西田宗千佳のRandomTracking

Xbox One開発担当フィル・スペンサー氏インタビュー

デモから見えたMSが目指す「次のゲームコンソール」

9月17日開催のプレス向けラウンドテーブルで公開されたXbox Oneの実機

 マイクロソフトが、2年ぶりに東京ゲームショウに帰ってきた。目的はもちろん、「Xbox One」のアピールだ。日本でのXbox Oneの発売は「2014年」とだけアナウンスされており、まだ先が見えない。だが、ユーザーに「Xbox Oneとはなにか」を知ってもらうためにも、ライバルに負けないためにも、東京ゲームショウは大切なイベントだ。

東京ゲームショウのマイクロソフトブース。久々に「緑」が帰ってきた。Xbox 360とXbox Oneがアピールされた
マイクロソフト・Microsoft Game Studios担当コーポレートバイスプレジデントのフィル・スペンサー氏

 実際、Xbox Oneの詳細はまだよくわからない部分が多い。E3などでも、公開されたのは「ゲームとしての機能」や「テレビとの連携」など、限定された情報だった。ゲーム機としての性能面で、PlayStation 4との優劣を懸念する声もある。

 マイクロソフトはXbox Oneで、なにを狙っているのだろうか。360の「次のゲーム機」にどのような要素を入れようと考えているのだろうか。

 そのビジョンについて、マイクロソフト・Microsoft Game Studios担当コーポレートバイスプレジデントのフィル・スペンサー氏に話を聞いた。

「家庭最大のディスプレイ」でゲームに専念しながら「スマホ的便利さ」を

東京ゲームショウ2013で展示されたXbox One

--いまのユーザーはすでに、タブレットやスマートフォンといった「オールインワンデバイス」を使っています。Xbox Oneは「オールインワン・エンターテインメント」を指向していますが、両者の違いはどういった点になると考えていますか?

スペンサー:まずは「テレビ」というものの性質から考えてみましょう。テレビというのは、家庭でもっとも大きく美しいスクリーンです。それに、もっとも良いサウンドシステムでもあります。だからこそ、ゲームはテレビでやりたい、と思うんです。

 もちろん、あなたの意見には同意します。すでに我々は、様々な「万能デバイス」に囲まれています。タブレットやスマートフォンやPCでは、映像も見れるしゲームもできるし、ウェブも見られる。そういったデバイスをどこでも、交通機関の中や学校、オフィスなどの移動中にでも、使っています。

 そうしたデバイスから我々は、Xbox Oneを開発する上で色々なインスピレーションを受けました。

 一番大きいのは、そうしたデバイスでは「即時に色々なことを同時にできる」という点です。いまあなたが、PCやスマートフォンで行っているように、です。

 現在人々は、同じ空間の中に、テレビとゲームコンソールの他にも様々な機器を持ち込んでいます。ですから我々も「Xbox SmartGlass」に投資することを決めました。これは複数のデバイスを使った体験として、最も良いものだと思っています。例えばポーカーをしている時、私のスクリーンには自分のカードが見えています。そしてテレビの方には、場に出ているカードが見えています。このように、「つながったデバイス」で一緒にスクリーンを使えるということは、単独のスクリーンに比べてのメリットといえるでしょう。

--大きいスクリーンで色々なことができる良さとは?

スペンサー:例えばForza Motorsportsをやる時には、集中してやりたいと考えます。ゲーマーだったら当然で、大切なことです。ゲームファンはゲームに集中したいと考えるものです。でもですね……。

 私とあなたが友達だったとして、一緒にゲームをしたいと思った、としましょう。もしくは、単に一緒に話したいだけで、ゲームはまた今度、ということでもいいです。

 そんな時、私達はSkypeを使いますよね。メッセージを送って、「ヘイ、いっしょに遊ばない?」って。それに私は「ノー、ごめんね」って答えることもできれば、「OK」といってゲームに呼び込むこともできます。

 そうした時、サイドにSkypeを呼び出して同時に行なうことができるわけです。

--すなわち、ゲームをしながら、応答するか止めるか、自由に選んで同時にこなしたい、ということですね?

