パナソニック、4K/8K映像撮影用の照明光源の演色性推奨基準を構築

　パナソニック エコソリューションズ社は、広色域4K/8K放送に対応する超高精細テレビ(UHDTV)映像撮影に使用する照明光源について、色の見え方を示す演色性基準(ガイドライン)を構築した。撮影時に使用する照明や、テレビカメラ撮影用ライトなどの照明光源についての基準を定めたもので、今後、スポーツ競技施設、スタジオ、劇場などの照明基準として、推奨していく。

色の再現性を評価する実験風景

　今回構築した推奨基準は、NHK放送技術研究所(NHK技研)との研究協力の中で得られた知見から、色の見え方の指標である「平均演色評価数 Ra」を90以上、かつ、「赤色の特殊演色評価数 R9」を80以上と規定した。推奨基準を用いることで、現在のハイビジョン放送(HDTV)より鮮やかな色を再現できる超高精細テレビ放送に適した映像の撮影が行なえるとする。

　これまでのUHDTV放送では、撮影対象を照らす照明光源の演色性の推奨基準が検討されておらず、照明にLEDを用いる場合の要件も明確では無かった。NHK技研との共同実験では、多種類のLEDを使用して色鮮やかな自然物体などを、光のスペクトルを変化させながら照らし、UHDTVカメラで撮影して各種評価を実施。その結果、撮影対象を照らす照明光源の演色性が、超高精細テレビ映像の色の再現性において優れていると確認した数値をもとに、推奨基準を設定した。

　歴史的にみると、 アナログカラーテレビ放送時代には、国際照明委員会(CIE)や日本工業規格(JIS)がRa55～70以上を推奨。1992年には、当時の松下電器産業と松下電工、NHKが共同で、ハイビジョン放送(HDTV)の推奨基準をRa80以上と定めた。今回の推奨基準は、HDTVに続く照明と放送の新たな時代を開く研究成果となる、としている。

イメージ図

　共同実験の成果や推奨基準については、10月に開催される米国映画テレビ技術者協会(SMPTE)など国際会議でも発表を予定。また、今回の研究結果を活用し、UHDTV放送対応のLED照明を開発していくという。