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“Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語”

第354回:NAB 2008プレスカンファレンスレポート
~ カムコーダで世界を席巻する二大日本企業 ~



■ いよいよ明日からNAB 2008

 現地時間の4月14日から17日まで、米国ラスベガスにおいて、世界最大の放送機材展「NAB 2008」が開幕する。かねてから予告していたとおり、今週のElectric Zooma! は不定期更新でNAB 2008の模様をお伝えする。

 一般展示の前日となる本日、メイン会場となるLasVegas Convention Center(以下LVCC)は例年なら設営準備でまだ機材がごった返している状況だったが、今年はすでに会場設営はほぼ完了し、余裕のある開催となっている。会期に先駆けて今日はラスベガス市街のホテルのイベントホールなどで、各社のプレスカンファレンスが開催されている。

 本日は、市内のホテルで行われたPanasonicとSONYのプレスカンファレンスの模様をお伝えする。


■ P2とAVCHDの2本立てで行くPanasonic

 Panasonicは本日のプレスカンファレンス席上で、P2 HDフォーマットのVariCam、3700(AJ-HPX3700)と2700(AJ-HPX2700)を発表した。VariCam 3700は1,920×1,080ピクセルのフルHDを10bit/4:2:2で100MbpsのAVCIntraに撮影可能なフラッグシップモデル。カメラ出力は4:4:4RGBのデュアルリンクでの出力も可能。

カンファレンスで登場したVariCam 2700

 VariCam 2700は、1080もしくは720の映像を10bit/4:2:2で100MbpsのAVCIntraに撮影可能なモデル。3700との違いは、撮像素子がフルHDではないこと。バリアブルフレームレート撮影は720pのみとなっている。1080iの撮影も可能だが、デュアルリンク出力にも対応しないなど、720p中心の機材となっている。

 双方とも2/3インチ3CCDを使用したカムコーダで、従来のDVCPRO HDベースのVariCamに置き換わって行くものと思われる。発売時期は今年秋の予定。

 また同じくP2 HDのカムコーダで、ハンドヘルドタイプの「AG-HPX170」を発表した。撮像素子は1/3インチ3CCDで、ワイド端が35mm換算で28mmの光学13倍ズームレンズを搭載。これまでP2のハンドヘルドは、テープ式のDVCPRO HDと兼用の「AG-HVX200」を主軸としてきたが、HPXはP2カードスロット2基を装備するのみで、テープドライブはない。

 1080i、720p以外にも、SD解像度のDVCPRO 50、DVCPRO、DVでも撮影可能な、マルチフォーマットカメラとなっている。また720モードでは、12fpsから60fpsまでのバリアブルスピード撮影も可能。こちらも発売予定は今年の秋となっている。

 一方AVCHDの業務用モデルは、既に昨年のInterBEEで発表済みの「AG-HMC75」に続いて、ハンドヘルドタイプの「AG-HMC150」(日本名AG-HMC155)を発表した。撮像素子は1/3インチ3CCDで、圧縮モードとしては平均21Mbps、最高24MbpsというAVCHDの規格ギリギリのPHモードを新設している。


P2 HDのハンドヘルド「AG-HPX170」 AVCHDのハンドヘルド「AG-HMC150」

モード 解像度 ビットレート 音声モード 記録時間
(32GB SDカード)
PH 1,920×1,080ドット
1,280×720ドット
21Mbps AC3
LPCM
3時間
HA 1,920×1,080ドット 17Mbps AC3 4時間
HG 13Mbps 5時間20分
HE 1,440×1,080ドット 6Mbps 12時間



■ EXシリーズのラインナップを強化するSONY

 ソニーは、メモリ記録タイプのXDCAMラインナップ、XDCAM EXシリーズのラインナップを拡大、発売以来好評の「PMW-EX1」に加え、新たに上位モデルとして、レンズ交換可能でGen-Lock入力とタイムコード入出力に対応したセミショルダータイプの「PMW-EX3」を発表した。ボディはEX1よりやや大きく、ヒップアップしたスタイルが特徴。


今年のSONYのテーマは「HDNA」 レンズ交換可能なXDCAM EX「PMW-EX3」

 マウントはバヨネットで、1/2インチレンズが装着できるが、通常のカメラとはフランジバックが違うため、調整用のマウントアダプタが付属する。マウントアダプタには2枚のレンズが仕込まれており、画角はレンズ通りとなる。また2/3インチレンズと専用マウントアダプタは、キヤノン、フジノンから発売予定。

 さらにXDCAM EXフォーマット用の外部ストレージユニット「PHU-60K」を発表した。60GB HDDを搭載したバッテリ駆動可能な外部ストレージで、HQモードでは約200分、SPモードでは260分の記録が可能。2つのSxSカードスロットを備えている。

 またプロ機としてはソニー初となる、メモリーベースのレコーダ「PMW-E30」も同時に発表した。1080iと720p切り替え可能で、HD-SDI入出力を備えるほか、HDMI出力端子も装備する。PHU-60KおよびPMW-E30は、プレスカンファレンスでは実機のお披露目はなく、資料発表のみに留まった。明日以降ソニーブースで、実機を確認できるだろう。

 興味深い製品としては、HDCAM SR VTRの「SRW-5800」に装着するファイル転送プロセッサボード「HKSR-5804」を発表した。このボードを装着することで、HDCAM SRのテープ上の映像を、ファイルとしてギガビットイーサネット経由でビデオサーバやノンリニア機に転送できる。テープからファイル化する作業は、オプションボードを装着したVTR自身が行なう。逆にVTRへ向かってのファイル転送も可能で、その場合もやはりVTR本体がファイルを受け取り、データをテープに記録する。

 さらに2K/4Kといった高解像度非圧縮データも、非圧縮データのままテープ記録することが可能。言うなればこのオプションボードを装着することで、HDCAM SRのデッキがオンラインテープストレージに化けるということである。従来のVTRでは考えられなかった運用が可能になるため、今後デジタルシネマなどを中心に、素材搬送・アーカイブ用途として急速に普及しそうな感じだ。

 今年のソニーは、多くの新製品を昨年11月のInterBEEで発表済み。米国では初披露となるが、日本のユーザーにとっては、発表されていた実働モデルが見られるショーということになりそうだ。

 もちろん出展が予定されている機材は、これだけではない。明日以降のレポートも、お楽しみに。

□NAB 2008のホームページ
http://www.nabshow.com/
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(2008年4月14日)


= 小寺信良 =  テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「ややこしい話を簡単に、簡単な話をそのままに」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンピュータのフィールドで幅広く執筆を行なう。性格は温厚かつ粘着質で、日常会話では主にボケ役。

[Reported by 小寺信良]



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