スペンサー:一つの目的としてはそうです。

 Xbox Oneを設計する時、我々は目的の一つとして「複数のことを同時に行なう」ことを考えました。

 例えば先ほどのSkypeのシナリオならば、Xbox 360でForzaをプレイしている時にSkypeが来たら、Forzaを止め、Skypeをロードして動かし、私にコールがつながるのをまって「一緒にForzaをやろうよ」と言わなければならなかったわけです。そしてさらに、Skypeアプリを終えて、ゲームをプレイするためにForzaへと戻っていました。こうなっていたのは、システムが「同時に1つのことをする」ことしか考えていなかったからです。率直にいって、Xbox 360のシステム設計はもはや「古い」のです。

 しかしXbox Oneでは、瞬時にSkypeに移って応答できます。

 別の例も示しましょう。Forzaにはたくさんの実在のコースが収録されています。例えばその中で、ベルギーのスパ・フランコルシャンを走るとします。私がスパに興味が出てきて、コースのことをもっと知りたくなったとしましょう。実際のスパのコースのビデオを、YouTubeで見たくなりました。その時には、「Xbox, Snap Internet Explorer」と言えば、ゲームの横にはIEが「Snap」表示されます。YouTubeをSnap表示したければ、「Xbox, Snap YouTube」と言えばいい。そしてそれらの中で実在のコースの情報や映像を見ながらプレイできます。

 こういったことは、今でもPCや携帯電話、タブレットを使えばできることです。でもそれを、Xbox Oneでも素早く切り換えながらできます。

--すなわちXbox Oneの場合だと、そういうことをゲームコントローラーを手放すことなく、素早く行なえる、ということですね?

スペンサー:その通り。あなたはいいマイクロソフトのPR担当になれますよ(笑)

 Forzaをプレイ中ならば、もちろんコントローラーを握っていますよね。その最中に、コントローラーを置いてPCをブートしてタイプして……ということはしたくない。Xbox Oneならば、「Xbox, Snap YouTube」「Xbox, Search Spa」といえばいいわけです。ゲームから離れる必要はありません。同様に操作にはジェスチャーも使えます。ワンハンドでコマンドを入れられます。でも、ボイスで命令を与えるのが一番いいでしょうね。

--そのような機能を「濃いゲーム体験」とともに提供しようとする場合、ゲーム体験の側にロスが生まれないようにコントロールする必要が出てきます。ゲーム側にはなにも影響が出ないように工夫されているわけですね?

スペンサー:はい。その通りです。このプラットフォームでは3つのOSが動いています。大きなゲーム向けの、トラディショナルな「Xbox OS」。そして「Windows」システム。これでIEやSkypeなどのアプリケーションが動きます。さらに、それらを調停するタスクスイッチング用OSです。

 Xbox上のゲーム、例えば「Forza Motersport 5」や「Titan Fall」、「Ryse」などは、フルフレームレート・フルビジュアルで動きます。他のアプリがどう動いているかは感知しません。アプリとの同時表示にあわせ、ポーズやズーム表示などが行われるだけです。OSがそうした動きをすべてコントロールします。クリエイターはその辺を、まったく考える必要がありません。

動作はXbox360よりシンプル、切り換え高速化に一工夫

マイクロソフト・Xbox プロダクトプランニング シニアディレクターのアルバート・ペネロ氏。出荷版に近いソフトウエアと実機を使った開発機材を使いデモが行なわれた

 ここで、実際のXbox Oneの動作について補足しておこう。東京ゲームショウでのお披露目に合わせてマイクロソフトは、Xbox One実機を使った、新しい様々な機能のデモンストレーションを行っている。その様子から、色々なことを読み解いてみたい。

 第一に、Xbox Oneではシステムが大きく変わった。Xbox 360には、基本的なメニューといえる「ダッシュボード」があり、そこからゲームが呼び出されていた。フレンドリストを呼び出したり音楽を切り換えたりする場合には「Xbox ガイド」と呼ばれるメニューを呼び出していたが、「もうこれは存在しない。もっとシンプルになって、さらに機能は多彩になった」(デモを担当した、プロダクトプランニング シニアディレクターのアルバート・ペネロ氏)という。

