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音楽ライブを、Dolby Atmosで映画館へライブ配信。「あんスタ」の熱気を届ける舞台裏に密着

映画館で音楽公演のライブビューイングが活発に行なわれている。2025年の統計では、ODS(非映画のデジタルコンテンツ)上映の中継に限った興行収入が約103億円と、前年比で113%に伸びている。映画館ならではの大音響で生中継が楽しめるのは魅力であるが、音楽ライブならば音質にもクオリティを求めたいのはAVファンなら自然なことだ。

高音質のライブ配信といえば、KORGの「Live Extreme」がお馴染みである。筆者は以前、上野で行なわれた「東京・春・音楽祭2025」のDolby Atmos生配信を取材。ステージの模様を、一般向けにライブ配信したもので、Dolby Atmosフォーマットを採用したLive Extreme初の事例だった。

そして今回は、ステージから映画館への高音質ライブ配信。ヒビノイマジニアリング(現ヒビノスペーステック)が提供する映画館向け次世代配信サービス「JUUQX」を活用して、Dolby Atmosライブ配信が実施されたので、そのレポートをお届けする。中継先の映画館だけでなく、ライブ会場の様子もチェックできた。

恵比寿の会場から、映画館へ高音質ライブ中継

恵比須のBLUE NOTE PLACE

ライブが開催されたのは、東京都は恵比須のBLUE NOTE PLACE。吹き抜け2階建ての開放的なライブレストランとして、ジャズなどのライブを食事とともに楽しむことができる空間だ。

公演名は「ENSEMBLE STARS!! BAND LIVE」。スマートフォン向けゲーム『あんさんぶるスターズ!!(あんスタ)』の楽曲を、生演奏のバンドライブで楽しめるスペシャルイベントだ。

4日間、12公演が行なわれた中、取材した最終日の出演は、あんスタのライブでもお馴染みESバンドの5名(Gt.yas nakajima/Key.宇都圭輝/Sax.石井裕太/Ba.Igo/Dr.裕木レオン)と、ゲストボーカルに南雲鉄虎役の中島ヨシキ氏。円果望見役の今井文也氏という豪華メンバー。(主催はHappy Elements)

実は、去年も同じ会場でライブが開催されており、Live Extremeによる高音質配信が一般向けに行なわれた。今回は、一般向けのライブ配信だけでなく、Dolby Atmosによるライブ配信を映画館で行なうのが、新しい試みとなる。

前述のJUUQXはLive Extremeの技術をベースとしており、圧倒的な高音質と高画質を観客に提供できる。音楽ライブをDolby Atmosで生中継する、一般向け有料ライブビューイングとしては国内初の実施だという(KORG調べ)。

筆者はそんなDolby Atmos中継の行なわれるプレミアムなステージ、千秋楽となる9月16日の最終公演に足を運んだ。

あんさんぶるスターズ!!(以下、あんスタ)は、スマートフォン向けのアイドル育成ゲーム。3DキャラのダンスMVやリズムゲーム要素が楽しめる「Music」と、初代「!」も含めた豊富なコンテンツやストーリーを楽しめる「Basic」の2つのゲームが存在しており、ストーリーとイラストはどちらを遊んでも同一の安心設計。メディアミックスも多方面に展開中で、ライブ公演となる「スタライ」、TVアニメ放送、劇場アニメ化、舞台化、書籍化と盛り上がりに盛り上がっている。

あんスタに触れたことのない読者諸氏も、タイトルなら聞いたことがある方も多いことだろう。筆者は完全に初見でゲームも未履修だったが、Qobuzで配信されているハイレゾ版を聴いたところ、生演奏の豊富さやミックスの秀逸さにとても驚いた。これらの楽曲をジャズアレンジして、ゲストボーカルも迎えたライブコンサートとなれば、音楽的にもファン目線でも注目度が高いのは当然と思えた。実際、映画館でのライブビューイングチケットは発売開始数分で完売したという。

ステージの臨場感を収録・配信するためのセッティング

上から見たステージ全景

筆者が最初に訪れたのは、夕方公演が終わったばかりのBLUE NOTE PLACE。配信用の機材がセッティングされた2階のBNJ studioに足を踏み入れた。重い扉を潜って最初の部屋はレコーディングブース。その奥がミキシングルームだった。本ライブのためにブースは映像関係の機材が並べられたスイッチングメインの部屋になっており、ミキシングルームはDolby Atmosミックスを行なうとともに、Live Extreme配信を行なう機材が設置されていた。

