人助けをして日銭を稼ぎ、橋の下で老人と暮らす少年。彼は人類存亡の鍵を握る“ZET”の宿命を背負っていた。そして、街の丘の上には、莫大な富と権力を、生まれながらに約束された少年がいた。彼はヒーローに憧れ、正義の意味を求め続けている……。
　全く境遇の異なる2人は出会い、過酷過ぎる運命を知り、それゆえ共闘する事になる。正義とは、強さとは、人間とは、希望とは。神崎人、天城高雅、2人の英雄が戦いの果てに見えるものとは……。
 

　 「ウイングマン」や「電影少女」などで知られる桂正和の長編コミックが原作。ZETと呼ばれる新たな生命体である神崎人(ジン)は、人間を超えた強靭な肉体を持ち、自分と関わりのある人達を守るために戦う。一方で、天城高雅は富の力を駆使し、子供の頃から憧れているヒーローを純粋に目指す。
　原作は、ジンの生い立ちから描かれ、高雅の物語もそれに絡み、2人の主人公それぞれに“正義とは何か”を問う過酷な試練が立ちはだかる。原作の過激な表現の再現度も含め、この壮大な物語が、どのようにアニメ化されていくかが注目ポイント。腰を据えて楽しみたい大作になりそうだ。

　箱庭学園第98代目生徒会長となった、一年一三組の“黒神めだか”は、選挙戦での公約通り目安箱を設置する。「貴様たちの夢は貴様たちの所有物だ。自ら挑み自ら叶えよ。しかし貴様たちの悩みは私の所有物だ。ひとつ残らず私に貢げ!!」
　生徒たちから当初された案件を、幼馴染の人吉善吉(ひとよしぜんきち)と共に解決していくめだか。その目安箱は「めだかボックス」と呼ばれ、生徒たちから好評を博していく……。
 
 

　クセのあるキャラクター名からもわかるように、原作は「化物語」や「刀語」などで知られる小説家・西尾維新氏。正確には、西尾氏が原作を担当し、週刊少年ジャンプで連載中のコミック(作画：暁月あきら氏)のアニメ化だ。
　勉学や運動神経など、あらゆる面でずば抜けた能力を備え、信念を貫き通す強さを持った生徒会長・めだかと、彼女の弱さをサポートできる善吉を軸とした物語。これまでアニメ化されてきた作品と比べると、いわゆる“西尾維新っぽさ”は濃くなく、とっつきやすい作品。原作ではバトル展開も多いが、アニメ版がどのような展開になるのか興味深い。また、声優的な聞きどころとしては、凛々しいめだか役を「けいおん!」の平沢唯役などでお馴染み・豊崎愛生さんが演じているところ。「ベルゼバブ」の邦枝葵のように、これまでとは違ったタイプの演技で魅せてくれそうだ。

　ゾンビをこよなく愛する一風変わった高校1年生・降谷千紘（ふるやちひろ）は、ひょんなことから清楚可憐なお嬢様・散華礼弥（さんか れあ）と知り合い、一緒に死んでしまった愛猫「ばーぶ」の“蘇生”に取り組むことに。
　でも、礼弥が発したひと言「私が‥ゾンビになったら、 責任取ってくれるってことですね……?」が、まさか実現するなんて!? 史上初? ゾンビに萌えちゃう青春ラブストーリー、ここに誕生!!

　

　銃器萌えから、美少女戦国武将萌えまで、様々な萌えが登場しているが、今度はなんと“ゾンビ萌え”。別冊少年マガジン連載中のコミックが原作だ。
　ゾンビを愛する高校生の千紘と、清楚なお嬢様・礼弥のラブコメだが、礼弥が死んでしまい、ゾンビとして蘇ってからが物語の本格スタートと言える。彼女の父親の反対など、普通の恋愛的な悩みに加え、ゾンビだと周囲にバレないように隠したり、“腐敗の抑制”に奔走するなど、ゾンビ的な悩み(?)も山積する異色のストーリーが魅力。ゾンビと言っても美少女ゾンビなので、グロテスクな描写は少なめ。その手の作品が苦手な人でも楽しめそうだ。 