Xbox Oneのメインメニュー「ダッシュボード」。Windows 8やWindows Phoneのタイル画面に似ているが、設計思想はXbox Oneに特化している。「Recent」(最近起動したもの)という表示に注目

 簡単にいえば、スマートフォンと同じようになった、と思えばいい。基本メニューからゲームやアプリを呼び出すとそれらがすぐに起動し、別のことをしたいと思ったら別のアプリを起動し……といったことが「同時に行なえる」ようになっている。

 例えばiPhoneならば、アプリを呼び出すために「ホームボタン」を押して画面を切り換えるが、これと同じように、コントローラーの「Xboxボタン」を押すと、ダッシュボードに戻っていくようになった。Xbox 360の場合にはここで「ガイド」が表示されていたが、そうしたクッションはなくなった。

 アプリの切り換えは非常に速い。ムービーをお見せすることができないのが残念だが、スマホ・タブレットと同じように、サクサクとアプリとゲームの間を行き来できる。

 Xbox Oneならではの要素としては、いちいちダッシュボードに戻らなくても、「声」でアプリが起動できる、という点が挙げられる。Kinectを使って音声認識をして、アプリを直接呼び出せる。

 また、画面を分割し、ゲームを動かしながら、ウェブブラウザの「インターネット・エクスプローラー」(IE)を同時表示したりもできる。これが、スペンサー氏のコメントに出てきた「Snap」だ。

デモ用のゲーム画面と同時に音楽機能が「Snap」されている。これはKinectから音声コマンドで呼び出され「Snap」された

 ただし、Xbox Oneはゲーム機であってPCやスマートフォンではないため、制約も工夫も存在する。

 スマートフォンなどではいくつでもアプリが動くが、Xbox Oneでは「2本」。1本がゲームならば、もう1本はIEやSkype、YouTubeクライアントなどの「アプリ」。ゲームが動いていないなら、IEとSkypeのように2本のアプリが同時に動く。ゲームについては「フルパワーで動かすために1本」(ペネロ氏)だけが同時に動く。

 ただし、すばやく「動いているものを切り換える」という点で、面白い工夫が存在する。

ペネロ:実はシステム上には、8GBのフラッシュメモリが搭載されています。これは、最近使ったアプリを素早く切り換えるためのものです。そのため、最近使った4つまでのアプリケーションがここに入ります。ダッシュボードに表示されている「最近使ったもの」とはこれをわかるようにしたものなのです。

 要は、高速な「アプリ切り換え用SSD」が用意されているようなものであり、それによって複数の用途を「行ったり来たり」する快適さを担保していたのだ。メモリの量やプロセッサのスピードを考えると、PCのように「制限をかけない」動作にしても良さそうに思えるが、「ゲーム」にリソースをしっかり割くために、こうした特殊な構造になっているものと思われる。

 他方で、フラッシュメモリ側にないアプリを呼び出した時には、若干の読み込み待ちが発生する。しかし、その間も「別のアプリ」が使えるため、体感の待ち時間は短くできる。この辺の「マルチタスク感」は、ゲーム機や家電というよりPCに近い。

 なお、Xbox Oneでは、ゲームプレイの動画を30秒分、720pで録画可能である。見たところ画質はかなり良好で、さほどクオリティが落ちたようには見えなかった。

ゲームプレイの映像を録画してアップロード。PS4にもある機能だが、この種のものは今世代の特徴となりそう。アップロード作業そのものも「アプリ」側が行なう

 ただし残念ながら、このビデオは、Xbox Oneのローンチ(製品発売)当初は、オープンなウェブからは見られない。

ペネロ:ローンチ段階では、Xbox Oneの中からか、「Xbox SmartGlass」の中からしか見られません。PCやスマートフォンなどから見る場合、ですからSmartGlassアプリ内から見ることになります。しかし2014年以降、Facebookなどからも閲覧可能になる予定です。

 なお、Xbox Oneは複数同時利用に対応している。Kinectで人の顔を認識し、自分のアカウントにログインできるのはもちろんだが、複数人の顔を同時に認識、一つのXbox Oneに6人まで同時ログインできる。ダッシュボードはカスタマイズ可能だが、「どの人用のダッシュボードやフレンドリストが表示されるか」は、Xbox Oneのコントローラを誰がもっているかで決まる。言葉で見るとわかりづらいが、コントローラを持つ人に合わせて機能が切り替わるわけで、なかなか面白い仕組みである。

