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第104回:メガコントラストと高色深度が織りなす超視覚体験
~ RGB LED+エリア駆動の実力は? ソニー「KDL-55XR1」 ~


 今秋冬モデルのBRAVIAは面白い。何かとエポックメイキングなことをやってきてくれたからだ。

 世界初の「4倍速240Hz駆動」のBRAVIA W1シリーズ。日本メーカーの民生向け液晶テレビとしては業界初の白色LED採用で、世界最薄9.9mmの「BRAVIA ZX1」。そしてRGB LEDバックライトシステムにエリア駆動を組み合わせた動的コントラスト100万:1の「BRAVIA XR1」。

 本連載は映像機器製品の評価に加え、映像製品ファンへの技術的なトピックを紹介するコンセプトも併せ持つので、その意味では今年のBRAVIAはネタの宝庫といえる。

 その中から今回は、「BRAVIA史上最高画質」を謳う、BRAVIA最上位機種「KDL-55XR1」を取り上げる。


■ 設置性チェック
 ~先進で贅沢なデザイン。重さは重量級、消費電力はプラズマ級

「KDL-55XR1」サイドスピーカーデザインを採用

 KDL-55XR1はスピーカーを左右に配置したサイドスピーカーデザインを採用している関係で、幅148.6cmとかなりワイドだ。画面サイズは幅121cmなので左右に約14cmずつ張り出したデザインということになる。

 デザイン面でユニークなのは、厚さ4mmにもなる透明な板ガラスが表示面を覆っているところ。スピーカーはこのガラスフレームの左右両端に備えており、映像表示部の左右からスピーカーが浮遊して見えるように演出されている。電源、スタンバイなどのLEDインジケータはガラスフレーム右下段に備えており、向こうが透けて見える手前に明かりが浮かぶ。こうしてデザイン面に贅沢にこだわっているのは実にソニーらしい。

 しかし、そのためかは分からないが、本体重量はスタンド込みで54kgとかなり重い。シャープの65V型AQUOS「LC-65GX5」がスタンド込みで55.5kgなので、KDL-55XR1は平均的な製品と比べてかなり重い。この重量は、ガラスフレーム構造だけではなく、後述するLEDバックライトシステム部の重量にも起因していると思われる。今回の設置時には成人男性二人で階上に運んだが、かなり大変だった。できれば3人で運びたい。


スピーカーユニットは板ガラスに固定 透明な板ガラスに備え付けられたインジケータ ガラスフレームが表示面を貫いている設計。この重さもあってか本体がかなり重い

スタンドは±20度のスイーベルに対応する

 横幅は約150cmと大きいが、スタンドの奥行きは35.6cm程度なので、設置スペース的には普通の液晶TVと変わらない。

 これだけのヘビー級ではあるが、一応、壁掛け設置にも対応しており、設置金具として純正オプション「SU-WL500」(26,250円)が設定されている。金具の重量は4.7kg。KDL-55XR1のスタンドを除いた重量は47.5kgで、合計すると52.2kg。壁掛け設置の際は厳重に壁補強を行なう必要がある。

 これだけの巨体でありながらも、設置スタンドは手動式で左右に±20度スイーベルさせることができる。キッチンとリビングの両方から楽しみたい場合など、状況に合わせて傾かせれば活用の幅が広がることだろう。

 設置して気になったのは額縁部の光沢塗装の“てかり”と映像表示面の周囲の映り込みの強さだ。

 額縁部は上が5.5cm、左右と下が約6cmもあり、相当な広さの額縁だが、この広い額縁部が光沢塗装になっているため、相対した位置にある窓からの光や、天井照明を強く映り込ませてしまう。

 また、映像の質感を際だたせるためなのか映像表示面のグレアをあえて抑えていないようで、相対した窓の光や天井照明が表示面に映り込んでくる。購入を検討している人は窓の位置や照明の位置に注意したい。「BRAVIA史上最高画質」も照明や窓からの光が映り込んでしまっていては実力を発揮できないため、それこそ「もったいない」。

 さすがハイエンド機に分類されるだけあって、スピーカ部はフルレンジユニット×2+ウーファ×1+ツィーター×1の3Way4スピーカー構成。アンプ出力は10W×2chと12W×2chウーファの総合44Wとかなりパワフルだ。実際、音量を上げたときの音の聞こえ方に破綻が少ない。

 消費電力は480Wで、液晶テレビとしてはかなり高め。シャープの65V型AQUOS「LC-65GX5」で470W、日立の50V型プラズマテレビWooo「P50-HR02」で449Wなので、1サイズ上の液晶並み、あるいは同サイズのプラズマ並みの消費電力ということができる。RGB-LEDによるバックライトシステムが起因しているのだろう。

 動作音は、本体に近づけばキィィという高周波音が聞こえるものの。1mも離れてしまえばほとんど分からないレベルであった。

スピーカーのカバーを外したところ。ハイエンド機だけあってスピーカーも贅沢な作り 大規模なバックライトシステムのせいか、奥行きは14.7cm。平均的な液晶テレビの1.5倍ほどだ 放熱に気を遣っているためか背面のスリットの数はとても多い


■ 接続性チェック
 ~HDMI 4系統装備でPC入力も完備

背面接続端子。正面から見て左側の背面にある 側面接続端子。こちらも正面から見て左側の側面にある

 本体正面向かって左側の背面に接続端子を装備。HDMI端子は4基あり、背面に3つ、側面に1つ実装している。

 アナログビデオ入力端子はハイエンド機らしくそれなりに充実している。コンポーネントビデオ系としてはD5(1080p)入力対応したD端子を2系統、背面に備える。

 コンポジット入力端子は背面に2系統、側面に1系統の合計3系統を装備。S2ビデオ入力は、そのうち1系統と排他利用で1端子備えているのみ。Sビデオ端子の扱いが低くなってきたことを実感させる。

 KDL-55XR1のデジタルチューナからの映像をアナログ出力する録画出力用の端子はS2ビデオ出力、コンポジットビデオ出力の両方に対応している。光デジタル音声出力端子も備えており、外部機器にチューナ音声を出力できる。

 PC入力端子としてはD-Sub15ピン(アナログRGB)端子を1基備えている。実際にパソコン(GeForceGTX280利用)からKDL-55XR1とアナログRGB接続してみたが、1,920×1,080ドット画面で正しくドットバイドットで映し出すことが出来た。PC入力端子の直下にはステレオミニプラグがあり、PCからの音声をここに繋ぐことでPCサウンドをKDL-55XR1で再生することが可能だ。PCディスプレイとして活用する際にはとても便利に使える。

 DVI-HDMI変換アダプタなどを用いてPCとHDMI接続も可能だ。実際に接続したところ問題なく1,920×1,080ドット画面をドットバイドットで表示できた(GeForceGTX280利用)。オーバースキャンされてしまうときは「画面モード」の「表示領域」設定にて「オート」等の設定から「フルピクセル」設定を選べば強制的にアンダースキャン表示してくれる。なお、PCやゲーム機をHDMI接続したときには後述の「ゲームテキストモード」を有効にすること(理由も後述)。

 また、アナログビデオ入力3の音声入力端子は、HDMI1入力のアナログ音声入力端子としても利用できる。

 Ethernetも装備し、ネットワーク機能に対応。Webブラウズや家庭内ネットワークのDLNA対応AV機器の映像/写真/音楽再生が行なえる。アクトビラ ビデオにも対応しているが、SD解像度の「ベーシック」まで。KDL-55XR1はMPEG-4 AVC/H.264デコーダを搭載しておらず、HD映像配信のアクトビラ・ビデオ フルには対応していない。

 側面にはUSB端子があるが、これはデジタルカメラと接続してデジカメ内の写真や映像、音楽を再生するためのもの。16GBまでの機器を接続可能で、再生できるメディアファイルはJPG、MP3、MPEG-1など。MPEG-2やAVCHDには対応していない。

オーバースキャンをキャンセルするには「表示領域」を「フルピクセル」設定にする アクトビラのポータルサイト


■ 操作性チェック
 ~おき楽リモコンと高速XMBによるハイレスポンスな操作系

リモコンが2基付属する

 本体セットには一般的なバータイプのリモコンともう一つ、電卓のような幅広で全長の短いリモコンが付属してくる。この幅広のリモコンには「おき楽リモコン」という名称が付けられており、こちらがメインのリモコンということのようだ。

 おき楽リモコンは、赤外線方式ではなく、2.4GHz帯の電波を利用した無線式接続になっている。なので、リモコンとテレビの間に遮蔽物があっても問題なく信号を伝送できる。今回の評価で設置されているリビングから4m離れて画面と逆向きに操作をしても普通にコントロールが出来た。

