第2回:低価格プロジェクタ4機種を試す
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ソニー VPL-HS1(Cineza)編 |
エプソン ELP-TS10編 |
プラスビジョン HE-3100(Piano)編 |
■ 設置性チェック~三脚にも設置可能
銀色のボディはA4ファイルサイズ。重さは2.7kgと軽い。
本体前側2つに備え付けられている足には、手回しネジ式の高さ調整機構が施してあり、投影画面の回転補正はここで行なうことになる。上下レンズシフト機能などはなく、映像の上下台形補正はデジタルレベルで行なうことができるが、画質を重視した場合、デジタル台形補正はお勧めできない。基本的な設置角度調整は台側で行なった方がいい。
投影方式も映像を上下反転させての天吊り設置、映像を左右反転させてのリア設置の投影モードを備えている。やる人がいるかどうかは別として、それこそ天吊りのリア投影にも対応できる。
なお、設置台としての専用三脚や、専用天吊り金具も標準オプションとして用意されており、ユーザーの設置条件にあった投影方法が選べるのが心強い(オプション品一覧についてはこちらを参考にしてほしい)。
リモコン受光部は本体前面に付いている。リモコン操作はスクリーンに向けて行なえば、ちゃんとその反射光を受信してくれる。よって必ずしもリモコンを本体に向けて操作する必要はない | 基本的な操作はここでも行なえるがカーソル操作が必要なものはリモコンが必要 | コンポーネント端子は720p入力にまで対応するので、いってみればD4端子相当までの映像入力を受け付ける |
光学ズームレンズを搭載しているため、映像は最大1.2倍に拡大表示が可能。100インチ(16:9)の最短投射距離は約3mと、非常に短焦点なので、比較的小さい部屋でも大画面を得ることができる。ズームとフォーカスはマニュアル方式。映像を見ながらレンズ外枠のリングを回転させて調整する。
投影映像はレンズ下方向にもやや広がって投影されるので、ある程度大きな画面サイズに投影を考える場合には、床置き設置、天吊り設置、いずれのケースにおいてもある程度の高さ(オフセット)が必要になることに注意したい。
応接室にあるような背の低いテーブルの上に載せての投影は無理と考えたほうがいい。テーブルの場合はダイニングテーブルクラスの高さが必要で、常設設置を考えるならば、現実的には天吊り設置が理想的だろう。
本機には専用三脚が用意されていることは前述したが、本体側の中心分の三脚固定用のネジ穴の型は一般的なビデオ/カメラ用三脚用と同一なので、それらを流用することができる。実際に試してみたが、ビデオカメラ用の足のしっかりしたものならば、本体が軽いこともあり運用的にも問題なかった。
気になるファンノイズはプレイステーション 2の排気ファンと同程度。見るAVソースや視聴位置にもよるが、気になるレベルではない。
■ 操作性、接続性チェック~720pまで入力可能のコンポーネント端子を実装
ボタンは蓄光方式で発光する。入力切り換えなどは、消灯後しばらく経ってから切り換えることもあるため、できれば自発光式を採用して欲しかった |
リモコンは非常にシンプルな構成で形状も小さく、名刺サイズに近い。基本的にはメニューを出して、上下カーソルキーで各パラメータを選択、左右カーソルキーでパラメータを上下させて、[ENTER]キーでセットという感じになる。各ボタンは蓄光発光方式を採用しており、うっすらと光る(時間が経つと見えなくなる)。
入力切り替えは[INPUT]ボタンを使っての順送り方式なので、映像ソースをスピーディに切り換えて見せるようなプレゼン用途には向かない。
表示映像のアスペクト比(縦横比)は、[ASPECT]ボタンを押すことで切り換えることができる。選択できるのは「4:3」、「16:9」、「ジャスト」、「ズーム」、「Vスクロール」の5種類。ズームはレターボックス信号に対応し、黒枠以外の動画部分を比率を保ったまま投射画面全体に拡大するモード。Vスクロールは、ワイドパネルの横幅をすべて使って4:3の表示を行なう。画面の上、または下が切れてしまうが、上下ボタンで垂直位置を調整できる。
接続入力端子はビデオ系がコンポジット、S(S2)端子、コンポーネント(YPbPr/YCbCr)端子、VGA(DSub15)端子をそれぞれ1系統ずつ備える。
コンポジット&S端子、コンポーネント端子、VGA端子はそれぞれ別系統のステレオ音声入力端子を持ち、ここに入力された音声はTH-AE100側の内蔵モノラルスピーカで再生される。内蔵スピーカはほとんど「非常用」、「簡易再生」向きの存在で、音質的には「ただ鳴る」だけのもの。おそらくAV用途において実際に利用することはないだろう。
メニュー画面(左)と画質調整メニュー(中央)。基本的な画質調整項目は全て揃っている。リア設置の投影モードなど、プロジェクタにおける全投射方式パターンに対応しているのは立派(右)。(c)Disney Enterprises,Inc. |
■ 画質チェック~液晶らしい画作り。簡易対応ながらハイビジョンも映せる
表示画素をアップで撮影してみた。ほぼ正方形だが、ドット間の隙間は大きい |