レコーディングブースは、映像関係の機材が並べられたスイッチングメインの部屋へ変貌
ミキシングルームにはLive Extreme配信を行なう機材が

今回、BLUE NOTE PLACEで説明を伺ったのは、KORGの担当者である山口創司氏、Dolby Atmosミックスを担当した入交英雄氏のお二人。イマーシブオーディオといえば入交氏といえるほど有名な方だが、同氏はARIB委員および日本民間放送連盟(民放連)委員として、ラウドネス運用規定の策定と普及活動に携わった経歴もお持ちだ。

同フロアの2F客席からマイクセッティングを見ることができた。まず、会場のアンビエンスを捉えるマイクは、フロント用としてステージの両サイドに2ch、サラウンド/サラウンドバック用として吹き抜けの縁からぶら下げた4chの合計6ch。トップ用の音を捉えるマイクは、吹き抜けに吊ったワイヤーに固定したマイク4chが担う。

吹き抜けの縁から真下に向かってぶら下がったマイク(赤丸)が、ハイト用の音を捉える
ハイトレイヤー用のリア・アンビエンス収録マイク(赤丸)
トップ用の音を捉える4chマイク(赤丸)
トップ用マイクのアップ

このトップ用マイクは、昨年の公演では2Fに設置したスタンドに固定していたそうだ。手すりに近い位置にあったため、手すり越しに階下のステージを見る観客の歓声がマイクに入ってくる事象が発生していた。今回は手すりから充分な距離のある位置にマイクを設置できたため、天井からの反射音を収音する理想的なセッティングが実現できたそうだ。

この他にも、各楽器に立てられたPA用のマイクからは個別の音を受け取っているという。つまり、演奏(音楽)そのものは、PA用に立てられたオンマイクの音を主にミックスして表現している訳だ。

ライブビューイングは、家庭向けと映画館向けで異なる仕様となっている。最適な視聴体験のためのこだわりが随所に見られた。

映像については、映画館・家庭向けともにフルHDのH.265で配信。ビットレートを映画館向けに16Mbpsと画質重視の設定とし、家庭向けは6Mbpsで配信されていた。

Dolby Atmos音声は、Dolby Digital Plusのロッシーフォーマットで768kbpsのビットレートは共通。映画館は、7.1.4chのダイナミックレンジを重視したミックス。家庭向けは、5.1.4chのラウドネス値を稼ぐことを意識したミックスだ。なお、ヘッドフォンでサラウンド音声を楽しむためのミックスとして、HPL9(FLAC 48kHz/24bit)による配信も家庭向けに行なっている。HPL9は高さ方向の音場空間も再現できる。

家庭向けのミックスは、マスター段にマスタリング過程に相当するエフェクトを掛けており、そちらでラウドネスを稼いでいるそうだ。映画館は音量を出せるため、ダイナミクスの広い現地の音により忠実なサウンドになっている。

入交氏は、チャンネル数とビットレートの関係についてこう話す。

「Dolby Digital Plusのビットレートは、映画館も家庭も同じ値になっていますが、家庭向けではチャンネル数を絞ることで1ch当たりの情報量を増やし音質を向上させました。一方映画館では5.1.4chですとリア側のサラウンドが薄く感じられてしまうため、サラウンドバックを加えた7.1.4chとしています」。

映画館でのライブビューイングは、驚くほどシンプルだ。いわゆるSTB(セットトップボックス)で受信して上映するシステムとなっており、端末は市販の「Apple TV 4K」。HDMIで映像と音声を出力し、映画館のシステムに接続すればよい。そんなどこにでもあるハードウェアなの?と驚かれる方もいるだろう。しかし、専用ハードウェアを使用しないことは、劇場側の導入コストを抑えることにも繋がるという。

Apple TV 4Kには、「Live Extreme Experience for Apple TV」をベースに開発されたJUUQX独自の再生アプリがインストールされており、そちらでライブ配信をストリーミングする。詳細は割愛するが、現場での操作も簡便に済むようカスタマイズされており、映画館スタッフの負担は最小限になると思われた。

映画館でのライブビューイングでは、市販の「Apple TV 4K」を活用。JUUQX独自の再生アプリを使う

ありがたいことに、終演したばかりの夕方公演のアンコール部分を試聴させてもらった。家庭でも映画館でも聴くことのできない非圧縮音声のオリジナルミックスをまさに入交氏が作業されている椅子に座って試聴。ファンの方に申し訳なく思いつつも、「CALL YOUR NAME!!」を1コーラス堪能した。

上方のハイトチャンネルからもほぼ常に音が出ていて、吹き抜けのライブ会場に広がる音の開放感と、観客のいる空気感がフロント2chだけで作る音場とはまったくの別次元だ。声援や拍手に包まれる感覚は、まさにライブ会場のそれであり、平面と高さ方向のレイヤーが絶妙なバランスで構築されている。現場で鳴っている音を再現しようと尽力した入交氏の手腕の高さ故だろう。

個人的には、音の太さと実在感にも心を掴まれた。ボーカルやサックス、ドラムの音の生々しさは、あえてエフェクトを最小限とし、本物の質感や躍動を重視したとみえる。ドラムのスネアやタムの音像は、芯がしっかりしていて適度に肉厚、ベースの音像もタイトで輪廓豊かであり、立体音響以前にそもそも音楽としてのミックスがとてつもなくカッコよかった。

「ハイトチャンネルの音については、映画館上映のことを考えて多めにミックスしています。映画館は観客に対して天井が高いところにありますので、音場全体を低く作りすぎると、上の方が弱く聞こえてしまいます。去年は、家庭向け配信のみだったためサブウーファーにあたるLFE信号に音は入っていませんでしたが、今年は家庭向けも映画館向けも音を入れています」(入交氏)

ここでDolby Atmosミックスが行なわれていた

ついさっきの公演の模様をこうして私が聴けているということは、Dolby Atmosミックス時のマルチトラックが録音されているということだ。映像卓のあるブースでも録音のシステム(Pro Tools)が動いていた。個人的には、映像のデータと合わせてBlu-ray化やLive Extremeでのオンデマンド配信も期待してしまう。なんといっても、スタジオで聴いたロスレスのDolby Atmos音声は素晴らしかったからだ。

マルチトラック録音されていた(Dolby Atmosミックス側と、映像卓側と両方で録っている)

中継先の映画館で、どのような体験ができるか

録音を少し聴いただけで、ライブ本編が楽しみでたまらなくなった筆者。このまま会場で夜公演を楽しみたいところだが、配信先となる映画館に向かうため、恵比須を後にした。

映画館でのライブビューイングは、新宿歌舞伎町の109シネマズプレミアム新宿にて行なわれる。豪華なメインラウンジと併設のバー。坂本龍一監修のシアターは、全席プレミアムシートと贅沢な仕様。

新宿歌舞伎町の109シネマズプレミアム新宿

筆者は、プレスや関係者向けの座席として、スクリーン真下の通路に置かれた椅子で鑑賞した。真後ろには身長より少し高いくらいの壁があり、座ったままでは後方のサラウンドスピーカーからの音が聞こえづらくなる。お客様に迷惑のない範囲で、中腰になったりして、視聴した。

いよいよ中継開始

当日の楽曲は以下の通り。基本は、ESバンドによるオリジナルジャズアレンジでインストを演奏していく。昨今、アニメの劇伴をオーケストラで演奏するコンサートは増えているが、歌モノ楽曲をジャズアレンジして、しかも歌無しのインストというのはまだまだ珍しいのではなかろうか。

【9/16夜公演の楽曲一覧】

  • NEW DAYBREAK
  • Black Out See Saw
  • BUBBLE GUM DANCE
  • 金色千夜夢舞台
  • Dance in the Apocalypse
  • Blooming World
  • Melody in the Dark
  • Last Lament
  • Betting on U[歌唱: 今井文也]
  • GROWING STARRY DAYS[歌唱: 中島ヨシキ]
  • Dear World[歌唱: 中島ヨシキ&今井文也]
  • [アンコール]
    CALL YOUR NAME!![歌唱: 中島ヨシキ&今井文也]

開演時間前から会場の様子がクロスフェードで切替えられながら、スクリーンに映し出されている。会場のざわめきがうっすらと聴こえてくる。映画館にいてもライブ前のわくわく感が刺激された。

拍手や声援が吹き抜けの会場内に広がっていく臨場感は、トップやリアのスピーカーから聞こえる音で自然に演出されている。音楽の演奏中も、思ったよりトップやリアから音が鳴る。ドラムなどの生音の反響やPAスピーカーからの音が会場に響くことによるアンビエンスは、映画館とは思えないほどの再現度だ。演奏が終わった瞬間、「ジャーン!」と残響が消えていく表現が超リアル。フロントのステレオ音声だけではとても体験できない説得力にゾクゾクする。

フロント2chのステレオでミックスされたライブ音源を思い浮かべてほしい。ステレオでライブを表現しようとしたら、拍手などの観客のリアクションも演奏と一緒に同じスピーカーから聴こえることになる。当然、演奏が聞こえにくくならないよう音量バランスなども整える訳だが、Dolby Atmosなら、上方や後方、側方から鳴らすことができるので、その分音量を出せるし、フロント側の演奏の邪魔にもならない。音楽そのもののゴチャゴチャ感を避けつつ、会場の盛り上がりは現地と同じくらいの熱量で感じられる。Dolby Atmosはなんてライブ向きのフォーマットなのだと感動した。

入交氏のミックスの巧みさにも改めて圧倒される。ボーカルのコンプレッションは浅めで耳に優しい。生声の質感やダイナミクスを感じやすい処理だ。全体的にリバーブも薄いので、ジャズをじっくりと楽しむ会場の雰囲気にもマッチしている。

音作りとしては、ドラムの肉厚感、アコギのキレよいアタック感、無駄なファットさが無い締まったベースなど音楽的なミックスのセンスをひしひしと感じる。マスキングや音場の混濁感もまったく感じない。

イマーシブ以前にステレオミックスがカッコよすぎでは!? いや、フロント側のミックスの仕上がりが良いからこそ、Dolby Atmosミックスになってもバランスが崩れず、より感動的な体験をもたらしてくれるのだ。

細かいところでは、MCでESバンドの面々が喋るとき、L/C/Rチャンネルを使って立ち位置に合わせたPAN(定位)振りをしていた。映画館のスクリーンの大きさを考えると、全部のお喋りがセンターchから聞こえてきても興醒めしてしまいかねない。観客の鑑賞体験を底上げする工夫は、きっと筆者が気付かないところにも多数あったことだろう。

自宅でもeContentを使って、当日のアーカイブ配信を再生してみた。筆者は自宅のシアタールームにMacからのHDMI出力を繋いでDolby Atmosを楽しもうとしたが、最新の仕様では難しいことが分かった。

Windows/Macともにパソコン単体では、HDMI出力でAVアンプやサウンドバーに送ってDolby Atmosを聴くことはできない。現状では、MacからSafariでeContentにアクセスし、AirPlay経由でApple TVにストリーム、Apple TVからHDMIで出力することになる。AirPlayで懸念される44.1kHzに強制変換される仕様はこの運用方では当たらず、ビットパーフェクト出力が可能だという。

もう一つは、STBを使ってHDMI出力をする方法がある。STBには、Live Extreme Experienceアプリをインストールして、チケット購入時に入手したシリアルキーを入力すればよい。現在の最新状況を確認したところ、Fire TV Cube/Fire TV Stick 4K/Fire TV Stick 4K Max以外のFire TV、Android TV、Apple TV 4KがHDMIからのパススルー出力に対応するとのこと。

筆者の自宅のリビングには、Android TVを搭載したSONYのXRJ-48A90Kが設置されている。テレビからeARCで音声をAVアンプに送ると、Dolby Atmosとしてデコード・再生できた。フロント2chのバーチャルサラウンドであるが、会場の雰囲気は伝わってくる。

一方、シアタールームではDolby Atmosの出力こそできなかったが、Safari側で音声設定をDolby AtmosとHPL9と選ぶことができたので、切替えてみた。AVアンプ側は、ドルビーサラウンドデコードで固定だ。Safari側でDolby Atmosを選んだとき、AVアンプ側はDolby Atmos信号とは認識しないものの、かなり自然にトップスピーカーから音が聞こえてきて「これはこれでいいのでは?」と意外な満足感が得られた。筆者の環境はセンター無しの6.1.2chである。

なお、HDMI出力をしないのであれば、MacのスピーカーやAirPodsを使用すれば、Dolby Atmosを楽しむことができるし、HPL9の音声を選択すれば、普通のヘッドフォンでもバイノーラルでサラウンドを味わうことは可能だ。

今後の期待として、ロスレスのDolby Atmos配信を実現させてほしいと願う。Live Extremeとしては、オンデマンド配信なら既にロスレスのDolby Atmos、つまりDolby TrueHDの配信が実現している。しかし、ライブ配信においては、映像や音が止まらないことが何より重視されるため、少ない情報量で伝送できるロッシーフォーマットのDolby Digital Plusが選ばれている。それは理解できるが、スタジオで非圧縮の生データを聴いた身として、情報量の差が映画館でも如実に出ていた。音の密度や音像の立体感、空気感といった要素も明らかに異なる。

とはいえ、ロッシーオーディオであることを差し引いても、入交氏のDolby Atmosミックスが素晴らしく、映画館でもノリノリで音楽を楽しませていただいたことは強調しておきたい。

Dolby Atmosライブビューイングの広がりに期待

日本初の映画館でのDolby Atmosライブビューイングにあんスタが選ばれたのは、作品そのものの音楽的魅力の高さと、制作陣の音へのこだわりがあったことは疑う余地のない事実だ。

ライブ中は、出演陣全員がとにかくカッコよくて、喋りもお上手で、観客からのリアクションも暖かかった。キャラクターを演じる声優陣はもちろん、ESバンドのメンバーも一人一人がそのパーソナリティをファンに認識されていて、トータルで愛されていることが伝わってくる感動的なステージだった。

食事付きのプレミアムなライブコンサートで、メインはジャズアレンジのインストライブとなると、ちょっとハードルの高さを感じられる方もいるかもしれない。筆者のような普段から日本のフュージョンなどのインストバンドを好み、ライブハウスに通っている人間にとっては「ジャズアレンジ、マジ最高♪」とホクホク顔もさらに緩むところだが、自分が特殊なアニメ・ゲームファンであることは自覚している。

しかし、ENSEMBLE STARS!! BAND LIVEは現地公演の熱気もさることながら、映画館のチケットも即完とあって、今後の展開に期待が高まる。何よりあんスタの音楽が魅力的で、熱いファンに支えらている証を、今回取材を通してひしひしと感じられた。

最後に。日本初の音楽ライブのDolby Atmosライブビューイングを通して感じたことを書いておこう。

リアルタイムミックスによるDolby Atmosサウンドは、会場の臨場感を遠く離れた映画館へリアリティ抜群に届けることができる。自分も会場の客席に座って鑑賞しているようなトリップ感は、これまでのライブビューイングとは一線を画すクオリティだ。今後は、日本中の音に自信のある映画館でJUUQXを使ったライブビューイングを積極的に行なってほしいと願う。

ここであえてDolby Atmosと特定しないのには理由がある。確かにDolby Atmosライブビューイングは魅力的だったが、設備として対応する劇場が必ずしも手近な場所にない現実も無視できない。まずは当たり前の様に全国でJUUQXの高音質サラウンドのライブ配信を普及させ、その中のプレミアムサウンドのスクリーンとしてDolby Atmosがあるという関係が筆者の考える理想である。

4K/HDR化や映像ビットレートの向上、ネットワーク環境に影響されない安定したライブ配信の確立など、今後のさらなる進化に期待しつつ、まずはこのプレミアムな体験がファンの心にいつまでも残ることを願う。

橋爪 徹

オーディオライター。音響エンジニア。2014年頃から雑誌やWEBで執筆活動を開始。実際の使用シーンをイメージできる臨場感のある記事を得意とする。エンジニアとしては、WEBラジオやネットテレビのほか、公開録音、ボイスサンプル制作なども担当。音楽制作ユニットBeagle Kickでは、総合Pとしてユニークで珍しいハイレゾ音源を発表してきた。 自宅に6.1.2chの防音シアター兼音声録音スタジオ「Studio 0.x」を構え、聴き手と作り手、その両方の立場からオーディオを見つめ世に発信している。ホームスタジオStudio 0.x WEB Site