 このおき楽リモコンならば、そのキッチンからリモコンをテレビに向けることなく操作がするなど、操作位置を問わずに操作できるだろう。ちなみに「おき楽リモコン」の「おき楽」は“置き”楽の意味も兼ねているようで、テーブルに“置いたまま”、テレビとリモコンの間に遮蔽物があっても“楽々使える”というところから来ているようだ。


「おき楽リモコン」。KDL-55XR1ではこちらのリモコンをメインに活用する おき楽リモコンの左端、そして蓋を開けたところにはブラビアリンク支配下の機器を操作するための「ダイレクト操作」ボタンが並ぶ パータイプのリモコンは赤外線式。テレビに向けて操作する必要がある

 おき楽リモコンには、ソニー製のブラビアリンク対応の外部機器を直接操作できるという「ダイレクト操作」機能も備えている。おき楽リモコンの下部の蓋を開けると露出する[ネットTV]、[録画機器]のそれぞれに外部AV機器を登録しておけば、以降、[ネットTV]または[録画機器]を押した後、おき楽リモコン上の再生制御ボタンや、その他の録画機器連動制御ボタンを使って外部機器がコントロールできるようになる。

 HDDレコーダならば[リプレイ]ボタンでタイムシフト視聴が行なえ、[見て録]ボタンを押せば、KDL-55XR1にて視聴中の番組を、すぐに外部機器に録画実行できる。ソニー製のブラビアリンク対応製品をHDMIケーブルでKDL-55XR1へ接続すればKDL-55XR1を中核にした録画視聴環境を構築でき、なおかつこのおき楽リモコンでその制御が行なえてしまう。ブラビアリンクで、レコーダやシアターラックなどのソニー製品を相互に連携させることで、利便性を高める狙いだ。同時に録画機などの導入を検討している人は、こうした機能にも注目しておきたい。

 電源オンを押してから地上デジタル放送が画面に出るまでの所要時間は約8.5秒。KDL-55XR1がバックライトに採用しているLEDは即点灯がウリなはずだが、最近の平均的な製品と比較しても遅い。

電源オン時にはSONYロゴがライトアップされる。常時点灯させることも可能

 地デジ放送のチャンネル変更所要時間は約2.0秒。こちらはまずまずの早さだ。

 入力切り替えはリモコン最上段の[入力切替]ボタンを押し、入力切り替えメニューを出し、ここからリモコンの十字キーの上下と[決定]で選択する方式。切り替え所要時間はHDMI1→HDMI3で約2.5秒、HDMI1→コンポーネントビデオ(D5)で約2.5秒とこちらも早さは標準的。

 なお、「外部入出力設定」-「オートインプットスキップ設定」で未接続の入力端子をスキップする(スキップ設定=自動)とすると十字キーの上下操作で余計なところにカーソルをあてずに済むのでスピーディに切り替えができる。また、ここで各端子に接続する機器種別とアイコンも設定できるので、たとえばHDMI1を「ゲーム」、HDMI2を「PC」といった具合に設定すれば、端子名だけの表示よりもわかりやすくなる。カスタマイズをお勧めする。

「外部入出力設定」-「オートインプットスキップ設定」 入力切換メニューを開いたところ。「HDMI1」のような無機質な名称ではなく「ゲーム」というように接続機器を表示させられる

アスペクト比切換メニュー。どういう切換を行なうかをアニメーション・アイコンで表示

 アスペクト比の切り替えも[ワイド切換]ボタンを押してワイド切換メニューを開き、ここで上下キーで希望のアスペクトを選択するという操作系になっている。切り替え所要時間はほぼゼロ秒で、カーソルをアスペクトモードにあてた瞬間に切り替わる。アスペクトモードは各メーカーで呼称が違うためモード名だけ表示されてもチンプンカンプンなことが多いのだが、KDL-55XR1では、そのモードがどういう表示を行なうのかをアニメーションアイコンで表示してくれてるため、直感的にわかりやすい。これは他のメーカーでも見習うべきインターフェース設計だ。素晴らしいと思う。

 なお、用意されているアスペクトモードは以下のようになっている。


ワイドズーム4:3映像を疑似ワイド表示するモードに相当するが、中央付近も拡大され、なおかつオーバースキャンされるので一般的な疑似ワイド表示モードよりも使い勝手はよくない
ノーマル4:3映像をアスペクト維持して表示するモード
フル16:9映像を全画面表示するためのモード
ズーム4:3映像に16:9映像がレターボックス記録されている映像に対して、16:9映像を全画面表示するモード。アスペクト比は維持される
字幕入前出のズームに対して画面下部の字幕を見やすくしたバリエーションのような名称だが、実はワイドズームモードに対し、字幕が表示されるエリアを画面下部に入るようにオーバースキャンエリアを変えたモード。基本的には疑似ワイドモードなのでアスペクト比が変わるため、使いどころがよく分からない