 Xbox 360の無線コントローラは、Bluetoothで接続されていたが、Xbox Oneでは「Wi-Fiをカスタマイズしたもの」(ペネロ氏)が使われる。

ペネロ:ボイスチャットなどの音声帯域を倍にし、よりたくさんのコントローラーを同時に使えるようにするため、(無線)規格を変えました。最大8つまで同時に使えます。

 コントローラは色々変えているんですよね。Xbox 360までは、ワイヤレスコントローラと有線コントローラは別のものでしたが、Xbox Oneでは同じものです。実はコネクタがmicroUSBになっていて、microUSBケーブルで本体と接続できます。その時はバッテリをはずしてつかうこともできます。

「開発者を助ける」マイクロソフトのDNAはXbox Oneでも健在

--ゲーマーは、コンソール・ハードウエアの能力のすべてをゲームに注いで欲しい、と思うものです。ライバルのコンソールに比べ、そうした点を不安に思う人は多いようです。その点はどうですか?

スペンサー:いい質問です。私が考えるに、重要なのは「スクリーンの上でどうゲームが見えるか」だと思います。E3以降、Xbox Oneのゲームは他のコンソールよりも多くのアワードを獲得しています。ForzaにしてもTitan Fallにしても、Ryseにしてもです。どれも素晴らしく美しいゲームで、システム側のチョイスによるネガティブ・インパクトはありません。ゲーマーの皆さんはきっと好きになってくれるでしょう。実際このForzaも1080p・60fpsで動作し、これまでの最高傑作になっています。

 ゲーマーのみなさんは、ゲームがハードウエアをどのように使いこなすかに注目します。私が考えるに、ゲームにとって重要なのは「どれだけハードウエアをドライブしているか」ではなく、「クリエイターが作った新しい体験が、どれだけ提供できているか」であり、それをどれだけ人々が愛してくれるか、ということだと思います。

 そのために我々は、非常に長い時間をクリエイターの方々からのヒヤリングに使い、そこから得られた情報を元にXbox Oneを作ってきました。ですからプラットフォームとともに、とても良いゲームラインナップが出てくることになると考えています。

--Xbox Oneのハードウエアの特徴として、8GBのメモリに加え、SRAMを使ってさらに高速化する、というアプローチがあります。このやり方が「複雑である」という批判もありますが? 逆に、このやり方の美点も教えてください。

スペンサー:我々は、ゲームデベロッパーと手に手をとってXbox Oneを開発してきました。アーキテクチャの判断についても同様です。たくさんのトップクリエイターがXbox One向けタイトルの開発に取り組んでいます。コナミの小島(秀夫)さんや、「Crimson Dragon」を開発している二木(幸生)さんなど、日本の素晴らしいクリエイターの方々もいます。

 彼らとともにゲームを開発中ですし、彼らはXbox Oneの良さを色々みつけていますが、そうした「複雑さ」を口にしてはいません。結果はショーフロアでプレイできるゲームでご覧いただけると思いますよ。

 この数年、タブレットやスマートフォンでは数多くのゲームが成功を収めました。コンソールでも、同じようにスムーズなゲーム体験ができるようになり、成功できるようにするべきです。クリエイターの方々には、できるだけたくさんのゲームを作って販売してもらえるようにしたいです。

--Xbox 360の良かったところは、ゲームの開発が容易であり、良いゲームが素早く投入されたところです。そのDNAはXbox Oneにも引き継がれてる、と理解していいでしょうか?

