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torne「ニコニコ実況」とnasne「自動チャプタ」誕生の理由

SCE、torne開発チームに聞くnasneの進化や「弾幕処理」

nasne

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は、12月12日、同社のテレビ関連製品「torne」「nasne」を同時にアップデートした。これにより、torneは「システムソフトウエア 4.50」に、nasneは「システムソフトウエア 2.10」となった。

 今回のアップデートは、これまで両製品に対して行なわれてきたアップデートの中でも、最大級のものだ。nasneでは「チャプター自動生成」が実現され、PlayStation 3(PS3)版のtorneでは、niconicoと提携しての新たな「実況」機能が実現された。

 これらの機能は、どのような狙いのもとに、どうやって実現されていったのだろうか? 今回は久々に、torne開発チームへのロングインタビューをお届けする。ご対応いただいたのは、SCE 戦略・商品企画部 部長ハードウエア、システムソフトウエア担当)兼 ハードウエア企画課 課長の渋谷清人氏、ソフトウェアソリューション開発部 次長の石塚健作氏、ペリフェラル事業部 開発部 2課 課長の河原裕幸氏である。

左からSCE ソフトウェアソリューション開発部 次長の石塚健作氏、ペリフェラル事業部 開発部 2課 課長の河原裕幸氏、戦略・商品企画部 部長(ハードウエア、システムソフトウエア担当)兼 ハードウエア企画課 課長の渋谷清人氏

「チャプタ」はユーザーニーズから対応を決定

torneで見た時には、きちんとチャプタが見える。CMや番組内の大きな区切りなどに合わせて自動設定される

 まず、nasneによる「チャプター自動生成機能」について説明していこう。

 といっても、ものすごく特別な機能ではない。nasneで録画された番組に対し、自動的にチャプタが設定されるようになる、というもので、多くのレコーダに搭載されているものと同じ機能、といっていい。録画時にチャプタがリアルタイム生成されているため、録画済みの番組にチャプタを再設定することはできないが、nasneのシステムソフトウエアを「2.10」にアップデート後に録画した番組であれば、すべてにチャプタがつく。設定も必要ない。

SCE 戦略・商品企画部 部長(ハードウエア、システムソフトウエア担当)兼 ハードウエア企画課 課長の渋谷氏

渋谷:狙いは単純です。いまのレコーダであれば、どの会社の製品でも、チャプタ自動生成機能は当たり前に搭載していますよね。nasne発売以降、ユーザーの方々からも「チャプタ自動生成機能は欲しい」というお声が非常に多く寄せられていたんですよ。ユーザーニーズに答え、レコーダとしての使い勝手を上げていくということです。

 だが、ここで1つ問題がある。

 そもそもnasneは、「チャプタ自動生成機能の搭載ありき」で開発されたハードウェアではない、ということだ。SCEはゲーム機の会社であり、ゲーム機は高度にカスタマイズされたハードウェアで実現されている。しかしnasneも、そしてその前身にあたる、PS3用の地デジチューナーユニットにしても、内部で使われているハードウェアは、パソコン用の地デジチューナやNASなどでも使われている、決して珍しくはないパーツだ。家電のレコーダのように、設計段階からチャプタ自動生成機能を搭載する前提でアーキテクチャを作っていたわけではないし、プロセッサー性能でゴリ押しできるようなものでもない。

ソフトウェアソリューション開発部 次長の石塚健作氏

石塚:コストなどの関係もあり、ハードウェアとして、特別なものを使うことはそもそもできません。PS3用地デジチューナーに比べれば、スピードを中心とした快適さは「マイナス」地点から開発をスタートしているので、どこまでゼロ、すなわち「地デジチューナー+PS3用torne」と同じところまでもっていけるか、にこだわりました。nasne発売当時には、少しでも快適にするために、私もnasneのシステムソフトウエアの開発にどっぷり漬かって、ゴリゴリに最適化を行なってたんですよ。

河原:ソフトの力でゴリゴリと最適化して差別化を……というところは、多分にありますね。一般的なハードウェアを集めてくれば出来上がる、というところを越えた製品に、という意識もありますので。

 チャプタ生成機能については、実際、nasne開発の初期段階から、話だけは出ていました。ハードウェアを追加して、というやり方はできないので、どうやって実現するかを、長く検討していました。

