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第270回:オンキヨー「AVパソコン」のオーディオ性能は?
〜 デザインや操作性を刷新した「HDC-1.0」 〜



 今回は、オンキヨーから3月上旬に発売されるHDオーディオPC「HDC-1.0」の主にオーディオ機能についてチェックした。従来のPCとは明らかに異なるカテゴリーの製品ともいえるHDC-1.0は、オーディオファンにとって納得のいく機器に仕上がっているだろうか?



■ ミニコンポに近いサイズとデザイン。動作音は静か

HDC-1.0

 「HDC-1.0」は、オンキヨーの第2弾となるPCだが、メディアコンピュータ「HDC-7」の印象が非常に強かったこともあって、当初はHDC-1.0にもあまり興味を持っていなかった。さらに、宅配便で届いた箱があまりにも小さく、軽くてちょっと驚かされた。そういえばINTEC 205シリーズと同じ幅だということを改めて思い出しながら箱を開けると、とっても小さいPCが出てきた。

 さすがにMac miniと比較すると二周りくらい大きいが、一般的なPCと比較すればとにかくコンパクト。また、その容姿は、完全にINTECシリーズのミニコンポであって、PCとは思えないデザインだ。

付属キーボード

 とりあえず、付属の小さなキーボード、マウス、手持ちのディスプレイに接続した。電源はちょっと大きめのACアダプタなのが気になったが、さっそく起動。当然のごとく、Windows Vistaが立ち上がるが、ユーザーインターフェイスはAeroではない。というのも、OSがVista Home Basicだからだ。CPUがCore 2 Duo T5500 1.6GHzで、メモリが1GB、HDDは2.5インチの120GBというスペックから、あえて重くなるAeroを避けたのかもしれない。

 電源を入れてすぐに感じるのは、とにかく静かであるということ。ファンレスではないのだが、ファンの音などはまったく気にならないし、HDDのアクセス音などもほとんど聞こえてこない。オーディオ機器として十分使えるPCになっているようだ。ちなみに、チップセットはIntel 945GM+ICH7MというノートPC用のものが使われている。



■ 液晶付きの双方向リモコンで操作

 HDC-1.0の特徴の一つとして、USBメモリのような形のリモコンの受信機が付属し、立てて利用するスタンドも添付されている。さらに、液晶ディスプレイ付きの送受信リモコンも付属する。

USBメモリのような形のリモコン受信部 受信部はスタンドに立てて使用 リモコンは液晶ディスプレイ搭載

 リモコンが付いていると、Windows Media Centerを使用していると考えてしまうが、Vista Home Basicでは、Media Centerが入っていない。「HDC-1.0」でもMedia Centerではなく、独自の面白い工夫がされている。例えばリモコンのCDスイッチを押すと、PCとの接続中とのメッセージが最初に表示された後、CarryOn Music 10が起動し音楽の再生が可能となる。カーソルキーを押して曲の選択、再生などができるのだが、そのリモコンの使い勝手の発想がWindows Media Centerなどの10フィートUIとまったく異なる。

リモコンのCDスイッチを押すと、PCとの接続中とメッセージが表示 その後、CarryOn Music 10が起動する

 双方向リモコンであることと、液晶ディスプレイ付きであるところがポイントとなっており、液晶ディスプレイを見ながらまるでポータブルMP3プレーヤーを操作するような感覚で、リモコンが操作できる。つまり、PCと接続するディスプレイの電源はオフの状態でも、なんら問題なく操作でき、現在どの曲が演奏中で、何秒目を経過中かといった情報までリモコンに表示されるのだ。なお、DVDスイッチを押すとPowerDVDが起動してビデオの再生ができるようになっている。

リモコン側のディスプレイを見ながら操作できる 再生画面もリモコンに表示

 またリモコンの設定ソフトがあったので、これを起動してみたが、あまり設定項目はない。やはりCarryOn Music 10およびPowerDVDの操作が基本であって、これ以外のアプリケーションを割り当てるといったことはできないようだ。

 気になる、オーディオ機能だが、まずその端子を見ても一般のPCと異なるのが分かる。サラウンド出力用にステレオミニジャックが数多く並ぶのではなく、出力はRCAピンのステレオLINE OUTと光デジタルのみ。また入力もRCAピンのステレオ LINE INのみだ。

リモコンの設定ソフト。項目は少ない 背面

 シリーズ製品としてAPX-1というアンプもあるので、これに接続すれば、同じリモコンでアンプ側も操作可能となっている。


■ SE-90PCIをベースに、高い出力性能

 もう少しそのオーディオ機能について見てみよう。先日もレポートしたとおり、現状ではVistaで動作するオーディオインターフェイスは極めて少なく、人気の高いSE-200PCISE-90PCIなどのオンキヨーのオーディオインターフェイスもまだ未対応。そんな中、HDC-1.0はVistaで動作するまだ珍しい環境のマシンといえそうだ。HDC-1.0のオーディオインターフェイスはSE-90PCIのカスタマイズ版とのことだが、ドライバーでねじをはずしてシャーシを空けてみると、確かにSE-90PCIとよく似たカードが挿さっている。