スペンサー:はい、もちろんです。

 ちょっと、なぜマイクロソフトは生まれたのか……というところにさかのぼってみたいのですが、弊社は「デベロッパーを助けるため」に生まれたのです。ビル・ゲイツは35年前、BASICをデベロッパーのために書いたわけですからね。現在もバックエンドで、サーバーなどのクラウドリソース開発を行っています。

 マイクロソフトのDNAは、デベロッパーのために良いプラットフォームを提供するところにあります。

 ですからXbox Oneを開発する際にも、Xbox 360で得られた知見を生かし、クリエイターの声を聞き、もっとゲームクリエイターの方々にチャンスを与えられるようなプラットフォームにすることを考えていました。

--ゲームクリエイターにとってのチャレンジとして、クラウドの活用があるかと思います。Xbox Oneではクラウドを活用するとのことですが、そこでどのようなことができるのか、どう生かそうと考えているのか教えてください。

スペンサー:クラウドにはいくつものレベルがあると思います。

 大きなスタジオは、サービスやマルチプレイヤーゲーム開発の経験が豊富です。例えば「Call of Duty」シリーズを作っているInfinity Wardなどはそうですよね。

 そうしたスタジオは、オンライン機能を作る上で、我々のサポートを必要としていないでしょう。しかしクラウドを活用すると、彼らはゲームをホストするためのサーバーハードウエアへの投資を抑えることができるようになります。コストだけでなく、メンテナンスを含めた「安定性」も得られます。

 小さなインディー系デベロッパーは、サーバーへの大規模投資は行なえません。しかし我々は、彼らに費用負担を強いることなく、サーバーインフラを活用する手段を渡すことができます。そうしてサーバーベースでゲームを組み立てていくことで、小さなオフィス・小さなバックエンド・小さなチームでゲームを作っていけます。

 ゲームをプレイする我々の目からみれば、そうした小さなインディー系のデベロッパーの作品でも、「Call of Duty」と同じようなインフラを使ったゲームを楽しめることになるわけです。そこからはとても興味深いゲームが多く出てくることになるでしょう。私はそこにすごく期待しています。

 こうした点については、クリエイターの皆さんから、とても良いレスポンスをいただいています。

--インディー系へのサポートという意味では、Xbox 360時代には「XNA」という取り組みがありましたね。あれが終息することで、マイクロソフトはひとたびはインディー系から興味を失ったのでは、という印象も持ちました。しかし、「ID@Xbox」という取り組みにより、インディー系へのアプローチを再び開始しています。

 Xbox Oneにおけるインディー系の位置付けはどうなっているのでしょうか?

スペンサー:我々は、Xbox 360時代に貴重な教訓を得ました。クリエイターからは様々なフィードバックを得ています。

 XNAでは、Xbox Liveを使えませんでした。KinectもXNAからは使えませんでした。小さなプラットフォームにしかアクセスできなかったわけです。クリエイターからは、「XNAはいいアイデアだけれど、すべての機能にアクセスさせてほしい」と言われました。Xbox 360上にある他のあらゆるゲームと同じように扱ってほしかったのです。ゲームはゲームであり、すべて同じマーケットプレイスから、同じように買えるようにして欲しかったんです。

 ID@Xboxをデザインする時には、インディー系であってもXbox Oneのすべての能力を使えるよう考えました。ゲームの「見つけやすさ」についても同様です。すべてのXbox One用ゲームが、同じストアから購入できます。

 また、インディーにとっては「コスト」も重要であることを知っています。リテールで販売されるXbox Oneを開発に使えるならば、お金の節約になります。開発キットを買わなくてもXbox Oneからすべての開発ツールにアクセスできればいいわけですから。

他人の「行動」からコンテンツを見つけるスタイル、テレビ機能も日本でサポート

--ゲームの「みつけやすさ」はとても重要です。特にオンライン配信になれば重要さは増します。その点をどう考えていますか?

スペンサー:確かにおっしゃる通り。ただ、店頭でも「見つかりやすさ」は重要ですよね。

 我々はレーティングシステムをもっていて、どのゲーマーもゲームやコンテンツにレーティングできます。

 また、我々は、人々がどのようにゲームをプレイしているのかを分析します。なにを見ているかもチェックします。そこから「もっとも今ポピュラーなゲーム」をピックアップしてきます。大手のものはもちろんですが、インディー系についても同列に、です。Xbox Oneにログインすれば、あなたが興味を持てるであろうゲームがすぐに見つかるようになります。

 Xboxについては、Xbox Liveそのものが最大の「発見」ツールでもあります。自分がなにをやっているのか、友人がなにをやっているのかがフレンズリストから見えるわけですから。フレンドリストの進化により、フレンドがなにをやっているのかがよりわかりやすくなります。それがもっとも大きな「発見」ツールです。