 二画面表示機能も装備。KDL-55XR1ではリモコン上の[2画面表示]ボタンを押すことでダイレクトに起動できる。表示モードはサイドバイサイド方式の横並べ表示方式に限定され親子画面表示には対応していない。

 二画面表示モードでは十字キーの左右で操作対象画面を選ぶことができ、選択された方からのサウンドを聞くことができる。

 ユニークなのは選択中の画面の方を十字キーの上下で無段階に拡大縮小出来るという点。興味がある方の画面を自在に拡大縮小出来るのは遊び心があって面白い。

 二画面表示が出来る入力ソースの組み合わせの自由度は比較的高いが制約はある。左右どちらの画面にも表示できるのはデジタル放送(地上/BS/110度CSデジタル)、アナログビデオ入力(コンポジット、Sビデオ、D5)で、左画面でのみ表示できるのがHDMI入力とアナログ放送になる。なお、PC入力(アナログRGB接続)は二画面表示には対応できないが、HDMI入力でPCを接続して左画面に表示すれば、右側には任意のデジタル放送、アナログビデオ入力を表示できる。

 リモコン上の[メモ]ボタンは、画面キャプチャボタンで、押した瞬間を静止画にして表示してくれる。料理番組のレシピ画面やプレゼントの応募先画面などのメモ取り時などに活用すると便利そうだが、画像の保存は出来ない。

画面右が実際のアプリキャスト。アプリキャスト起動時はメイン画面が縮小されて表示される

 十字キーの上側にある[アプリキャスト]ボタンは、インターネットから天気や、ニュースなどの情報を取得/表示するアプリケーション「アプリキャスト」を起動するためのもの。アプリキャスト起動中は、テレビ放送などのメインの表示画面は縮小されて表示され、十字キーの上下で見たいアプリキャストを選択するような操作系になる。ニュース系アプリキャストは「ニュースの見出し」が表示され、ニュース本編を読むときには結局全画面のWebブラウザを起動することになり、あまりスマートに使えない。

 KDL-55XR1にはWebサイトを見るためのインターネットブラウザも内蔵されている。画面表示が大きく見やすいブラウザだが、アプリケーションプロセッサの性能不足なのか、PC用ブラウザと比べると挙動が重い。本格的なネットブラウジングをするのであれば、PCやPS3のWebブラウザを使った方が快適だ。

 最近増えつつあるテレビに搭載の全てのインターネット関連機能について思うことなのだが、PCの代わりを目指すのであれば、PCと同等以上の使い勝手にならなければ意味がないし、そうでないのであれば、視聴しているテレビ番組の内容に連動しつつ、テレビ放送を見ながら活用できるような機能にしないと、積極利用する人は増えないと思う。ユーザーにとっては「無駄な機能」と思われないような進化と改良を各メーカーには期待したい。

KDL-55XR1のWebブラウザでAV Watchを見たところ 文字サイズを「小」設定にすると表示範囲が広がる

 メインメニューはリモコンの水色の[ホーム]ボタンで起動されるが、メニュー構造はソニー製AV機器でお馴染みのクロスメディアバー(XMB)を採用している。XMBはPS3やPSPなどで慣れ親しんでいる人も多いはずで、そうした人はメニュー階層の潜り方で迷うことはないだろう。これはソニーファミリーとしての大きなアドバンテージだ。

 Webブラウザは重いKDL-55XR1だが、XMBのレスポンスは平均的な家電製品のそれを遙かに上回る俊敏さがある。このメニュー操作の快適性は他社が見習うべき点が多いと思う。

 調整可能な画調パラメータは「ピクチャー」(コントラスト)、「明るさ」(ブライトネス)、「色の濃さ」「色あい」「色温度」「シャープネス」といった一般的なもの以外に、ノイズリダクションをはじめとした映像エンジンの効き具合を調整するパラメータなどが用意されている。

