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【新製品レビュー】

結線なしで地デジもBDも楽しめるポータブルTV

−TVの自由度を広げる新提案。パナソニック「DMP-BV100」


3月15日発売

標準価格:オープンプライス


 地上デジタル放送開始以来、年々機種も販売台数も伸びている液晶テレビ。不況下でも確実に売上を伸ばしているが、そんな中でもかなりユニークな提案がパナソニックの「DMP-BV100」だ。

 ポータブルタイプの地上デジタルチューナ搭載液晶テレビで、8.9型の液晶ディスプレイとリチウムイオンバッテリを内蔵。新開発の内蔵アンテナにより、バッテリ駆動時には、アンテナや電源ケーブルなどの結線なく”ケーブルレス”で利用できるというユニークな商品だ。

 さらに、Blu-ray Discドライブも内蔵しており、世界初のポータブルBDプレーヤーでもある。ネットワーク対応なども図っているなど、"ポータブルテレビ"と呼ぶにはあまりに機能が豊富だ。機能的には主に以下の4種類に分類できる。


  • 地上デジタルテレビ
  • BDプレーヤー
  • YouTube/DLNAネットワークプレーヤー
  • SDカード上のAVCHD/JPEG画像用液晶ビューワー

 パナソニックでは、書斎や子供部屋、寝室など家庭内のさまざまな場所で楽しめる「置くとこいろいろテレビ」として訴求していく方針という。実売価格は約10万円で、格安店でも7万円程度で販売しているようだ。ポータブルDVDプレーヤーや小型の液晶テレビと比べると、高価といえる設定だが、小さな筺体にこれだけの機能を盛り込んだ製品は唯一無二といっていい。パナソニックの新提案「置くとこいろいろテレビ」を試してみた。

 


■ 卓上テレビを意識した特徴的な視聴方法

ACアダプタでも利用できる。バッテリ充電時間は約7時間と長め

 DMP-BV100を簡単に説明すると、8.9型/1,024×600ドットの液晶ディスプレイとリチウムイオンバッテリを装備し、BDプレーヤー機能も備えたポータブルテレビといえる。

 通常のポータブルDVDプレーヤーやノートパソコンのように折りたたんで収納できるが、視聴時のスタイルは一風変わっており、液晶部を立ち上げるとディスプレイが現れるのだが、これだけだと[Panasonic]ロゴの上下が逆になっている。立ち上げた状態から横に180度回して反転すると、正しい向きとなる。ここで液晶を立てかけるようにしてスタンドを開くと、フォトフレームなどのようなスタイルの卓上テレビとなる。

  通常のポータブルDVDプレーヤーやノートパソコンのように開くと、BDドライブ部が出てくるが、このままでは利用できないのだ。BDプレーヤーより、テレビとしての利用に重点を置いての判断かもしれないが、確かにテレビとして利用する際の設置安定性はこちらのほうが高い。


折りたたみ時。やや厚みはあるが、コンパクトに収まっている 通常のDVDプレーヤーのように開くだけだとロゴが逆さまになってしまう 回転させて立ち上げたところ。これが視聴スタイルとなる。8.9型/1,024×600ドット液晶を搭載

ディスプレイ部を開いた後、180度回転させて視聴可能となる
1.74kgという重量は片手で持つとかなり重く感じる

 ディスプレイを開いた前面部にスピーカーを装備。上部にチャンネルやボリューム、再生停止などの操作ボタンをまとめている。右側面にはSDメモリーカードスロットとヘッドフォン出力、AV入出力、HDMI出力、Ethernetを装備。左側面には外部/内部アンテナ切り替え用のスイッチを備えている。

 外形寸法は256×202×58.7mm(幅×奥行き×高さ)、バッテリを含む重量は1,740g(本体のみで1,507g)とかなり重い。普段持ち歩いている13型液晶搭載のノートパソコンよりも重く、手に持つとギッチリとものが詰まったよう重量感がある。リモコンやACアダプタ、B-CASカード、クリーニングクロスなどが付属する。

上部に操作ボタンを装備する 右側面にHDMI出力やEthernetを装備する 外部/内部アンテナの切替スイッチを備えている
スタンドを立てて視聴 液晶を開くとBDドライブが現れる スピーカー
BD-Liveにも対応する リチウムイオンバッテリを装備

 


■ アンテナ結線なしの地デジテレビ

小ぶりなリモコンを採用している

 入力切替は、リモコン上部、もしくは本体上の「AV切替」ボタンで選択。[テレビ]-[DISC]-[SD]-[NETWORK]-[AUX]の各入力が選択できる。

 まずはテレビ機能を見てみよう。リモコン、もしくは本体の電源ボタンで電源を投入すると、最初の起動時に10秒強かかる。進捗を示すインジケータは出るが、最近のテレビとしては、やはりやや遅めの起動時間だ。

 本体背面のアンテナ部は、4つのアンテナを内蔵した「4ダイバーシティアンテナ」で、背面のアンテナ部を立ち上げて受信感度を向上できる。背面のアンテナのほか、外部アンテナ入力も備えており、側面のスイッチで切り替えられる。受信状況が悪い場所ではアンテナケーブルを接続して、安定した地デジ受信を可能とする。