 Xbox Oneの「フレンドリスト」は、Xbox 360のものとは大きく変わる。従来100人までだったものが、Xbox Oneでは1,000人になる。

 1,000人とは遊ばないでしょう……と思いがちだが、実はそういう意味ではない。Xbox Oneのフレンドリストは、Twitterでいうところの「フォロー」のような役割も果たす。「友人やゲーム・セレブリティをフォローして、どんなものが流行っているかを知ることができる」(ペネロ氏)ようになっているのだ。濃いコミュニケーションももちろんだが、SNSの持つ「気軽さ」「薄さ」も採り入れようとしているのだろう。

 ちなみに、ゲーム・セレブリティ(ここでは、有名プレイヤーや有名人を指す)を探してフォローする場合には、「まず彼らのゲーマータグを知る必要がある」(ペネロ氏)という。「今後は実名などのリンクも検討していますが、まずはゲーマータグで探してほしい」とペネロ氏は言う。

 そしてこの性質を頭に入れておくと、ここからのストーリーがよりわかりやすくなってくる。

--すなわち、ゲーマー同士の濃密な関係こそが、ゲームにとって最大の「発見」ツールだ、ということですね。

スペンサー:はい。そしてですね、そこから先に「テレビでの見つけやすさ」を考えてみてください。

 友人がなにを見ているのか。友人がどんな音楽を聴いているのか。どんな映画が好きなのか。

「友人が聞いていた音楽」の表示。フレンドリストからそういった「自分も好むかもしれないコンテンツの情報」を得ることで、コンテンツとの出会い・発見を狙う

 あなたの友人達が好きなものは、あなたが好きである確率がより高いはずです。「フレンド」がなにをしているのかが分かることで、大きな「すべての発見ツール」になります。それが、他のプラットフォームの持っていない特徴です。

--それこそが「オールインワン・エンターテインメント」だ、ということですね。

スペンサー:その通りです。

--Xbox Oneではテレビとの連携を前提としたコンテンツが重視されています。日本でもそうしたものは提供される予定がありますか?

スペンサー:Xbox Oneは、最初から「テレビというコンテンツへの理解」をベースに開発されています。それがグローバルなポジションです。2つのHDMIポートがありますから、アメリカのユーザーでも日本のユーザーでも、現在あるテレビチューナーをつないで、テレビ番組を楽しむことができます。テレビを見ながら、Xbox One上の他のあらゆる体験ができるようになってるのです。今どのチャンネルでなにを見ているのかがわかるようにもなっています。

 しかしそれには、各地域のテレビ局でどのような番組が供給されているかを知っていなくてはなりません。そのためのデータ収集は我々にとってチャレンジの一つです。現在積極的に動いている最中です。日本を含め、Xbox Oneをローンチする国々で、テレビの機能が万全に動くようにすることが、我々の狙いです。

--最後にひとこと。日本のユーザーは、まだしばらくXbox Oneを購入することができません。日本のユーザーに向けたメッセージをください。

スペンサー:日本におけるXboxのサポートに感謝します。日本のXboxファンは、とてもとても強力です。そのことは常に聞かされています。

 確かに、我々は日本でもっとも大きなシェアを持つコンソールではありません。今は。しかし、ベストなゲームファンの支持を、Xboxは得ていると思っています。彼らのサポートがあってこそです。

 ですから、どうか、我々のこのマーケットへのコミットを信じていただきたいのです。我々のプロダクトがこのマーケットで販売される時には、全世界と日本から、ベストなコンテンツをXbox One向けにお届けいたします。

西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、週刊朝日、AERA、週刊東洋経済、GetNavi、デジモノステーションなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。
 近著に、「顧客を売り場へ直送する」「漂流するソニーのDNAプレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)、「電子書籍革命の真実未来の本本のミライ」(エンターブレイン)、「ソニーとアップル」(朝日新聞出版)、「スマートテレビ」(KADOKAWA)などがある。
 個人メディアサービス「MAGon」では「西田宗千佳のRandom Analysis」を毎月第2・4週水曜日に配信中。 Twitterは@mnishi41