ミニレビュー

PS4が遂にメディアプレーヤーに! シンプルながら軽快

サーバーから動画/写真/音楽再生。音楽はもう一歩

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は、6月16日よりPlayStation 4(PS4)向けにメディアプレーヤー機能の提供を開始した。同一ネットワークにあるPCやサーバー、USBメモリ内に保存された音楽や画像、動画などをネットワーク経由で再生できる機能で、PS4ユーザーであれば無料で利用できる。

 メディアプレーヤー機能はPS4の前モデルであるPS3にも搭載していたが、PS4はゲームに特化し、それらのメディア連携機能を持たずに登場した。ネットワークを活用したメディアプレーヤー機能はPS3の魅力の1つでもあっただけに、PS4にメディアプレーヤー機能がないことを残念に思っていたユーザーも多いだろう。

 筆者もその1人で、自宅のPS3はゲーム機能はもちろんのこと、NASに保存した動画や音楽、写真を楽しむために活用していた。PS4ユーザー待望のメディアプレーヤー機能の使用感についてレビューしてみよう。

ネットワーク再生はDLNA相当。DTCP-IPは非対応

 6月16日以降、PS4のホーム画面にはメディアプレーヤーのアイコンが追加されており、ここからPlayStation Store経由でダウンロードできる。PS3ではメディアプレーヤーが本体システム・ソフトウェアの標準機能として提供されていたが、PS4ではアプリ形式でメディアプレーヤーを追加する形だ。

ホーム画面にメディアプレーヤーのアイコンが追加
無料でインストールできる

 メディアプレーヤー機能を立ち上げると、画面にはnasne、QNAP、RECBOXといった自宅内のDLNA機器やWindows 8.1搭載PCが自動で認識され、一覧に表示された。公式にはDLNA対応は謳われていないが、機能としてはほぼDLNA相当と考えてよさそうだ。つまり、PS4がDLNAクライアントとして利用可能になる。

 SCEでは、「今回のメディアプレーヤーを通じて、各DLNA対応機器に保存されたパーソナルコンテンツ(写真・音楽・映像)を、家庭内のネットワークを経由してPS4に接続したTV上でお楽しみいただけます」としている。

 対応ファイル形式はSCEのWebサイトによれば静止画がJPEG/BMP/PNG、音楽がMP3/AAC、動画の場合はファイル形式がMKV/AVI/MP4/MPEG-2 TS、コーデックはMPEG-4 ASP、MPEG-4 AVC/H.264 High Profile Level4.2をサポート。DTCP-IPには対応していないため、nasneの地上デジタル録画番組などは再生できない。

同一ネットワーク内のDLNA対応機器を自動で認識

スライドショーは必要最低限。PS3と比べると物足りなさも

 メディアプレーヤーの機能は非常にシンプルで、アプリを起動後に表示されるサーバーやUSBメモリなど該当の機器を選択し、再生したいファイルを選択するだけ。起動時の初期表示はリスト表示だが、OPTIONボタンからグリッド表示に切り替えることもできる。また、ファイルを選択した状態でOPTIONからR3を押すとファイルをお気に入り登録でき、あとでお気に入りに登録したファイルをまとめて再生できる。

ネットワーク経由でDLNAサーバーに保存した音楽や写真、静止画を再生できる
表示はグリッドとリストに切り替え可能
お気に入り登録した静止画や動画、音楽をまとめて再生できる

 静止画はリストまたはグリッドで一覧が表示され、○ボタンで拡大表示、十字ボタンで画像の切替が可能なほか、再度○ボタンを押すとスライドショーが始まる。画面を表示した状態でOPTIONを押すとスライドショーの設定変更や画面の回転、拡大・縮小といったエフェクト操作も可能だ。読み込みはファイルが大きいとサムネイル表示にやや時間がかかるものの、表示自体はスムーズで待たされる感はない。

静止画の一覧
[○]ボタンで拡大表示。さらに[○]ボタンを押すとスライドショーが始まる
OPTIONからスライドショーや画像の向きなどを編集
PS3の「フォトアルバム」スライドショー。写真が上から降ってくるアニメーションとともに自動で再生される

 スライドショーは表示形式がスライドかフェードのみであとは速さを調整できるだけと、こちらもシンプル。PS3ではスライドショーが充実しており、スライドやフェードだけでなく、白い背景に写真が降ってくるようなアニメーションが特徴的なスライドショーも利用できた。そうしたPS3の再生になれていると若干物足りなさを感じるのも正直なところだが、実用上はさほど問題ない。