 というところで、開発側からはボソッと、気になるキーワードが出てくる。

「いやあ、急に言われた部分もあったので……」

 渋谷氏は、その背景を苦笑いしながら次のように説明する。

渋谷:もちろん、nasne発売以後もずっと、開発中心メンバーと実現の可能性を話し合ってきたのは事実なんですよ。

 でも、ぶっちゃけですね……。本当は、今年のこのタイミングで、自動チャプタ生成機能をやる予定はなかったんです。急にお願いした部分があるので、開発側にはだいぶ無理をしていただいたところもあります。

 自動チャプタ生成機能をさらに後から、という話になっていたのは、この秋冬に別の大型機能追加を予定していたからだ。それが、10月10日に行なわれた「システムソフトウエア 2.0」へのアップデートで搭載された、インターネットを経由してnasne内のファイルへアクセスする「Anytime Access」機能の実装だ。

 Anytime Accessでは、録画番組へのアクセスこそできないものの、PS Vita用専用アプリ「naspocket」、Android用専用アプリ「nasne ACCESS」を組み合わせると、宅外から、nasne内に蓄積した写真や音楽に、自由にアクセスできるようになる。

「Anytime Access」機能を使うと、宅外からデータにアクセスできる。画面はAndroid用専用アプリ「nasne ACCESS」

 ある時、nasne関連のネットワーク技術開発を担当する、ソフトウエアソリューション開発部2課の水野公嘉氏は、Anytime Accessの狙いについての筆者からの問いに、「音楽データをすべて持ち運ぶ、というあり方を再定義したかった」と答えている。渋谷氏も、同様の見解を示す。

渋谷:「naspocket」や「nasne ACCESS」を使えば、自分が持っている音楽や動画のファイルを、いちいちコピーすることなく使えることになります。今までの音楽プレイヤーとは違う可能性のある、非常に便利なものなので、これはこれで注目していただきたいです。

 他方、Anytime Accessを軸にした「2.0」は、レコーダ以外のところに焦点を当てた大切なアップデートでした。なのでその時は、「チャプタを同時に提供せず、焦点を当てた方がメッセージがクリアーだよね」ということで、ここでは搭載を見送っていました。

 が、事情がちょっと変わりまして……。

 その事情とはなんなのか? 石塚氏はヒントをくれた。

石塚:PS Vita TVの発売日(11月14日)に公開された「torne for PS Vita TV」の1.0には、最初からチャプタ機能に対応しているんですよね。その辺で察していただければ……。

アルゴリズムは「おまかせチャプター」譲り、torneならではの要望も

 話を「チャプタ機能」そのものに戻そう。

 nasneのチャプタは、どのように設定されていて、どのような機器で使えることを前提としているのだろうか?

渋谷:基本的なアルゴリズムは、ソニーのレコーダに使われている「おまかせチャプター」とまったく同じです。そもそもチャプタの自動生成はノウハウの塊だったりするところがありますからね。ソニーの蓄積してきたノウハウを使って、実現しています。

石塚:レコーダの部隊が、今回の開発に100%協力してくれたんです。チャプタ生成を前提としていないnasneで実現できたのも、違う世代のハードウェアで、どのように同じチャプタ自動生成機能に対応するか、というノウハウを、レコーダの部隊がもっていたのが、非常に大きいです。

渋谷:ハードウェアがまったく同じではないので、チャプタ生成のタイミングは、ソニーのレコーダと全く同じ、というわけではないです。しかし、アルゴリズムは同じです。いまのところ、精度についての評判も良好なようです。

石塚:チャプタの区切りは、音の変化と映像の変化、両方でやっています。しかも「この場合は切れる」「地方の番組のここだけ切れない」といった例外処理が多いので、ものすごく複雑な条件を積み上げています。そうした部分のバランスは、本当に貴重なノウハウだと思いますね。

 実のところ、そうした条件が複雑なので、技術的な問題よりも、動作検証にかかる時間が大変でした。毎回ソフトを修正し、テストするたびに、いくつもの番組を「録画するところ」からやり直しなので……。限られた時間の中で、どこまでいけば「切れ目が気持ち悪くない」ところまでもっていけるか、が大変でしたね。

