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am3、ゲームボーイアドバンスで動画を再生するシステムを発表
―専用のスマートメディアを使用し、32MBで24分の動画を収録


GBAとGBA SPで動画の再生が可能

2月4日発表


 株式会社am3(エーエムスリー)は都内で発表会を開催し、任天堂のゲームボーイアドバンス(以下GBA)と、2月14日発売のゲームボーイアドバンスSP(GBA SP)上で動画を再生するモバイル・エンターテイメント事業を開始すると発表した。また、動画ファイルを収録する独自仕様のスマートメディアと、同メディアをGBA、GBA SPで読み込むためのアダプタも公開した。

 事業内容は、am3と東芝、IMAGICA、電通ドットコムの4社が中心となり、GBA、GBA SPのインフラを使用し、アニメーションやミュージッククリップ、映画のトレーラなどの動画再生を行なうというもの。コンテンツ配信ビジネスに加え、独自形式の動画、音声圧縮サービス、及びメディアやアダプタの製造販売を行なう。

 メディアは独自の「am3スマートメディア」を使用。「am3アダプタ」にメディアを入れ、GBA、GBA SPに挿入し、動画や音声を再生する。アダプタにはCPUやDSPなどは搭載しておらず、動画のデコードはすべてGBA、GBA SP内蔵のCPU「ARM7」で行なう。そのため、メディアには動画データに加え、IMAGICAが提供する独自の圧縮コーデックやデコード、再生用のソフトウェアを収録している。

 5月下旬にテスト販売を開始し、10月頃に市場展開をスタート。秋商戦へ本格的に投入する予定。価格はいずれも予価だが、アダプタが2,800円程度。ブランクのam3スマートメディアが2,000円、キャラクターなどが印刷されたメディアは2,300円前後になるという。コンテンツはコンビニなどに設置されている端末を利用して配信する予定で、価格は200円から。現在流通大手と提携協議中とのこと。

メディアは独自の「am3スマートメディア」。スマートメディアと互換性があるほか、メディアを透明にしたり、キャラクターなどを印刷することも可能 am3アダプタにメディアを入れ、GBAとGBA SPに挿入する GBA SPにアダプタを装着したところ

 現在はまだ試作段階のため、圧縮フォーマットや、具体的な映像や音声のビットレートは公開していない。しかし、目安としては32MBのam3スマートメディアにアニメの1話分を想定した約24分の動画を収録できるという。なお、収録時間を短くする代わりに音声や映像のクオリティを上げたり、低ビットレートの音声のみを4、5時間といった長時間収録することも可能。ちなみに、動画のフレームレートは30fpsまで対応できる。

発表会の会場では試作のアダプタが使用されていた。写真では画面が青味がかっているが、実際の発色は良い。ブロックノイズが多少出るものの、動画は滑らかだ 音声のみを収録することも可能だ GBAにアダプタを装着したところ

 そのほかのコンテンツとして、デジタル漫画や音声付きのデジタルブック、語学練習用の教材なども予定している。また、JPEG画像を表示することもできるので、デジタル写真集なども計画しているという。今後もコンテンツ保有会社などに、出資やコンテンツの提供などの協力を呼びかけていく。

コーデックをメディアに内蔵するため、様々なタイプのコンテンツに対応できるという 将来的にはインターネットからのコンテンツのダウンロード販売も検討する

 販売の方法は、初期の段階ではコンテンツ入りのメディアとアダプタをセットにして発売する予定。ブランクのam3スマートメディアには、コンビニの端末を利用してコンテンツを書き込む。さらに、将来的にはインターネットからのコンテンツのダウンロード販売も検討しているという。

 コンテンツの作成、管理はIMAGICAが一括して行なうことで、著作権などの問題に対応する。よって、個人がデータを作成し、GBA、GBA SPで視聴するというスタイルは想定していない。また、任天堂との契約上、ゲームソフトをam3スマートメディアに収録することはない。なお、動画にはDVDのようにGBAやGBA SPのボタンを使用する選択式のメニューも搭載するが、あくまでチャプタ選択程度の操作に限定される。

 am3スマートメディアのセキュリティシステムには、DES(共通鍵暗号方式)のほか、128bitのコードを利用したユニークIDを使用する。これは、メディアが保有する個別のIDを、収録するコンテンツに登録し、メディアとコンテンツのIDが一致しないと再生できないというシステム。

 通常のスマートメディアに動画データとコーデックなどをコピーしても、動画を再生することはできず、あくまでam3スマートメディアを使用する必要がある。なお、am3スマートメディアは上位互換となっており、デジタルカメラなど、普通のスマートメディアとしても利用できる。

スマートメディアを採用した理由は、コストが安く、安全性が高く、イラストなどを印刷できるためだという am3スマートメディアは、従来のスマートメディアと同様の使い方もできる am3スマートメディアのセキュリティシステム


am3の代表取締役社長 吉田望氏

 発表会の席上でプレゼンテーションを行なった吉田望社長は「出荷台数が1,000万台に迫ろうというGBAをプラットフォームにすることで、“新しいテレビ”になりえる商品だ」と延べ、am3の今後に対する意気込みを見せた。

 また、提供するコンテンツについては、「ゲームボーイの購入者の半数は高校生以上というデータがある。新しいGBA SPは、大人が持っていても違和感のない優れたデザインだ。よって、大人をターゲットにした音楽や映画のコンテンツを提供することで、ゲームボーイが苦手としていた年齢層のニーズに応えることもできる」と語り、コンテンツの中に広告を掲載するなど、新しい映像のマーケティング手段も作れるという考えを示した。

 また、将来の展望として、コンシューマ市場だけでなく、博覧会やイベント、美術館などに同製品を提供し、手に持って展示や作品の解説映像が見れる「ビデオマニュアル」としても売り込みを進めていくという。なお、同製品は5月に米国で開催される「E3」でも展示し、その後米国でも発売する予定。

□am3のホームページ
http://www.am3.co.jp/
□ニュースリリース(PDF形式)
http://www.am3.co.jp/common/pdf/press_030204.pdf
□IMAGICAのホームページ
http://www.imagica.com/

(2003年2月4日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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