　舞台は2046年。ニューロリンカーと呼ばれる携帯端末を用いる事で、生活の多くが仮想ネットワーク上で行なわれるようになった世界。だが、どんなに時代が進んでも“いじめられっ子”はなくならない。ハルユキも、そんな中学内格差（スクールカースト）最底辺に位置する一人だった。
　ローカルネットの片隅で、ひたすらにスカッシュゲームに打ち込むだけの暗く陰鬱な日々。そんなある日、校内一の美貌と、独特の気品を持つ少女・黒雪姫黒雪姫に声をかけられる。「もっと先へ……＜＜加速＞＞したくはないか、少年」。彼女から謎のプログラム“ブレイン・バースト”を託され、加速世界の秘密を教えられたハルユキは、黒雪姫の“騎士”として戦うことを決意する。
　

　 累計230万部を突破、既刊10巻の人気ライトノベルシリーズがついにアニメ化。最大の特徴は、なんといっても主人公・ハルユキのキャラクター。背が低くて肥満体型の、おまんじゅうのような丸っこい男子中学生で、「さすがの猿飛」の猿飛肉丸のような風貌だ。
　作品の世界では、いわわゆる攻殻機動隊の“電脳”のような技術が実現されており、高度な仮想空間でバトルを行なうプログラム「ブレイン・バースト」なども存在する。いじめられっ子だった少年ハルユキは、その空間で、自らの分身となる“デュエルアバター”を駆使し、黒雪姫のために戦いを繰り広げる。ちなみにハルユキのデュエルアバターは、本人とは正反対のスリムでスピーディーなキャラクター。丸っこくても男気のあるハルユキの頑張りと、バトルシーンの迫力にも期待したい。

　普通の高校生・椿明（つばきあきら）は放課後に、クラスに転校してきた謎の美少女・卜部美琴（うらべみこと）が机に残した「よだれ」を舐めてしまう。翌日から原因不明の高熱を出し5日間寝込んでしまう椿。
　5日後に突然椿の部屋に見舞いに来た卜部が自分のよだれを舐めさせると、高熱が嘘のように下がってしまった。高熱の原因を訝しがる椿に、卜部は一言「恋の病」だと告げる……。
　

　「ディスコミュニケーション」や「夢使い」など、個性的な作品が多いアフタヌーン誌上でも、特に独特な作品を生み出している植芝理一氏の同名コミックが原作。従来作品と比較すると、民俗学的要素は薄く、「机にたれたよだれを舐める」など、植芝作品ならではのフェティッシュな面が押し出され、一風変わった恋愛物語に昇華されている。
　最大の魅力は、ヒロインの卜部美琴。無口で無愛想な少女で、いきなり取り出したハサミであらゆるものを切り刻むなど、謎の言動で明を振り回す。一方で、恋愛に関しては奥手であり、歳相応の少女的反応を示す一面もある。演じるのは、声優初挑戦という女優の吉谷彩子さんだ。

　 度重なる増築により迷路のように入り組んだ私立誠教学園。中等部一年の新谷貞一（にいやていいち）はある日、旧校舎で迷い偶然たどりついた部屋で、不思議な雰囲気を纏う少女・庚夕子（かのえゆうこ）と出会う。彼女は自分を“旧校舎の幽霊”だと言う。
　自分の過去を思い出せない夕子の為、貞一と夕子は「怪異調査部」を立ち上げ、この学園で語り継がれる数々の怪異を解き明かしていく……。 
 

　めいびい氏の同名コミックを原作としたアニメ。どの学校にもありそうな怪談“旧校舎の幽霊”。霊感の強い少年・貞一には、その幽霊である夕子さんの姿が見えてしまう。そんな彼を気に入り、ちょっかいをかけてくる夕子さんと、まんざらでもない貞一の2人を軸とした、ラブコメ要素を含んだホラー作品だ。
　最大の魅力は、幽霊だが、あまり幽霊っぽくない性格である夕子さんの可愛さ。天然系お姉さんと、憂いを含んだミステリアスさがミックスされたキャラクターで、貞一との不器用な恋愛展開に注目。彼女の能力と貞一の奔走により、学園の怪奇事件を解決していく物語でもある。

　 世界の敵でもあり、味方でもあるという矛盾をはらむ職業・武器商人。世界的な海運王を父に持ち、HCLIヨーロッパ・アフリカ兵器運搬部門に所属し、世界の紛争地帯で“世界平和のために武器を売る”美女ココ・ヘクマティアル。
　彼女の前に、両親を奪った武器を憎みながらも、銃を手に、戦場でしか生きられない寡黙な元少年兵ヨナが現れる。彼を気に入り、私兵部隊に引き入れるココ。彼女の私兵には、経験豊富な古参の傭兵レームや、圧倒的な戦闘力を誇る女兵士パルメなど、個性豊かなメンバーが揃う。かくしてココと、その私兵部隊は、タフな交渉や激しい戦闘を切り抜けながら、世界中でビジネスを展開していく。 
 

