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新リモコンで操作性向上
USB HDDに対応したネットワークプレーヤー
バーテックスリンク 「MediaWiz Plus」
発売日:3月中旬
直販価格:22,800円


■ ネットワークAVプレーヤーのパイオニア

 2003年8月に発売された「MediaWiz」は、パソコン上のMPEGやDivXファイルの再生が可能なネットワークプレーヤー。従来パソコンで録画した映像をテレビで見る場合、DVD-Rなどに書き出して、DVDプレーヤーで視聴するか、あるいはパソコンにスキャンコンバータを接続して、テレビに出力するといった方法しかなかった。しかし、MediaWizにより、パソコンの指定のフォルダに録画映像ファイルを入れるだけで、ネットワーク経由でテレビ出力できるようになった。

 そのため、MediaWizの発売直後は、かなりの品薄状態になった。当然他メーカーも黙っておらず、DVDプレーヤーに同種の機能を搭載した、長瀬産業の「DVX-500」やアイ・オー・データ機器の「LinkPlayer」、バッファローの「LinkTheater」、オンキヨーの高音質化回路搭載の「NC-501V(W)」なども発売され、いすれも高い人気を誇っている。そうした意味で、MediaWizの登場以後、パソコン上の映像のテレビ出力環境は劇的に変わったといってもいいだろう。

 そのMediaWizが新モデルとなって、3月に発売される。従来モデルからは、デザインが一新されているほか、新たにUSB端子を搭載。USB接続のHDDやメモリーカードなどからのビデオ/オーディオ/静止画データの再生が可能となるなどの機能強化が図られている。

 実売価格は従来モデルと同等の22,800円だが、機能とデザインを一新したモデルとなっている。早速その実力をチェックした。


■ デザインを一新。USB 1.1端子を装備

同梱品

 同梱品は、本体のほかACアダプタやリモコン、サーバーソフト、Ethernetケーブルなど。前作で不評だったカード型リモコンが、縦長のものに変更されているのが目新しいポイント。

 本体のデザインも一新され、シルバーとパープルの2トーンを基調としたものになったが、デザイン的には金属の質感を活かした旧モデルのほうが、格好良かったように感じる。外形寸法は247×170×38mmと従来モデルの257×175×38mmより若干小型化。さらに、重量は575gと前モデルの990gより大幅に軽量化されている。

 従来モデルと同様にEthernetやPCカードスロット、コンポーネント出力、S映像出力、コンポジット出力、DVI端子、アナログ音声出力、光デジタル出力を装備。新たにUSB 1.1端子が追加されたほか、従来無線LANカードのみだった、PCカードスロットがPCカードリーダを介したメモリカードにも対応した。

前面。赤外線受光部を備えている 背面は、光/同軸デジタル端子や、DVI、コンポーネント端子などを備えている 側面に無線LAN用のPCカードスロットを装備

上面、底面ともに共通のデザインを採用 リモコンは縦長の新タイプのものに変更された



■ リモコンの変更で操作性は向上

MediaWiz Server

 付属のソフト「MediaWizサーバー」をPCにインストールするだけで、MediaWiz Plus側からPCがビデオサーバーとして認識される。

 あとは設定画面で映画、音楽、写真用のフォルダを指定し、そこにあるコンテンツをMediaWizから自由にアクセスできる。DHCPサーバー機能を持ったルータがあれば、設定に戸惑うようなことは無いだろう。


ログインページでサーバーを指定 4つのメディアの選択画面

 MediaWizのログインページから、サーバーとなるPCを指定すると、「映画」、「音楽」、「写真」、「ウェブ」の4つのメディア選択画面が現れる。フォントが明朝体で、「映画」と書かれているとなにやら仰々しいが、要するにビデオコンテンツがここに格納される。

 リモコン下部の赤/緑/青/黄色のボタンが、各メディアへのショートカットキーになっている。メディアタイプを選択した後は、ファイルを選んで、再生するというのが基本的にな利用スタイルだが、ここまでの操作で従来モデルより大きく改善された点がある。

 従来のリモコンは指向性が強く、きちんとMediaWizの方向に向けて操作しないとほとんどキー入力を受け付けてくれなかった。しかし、今回は大型のリモコンとなり出力が上がったほか、赤外線受光部を本体前面の広いスペースに備えたことで、かなりリモコンの利用範囲が広がり、ストレス無く操作できるようになった。

 あたりまえのことではあるが、従来モデルの大きな不満点が解消されたことは評価できる。動作速度はさほど変わっていないが、ひとまず家電的な操作感に近づいているといえる。ちなみに、リモコンはアイ・オー・データのLinkPlayerのものとほぼ同じ仕様のものだ。



■ 画質は良好。DivXも再生可能

ビデオは、リスト表示されたファイルを選択して再生する。

 「映画」モードではビデオファイルの再生が可能。リモコンの十字キーでファイル選択して決定を押すか、数字入力すると再生が始まる。また、全部再生や任意再生(実際の動作はシャッフル再生)も行なえる。

 主にMTVX2004で録画したテレビ番組などのMPEG-2ファイルを再生してみたが、思いのほか高クオリティで再生できた。25Mbps(IFrame only)や15MbpsのMPEG-2だと、かなりのコマ落ちが発生したが、8Mbps程度のファイルであれば問題なく再生できた。