メインメニューはXMB。階層を潜って使うPC的な設計だが慣れれば使いやすい 画質設定

 特徴的なのはLEDバックライトの最大輝度を調整する「バックライト」や、LEDバックライトのエリア駆動のダイナミックレンジを設定する「LEDコントロール」など、映像駆動システムに直接関わるパラメータを触れるところ。他機種では味わえないそうした画質調整が楽しめるのはKDL-55XR1の特権だ。

 画調パラメータのメモリ管理はソニーらしい合理的なシステムになっている。

 まず、管理自体は完全に入力系統ごとに個別に管理され、それぞれにプリセット画調モードとして「ダイナミック」「スタンダード」「シネマ1」「シネマ2」、そしてユーザーメモリに相当する「カスタム」が用意されている。カスタムはもちろんのこと、プリセット画調モードも全てエディット可能で、調整した結果はそのまま保存される。画調切り替え所要時間は約1.5秒で他機種と比べると意外に遅い。

 ユニークなのは、調整の際に「設定対象」が選べるところだ。たとえば「設定対象」を「共通」として「画質モード」を「スタンダード」として「ノイズリダクション」を「切」設定にすると、全ての入力系統の「スタンダード」の「ノイズリダクション」が「切」設定になる。もちろん工場出荷状態に戻す際も全入力系統について元に戻せるほか、特定の入力系統についてだけ元に戻すことも出来る。

 このような効率のいい調整機能設計が今まで出てこなかったのが不思議なくらい自然と使えて便利。この仕組みも是非、他社にも真似して欲しいと思う。

「画質」の「詳細設定」には「LEDコントロール」のような、KDL-55XR1ならではの設定項目も並ぶ 画調パラメータの設定画面。「設定対象」を「共通」で調整すると全ての入力系統の画調パラメータに影響を及ぼす。これは使いやすい


■ 画質チェック
  ~トリルミナスがついに完成形に

 液晶パネルはご存じソニーパネルを採用する。ソニーパネルはサムスンとソニーの合弁会社のS-LCDが製造する垂直配向(VA)タイプ。VAパネルは暗部の沈み込み特性に優れるとされ、元来、ネイティブコントラストが高いという特長がある。ちなみに、KDL-55XR1に採用されている55V型パネルはネイティブコントラストで3,000:1をスペック表記でも謳っている。

トリルミナスの概念図

 ただ、KDL-55XR1は、液晶パネルの方式を議論することを超越した画作りで話題を呼んでいる。バックライトシステムとしてRGB(赤、緑、青)の三色のLEDを採用しており、ブランド名として「トリルミナス」を与えている。

 KDL-55XR1のトリルミナスについては、ソニーが意識的に“RGB LED”トリルミナスと頭に「RGB LED」を付けて呼称しているが、基本的なシステムの構造はKDL-70X7000以前のトリルミナスと同じだ。液晶パネルの背後にRGBのLEDバルブをマトリックス状に並べた構造になっており、そこからの光を液晶画素で透過具合を制御して映像を作り出す。液晶画素の出口にもRGBのカラーフィルタは配されるので、単純にこれまでの冷陰極蛍光ランプ(CCFL)をRGB LEDに置き換えた構造をイメージすればよい。ちなみに、液晶パネルの背後にLED光源を敷き詰めるような形でのLEDバックライトシステムは「直下型方式」と呼ばれる。

 BRAVIA XR1におけるトリルミナスでは、R、Bが1基、Gが2基のRGGB-LEDバックライトモジュールを1単位として、これを液晶パネルの背後に配列させる仕組みを取っている。このモジュールの並べ方で、比較的柔軟に画面サイズバリエーションに対応できると予想され、実際、XR1シリーズでは今回試用した55V型「KDL-55XR1」のほかに、46V型「KDL-46XR1」もラインナップされている。なお、それぞれにおいてのLED個数は非公開としている(2004年発売の46V型KDX-46Q005は450個のLEDを搭載していた)。

CEATEC 2008で公開されたBRAVIA XR1のRGB LEDモジュール。写真では3つだが、実際の製品では、この間隔で画面を網羅するような形で配列されている 1個あたりのRGB LEDモジュール。RGGBと言う構成

新世代トリルミナスはLEDバックライトのエリア駆動に対応した

 そして、もう一つ、過去のトリルミナスから進化したところがある。それはRGB-LEDバックライトがエリア駆動に対応した点。このシステムの実現には、前述したRGB-LEDバックライトシステムのモジュール化が大きく関係している。

