「nasne」のハードウェアをチェック。分解してみた
nasne(CECH-ZNR1J) |
AV関連では今夏最注目の製品と期待されていた、SCEの地上/BS/110度CSデジタル放送対応レコーダ兼メディアストレージ「nasne(ナスネ)」。しかし、既報の通り、まさに販売直前に「一部出荷製品の内蔵HDDに輸送時に発生したと思われる破損」が確認された、として回収。発売延期となってしまった。
ただし、販売直前ということもあり、ネット通販で申し込んでいたものなど、そのまま出荷されたものもかなり多いようだ。弊誌で注文していた分も19日に到着し、販売店からは、「既に配達手続きを完了しており、7月19日より順次お届け予定。商品に万一不具合が発生した場合につきましては、ナスネ特設窓口へお問い合わせを」というメールが届いた。
早速nasneのレビューをお届けしよう、と思っていたのだが、残念ながらまさにHDD不具合の対象機材だったようで、編集部のnasneは動作しなかった。具体的には、電源投入後に、電源ランプが緑に点滅したまま(起動中の表示)となってしまうという症状。取扱説明書には、起動まで約1分と書かれているのだが、10分経っても緑点灯(電源オン)にならないのだ。
また、電源投入直後に耳をそばだてると、カリカリとかなり大きな音がしている。電源ケーブルの抜き差しも何度も試したが、改善の兆候もないので故障と判断した。そのため本稿は、nasneの外観写真と内部構造の簡単なレポートとしたい。
■ 小型/シンプルなデザイン
パッケージ |
一応nasneの概要をまとめると、500GBのHDDと、地上/BS/110度CSデジタルチューナを搭載したネットワークレコーダ/ストレージ。録画機として単体で動作するが、映像出力端子を備えておらず、操作や映像出力にはホームネットワーク環境が必要となる。操作/映像出力クライアントは、PlayStation 3(PS3)のほか、PlayStation Vita、PC(VAIO)、Sony Tablet、Xperiaなど。最大4台(PS3)/8台(VAIO)までのnasneの同時利用に対応する。16,980円という価格も、レコーダの価格破壊的なインパクトがある。
縦置き時の外形寸法は43×189×136mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約460g。HDD内蔵のレコーダと考えるとかなり小型といえる。400g台の重量もタブレットなどよりも軽い。ただし、本体下部にゴム状の滑り止めを備えているため、テレビ脇などに設置した際の落ち着きはとても良く、ケーブルを軽く引っ張った程度では動かないなど、細かい工夫が感じられる。
本体前面上部には電源ランプ、前面下部にはRECランプ、IPステータスランプ、HDD、アクセスランプを用意。背面には、上部のアーチ状の部分に電源ボタン、その下にIP RESETボタンを装備。その他EthernetやUSB端子、アンテナ入力、出力、DC入力を装備する。
nasne前面。LEDでステータスを案内 | 背面。EthernetやUSBなどを装備する |
向かって右側面。Sonyとnasneロゴ | 左側面にB-CASスロット。ネジ穴カバーも | ネジ穴カバー |
電源ボタンはかなり押しにくい位置にあるが、NASとしても動作するということもあり、あまりここでの電源操作は想定されていないようだ。電源ボタンの3秒長押しで電源オフとなる。USB端子は外付けのHDDを接続することで、nasneの録画領域を拡張可能とするもの。
注意したいのは、アンテナ入力がBS/110度CSと地上デジタルの混合となっていることだ。最近の集合住宅ではBSも地デジも1系統に混合されているものが多く、その場合は問題ないが、BSと地デジが別系統になっている場合は、別途混合機などが必要になる場合もある。
流線型のボディデザインも特徴で、側面にはnasneとSONYのロゴを配している。向かって左側面にはB-CASカードスロットを備えている。仕上げはとても丁寧で1万円そこそこのレコーダとは思えない。付属品はACアダプタとB-CASカード、Ethernetケーブル、torneソフトウェアなど。
流線型のボディ | 下面にゴムを配置して、滑りにくくなっている | 電源ボタンは押しにくい |
torneと大きさ比較 | ACアダプタ |
■ 分解してみた
■■ 注意 ■■ |
・分解/改造を行なった場合、メーカーの保証は受けられなくなります。 ・この記事を読んで行なった行為(分解など)によって、生じた損害はAV Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません。 ・内部構造などに関する記述は編集部が使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません ・AV Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません。 |
カバーを外すとネジが現れる |
外観は上記のとおりだが、せっかくなので分解してみた。なお、分解、改造を行なった場合、メーカー保証は一切受けられなくなるので、真似はしないでほしい。
nasneの構造はとてもシンプル。B-CASスロット側の側面の4つのネジカバーを外すと、ネジが現れる。ネジ自体は標準的なもので、ドライバーで簡単に外せる。あとは、右側面のカバーをスライドさせながら、引き上げると比較的簡単にカバーを外すことができた。カバーを外すと基板が現れる。
ちょうど基板とカバーが魚の三枚おろしのような構造で、底面側のカバー(B-CASカード)側も、ツメを外しながら基板を引き上げることで外すことができた。部品点数はかなり少なく、ボディの構造もシンプルと感じられた。
左右カバーと基板の3枚から構成される | 基板の表面 | 基板の裏面 |
基板はHDDやチューナ、メモリ、トランスコーダなどが並べられている。一番大きなチップは、ViXSのトランスコーダXCODE 4210。スペックシートを見る限り、2系統のHDトランスコーダ/デコーダのほか、USB、SATA、Ethernetコントローラなども集約しているようだ。
HDDはHGSTの「Z5K500」という製品で、5,400回転の2.5型シリアルATA HDDだ。そのほか、デジタル放送の復調用ICとおもわれる東芝「TC90532XBG」、「K4B1G1646G-BCH9」という型番のSamsung製DDRメモリなどが見受けられる。
VIXSのXCODE 4210 | HGSTのHDD「Z5K500」 | 東芝「TC90532XBG」 |
USB端子部はFOXCONN | メイン基板を取り出したところ |
Amazonで購入 |
nasne (CECH-ZNR1J) |
(2012年 7月 19日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]