VIERA Station 4Kビエラは、プラズマを超えた

4Kビエラ AX900のスマート機能は
人と協調する「インテリジェント・ディスプレイ」を目指す

現在、テレビに映る映像は多様化している。放送がメインであることに異論はない。しかし、テレビには様々な機器が接続され、インターネットが接続され、それらからの映像も大切になった。

テレビは「テレビ」なのだが、家の中でもっとも巨大で画質の良い「ディスプレイ」でもある。

では、テレビは単純に、外部機器からの映像を映すだけでいいのだろうか? 少なくとも、パナソニックはそう考えていない。様々な機器をつなぎ、インターネットとつながっているのは当然のことでありながらも、それを統合的に扱い、より便利に、美しく表示できる機器へと、テレビを進化させることを狙っている。その機能は、高画質が一番の特徴であるはずのAX900にも盛り込まれている。

テレビの高度化を「スマートテレビ化」と呼ぶことが多い。だが、スマートテレビの定義はあいまいで、どうもピンとこないところがあるのも事実だ。そこでパナソニックが狙っているのは、テレビをある種の「インテリジェント・ディスプレイ」にすること、といえそうである。

ネット映像の価値を高める高度な超解像技術

冒頭で述べたように、テレビに入力される映像ソースは多様化している。中でも、特にこれから増えてくるのがネットからのストリーミング映像だ。現状、ネットストリーミング映像はまだ、PCやスマートフォンでの利用が中心だろう。だがそれは、どちらかといえば、画質と操作性の問題でそうなっている、という実情もある。リラックスして見たい映像も多く、そうしたものをテレビで「高画質」かつ「快適な操作性」で見られるのであれば、テレビでの利用頻度は上がっていくはずだ。

操作性の前に、まず画質の話をしておこう。ネット動画の利点は、ブロードバンドにつながっていればすぐ見られて、非常にバラエティに富んだ映像が楽しめることだ。一方で、放送に比べて画質のコントロールは効かない。解像度もビットレートもバラバラで、圧縮ノイズが目立つ映像も多い。小さな画面で見る場合には我慢できるものも、55型を越える大画面では厳しく感じる。

そこで働くのが、超解像用のエンジンである「4KファインリマスターエンジンPRO」だ。

ネット動画は、解像度が足りないだけでなく、ノイズによって細部がつぶれた結果、映像全体から「解像感」そのものが失われることがある。だから、配信解像度が2Kであったとしても、帯域不足によってノイズが増え、適切な解像感を得られない場合がある。かといって、単にぼかしてしまうとせっかくの解像感がだいなしだ。そのため、映像とノイズ成分をできる限り分離した上で、ノイズ成分だけを軽減する処理が必要になる。

その上で、手をつけるのが輪郭線だ。解像度が低い映像では、輪郭にジャギーが乗りがちだ。配信解像度が高い場合でも、ビットレート低減の副作用で輪郭が強調されてしまい、それがエッジのキツさにつながる場合もある。そこで、映像の輪郭部検出を行った上で、映像の不自然さを解消する。

そして、クオリティアップに関してさらに効果的なのが「文字」だ。ビットレートの低い映像では、文字の周辺のように、色が大きく変化するところにノイズが乗りやすい。また、解像度低下も文字のクオリティを下げる一因だ。他方、4Kの高解像度パネルでは、文字のような部分でクオリティの差が出やすく、文字が美しくないと映像全体の品位が落ちる。特にネット動画では、海外で作られたものも多いこと、PCなどでは音声を消して見る時も多いことなどから、字幕が乗った映像が多い。そうした部分については、文字の輪郭のノイズを取り除いた上で読みやすくクリアーなものにする「クリアフォント」機能が効果を発揮する。

こうした要素により、ネット動画にありがちなクオリティの低下をカバーするのが、AX900のネット動画対応だ。テレビにおけるネット動画対応を「オマケ」に終わらせないために、まずは画質の部分でカバーを試みているわけだ。

「マイチャンネル」で多様なコンテンツを串刺し検索

ただし、画質面でのカバーは、テレビで見る映像としての価値を担保するための方策でしかない。その上でさらに「テレビの上でネット動画を気軽に楽しめるようにする」ためには、操作性の面で手当をする必要が出てくる。

ここでのポイントは2つある。

まず一つ目が「マイチャンネル」というユーザーインターフェースだ。テレビで見たい映像はたくさんある。だが利用する側は、「テレビの前で映像を楽しみたい」と思っているだけで、「ネットの動画が見たい」と思っているとは限らない。本質的には、放送波から来た映像であろうが、ネットから来た映像であろうがかまわない。だが、普段は「見たい映像がどこにあるか」を探す手がかりがなければ見つけ出すのが困難であるため、ネットの中で検索しているに過ぎない。

マイチャンネルでは、テレビ番組表の情報、ビエラにつながったレコーダーであるDIGAとYouTube、そしてビデオオンデマンドであるアクトビラの中を串刺し検索して表示してくれる。この時には、番組名や出演者をキーワードとして検索するだけでなく、過去の視聴履歴や自分の好みの設定から、自動的に検索して表示することもできる。

もう一つのポイントは、検索結果がサムネイルで表示される、ということだ。テレビという機器の性質上、文字で検索結果を出されても面白くないし、使いやすくもない。サムネイル表示にし、しかも結果が多い場合には自動スクロールして画面上を流れていくようにすることで、「サムネイルの中からなんとなく面白そうなものを選ぶ」という、よりテレビに向いた使い方ができる。