SE-90PCIに似たカードが使用されている

 しかし、よく見るとSE-90PCIとは異なる面も多い。見てすぐに分かるのはコンデンサの色。これはSE-200PCIと同様のAUDIOコンデンサが使われているようだ。また、ところどころ、部品の配置も異なり、中央部分に白いコネクタが搭載されている。

 これは入力端子のようで、接続されたケーブルがLINE IN端子へと繋がっている。出力端子が完全なシンメトリック設計で、しっかりしたシールドがされているのに比べれば、かなりアバウトな配線という気がしないでもないが、やはりSE-90PCIがベースであるだけに再生メインのマシンだけど、一応オーディオ機器として入力も備えたといったところなのだろう。

コンデンサはSE-200PCIと同様のものが使われている模様。中央部に白いコネクタがある 白いコネクタは、LINE INへつながっている

デバイスはEnvy24 Familyとして組み込まれている

 このカード上のチップを確認したところ、メインのコントローラとしては、Envy24MTが採用されている。またDACにはWolfsonのWM8716が、またA/D兼CODECにはWM8776が採用されている。

 コントロールパネルのサウンドを見てみると、デバイスがEnvy24 Familyとして組み込まれているのがわかる。しかし、HD Audioでないため、「音の明瞭化」などのエフェクトタブはない。また、コントロールパネルには、このサウンドのほかにEnvy Audio Deckのアイコンがある。タスクトレイ上にもアイコンがあるが、いずれをクリックしても、ミキサーが起動する。

コントロールパネルには、Envy Audio Deckのアイコンも クリックするとミキサーが起動

 ミキサーといっても2in/2outで、ミックスするものもないので、単なる入出力のレベル調整だけだが、それぞれの項目を見ると、いくつかの設定がある。また、ここでサンプリングレートの変更も可能となっている。

ミキサーの設定項目

 また恒例のRMAAを用いたループテストを行なってみよう。この回路、配線を見る限り、出力はかなり高性能なのに対し、入力はあまり期待できそうにない。ループテストをすると出力性能と入力性能の掛け合わせのため、入力の性能が悪いと、それがそのまま結果として出てしまうが、毎回同じ条件でテストしているので、今回もいつも通りの設定で行なってみた。


24bit/48kHz 24bit/96kHz 24bit/192kHz

 パンフレットなどを見ると「HD 24bit/96kHzのサウンドをも再生し……」といった表現がされている。また先ほどの設定画面では192kHzまで対応しているようではあり、WM8716もWM8776も192kHzにまで対応しているので、48kHz、96kHz、192kHzの3通りで実験したが、最終的には極めていいとはいえないが、48kHz、96kHzでは悪くない結果となった。

 実際手持ちのアンプに接続して音を出してみたが、オーディオ機器としてまったく違和感なく使える。個人的には実売21万円という価格を別にすれば、初めてこの手のPCで欲しい気になる機材に仕上がっていた。


□オンキヨーのホームページ
http://www.jp.onkyo.com/
□ニュースリリース
http://www2.jp.onkyo.com/what/news.nsf/view/070201hdc10
□製品情報
http://www2.jp.onkyo.com/product/products.nsf/pview/HDC-1.0(S)?OpenDocument
□関連記事
【2月1日】オンキヨー、ハイコンポと同サイズのVista搭載AVパソコン
−「INTEC 205」と同じ横幅205mm。スピーカー/アンプセットも
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070201/onkyo.htm
【2006年4月7日】オンキヨー、Viiv対応のHD映像/音声対応PCを発売
−MCEで24bit/96kHz音楽を直接ダウンロード
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060407/onkyo.htm

(2007年2月19日)


= 藤本健 = リクルートに15年勤務した後、2004年に有限会社フラクタル・デザインを設立。リクルート在籍時代からMIDI、オーディオ、レコーディング関連の記事を中心に執筆している。以前にはシーケンスソフトの開発やMIDIインターフェイス、パソコン用音源の開発に携わったこともあるため、現在でも、システム周りの知識は深い。
最近の著書に「ザ・ベスト・リファレンスブック Cubase SX/SL 2.X」(リットーミュージック)、「音楽・映像デジタル化Professionalテクニック 」(インプレス)、「サウンド圧縮テクニカルガイド 」(BNN新社)などがある。また、All About JapanのDTM・デジタルレコーディング担当ガイドも勤めている。

[Text by 藤本健]


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AV Watch編集部av-watch@impress.co.jp
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