光出力は700ANSIルーメンで、このクラスとしては明るさは上々だ。液晶パネルの解像度は858×484ドット。イメージ的には「パソコンでお馴染みの640×480ドット(VGA)解像度を横方向に16:9にワイド化した」という感じだ。
各表示画素はほぼ正方形だが、ドット間の隙間はやや大きめの印象。40インチ前後の投影では気にならないが、100インチ近くなってくると、この画素感の隙間が映像全体として粒状感を見る者に与える。
続いて各映像ソースにおける画質を細かくチェックしていくことにする。
●ゲーム機、パソコン
TH-AE100はコンポーネント入力端子を持っているのでプレイステーション 2を初めとしたゲーム機の映像を最も高画質な映像で楽しむことができる。
アクションゲーム等を実際に試してみたが、キャラクタが激しく動き回るゲームでも残像等は全く感じられず、CRTテレビでプレイしているのと全く変わらない感覚でゲームが楽しめた。
PCの映像は、TH-AE100の採用液晶パネルの解像度が858×484ドットなので、最も美しく表示される画面モードは640×480ドットまでということになる。この解像度でPCを常用するのは辛いし、プレゼンデータを表示する場合にも解像度不足となるだろう。PC接続はPCゲームをプレイする際に利用する……といった感じになるだろうか。
一応、簡易表示機能として800×600/1,024×768/1,152x864/1,280x1,024ドットといった解像度を圧縮表示する機能は用意されている。800×600ドットはまぁ、実用レベル、1,024×768ドット以上は文字の視認性は低下し、「とりあえず映る」といった印象。ただ、対応外信号として蹴られることなく確実に画面表示してくれるのは心強い。
ところで、PC画面上でもカラーグラデーションを表示させてみたが、やはり、ここでも色深度の足りない印象を受けた。中間色表現においてはディザリングを行なっているような感じもある。
■ その他特殊機能~デジタルズーム機能で見たい箇所をクローズアップ
その1つがデジタルズーム機能で、表示映像の任意の場所を最大2倍(PC映像に限り3倍)まで拡大して見ることができる。ペイントソフトなどにおけるルーペ(虫眼鏡)機能にイメージは近いが、この操作を動画像に対してリアルタイムに行なえるのが面白い。倍率は0.1倍刻みで設定でき、拡大箇所はカーソルキーでリアルタイムに移動できる。
TH-AE100をプレゼンテーション用途に流用する際に活躍するのは言うまでもないが、AVユースにおいても、映画などにおいて背景の隅の脇役の表情に注目する、ゲームでテクスチャの描き込みを確認する、といったマニアックな使い方にも威力を発揮しそうだ。
もう1つは、静止画機能で、TH-AE100にて表示中の任意の映像を一時停止させて静止画として見ることができるもの。BS/CSチューナなどを接続してリアルタイム放送の映像を楽しんでいるとき、メモを取りたいシーンに遭遇した場合に役立ちそうだ。
動画像と静止画像を並べて表示することもできるが、異なる映像ソース同士を並べる事はできない。また、残念ながらこのキャプチャした映像を記録したり、PC側に取り出す手段も用意されてはいない。
液晶パネル | 0.7型ワイド858×484ドット |
レンズ | 光学1.2倍ズーム |
光源 | 120W UHEランプ |
明るさ | 700ANSIルーメン |
投影サイズ | 40~200インチ(16:9) |
対応走査周波数 | 水平15~70kHz、垂直50~87Hz |
対応カラー形式 | NTSC、NTSC4.43、PAL/PAL-M/N/SECAM |
対応ビデオ信号 | 480i/480p/1080i/720p |
映像入力 | コンポーネント(RCA)、S映像、コンポジット、アナログRGB(各1) |
消費電力 | 180W |
外形寸法 | 280×243×85mm(幅×奥行き×高さ、レンズ、セット脚含む) |
重量 | 約2.7kg |
(トライゼット西川善司)
□松下電器のホームページ
http://www.matsushita.co.jp/
□製品情報
http://prodb.matsushita.co.jp/products/panasonic/TH/TH-AE100.html
□関連記事
【2001年9月27日】松下、ワイド液晶採用のホームシアター向けプロジェクタ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010927/pana.htm
(2002年5月13日)
= 西川善司 = | ビクターの反射型液晶プロジェクタDLA-G10(1,000ANSIルーメン、1,365×1,024リアル)を中核にした10スピーカー、100インチシステムを4年前に構築。迫力の映像とサウンドに本人はご満悦のようだが、残された借金もサラウンド級(!?)らしい。 本誌では1月の2002 International CESをレポート。山のような米国盤DVDとともに帰国した。僚誌「GAME Watch」でもPCゲームや海外イベントを中心にレポートしている。 |
[Reported by トライゼット西川善司]
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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp