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“ゲーム機らしさ”が魅力の格安ビデオプレーヤー
GBA SP/ニンテンドーDSが5千円でポータブルプレーヤー!
任天堂 「プレイやん」
発売日:2月21日
直販価格:5,000円(単品版)
     6,000円(MediaStage同梱版)


■ 本体込みで15,000円のMPEG-4ビデオプレーヤー登場

 AV Watch読者のポータブルビデオプレーヤーの人気は非常に高く、各社のビデオプレーヤーを取り上げると押し並べて高アクセスを記録する。また、MicrosoftがWindows PMCなどのモバイルビデオプラットフォームを発表し、各社が対応機器を発売するなど、盛り上がっているようにも見える。しかしその一方で、今ひとつ爆発力にかけ、一般への普及にはほど遠い、というのも現状だろう。

 そうした市場に突如殴りこんだのが、12月12日に発売された「PSP」だ。発売から約1カ月で51万台を出荷。品薄状態を続けているポータブルゲーム機ではあるが、AV Watchで注目したのは、そのAV機能の充実。MPEG-4動画再生、MP3音楽再生、JPEG再生などの機能が豊富で、しかも液晶のクオリティも従来のAVプレーヤーと比較しても高品質。まさに最上位クラスのビデオプレーヤーで、価格は2万円台という破格の安さ。ビデオプレーヤーとして利用するためには別途大容量メモリースティックDuoなどが必要とはいえ、価格とクオリティのインパクトは大きかった。

 しかし、ポータブルゲーム機の盟主ともいえる任天堂もPSPの発売直後に、ゲーム機を利用したビデオプレーヤーを提案してきた。それがこの「プレイやん」だ。プレイやんは、ゲームボーイアドバンスSP(以下、GBA SP)用のMPEG-4/MP3対応ポータブルSDカードAVプレーヤーで、SDカードをプレイやんに入れて、ゲームボーイアドバンスSPのスロットに装着して使用する。

 販売形態は直販のみとなっているが、価格は5,000円と格安。9,800円のGBA SPと組み合わせても15,000円で、ポータブルMPEG-4プレーヤーが入手できるというのはPSPに勝るインパクトだろう。ましてや、GBA SPの累計販売台数はPSPの比ではなく、さらに「ニンテンドーDS」(以下、DS)でも利用できる。GBA SP/DSのユーザーにとって非常に注目の製品であるだけでなく、ポータブルMPEG-4プレーヤーに興味があればGBA SPやDSを持っていなくても、GBA SP/DSとセットで購入することを検討するに値する製品であることは間違いない。

 ということで、今回は任天堂からプレイやんを発売前にお借りして試用した。なお、今回お借りしたのは製品版ではないため、製品版とはデザインが一部異なっている。


■ 小型カートリッジでビデオ機能を追加

通常のGBA用カードリッジより、少し奥行きが長い

 まずは、プレイやんの仕様を簡単におさらいしておこう。通常のGBA SP用のカードリッジよりやや奥行きが長く、前面にヘッドフォン出力端子、側面にSDメモリーカードスロットを備えるというシンプルなも構造。外形寸法は58.5×11×43.4mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約16g。

 SDカードをプレイやんに入れて、GBA SPのスロットに装着して使用する。ただし、ゲームボーイアドバンスには非対応で、DSではゲームボーイアドバンスモードで利用可能となる。SDカードは1GBまで対応。対応カードの一覧も同社のサイトで公開されている。


プレイやん本体 SDカードは側面から格納する イヤフォンジャックを前面に装備
※デザインは製品版とは一部異なります

GBA SPに装着すると通常のカートリッジよりやや出っ張る

 GBA SPに装着すると、ややはみ出してしまうのだが、デザイン的には違和感はさほど無い。プレイやんをスロットに挿したまま、SDカードの抜き差しができないのは不便ではあるが、起動中に取り外すなどの事故の発生を防ぐためにはベストな方法と思われる。

 今回は、A-DATAの格安1GB SDメモリーカードを利用したが、カードに起因すると思われる問題は特に発生しなかった。もちろん、基本的には対応カードを利用した方がいいだろう。

 連続使用時間は、ゲームボーイアドバンスSPで使用した場合、動画で約4時間、音声で約16時間。ニンテンドーDSで使用した場合は動画で約5時間、音声で約20時間となっている。


アドムービー(左)と比べるとプレイやん(右)は明らかに小さい プレイやん装着時 アドムービー装着時
ニンテンドーDSでは、ゲームボーイアドバンスモード利用できる PSPと、プレイやん+GBA SPの比較


■ MediaStageで動画作成。スムーズな操作性が魅力

プレイやん起動画面はユニークな書体を使った目新しいデザイン

 動画については、プレイやんではSD-Video形式のMPEG-4動画が再生可能で、PCでSDカードにMPEG-4ファイルを転送すれば、そのまま再生できる。

 なおデコードは、GBA SPやDS本体の機能ではなく、プレイやん側にデコーダチップとして、Broadcom(Alphamosaic)の「VC01PXX-ES2」を搭載しており、それでデコードしてからゲーム機に送るという仕組みだ。そのため対応するフォーマットは搭載チップに依存する。

 対応動画フォーマットはMPEG-4(ASF)で、解像度は128×96/176×144/240×176/320×240/352×288ドットをサポート。ビットレートは64kbps~1Mbps、フレームレートは6~30fpsに対応。動画の音声フォーマットはG.726で、ビットレートは32kbps。

 対応する動画コーデックはMPEG-4のSD-Video形式(.asf)。MPEG-2録画後にSD-Video形式にトランスコードするテレビキャプチャカードが、カノープスなどから発売されているので、そうしたユーザーは、プレイやんのプロファイルにあわせてSD-Videoへの変換を行なえば、通常の録画をしているだけでプレイやん用の動画ファイルを作成できる。

 また、松下のハイブリッドレコーダ「DMR-E500H」、「DMR-E200H」、「DMR-E100H」などでもSD-Video作成機能を搭載し、SDメモリーカードにテレビ録画ができる。これらの製品のユーザーは既に録画環境も整っていることとなる。また、SD-Video作成環境を持っていない場合には、松下電器製のSD-Video変換ソフト「MediaStage for Nintendo」をバンドルしたパッケージ(6,000円)も用意される。

MediaStage for Nintendo

 「MediaStage for Nintendo」はオーディオ/ビデオのライブラリ機能を持ったソフトウェアで、SD-Video変換機能を搭載し、プレイやん専用のプロファイルが用意されている。

 MediaStageでは、指定フォルダやドラッグアンドドロップで動画ファイルをライブラリに追加できる。登録したファイルを選択し、右のアクセスバー上の「コンバート」を押すことで、フォーマット変換画面が現われる。ここに出力フォーマットとして、多くの3GPP/3GPP2対応携帯電話やVIERA、DIGAなどのSD-Video対応家電に加え、“プレイやん”のプロファイル並んでいるので、これを選択する。

 プレイやん用のプロファイルは高画質(240×176ドット/480kbps/30fps)、標準(240×176ドット/352kbps/30fps)、高圧縮(240×176ドット/224kbps/15fps)の3モードが用意されている。プレイやん自体の対応解像度は最大352×288ドットなので、“プレイやん”のプロファイルが高画質で240×176ドットまでというのは意外ではあるが、GBA SPの実解像度を考えればこれがベストという判断なのかもしれない。


出力フォーマット画面で高画質/標準/高圧縮の3モードを選択 プレイやん以外にもさまざまな形式の出力が可能

MediaStage for Nintendo

 テストに使ったPCがCeleron 1.7GHz、メモリ384MB(ビデオメモリ用に12MBをシェア)と古いPCということもあり、55分/5MbpsのMPEG-2ファイルのコンバートには、高画質で1時間12分40秒、標準で50分45秒、長時間で40分30秒かかった。Pentium 4やAthlon 64などを搭載した最新環境であれば実時間以下で高画質ファイルを作成できるだろう。また、DIGAでは録画時にHDDへMPEG-4を同時録画することもできるので、変換作業が不要になりSDカードに転送する時間しかからない。

 再生はプレイやんを起動して、機能選択画面で「みる」を選択すると、ビデオコンテンツがサムネイル表示される。なお「みる」ではフォルダは無視されて、SDカードにあるASFファイルはすべて一覧に並ぶ。ここから、サムネイルを選択するだけで再生が始まる。

 操作はSTARTボタンで一時停止、十ボタン左右で早送り/戻し。さらに、一時停止中に十ボタン左右でコマ送り(1コマ単位)/戻し(Iフレーム単位)が可能。音声はヘッドフォンとスピーカー出力が用意されており、ヘッドフォンを挿せば、本体のスピーカー出力はOFFになる。なお、動画の音声はステレオ出力に対応しておらず、モノラル出力となっている。

 高画質モードで作成したMPEG-4映像を視聴したところ、明るい場面ではしっかりとシーン全体を見渡せ、小型液晶のビデオプレーヤーとしては、まずまず使える印象。顔の表情もしっかり確認でき、映画の字幕はやや潰れがちではあるものの、判読できるレベルだ。


機能選択画面 SELECTボタンで白黒反転も可能 動画はサムネイル表示される

 高画質でエンコードしたファイルは、ブロックノイズはほとんど感じられないが、GPA SPの液晶はフロントライトということもあり、白色が強く出る傾向があるので、時折見にくさも感じる。液晶の視野角は狭いが、外出時の視聴を考えれば、必ずしもマイナスポイントではないだろう。


L/Rボタンで5段階に明るさをを調整できる

 蛍光灯下などでは液晶の反射もあり、やや見づらさも残る。しかし、以前取り上げた「アドムービー」と比較すれば、動画の作成の容易さ、画質ともに格段に上回っているといえる。

 ただし、ドラマなどで間接照明で照らされた屋内などが出てくると、暗部の表現に難がある。物陰や顔の影側の部分などの階調がいきなり黒側に転んで、真っ暗になってしまうのだ。これは、GBA SP背面のL/Rボタンで、画面の明るさ適宜変更することで改善される。

 明るさは5段階用意されており、初期状態では一番輝度を抑えた設定になっている。ただ、暗部シーン明るさを上げたあとに、明るいシーンに移行すると必ずといっていいほど白飛びしてしまう。ゲーム機ということもあり、L/Rボタンの操作性は良いので、気になるシーンがあったら少し明るさを上げ、シーンが変わりそうになったら下げるというAGC(Auto Gain Control)ならぬ、「手動明るさコントロール」(MGC ~Manual Gain Contorol?)をうまく行なうといいだろう。


GBA SPの十ボタン上下でボリューム操作が可能

 ボリュームは、再生中に上下を押すことで調整できる。デコードをプレイやんで行なっているため、ヘッドフォン出力は本体のボリュームではコントロールできない。また、スピーカー出力時は、本体のボリュームと、十字ボタンの上下の両方で調整する。

 動画再生で特筆すべくは、早送りや戻しの滑らかさだろう。十ボタンの押しっぱなしで早送り/戻しができ、押し続けると徐々に加速。非常に滑らかに操作可能で、かなり使いやすい。

 この十ボタンの使い勝手やキーの割り当てなど、ゲーム機ならではの操作体系を生かしたわかりやすさで、改めてゲーム機のインターフェイスにつぎ込まれたノウハウの凄さを感じさせてくれる。さらに、感心したのがタイトル毎レジュームが効くこと。動画を途中で見るのをやめて、メニューに戻ったり、音楽を聴いたりしても、タイトルごとにレジュームポイントが記憶されているので、もう一度再生しようとすると「つづきから」、「アタマから」を選択できる。

 残念なことに、電源を切るとレジュームポイントがリセットされてしまうが、ポータブルプレーヤーでタイトル毎レジュームできること自体が非常に珍しい。なお、Lボタン + Rボタンでスリープモードに移行するので、動画を見るのを中断する時は、電源を切ったりメニューに戻ったりせずに、スリープモードにしておいて、再開するときはスリープから復帰してタイトル毎レジュームを利用した方が便利だ。

 また、SD-Videoに対応しているため、さまざまな対応機器で作成した動画が視聴できるのも特徴だ。DIGA DMR-E500Hで作成したMPEG-4映像をプレイやんに転送したところ、最上位モードの「エクストラファイン(320×240ドット/30fps)」以外はすべて再生できた。なお任天堂のQ&Aでも、DMR-E500Hのエクストラファインは対応外と記載されている。

 次に、カノープスのMTVシリーズ向けの変換ソフトXPack2で作ったSD-Videoファイルについてもテストしたが、352×288ドット/512kbps、352×288ドット/256kbps、320×240ドット/512kbps、320×240ドット/256kbps、176×144ドット/512kbps、176×144ドット/256kbps、176×144ドット/512kbps、176×144ドット/256kbps、128×96ドット/512kbps、128×96ドット/256kbpsのいずれも再生できた。



■ 液晶画質はニンテンドーDSの方がかなり高画質

ニンテンドーDSでGBAカートリッジを選んでプレイやんを起動。GBAモードで動作するため、フル画面で表示できず、上下左右に黒帯ができる

 前述のようにプレイやんは、GBA SPのほかに、DSにも対応している。早速DSのカートリッジスロットにプレイやんを装着。起動後に「GBAカートリッジ」を選択することで、プレイやんの再生が可能となった。

 プレイやんを起動すると、DSの上側の画面にプレイやんが立ち上がる。GBA SPと同じファイルを再生してみたが、液晶品質はDSの方がかなり上ということもあり、非常に気持ちよく再生できる。GBA SPでは問題だった暗部階調についても気になることはなく、明るさが初期状態のままででほとんど問題なかった。

 画質についてはDSで利用することで、かなり満足度が向上する。ただ、本体が大きくなってしまうので、このあたりとのトレードオフとは言えそうだ。しかし、いずれで利用するにしても、プレイやんがGBA SP/ニンテンドーDSの双方で利用できるのは大きなメリット。現在GBA SPしか持っていなくても、将来ニンテンドーDSで欲しいゲームが出てきた時に、プレイやんとコンテンツはそのまま利用可能だ。

サンプルの元データ DS(左)とGBA SP(右)。DSの方が画面が明るく見やすい。写真ではわかりづらいが、DSの液晶の方が階調がよくダイナミックレンジも広いので、動画は圧倒的にDSの方が見やすい
(c)CREATIVECAST Professional

 また、MPEG-4の形式がSD-Videoということで、カノープスのSD-Video対応のキャプチャカードやDIGAのSD-Video対応機種のユーザーにはかなり魅力的。こうしたポータブルプレーヤーでネックとなるのが、いかにしてコンテンツを用意するかということ。PSPにおいては、現時点“メモリースティックビデオ”に対応した公式アプリケーションは「ImageConverter 2」のみだが、プレイやんでは既に市場に対応したコンテンツ作成環境があるというのは大きなアドバンテージだろう。



■ ユニークなUIが楽しい音楽再生機能

音楽モードのトップ画面は階段状のメニューとなっている

 音楽については、起動後に機能選択画面で「きく」を選択すると、音楽モードになる。音楽モードに入ると階段状のメニューが現われ、フォルダ階層ごとに階段上のタイトル選択画面が現われる。

 ここで選択することで、アルバム再生などが可能となるので、基本的にパソコンからの転送はフォルダ単位で行なった方がいいだろう。この階段状の表示の上下には「ワープボタン」を備えており、たくさんの楽曲がある場合は、一気に一番上、一番下まで“ワープ”できるという面白いインターフェイスだ。

 タグ情報はID3Tagに対応。もちろん、日本語も問題なく表示できる。タイトル名は数字/アルファベット順にソートされるので、アルバム順に再生したい場合は[01-曲名]のようにタグ情報に付与しておいたほうがいいだろう。


音楽再生画面。数字-アルファベット順でソートされるのでアルバム順に再生することもできた フォルダ階層管理に対応する

再生中の曲にあわせて、Aボタンを押したり離したるすると、花をさかせたり、日の丸扇子を開いたりと、いろんなアクションが展開される。任天堂らしい遊びの要素が取り込まれている

 十ボタンでカーソルを操作してタイトルを選択、Aボタンで再生、Bボタンは停止と「きく」モードから抜ける動作が割り当てられている。再生中の操作は動画利用時と同じで、カーソル左右で前後の曲にスキップ、カーソル左右長押しで早送り/早戻し、カーソル上下で音量調整となっている。STARTボタンが一時停止となる。

 操作画面はまったく異なっているのに、インターフェイスの操作性は「見る」モードとほぼ同じというのは非常になじみやすい。ゲーム機らしさを感じるGUIも面白いし、普通のオーディオプレーヤーでは味わえない魅力がある。

 基本的にヘッドフォンジャックからの利用になるが、本体のスピーカーから出力もできる。GBA SPでは本体仕様からモノラルのみだが、DSでの利用時はスピーカーによるステレオ再生が可能だ。また、Lボタン + Rボタンでスリープモードに入り、画面表示が消えてバッテリ消費を抑えながら、再生は続行される。

 なお曲間は僅か(1秒以下)ではあるがあいてしまい、ライブ盤などで重要となる「ギャップレス再生」は実現できていない。また、電源を切ったり、ホームメニューに戻ると、最後に再生した曲は記憶されていないので、ルートから選択し直しになるのは、ちょっと面倒だ。

 特殊再生機能については、SELECTボタンでフォルダ内の全曲/1曲リピート、シャッフル再生などの切替が行なえる。なお、フォルダを越えたリピートや、シャッフル再生、m3uなどのプレイリスト再生には対応していない。

 音質については、最近のポータブルオーディオと比較すると、低域はやや物足りず目立った特長は無いが、全体のバランスは悪くない。ソースによっては高域がサチることもあり、音量を上げると若干ノイズ感もあるが、よほど気をつけて聞かない限りほとんど問題ないだろう。

 また、Rボタンを押しながら、十ボタンの上下を押すとサラウンドもかけられる。6レベルの調整が可能となっており、ライブ盤などで音場感が欲しいときなどには効果が感じられる。さらに、Rボタンを押しながらSELECTボタンを押すことで、Bass増強のON/OFFが選択できる。なお、これらのエフェクトはヘッドフォン出力にのみ有効だ。


■ 格安ビデオプレーヤーかつ機能も十分

 一通りの機能を使ってみたが、なによりインターフェイスがしっかり作られており、説明書を見ずにテキトーに操作してもすぐに使えるのが素晴しい。これもゲーム機としての基本インターフェイスがしっかりとしており(あるいはユーザー側も慣れている)、それをベースに機能を追加しているからだろう。

 価格も5,000円(ソフト付きで6,000円)とお手頃。ソフトを1本とちょっとプラスぐらいの感覚でゲーム機がビデオプレーヤーになるというのはかなり魅力的だ。GBA SPが9,800円、ニンテンドーDSが15,000円なので、15,000円~20,000円+SDメモリーカード(512MBで1万円程度)を購入すればすぐにビデオプレーヤーとして利用できる。もちろん、既にこれらのゲーム機やSDカードを持っているユーザーは、5~6,000円とメディア代で携帯ビデオプレーヤーを手に入れられるわけだ。

 となると、ほとんどの民生用ポータブルビデオプレーヤーはコスト面では太刀打ちできない。GBA SP/DS+プレイやんと価格面で競合となるのはPSPぐらいだろう。本体価格的にはPSPが20,700/25,900円と高く、さらにSDカードよりもPSPで採用するメモリースティックDuoのほうが若干割高なため、全てゼロから買いなおした場合でも数千円はプレイやんのほうが安くなる。

 液晶の解像度やクオリティが上回っていることもあり、最終的な画質はPSPの方が上といえる。しかし、まだ対応ソフトやハードがほとんどない「メモリースティックビデオ」に比べれば、SD-Video録画・作成環境は圧倒的に整っている。また容量の面でも、ソニーがメモリースティックDuoの1GBの発売を4月に延期している現状では、メモリカードのシェアトップを走るSDカード採用によるメリットも大きい。デジタルカメラなどで普及しているため、SDカードを既に所有している人も多いだろう。

 また、ゲーム機らしいUIなどもプレイやんしか無い魅力だ。「プレーヤーを使う楽しさ」を感じさせてくれるという意味では、今までに例を見ない任天堂らしさに溢れたプレーヤーに仕上がっており、「いつでも、どこでもビデオ」という環境が徐々に近くなっていることを感じさせる。「いつでも、どこでもビデオ」が普及する突破口は、プレイやんやPSPといったゲーム機が開くことは間違い無さそうだ。



□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□プレイやんのページ
http://www.nintendo.co.jp/n08/playan/index.html
□関連記事
【1月19日】任天堂、GBA SP用動画アダプタ「プレイやん」の予約開始
-2月21日発売。単品は5千円、変換ソフト付は6千円
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050119/nintendo.htm
【2004年12月15日】任天堂、GBA SP用MPEG-4/MP3対応SDカードプレーヤー
-DIGAで録画したSDカードも再生可能
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20041215/nintendo.htm
【2004年12月12日】ついに発売された「PSP」のAV機能と性能を検証
-自由度も完成度も高いMP3/MPEG-4再生機能
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20041212/psp.htm
【2004年6月25日】【デバ】ゲームボーイで動画が見れる
電車の中でも恥ずかしくない!?「ゲームテック アドムービー」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040625/dev074.htm
【2003年2月4日】am3、ゲームボーイアドバンスで動画を再生するシステムを発表
―専用のスマートメディアを使用し、32MBで24分の動画を収録
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030204/am3.htm

(2005年2月4日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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