'11年発売のBD機器はアナログ出力をSD解像度に制限

-AACSの規定で480iに。DIGAや各社レコーダも準拠へ


新ブルーレイDIGA「DMR-BZT900」

 Blu-ray Discの著作権保護技術「AACS」の規定により、2011年1月以降に製造されるBlu-ray Discプレーヤー/レコーダのアナログビデオ出力がSD解像度(最高480i)に制限される。

 パナソニックは、2月に発売する「ブルーレイDIGA」について、BDビデオや著作権保護されたBD-R/REの再生時のD端子からのアナログ出力がSD解像度(最高480i)に制限されることを明らかにした。また、シャープが2月15日に発売する「BD-HDS63」も、D端子からのBDビデオなどの映像出力がSD解像度に制限される。

 これは、BDの著作権保護技術のAACSの規定によるもの。AACSのFinal License Agreementsでは、2011年1月以降に製造/販売される、D端子、コンポーネント出力を有する全てのメーカーのBD機器について、AACSで保護したコンテンツをHD解像度でアナログビデオ出力することを禁止。SD解像度のインターレース出力(SD Interlace mode。コンポーネント、S映像、コンポジットの各出力から480i/576iまで)に制限するよう求めている。

 2011年以前に発売された製品は、これまで通りD端子やコンポーネントビデオからのHD映像出力を継続して利用できる。ただし、これらの機器を、2011年12月31日以降も継続販売する場合は、SDインターレース出力への制限が必須となるため、2012年以降はこうした製品を市場で入手するのは難しくなると予想される。

 さらに、2013年12月31日より後に製造、販売される製品についてはアナログビデオ出力が禁止される。

【アナログビデオ出力制限のスケジュール】

発売時期アナログビデオ出力
2010年12月31日以前HDビデオ出力可
(販売は2011年12月31日まで)
2011年1月以降
~2013年12月31日
480iに制限
2014年1月以降アナログビデオ出力禁止
BDに記録した番組はアナログ出力時に480iまでに制限。DIGAでHDDに録画した場合は、アナログのHD出力も可能。

 「DMR-BZT900」など、パナソニック新ブルーレイDIGAは2011年2月の発売となるため、AACSの規定に準拠し、市販のBDビデオソフトや、デジタル放送を録画したBD-R/REディスクにHD記録した番組などのD端子出力が480iまでに制限される。

 なお、DIGAのチューナでHDDに録画した番組については、D端子からのHD映像出力が従来通りに行なえる。ただし、BD-R/REからHDDにムーブバックしたコンテンツについては、480i出力制限の対象になる。HDMI接続時にはこうした制限は発生しないため、パナソニックでは「Blu-rayの本来の高画質を楽しむためにも、HDMI接続することを強く推奨する」としている。


【DIGAのD端子出力解像度が強制的に制限される条件】

再生コンテンツ再生メディア条件D端子出力映像
市販BDビデオBD-ROM例外なしD1出力(480i)
著作権有りデジタル放送
録画/ダビング
BD-R/RE
DVD-R/RAM
(AVCREC)
例外なしD1出力(480i)
HDD自機チューナで録画/再生HD画質
BD-R/REからムーブバックした番組D1出力(480i)
AVCHD
ライン記録
HDD/BDなどAACSの規制対象外HD画質
従来通り
DVDソフトDVD-ROMCSS規定でD2(480p)まで
(従来通り)
BD-HDS63

 また、シャープは、BD-HDS63を含む今後の新製品では、AACSの仕様に沿って、BDビデオなどのD端子出力を480iに制限。今後の製品では、AACSの仕様に準拠していく。なお、現行製品については、これまで通りD端子接続でハイビジョン映像を楽しめる。

 ソニー、東芝も、「2011年1月以降に新規に発売するBDレコーダやプレーヤーについて、AACSの規定通りに対応する」としている。

 SCEは、BD再生機能を備えたPlayStation 3について「AACSの規定に準じ、製造販売を行なう。今後の具体的対応については改めてご案内する」としている。同社が3月10日発売予定のCECH-2500シリーズの新色サテン・シルバーについては、従来モデルのカラーバリエーションと位置づけ、従来通りアナログHDビデオ出力が可能となる。また、BDビデオなどのAACS保護コンテンツ以外の、ゲームやPlayStation Networkで配信されるコンテンツなどは出力制限の対象外。

 なお、2月発売のパナソニックの単体BDレコーダ「DMR-BR30」やプレーヤー「DMP-BDT110」はD端子出力が省略されている。アナログ出力制限の運用がスタートしたことで、今後のBDプレーヤーなどAV製品でのD端子/コンポーネント端子の廃止が進みそうだ。

※PlayStation 3の対応状況について追記(2月10日)


(2011年 2月 4日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]