 東京千代田区の編集部と調布市の自宅で内蔵アンテナで使ってみたが、東京ローカル局のMXテレビは受信できなかったが、その他のチャンネルはほぼ受信できた。手で持って移動する限りでは、受信状態が激しく乱れるようなこともなかった。ただし、パソコンを隣に置いて起動すると、全く受信できなくなってしまうなど、電子機器の影響はかなり受けるようだ。


アンテナを立ち上げてテレビ受信 背面にB-CASカードを収納 アンテナ入力も備えている
「テレビ」のメニュー画面

 12セグだけでなくワンセグの受信にも対応。12セグの受信感度が悪い場合はワンセグに切り替える、自動切り換え機能も搭載している。「ワンセグのみ」、「12セグ」のみも選択できる。チャンネル設定は地域指定後のオートスキャンで情報を取得。「ホーム」のほか、外出/旅行先などで利用する「おでかけ」設定も可能で、サブメニューから切替が行なえる。

 12セグ受信時のチャンネルの切り替え時間は3〜4秒弱。受信環境にもよるが、ストレスは感じない。リモコンが小さく、チャンネルボタンが下にまとめられているので、あまり使い勝手がいいとは言えないが、慣れればほとんど問題はない。電子番組表(EPG)も装備し、表示番組数やチャンネル数を切り替えられる。録画機能などは備えていない。

 やはり、ケーブルがなく、どこでも使えるという点は設置の自由度という意味では非常に嬉しい。電源コンセントなどは部屋の数カ所にある場合が多いが、アンテナ線はそうはいかない。アンテナ線を引きまわさなくていいというだけでも「縛られている感」はかなり無くなる。テレビ視聴時のバッテリ駆動時間は2.5時間。これで十分とまではいかないが、映画なども一本まるまる見られるので、どこでもテレビというメリットを考えれば納得できる時間といえる。


ホームとおでかけの2つのチャンネル設定が可能
EPGも備えている

 地上デジタル放送(12セグ)の画質は良好だ。液晶の解像度は1,024×600ドットで、デジタル放送にはやや物足りないようにも思うが、実際には精細感は十分だ。8.9型とサイズが小さいが視聴距離が近いので、迫力があり、普段大型のフルHDテレビを見慣れている人でも不満を抱くことはないだろう。コントラスト感も高く、発色も鮮やか。情報がぎっちりと詰まった感触は、大型テレビとは一風変わったテレビ体験と言える。

 画質面では、「スタンダード」、「ダイナミック」、「ナイト」、「ユーザー」の4モードを用意。基本的にはスタンダードで、気になったらユーザーモードで明るさやコントラストを変えるという使い方でいいだろう。また、ベッドサイドでの視聴などでは、輝度が高すぎることもあるので、明るさを抑えたナイトモードを選びたい。

 12セグの画質には問題ないのだが、「ちょっと厳しいな」と感じてしまうのがワンセグの表示だ。320×180ドット程度のワンセグを8.9型/1,024×600ドットのディスプレイに引き延ばすので、当然ではあるのだが、べったりとディティールが落ち、色が抜けたような画になってしまう。ワンセグを見る機会の多くが、「自動切り替えで受信できなかった時」。つまり12セグから切り替わった直後なので、直前の12セグとの画質差が激しく、ガッカリ感が強くなる。とはいえ、12セグでは見られない映像/音声が確実に見られるという点で、ワンセグを外すわけにはいかない。


■ 世界初のポータブルBlu-rayプレーヤー。単体プレーヤーとしても利用可

BDドライブ部

 「DMP-BV100」のもうひとつの大きな特徴といえるのが、BDビデオの再生機能。世界初のポータブルBDプレーヤーでもある。

 ただ、視聴スタイルについては、前述の通り注意が必要だ。通常のポータブルDVDのように、ふたを開いたスタイルでの視聴ができず、テレビ視聴時と同様にスタンドを立ち上げた形での視聴となる。

 おそらく、家庭内での「持ち運びテレビ」という用途が、DMP-BV100の基本想定スタイルということなのだろう。機構的にはおもしろいのだが、ディスクを入れたあとに、液晶を一回転というひと手間もある。できれば通常のDVDプレーヤースタイルでも利用したいところだ。

ビットストリーム出力時には「BDビデオ操作音・副音声」を切にする

 再生がスタートしてしまえば、BDプレーヤーとしての操作方法は普通だ。BD再生時のバッテリ駆動時間は約2.5時間で、ポータブル用途でも利用できる。ただし、重量が1.74kgとかなり重いので、電車や飛行機の中でといった使い方は結構厳しいかもしれない。家庭内で、リビングのテレビが家族に占拠されているので、別室で見るという用途のほうがしっくりきそうだ。

 BDビデオのほか、BD-R/REやDVDビデオなどの再生も可能。DIGAで録画したBD-Rディスクだけでなく、アクトビラビデオの「TSUTAYA TV」でダウンロード購入し、ダビングしたディスク(BD-R)も問題なく再生できた。また、レジューム機能もテストした限りすべてのディスクで動作した。