　 単純にドンパチが展開するアクションアニメではなく、“武器の売買”で生計を立てる武器商人を主人公としているのが特徴。経済も含んだ紛争の構図や、正義と悪に簡単に分けられない複雑さ、あくまで武器は飯のタネでしかないココ達を通して描く事で、争いの無意味さも透けて見えてくる。
　物語としては、性格にやや難有りだが、大胆不敵な発想と、行動力でチームを引っ張る美女ココと、銃器を憎んでいるにも関わらず、武器商人の私兵となるヨナの、姉弟のような不思議な関係に注目。ココの判断力と、ヨナを含む私兵の戦闘能力を駆使し、彼女たちがストイックに戦場を渡り歩く痛快さも魅力だ。

　 沖縄の離島・磐戸島で老医師・トシオと共に島で暮らしていた少年“アオ”は中学校の入学式を目前に控えていた。そこへ突如現れた謎の存在“シークレット”は、島に出現した“スカブコーラル”を狙い容赦のない攻撃をしかけてくる。巨大なモンスターを前に為す術もない島民たちは、混乱に陥り逃げ惑うことしか出来なかった。
　“アオ”は、島を守りたい一心で、偶然手にした鍵を使い日本軍の輸送艦に積まれていた軍用FPを起動させる。それはかつて“ニルヴァーシュ”と呼ばれた人型IFOだった!!
 

　2005年から放送された「交響詩篇エウレカセブン」の続編……というだけで、説明不要と思われる今期の注目作。監督・京田知己氏、キャラクターデザイン・吉田健一氏、メカニックデザイン・河森正治氏など、主要スタッフは前作と同じだが、キャラクターデザインには織田広之氏も新たに参加している。
　主人公のアオが乗り込むFPとは、Flying Platform(小型の空中移動体)の事。そのFP、ニルヴァーシュは10年間、誰にも起動できなかったが、アオはそれを起動させた事から、仲間と共にシークレットと戦うことになる。ニルヴァーシュが最後に起動した10年前の事件とは? 新しい物語なので前作を知らない人も楽しめそうだが、できるだけ予習をしてから鑑賞したい作品だ。 

　世界大戦により、生態系に大きなダメージがおよび、地球外へ人々が移住した未来。そこでは、“芸能”や“歌”が“人のココロを乱すモノ”として規制される“芸能禁止法”が成立。一部の地域（芸能絶対防衛圏）を除いては、芸能活動は厳しく罰せられる事となった。アイドルが次々に姿を消し、人類のココロは暗い闇に包まれていた。
　だが、そんな時代に復活したアイドルグループがあった。その名は「AKB0048」。かつて地球の存亡をかけた戦いの中、傷ついた人々の心に光を灯すべく、アイドルとして最後まで歌い、踊り続けた“AKB48”。そんな伝説のメンバー達の光と魂を受け継ぎ、その名を襲名する形で、「非合法アイドル」として立ち上がったのだ!!
 

　 タイトルの読み方は「AKB0048」(ゼロゼロフォーティーエイト)。企画、監修は秋元康氏、 原作、総監督はマクロスシリーズの河森正治氏が担当し、飛ぶ鳥を落とす勢いのアイドル・AKB48の要素を取り入れつつ、オリジナルのSFアニメとして誕生。どのような作品になるのか想像するのが難しいが、あらゆる意味で今期話題性ナンバーワンと言って良いだろう。
　芸能活動が禁止された暗い未来世界で、AKBの名を襲名した「AKB0048」が、ゲリラライブを敢行。テロリストとして妨害を受けながらも、活動を続けており、新たなスターとなるべく選ばれた第77期研究生を中心とした物語が展開するという。
　なお、襲名しているのはグループ名だけでなく、例えば「襲名メンバー」として登場する“あっちゃん”というキャラクターは、“13代目前田敦子”という位置付け。歌舞伎や落語のような名跡の襲名制度があるようだ。これら襲名メンバーは人気声優陣が演じているが、メインとなる研究生は、AKB48やSKE48のメンバーが声優を担当しているのもポイント。AKBに詳しい人はより楽しめそうだ。個人的にAKB知識に乏しいので、アニメから入って勉強します。