークがあるので、そこにウォークマンの背面をかざしてペアリングできる。

ウォークマンAをX33にタッチしてペアリング

 ウォークマンAがLDAC非対応だったころはSBCかaptXでの接続だったが、アップデートでLDAC対応になったことで、ウォークマン側のメニュー項目も少し変更されている。

 例えば、Bluetooth設定の[ワイヤレス再生品質]において、自動で品質を選ぶ[音質優先]では、X33のようにLDAC対応機器の場合、LDAC(音質優先)が選ばれる。また、マニュアル選択時はSBC/aptXに加え、[LDAC(音質優先)]、[LDAC(標準)]、[LDAC(接続有線)]という項目が増えている。

LDAC(音質優先)で接続
マニュアルで、LDACを選ぶことも可能

 LDACは、Bluetoothにおける新しい音声圧縮技術としてソニーが開発。既存のSBCコーデック(44.1kHz/328kbps)と比べ、最高約3倍(約990kbps)の情報量で音源を伝送できるというもので、より高音質なワイヤレス音楽再生を可能とする。96kHz/24bitまで伝送可能なのもポイントで、NW-A16のようなハイレゾ対応機器には今のところ最適なコーデックと言える。今回も、主にLDAC接続で聴いた。

 X33の音の特徴を一言で表すと、低音の力強さが際立つ。小さな本体からイメージするよりも、かなりパワフルで太い輪郭の音が出てくる。EDM系のノリのいい曲も、低音の不足を感じることはほとんどなかった。高域は、据え置きのスピーカーなどに比べると伸びに物足りなさはあるものの、極端に低域寄りのバランスではなく、小型スピーカーとしては価格以上のパフォーマンスだと感じる。

 一方、気になっていたのは、直方体の筐体でユニットが前面に付いていることから、机などに置くと耳の場所よりも下の、胸のあたりに向かって音が出るということ。どうも音が真っ直ぐ届いていないと感じていたが、この場合は本体のSOUNDボタンを押すと、音声処理によって上方にも広がりのある音に変わる。これによって音像がぼやけるといった違和感は無かったので、基本的にはSOUNDボタンをONにして聴いた。

 ただ、特に欧米のホテルだと机が日本人には少し高めな場合もあるため、机に置いて座ってもそれほど下の位置にならないケースもある。今回泊まったホテルでも、冷蔵庫(ミニバー)は少し高めの場所にあったため、そこにX33を置いて聴くと、SOUNDボタンをONにしなくても、ユニットが耳の正面に近い向きで聴けた。

 X33に限らないことだが、スピーカーを置くのは、やはり固めの面がある場所が良さそうだ。試しに柔らかいオットマン(ソファの足置き)のような場所にも置いてみたが、音がボワついてしまった。X33はサイズの割にパワーもあるので、例えば机が狭い場合は、少し離れたテーブルなどに置いても、極端に聴きにくくはならず、部屋のどこで聴いても大きな不満は無かった。サイズの割に、設置の自由度がこれほど高い理由の一つは、低音の豊かさにあると思う。

柔らかい場所はあまり適さない
少し離れた場所においても、音量を上げればしっかり聴けた

 Bluetoothの対応プロファイルはA2DP/AVRCP/HFP/HSPだが、X33の操作ボタンに再生/一時停止や曲送り/戻しのボタンは無いため、操作は基本的にウォークマンなどプレーヤー側で行なう。ボリュームはX33でも調整できる。

天面の操作ボタンとLEDランプ
前面と背面のグリルはパンチングメタル
背面にステレオミニ入力も備える
側面はラバー調
底面は6つのゴム足で支持。リセットボタンも底面(写真右下)にある

 マルチペアリングにも対応。あらかじめiPhoneなどスマートフォンともペアリング設定をしておけば、ウォークマンの音楽を聴いている時に着信があっても、X33の通話ボタンで応答し、内蔵マイクを使って通話可能。もう一度同じボタンを押せば終話となり、自動で音楽再生に戻る。