 すなわち、アルゴリズム的にはまさに「ワンソニー」なプロジェクトだったわけだ。

 筆者から見ると、チャプタ精度は一般的なレコーダの水準を満たしており、とりあえず十分なものに見える。だが「torne」、「nasne」の抱えるユーザー層の要望を考えると、まだ最適化が必要、と開発チームは考えているようだ。

石塚:ご存じのように、torneユーザーにはアニメファンが多いんです。そのため、アニメでの精度を高めて欲しい、という話は出ています。具体的には、番組の最後に出る「エンドカード」(番組最後の提供告知後に出るイラストなどのこと)にチャプタがついていない、ということですね。おまかせチャプタの開発チームとも、「そういうニーズもどうにかしないといけないですね」という話にはなっています。

 しかし、チャプタ精度は、全体で考えないといけません。どこかの精度を上げると、別のどこかの精度が落ちる、という現象が出やすいんです。nasne全体で見ないといけないので、どうなるかはまだわかりません。

「ソニーのレコーダ」対応の機器からはチャプタが利用可能

 連携しているのはアルゴリズムだけではない。チャプタ実現の仕組みもソニーのレコーダと連携がとられている。

ペリフェラル事業部 開発部 2課 課長の河原裕幸氏

河原:チャプタがどの機器から使えるか、という点ですが、まずはPS3とVita、Vita TVのtorneから、ということになっています。しかし、ソニー内で定められている規格には対応しているので、Xperiaからはチャプタが見えるはずです。すなわち、そうした機器からは、nasneもソニーのレコーダと同じように見えるんです。

石塚:ここは、レコーダとの整合性を取った部分ですね。「ソニーのレコーダに対応」とされている、他社のソフトウエアからでも利用可能になりますし。

 実際nasneのチャプタ機能は、torneだけでなく、デジオンの「DiXiM Digital TV for iOS Ver.3.00」や、アルファシステムズ「Media Link Player for DTV(MLP)」でも見える。デジオンはソニー製レコーダへの対応を元々明言しており、その関係から、nasneのチャプタ機能についても、早々に対応を表明していた。

 他方で、こうした「整合性」はレコーダとの間が中心だ。例えばVAIO搭載の「VAIO TV with nasne」では、まだチャプタが利用できない。その点については、現在PC側の部隊で対応が検討されている段階だという。

 他方、番組持ち出し時のチャプタ情報はどうなるだろうか?

石塚:DLNAにチャプタムーブの規定がないので、今はできないです。Vitaのtorneだけは、「持ち出し」でチャプタもついてきます。チャプタ情報は、録画データとともに付加データとして記録されているのですが、それを持ち出す方法は現状公開していません。

PS3チューナーはチャプタ非対応、手動チャプタの可能性は?

 チャプタへの要望という意味では、現状2つのものが考えられる。

 一つ目は「PS3の地デジチューナーでは対応できないのか」ということ。こちらはかなり厳しいようだ。

石塚:PS3のチューナーでの対応は、難しいと判断しました。PS3の地デジチューナーは、ゲームが一緒に動かないといけない、という点があります。

 チャプタを「録画後」につけるならできるかもしれませんが、そうすると、録画直後に見た場合、チャプタがつかない。それではお客様にとてもわかりづらい。なので、チャプタはリアルタイム処理が望ましいのですが、そうすると、メモリーにしても処理量にしても、かなりえげつない量を必要とするため、リソースが足りないのです。

 ゲームに負荷がかかりそうなややこしい処理をしているので、いままでの開発から得ている感触からは、入らないだろう、と判断しました。実際PS3の地デジチューナーでは、地デジ用の受信バッファも0.1秒くらいしか持てていないんですよね。

 もうひとつは「自分でチャプタを設定できないのか」ということだ。ひいては「番組の編集ができないのか」という要望につながる。

渋谷:以前からお話しているように、torneは「気軽に見て消し、BDへのダビングは前提としない」というポリシーなので、あまりに凝った編集、というのは考えていないですね。

石塚:実は、チャプタを自分で打つ、という機能だけであれば、以前に試作したことがあるんです。しかし、導入して、操作性がややこしくなると本末転倒。どれだけ思ったとおりのことが、今のリソースできるか、をこれからも検討していきます。