音楽再生はアルバム曲順の再生に難あり。他アプリを起動中も再生可能

音楽一覧

 音楽の再生方法はサーバー側の仕様に準じ、楽曲名、アルバム名、アーティスト名、フォルダ単位に加え、QNAPではWindows Media Playerで作成したWPL形式のプレイリストも再生できた。

 ただし、プレイリストやアルバムの再生順などは反映されず、楽曲はすべてアルファベット順に表示されてしまった。アルバムの曲順で楽曲を楽しみたい時には、使いづらい。音楽プレーヤーとしてはやや物足りず、今後の改善に期待したいところだ。

 対応音楽形式はAACとMP3のみ。nasne内のFLACファイルの再生を試みたが、PS4からはファイルを認識せず、再生できなかった。

再生順はアルバムやプレイリストではなくアルファベット順
PS3ではアルバムの曲順に再生できる
FLACファイルは認識されなかった

 再生中は□ボタンを押すとコントロール画面が表示され、早送り/早戻しやスキップ、リピート/シャッフルなどの操作が可能。音量の操作もテレビ本体のボリュームとは別に調整できる。また、コントローラにも操作が割り当てられており、R2/L2で早送り/早戻しが、R1/L1で楽曲のスキップが可能だ。

再生時のコントロール画面

 楽曲はPSボタンを押してメニューに戻っているときや他のアプリを使用しているときも再生可能。前述の通りスライドショー再生で自動的に音楽を再生する機能はないが、自分の好きな楽曲を再生しながらスライドショーを表示する、という組み合わせなら可能だ。

 ゲーム起動時も、音楽をゲームのBGMとしてバックグラウンドで再生できる。ゲームBGM再生中は、コントローラの「DUALSHOCK 4」のPSボタンを押して表示されるクイックメニューから、音量変更や、L/Rボタンを使った楽曲のスキップ/バックが可能となっている。

 なお、「ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城」では、ゲームBGM再生はできなかった。SCEによれば、全てのゲームではないが、基本的にはゲームのBGMとしてメディアプレーヤーの音楽を再生できるようにしているとのこと。

クイックメニューからゲーム中のBGM音量調整や曲変更が可能

 なお、メディアプレーヤーで音楽再生中しながら、torneを立ち上げてもBGM再生が継続されるが、番組を再生するとBGMを一時停止。番組再生を終了すると停止位置から自動的に再生開始される。

【訂正/追記】
記事初出時に、「ゲームを立ち上げると音楽は一時停止され、ゲームを終了するとまた一時停止したところから自動的に再生」としていましたが、ゲーム中のBGM再生が可能なため、その旨追記しました(6月26日12時45分)。

 動画も音楽再生と同様に早送り/早戻しやスキップが可能で、OPTIONを押すと操作画面が表示され、コントローラでの早送り/早戻しやスキップも可能。また、OPTIONからは動画の画面回転や動画ファイルの連続再生も選択できる。読み込み時に数秒程度時間はかかるが、そのあとのトリックプレイは反応もよく待たされる感はない。

動画の再生画面
デジタル放送録画番組には非対応

 なお、前述の通りDTCP-IPには対応していないため、nasneの録画番組や、NASにダビングしたデジタル放送番組は再生できなかった。もっとも、PS4でnasneの録画/放送番組を再生するのであれば、torne PS4を使えばいいという話ではあるが。

機能はシンプルながらレスポンスは良好。使いやすいプレーヤー機能

 待望のメディアプレーヤー機能は、PS3に比べると演出がシンプルで、機能はやや物足りないものの十分に使いやすい。高性能なPS4だけにネットワーク経由での再生でも比較的レスポンスがよく、大容量ファイルでもストレスを感じず再生できるのがうれしい。

 筆者宅では写真や音楽をすべてNASに保存しているのだが、いざ再生しようとするときにパソコンを立ち上げるよりもPS4を使って表示できるのは手軽で便利。家族が遊びに来たときに写真を見せたり、ホームパーティーの音楽をテレビ経由で再生したりとPS3を活用していたが、PS4でも同じ使い方ができるようになった。いよいよ我が家のPS3も電源を常に切っておく日が近づいたのかもしれない。

 DLNAは相性の要素も強く、DLNA対応機器同士でも再生できないということもあるが、筆者宅のDLNAサーバーはほぼ問題なく動画や静止画、音楽が再生できた。Windows Media Playerを使えばPCの音楽をネットワーク経由で再生ということもできる。アプリ自体は無料で入手できることもあり、PS4ユーザーには一度試してみて欲しい機能だ。

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甲斐祐樹