 MPEGのデコードチップは、従来モデルと同じ「EM855x」だが、画質は向上しているように感じた。実際に比較視聴した訳ではないが、傾向として、ノイズがしっかり押さえられ、濁りが少なくすっきりとした印象だ。


日本語ファイルの表示も可能

 また、対応ファイルはXviDやRMP4、MPEG-4(Advanced Simple Profile)などとのことで、DivXが公式サポートから外れている。しかし、編集部でDr.DivXで作成したDivXファイルの再生を確認したところ、一部のファイルでうまく再生できないこともあったが、ほとんどが問題なく再生できた。なお、MPEG-2/DivXともに、X1からX4までの速度で早送りや巻き戻しができる。

 チップの仕様は従来モデルと同じということなので、DivXの公式サポートについては、DivX NetworksによるDivXロゴ認定プログラムの導入などにより、「公式に」DivX対応を謳えなくなっためだろう。

 正式にDivX Certificationを取得したアイ・オー・データのLinkPlayer以外は、バッファローの「LinkTheater」などでも、対応ファイルはXviDなどとなっている。従来モデルとほぼ同様のDivXの再生は可能と思われるが、将来的なDivXのサポートという点では、やや不安が残るのも事実だ。

「音楽」のトップページ

 「音楽」は、MP3とWMA、OggVorbisなどの再生に対応。フォルダ単位での再生のほか、MP3の場合はタグ情報からアーティスト、アルバム、ジャンルごとのプレイリストが作成される。フォルダ内のファイルは数字/アルファベット順で、再生される。

 再生方式は、曲指定と全曲再生のほか、任意再生(実際の動作はシャッフル再生)が行なえるが、従来モデルと同様に、フォルダをまたいだシャッフル再生は行なえない。


MP3ファイルの場合、自動的にアーティスト/アルバム/ジャンルごとにプレイリストが作成される フォルダ再生もできるが、曲名がアルファベット順となる 再生画面

 また、「写真」モードではスライドショー表示に対応。「ウェブ」モードでは、ウェブブラウズが可能なほか、インターネットラジオも利用できる。

「写真」モードではスライドショーも可能 「ウェブ」モードではインターネットラジオも利用できる


■ USBコネクタを搭載。USB HDDなどに対応

 最大の変更点である、USB HDDへの対応はファイルフォーマットはFAT/FAT32に対応し、NTFSの場合、認識はするもののアクセスできない。

USB HDDを接続すると、MediaWiz Plusから自動認識される

 USB対応といっても、USB 1.1で、高ビットレートのMPEG-2などは扱えない。USB 1.1の理論値は11Mbpsだが、MediwWiz PlusでUSB HDDで利用できるビデオファイルのビットレートは約1.2Mbpsとなっているため、実質的にはDivXやMPEG-4などの高圧縮フォーマット向けとなる。

 8Mbps(CBR)のファイルを再生してみたところ、データの読み込みが間に合わず紙芝居状態になる。2MbpsのMPEG-2ファイルはほぼ問題なく再生でき、DivXも1Mbps強のファイルの再生が行なえた。

 せっかくHDDのような大容量媒体をサポートするのだから、できればUSB 2.0に対応して欲しかったところ。もっともUSB 1.1までの対応となっているのは、搭載チップの制限とのことで、USB 2.0対応は、チップのバージョンアップ後となるだろう。

 また、USBマスストレージクラス対応の機器であれば、デジタルカメラなども自動認識し、ファイルを読み込むことができる。なお、サポート外となるが、PCカードスロットにカードリーダを挿して、CFなどのフラッシュメモリからのデータ読み込みも行なえた。

USBストレージクラス対応のデジタルカメラも自動認識される



■ 高価格だが満足度は高い

 競合他社の製品はDVDプレーヤーも付きながら、NAS対応やDivX正式サポートなど、さまざまな機能強化により、差別化を図っている。そうした中、やや存在感の薄くなったMediaWizだが、抜本的な機能変化は無くとも、従来機種の欠点を修正してきた非常に好感が持てるバージョンアップと感じた。

 個人的にはDVDプレーヤーは要らないので、もう少し小型化し、デザインも頑張って欲しいところ。そのうちにWMVにも対応すると非常にうれしいのだが……。


□バーテックスリンクのホームページ
http://www.vertexlink.co.jp/
□製品情報
http://www.vertexlink.co.jp/product/vertexlink/mediawizplus/
□関連記事
【2月19日】バーテックス、Ethernetプレーヤーの新モデル「MediaWiz Plus」
-USB HDDに対応し、新型リモコンを採用
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040219/vertex1.htm
【3月2日】バーテックス、「MediaWiz Plus」の発売を3月中旬以降に延期
-品質管理の強化から出荷時期を延期
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040302/vertex.htm
【2003年6月19日】バーテックス、MPEG/DivX/XvidをTV視聴できる「MediaWiz」
-LAN経由でPC内のファイルを再生。1080i出力も可能
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030619/vertex.htm
【2003年7月30日】【EZ】メディアサーバーではなく、メディアクライアント?
~逆転の発想から攻めるバーテックスリンク「MediaWiz」~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030730/zooma119.htm
【2月17日】NEXX、USB HDDの接続も可能なDivX対応ネットワークプレーヤー
-ネットワークDVDプレーヤーも発売
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040217/nexx2.htm

(2004年3月12日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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