渋谷:「とにかくシンプルに」というのは、絶対的に崩しちゃいけない線だと思っています。

 実際、社外からも社内からも、他のレコーダとの差異を挙げて「この機能はどうだ、あの機能はどうだ」という話が出ます。でも、torne・nasneの良さを残さないといけません。機能過多になってしまうと、その良さがなくなります。トライアンドエラーの中で「これはおかしくなる」と判断した部分はやらない、という形です。

 でも、チャプタは、やろうと思うと色んな面白いことができるんですよね。チャプタを打った場所を共有すれば、それだけでも面白いコンテンツになりますし。でも、やり方を考えないと、「日常番組を見るだけならサクサク簡単に」という部分が守れません。

UIにこだわって2年、ニコニコ実況連携を実現

 次に、話をPS3版torneに実装された「ニコニコ実況連携機能」に移そう。

 現在のtorneには「ライブ機能」として、Twitterの情報をテレビ番組とともに表示する機能がある。ニコニコ実況連携機能も「ライブ機能」の一環であり、4.50ではライブ先は2つになった、という扱いである。

 ただし、ニコニコ実況連携機能とTwitterには、本質的に大きな違いがある。Twitterは完全な「ライブ視聴」でしか有効にならないが、ニコニコ実況連携機能は、録画した番組でもOKだ。実況が再生される対象は、PS3版torneが扱っている番組すべて。すなわち、ソニーのレコーダをレコ×トルネで連携して再生した時にも、nasneの番組でも問題ない。アップデートより前、過去に録画された番組も対象になる。ニコニコ実況側に実況データが残っているならば、極論、数年前に録画された番組であっても実況が流れる。生放送に間に合わず、ちょっと遅れて追いかけ再生で見始めた場合でも、放送の最初に記録された実況が、きちんと再生される。

 すなわち、Twitterが完全な「生」に特化したものであるのに対し、ニコニコ実況は「生+非同期」なのだ。

 録画済みの番組にも実況がつくことで、すでに見たことのある番組を見る時にも、新しい楽しみが生まれる。パソコン上でのニコニコ実況ではある程度できていたが、ここまで簡単かつ視聴しやすい形で、しかも「レコーダに録りためた番組」で楽しめる、というのは、やはり画期的なものだ。快適さがコンテンツの価値を変えている。

torneの「ニコニコ実況連携機能」。コメントが流れるだけでなく、盛り上がったところを把握できるグラフも。生実況だけでなく、録画番組にも対応した「非同期性」が最大の特徴。

石塚:過去のコンテンツに実況が流れる、ということが、まさに、niconicoを選んだ理由です。びっくりするくらい新鮮で、面白いですよね。

 この機能の検討を始めたのは、だいたい2年くらい前のことです。Twitterでの実況機能を実装した頃でしょうか。実はTwitterで同じことをやろうとして試したんですが、難しかったんですよ。そもそもTwitterだけにこだわっていたわけではないので、niconicoも試してみよう、ということになりました。niconicoとの連携機能を入れたのは、まさに「ニコニコ実況」があったからです。

 最初はniconicoさん側から持ちかけがあった、という形です。鈴木慎之介さん(筆者注:ドワンゴ子会社で、niconico関連アプリの家電実装を担当する株式会社キテラス社長。niconico側での機器連携関連のキーマンで、Vita版のniconicoアプリなども同社の開発)とやりとりをして実装をすすめてきたのですが、今はキテラスではなく、niconicoと直接やりとりをして、最終的に実装しました。

 とはいえ、開発はかなり難航した。技術的に難しかったのではない。torneチームがこだわってきた「torneらしい使い勝手」をどうやって実現するのか、ということだ。

石塚:開発の中でも、UIの実装には相当時間をかけました。実際、何回も完全に作りなおしています。発言の量で山を作って見せる部分だとか、右側のコメント量表示のメーターをどのように出すか、とか。映像を早送り・コマ送りした時にも、コメントがきちんと早送り・コマ送りになります。

 現状、コメントをtorneからは書き込めないのですが、これも使い勝手の問題です。テレビに向かって書き込むとすると、こう、「前のめり」で使う感じになるじゃないですか。なので、シンプルに「見る」ことに特化したものにしました。

ニコニコの華「弾幕」の処理に秘策あり?!

 niconicoならではの文化であり、それがなくてはならないものが「弾幕」。筆者も、torneをアップデートして最初に見たのは、先日録画しておいた映画「コマンドー」だった。これならば存分に弾幕が楽しめる、と思ったからだ。実際あまりにも面白かったので、その後いくつもの番組を「実況再生」し、睡眠時間と仕事時間を削られてしまった。

torneの「ニコニコ実況連携機能」。コメントは映像に重ねずに表示する

 だが他方、弾幕は画面を埋める行為でもあり、そのまま表示すると映像が見えづらくなる。torneでは、映像の裏にコメントを流すという形にすることで、映像が見えなくなることを回避している。現在の日本のテレビ放送受信の運用ルールとして「放送局自身が流したものではない情報を、放送の上には重ねない」というものがあり、ソニーとしてはそれを守らねばならない、という事情もあるが、「映像を見る」ことを主とするtorneの性質上、弾幕で映像を見えなくするのも問題がある。

 映像の裏にコメントを流すにしても、コメント量が毎分数百を超えるような状況だと、そのままでは画面が文字で真っ白になり、見えづらくなりそうなものだ。

 しかしtorneの場合。コメントの文字の濃さをいくつかの段階にわけて重ね、擬似的な立体感を持たせることで、弾幕のジレンマを解決している。これは、torneならではの工夫によるものだ。

石塚:コメントを流す際、「wwww」や「8888」、弾幕用の一斉コメントといった、ひとつひとつのコメントの重みは低いものについては、流す段階で判別し、色を薄くして重ねる処理をしているんです。言葉は良くないのですが、内部ではこれを「駄コメ処理」と呼んでいます。

 でも駄コメントは大切です。たくさんあるからこそ、にぎやかさはあるわけで。重みを自然につけた上で「それっぽく」駄コメ出るよう、読めるんだけどにぎやかな感じを作るのに、実は1年掛かっています。

 このコメント処理はクラウドで事前処理するのではなく、niconicoからPS3が直接取得して、処理しています。ですから見栄えの割に、コメント判定はシンプルな処理なんですよ。でも、この処理と大量の弾幕の表示には、PS3の性能が非常に重要です。現状Vita版のtorneで実現できていないのは、性能面の問題です。ただ、対応は検討中です。今後がんばっていきます。

 公開後の反響として、映像部分の面積が狭い、という声もいただいています。サイズ変えられるUIも考えてはいるので、要望が増えるようなら、実装を考えてみたいです。

 コメント処理の開発には、大量のコメントがある番組でのテストが必要だ。いちばん最初に、開発陣が対象に選んだのは「天空の城ラピュタ」である。もちろん「バルス」対策のためだ。「これでいければ、どの番組でも大丈夫だと思うんですよね」と石塚氏も笑う。

 UIで難航したニコニコ実況対応torneだが、形ができあがってくると、社内外での評価は驚くほど高かったという。

石塚:開発初期版をドワンゴにみてもらったら、「いままで以上におもしろいですね」と評価していただき、密接な関係を保って開発を進めることになりました。

 torneの場合、niconicoのプレミアム会員の人のみ、10日以上前の過去のビデオでの実況視聴ができます。これは今回初めて導入された仕組みです。niconico側のインフラを利用させていただくので、彼らと連携したビジネスができるように、と検討した結果です。

 ソニー社内でも、番組再生機能に実況を搭載できたものをデモした時、反響がすごかったんです。我々の内部にも重度の「ニコニコ中毒」の人間がいるのですが(笑)、彼からは「いくらになっても買う、やってくれ」と発破をかけられました。

 なので、nasneを作っている裏で、密かに一生懸命作り込んでいたんです……。

 努力のかいあって、この機能は「新しいテレビの見方」を生み出していると感じる。コメントの内容も含め、課題や好みはあるだろうが、torneをお持ちでない方も、ぜひ一度、どこかで体験してみることを強くお勧めする。

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西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、週刊朝日、AERA、週刊東洋経済、GetNavi、デジモノステーションなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。
 近著に、「顧客を売り場へ直送する」「漂流するソニーのDNAプレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)、「電子書籍革命の真実未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「ソニーとアップル」(朝日新聞出版)、「スマートテレビ」(KADOKAWA)などがある。
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