カジュアルな操作を実現する「ダイレクト音声入力」

ここで重要になってくるのが二つ目の要素、「音声操作」だ。

PCやスマートフォンとテレビの最大の違いは、文字入力の容易さだ。AX900の場合、USBでキーボードを接続して文字入力をすることもできるが、やはりそれではテレビらしい「リラックスした使い方」は難しい。そこで、見たい番組の検索や一部の操作を「声」で行えるようになっている。

現在のビエラでは、付属の音声タッチパッドリモコンを使い、手元のリモコンに話しかけることで音声操作を実現していた。これは、より確実に声をビエラに届けるためにはベストのものだが、その一方、結局はリモコンを手に持たねばならず、リモコンがあるソファの前に座るまではちょっと使いづらい機能でもあった。

そこで、AX900ではそこを変えた。リモコンを使わず、ダイレクトに音声を認識して操作に使う「ダイレクト音声操作」を実現したのだ。これは、技術的にはけっこう大変なことだ。我々は雑音に囲まれながら生活している。人間でも時には聞き間違いがあるのだから、機械はなおさらのこと。これまで音声タッチパッドリモコンを使ってきたのは、マイクに向かってしゃべることで、ノイズの影響を防止することにあった。AX900では、あえてそれをひっくり返した。

理由は、もっとカジュアルに音声操作と検索を使ってもらうためだ。例えば、自宅に帰ってリビンクに入った瞬間に、リモコンを持たずに「テレビをつけて」「サッカーを検索」などとしゃべれば、自分が見たいサッカーの番組とネット映像が画面に現れる。サムネイル表示の右下には番号が振られているので、その番号を声で呼べば、対応する映像の再生が始まる。リモコンをいちいち探さなくてもいいし、両手が飲み物や食べ物でふさがっていても使える。

こうしたことを行うために、AX900はかなりのマシンリソースを使っている。外見からはわかりづらいが、テレビの上方には4つのマイクが仕込まれていて、それぞれが協調動作することで、話者の位置を特定した上で、周囲のノイズを除去して精度の高い「ハンズフリーでの音声入力」を実現している。カジュアルに使いたい時にはダイレクト音声操作を、より確実に入力したい時にはリモコン併用で、という形で棲み分ける。

人を顔で見分けて動作、「ネット協調」で価値を最大化

声を使って自分の好きな映像を見つけながら見る、という使い方をする場合には、どうしてもテレビの「属人性」が高くなる。AX900のような大型テレビは、リビングにある「家族のもの」だ。だから本来、ネット検索のような属人性の高い機能とは相性が悪い。

そこで用意されているのが、「人感センサー」を使った個体識別機能だ。なにをやっているかといえば、要は自分の顔を認識し、登録されている「自分」の情報を自動的に呼び出してくれる、というわけだ。さきほど紹介した「マイチャンネル」で使う履歴情報も、家族のそれぞれを認識した上で、それぞれの情報を切り換えて利用される。

もう一つ面白いのは、画面が消えている「待機時」であっても、自分がテレビの前に来たとき、必要な情報だけを画面下部に表示する「インフォメーションバー」という機能だ。朝の忙しい時間などに、時間や天気、ちょっとしたニュースなどを見るためにテレビをつける、ということはあるはず。そうした情報を、テレビの電源をつけることも、音声コマンドを入力することもなく、ただ「テレビの前に行く」だけで表示する……と思えばいいだろう。この情報も、顔認識を使った個別認識を元に取得されるため、自分と子供では欲しい情報が異なる、といった事情にも対応できる。また、iOS機器向けに提供されている「TV Remote2」というアプリを併用すると、「リモートシェア」という機能も使える。外出先からこのアプリを使い、メッセージや写真をビエラに送ると、インフォメーションバーにそれらが表示されるのだ。ビジュアル指向のメール代わりに使う、という感覚だろうか。

AX900では、音声入力も含め、テレビが人の動作を「待ち受ける」場面が多い。画面はオフになっていて、消費電力は抑えているものの、すぐに人の動作に対応し、必要な情報を表示するために、裏で待ち受けているわけだ。そこで動いているのは、マイクなどの音声センサーであり、顔を認識するためのカメラであり、人の体温を感知する温度センサーである。

従来、テレビは「表示されたものを人が受け身で見る」機器だった。だが、人が欲する情報や映像が多様化した現在、それらを扱うテレビは、逆に「人の動作を受け身で待ち受ける」ものへと変化しつつある。自宅にあるもっとも大きなディスプレイでありつつ、インテリジェントに人の動作を判断し、適切な情報を提示する「窓」にもなろうとしている。

そのためには、各種センサーの協調動作の他、取得したデータをクラウドで処理して、操作に対する適切な反応を実現する、ネット側のテクノロジーも重要になる。AX900でも、音声コマンドの分析や「リモートシェア」のような協調系サービス、そして「マイチャンネル」に代表される検索系機能の精度向上に、クラウド側の機能が積極的に活用されている。

高画質なテレビが本質ではあるが、それがネットにつながることで「新しい価値」を生み出すことを狙う。

AX900は、そうした今のテレビの最前線にいる存在である。

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