 また、単体のBlu-ray Discプレーヤーとしても利用できる。AVアンプや液晶テレビとHDMI接続して、映像/音声を出力できる。本体ディスプレイと外部出力の同時表示も可能で、本体ディスプレイの映像を消すこともできる。

 単体のBlu-rayプレーヤーとして利用した場合もリモコンで基本操作が可能。HDMIリンク機能「VIERA Link」にも対応しており、最新のVIERAであれば、リモコンからBDプレーヤーとして「DMP-BV100」を操作できる。

 HDMIからの音声出力は、ドルビーTrueHDやDTS-HD Master Audioのビットストリーム出力も可能となっている。新「リアルクロマプロセッサ」など、DIGAで培った画質化技術も搭載。画質傾向は、常用しているDIGA「DMR-BW830」とほぼ共通と感じた。BD-Liveにも対応し、ダウンロードコンテンツなどを保存する場合はSDカードを利用する。

HDMI接続設定 AVアンプ「TA-DA5300ES」でDTS-HD Master Audioビットストリーム出力が確認できた

 



■ DLNA機能でDIGA用ディスプレイに

「ビエラリンク(LAN)」と「テレビでネット」を選択

 ネットワーク機能は、「ビエラリンク(LAN)」と「テレビでネット」の2つを用意している。

 ビエラリンク(LAN)は、DLNA/DTCP-IPに対応し、ネットワーク経由でDIGAなどで録画したデジタル放送番組もストリーミング視聴可能だ。ブルーレイDIGA「DMR-BW830」でテストしたところ、初回接続時にDIGA側でDMP-BV100を機器認証する必要があるが、その後は問題なくDIGAで録画した番組にアクセスし、視聴できた。

 ネットワーク再生時には、リモコンの「サブメニュー」ボタンで操作用GUIを呼び出し可能。再生/停止のほか。早送りや早送り、30秒スキップなどの操作が行なえる。早送り/戻しのレスポンスはあまり良くなく、早送りや30秒スキップの速度も通常のDIGA利用時に比べるとかなり遅いのだが、録画番組を見るという分にはさほどストレスは感じなかった。別室のレコーダなどにも自由にアクセスできるので、そうした自由度の向上のほうがはるかに大きなメリットだ。

 ただ、せっかくテレビがワイヤレスになったので、できればネットワークもワイヤレスになればいいとは思う。ネットワークの帯域などの問題はあるのだろうが、ぜひ次の世代の製品では実現してほしいところだ。

同一ネットワーク上のDIGAにアクセス 利用前にDIGA側で認証する必要がある 専用の操作GUIを用いてDIGAの番組を操作できる
DIGAにアクセス 操作GUI部を用いてDIGAの番組を操作できる
テレビでネットを選択

 ネット機能でもう一つ特徴的なのは「テレビでネット」機能。YouTubeの再生が可能となっている。おすすめ動画、エンターテインメント、音楽、映画とアニメ、ペットと動物、旅/人/ハウツー、その他などのカテゴリに分類されており、それぞれのお勧め動画が閲覧可能。さらに、パソコンでYouTubeのアカウントを作成している場合は、そのアカウントでログインして、キーワード検索などパソコン相当の機能も利用できるようになる。

 また、SDカードスロットも装備し、SDカードに記録したAVCHDビデオやJPEG画像も再生できる。JPEG写真の音声付スライドショー機能も備えている。AV入力端子も備えており、外部入力信号をDMP-BV100に表示することもできる。

 バッテリはリチウムイオンで、地上デジタル放送視聴時、Blu-ray再生時ともに約2.5時間の再生が可能。充電時間は約7時間。消費電力は約20Wで、待機時はクイックスタート「入」で約4W、「切」で約0.5W。


VIERA用YouTubeのトップメニュー YouTube動画を再生できる

 



■ 機能的には最高。機能を限定した手軽なプライスの製品も期待したい

 ワイヤレス地デジテレビ、ポータブルBDプレーヤー、ディスプレイ付きDLNAクライアントなど、非常に付加価値の高いポータブル製品で、機能的には「全部入り」という感じだ。約10万円という販売価格は、現在2万円以下で購入できるポータブルDVDプレーヤーを基準に考えるとかなり高価に感じるが、価格に見合うだけの機能が盛りこまれている。

 また、新技術が盛りだくさんのはずだが、使える完成度にまとめて仕上がっているのも特筆に値する。ただ、豊富な機能ゆえ、バッテリ込みで1.74kgという重量になってしまっているので、“ポータブル”というにはやや辛い。「置くとこいろいろテレビ」というキャッチコピーからも、基本的に家のなかで使う、超高機能なポータブルテレビというコンセプトがうかがえる。

 DMP-BV100自体は魅力的な製品だが、例えば機能ごとに切りだしても十分魅力的な製品になりそうだ。たとえば、フォトビューワ兼DIGA用ストリーミング液晶ディスプレイ、BDを省いて低価格/軽量化したポータブルテレビ、シンプルなポータブルBDプレーヤーなど、機能ごとに切り分けて手に取りやすい価格にした製品の登場にも期待したい。


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