高速転送でも安定した接続性

[接続優先]も選択できる

 LDACでは転送データ量が多いため、音が途切れないかどうかも少し気になっていたが、結果として今回の出張時に音が切れることはほとんどなかった。もし、再生音が途切れる場合は、オートの[接続設定]か、マニュアルでSBCなど他のコーデックを選ぶことになる。

 出張で途切れたのは2回ほどだったが、そのうち1回は手持ちのモバイルルータをたまたま近くに置いていた時だった。BluetoothとWi-Fiで同じ2.4GHzの帯域を使うと干渉するが、これが影響したのかもしれない。ただ、ルーターの近くに置くと必ず切れるわけでは無かったので、それほど気にせず常にLDAC接続で使えていた。

 試しにSBCでも聴いてみたが、特に[SBC(接続有線)]にすると明らかにLDACよりも音質が悪くなるのが分かる。顕著だったのは、LDACではしっかりハイハットであると分かる音が、SBCでは圧縮の悪影響と分かるカサカサとしたノイズのような痩せた音になってしまったこと。Bluetoothスピーカー自体の性能向上により、最近は「Bluetooth=音が悪い」とはあまり思わなくなってきたが、SBCとLDACの音を聴き比べてしまうと、できればLDACで聴き続けたいと思った。

ベッド脇のテーブルに置いたところ

 音楽ばかりではなく、気分を変えるためにiPhoneでネットラジオを聴くときにもX33を使った。時差ボケや慣れてないベッドですぐに寝付けない時もあるが、聴き慣れた日本語のラジオを聴くだけでも少しはホッとできるものだ。なお、海外では聞けないネットラジオもある。著名なアニラジだと、例えば「響」や「アニメイト」は聴けたが、「音泉」は使えなかった。VPNを使って自宅などのネットワークにつないで聴く手もあるが、海外から聴けるものも少なくはない。同じ番組を別のサービスで配信していることもあるので、それほど心配することもないだろう。

ウォークマンとの組み合わせで出張に最適。LDAC対応の広がりにも期待

 出張で原稿書きや調べものをしながら音楽などを聴く場合、筆者はこれまで手持ちのイヤフォンをよく使っていた。作業には集中できて、音質にも問題はないものの、部屋の中でもずっとカナル型のイヤフォンを着けているのはちょっと煩わしい時もある。少し部屋の中を歩くのにケーブルが引っかかったりするのが邪魔な場合もあった。X33を持って行ったことで、部屋のどこにいても音に大きな違いは無く聴けたのは良かった。

 バッテリの連続使用時間は約12時間。充電用にmicroUSB端子を持っている。電池容量が少なくなるとCHARGEランプが点滅して知らせる。ホテルではUSB給電しながら聴いていたのでバッテリ切れの心配はなかったが、充電できない場所での利用も考えて、残量レベルをもっと簡単に確認できる方法があれば、もっと便利だとは思う。なお、上位モデルX55との違いとして、スピーカーからウォークマンやスマホなどへの外部充電はできない。

 LDAC対応プレーヤーがまだ少ないのが現状ではあるが、ウォークマンAや上位機のNW-ZX2だけでなく、今夏発売されるスマートフォンの新モデル「Xperia Z4」も対応することが決まっている。他社へもサイト内へ問い合わせ窓口を用意しており、ソニー以外の対応も今後は期待できる。

 特に海外のホテルの場合、泊まる部屋の様子は、写真などではわからない場合も多い。実際行ってみると、Webサイトの写真と違っていたということも珍しくはない。そうした中で、旅先などどんな場所でも、音楽をある程度不満無く聴ける環境が用意できるのは安心。持ち運びも苦にならないX33は、ウォークマンのお供として、今後の出張にも役立ちそうだ。

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SRS-X33(レッド)

(中林暁)