 エリア駆動とは、表示映像中の輝度分布をリアルタイム分析して、その映像部分に対応する各RGB-LEDバックライトに対してバックライトの輝度を動的に上げ下げする仕組みのことだ。

 たとえば夜空に満月が浮かぶシーンがあれば、満月の背後に対応するRGB-LEDモジュールのみを明るく駆動し、それ以外の夜空の部分は暗く駆動するようにする。これにより、1フレームの映像中において明と暗がより際だった形で表現できるようになる。

 これまでの画面全体を一様に光らせるバックライトシステムでは、動的にバックライトの明暗を制御する方式であっても、映像中の一番明るい箇所の明るさで光らせる必要があった。液晶画素は漆黒として駆動しても様々な要因で光が漏れてきてしまうため、映像中の一番暗い部分にとって、その時点でのバックライト輝度が明るすぎた場合には、本来表現したい暗さよりも“明るく”なってしまう。これが、いわゆる「黒浮き」現象の大きな要因の1つだった。

 エリア駆動になると、かなり理想に近い形で明暗が表現できるようになる。実際に部屋を暗室状態にしてから視聴してみたが、掛け値なしに唸らされてしまった。

 高輝度部分だけでコントラストを稼ぐのではなく、ちゃんと暗い部分でも稼げており、スペック表記にある「動的コントラスト100万:1」の数値の信憑性はともかくとしても、実際にそれまでの液晶テレビでは見たことがないほどの明と暗が同居しているのはたしかだ。

8月の発表会におけるデモ。映像を切り、バックライトのみを表示したところ。映像にあわせてバックライトの点灯するエリアを制御している

 視聴したのはBlu-ray版「インディジョーンズ・クリスタル・スカルの王国」。薄暗い屋内シーン、暗闇の墓場のシーン、陽光きらめく屋外シーンとシーンバリエーションが豊富なこの作品を非常に高い情報量で楽しむことが出来た。特に暗部の色味か素晴らしかった。

 最近は、暗部の階調表現や、暗部の色味表現はLCOSプロジェクタの映像の方が液晶テレビを上回っているという実感を持っていたのだが、KDL-55XR1の映像を見る限りではこれと同等かそれ以上の表現力を感じる。

 人間の視覚は、現実の視界では暗いところで物を見たときには、色味が失われつつ見えるのだが、KDL-55XR1の映像は、黒表現をちゃんと漆黒に着地させた状態で暗部階調のダイナミックレンジを拡大して見せてくれるため、映像中の超暗部表現にも色味が感じられ、現実視界を超えたような映像になっている。単に階調を持ち上げた映像ではないので、ハイコントラスト感とハイダイナミックレンジな色表現が同居する、これまで未体験だった映像を目の当たりにすることになるのだ。

NTSC比125%、CCFL比160%の広色域を実現するトリルミナス

 RGB-LEDバックライトシステムといえば広色域性能にも期待がかかる。トリルミナスのNTSC色域比125%の広色域はx.v.Color対応機器(現状ではビデオカメラなど)と組み合わせて本領が発揮されるわけだが、KDL-55XR1には手軽にRGB-LEDの広色域を楽しめるモードが用意されている。それが「カラースペース」設定を「ワイド」にして有効になる広色域モードだ。この広色域モードでは、BDやDVD、デジタル放送などの現行映像の視聴においてもトリルミナスの広色域性能を最大限に活用して発色をしてくれるようになる。

 広色域モードでは、やはり純色表現において鋭さが増す。特に赤はCCFLではなかなか見られないような純度の高い赤を出してくれる。青や緑にも深みが増し、慣れると広色域モードが心地よくなりクセになってくる。中明部付近の発色にも広がりがあり、映像全体としてみると色ディテールが鮮明な形で浮かび上がってくる。階調方向(輝度方向)の情報量だけでなく、色方向の情報量も多い。

 また、肌色表現も赤味と白味のバランスが絶妙で、不自然な黄味も感じられない。色ダイナミックレンジが高いおかけで、肌のハイライト付近のグラデーションの出方もしっかりしているし、肌の肌理の描写も絶妙だ。


ピクセルの拡大写真

 液晶のバックライトシステムとしては理想型のトリルミナスだが、こうした直下型のRGB-LED式のバックライトシステムでは爆弾も抱えている。それは光ムラと色ムラだ。

 液晶パネルのうち、各LEDからの直接光を受ける画素群と拡散板からの反射光を受ける画素群とで輝度差や色味の違いがでてしまうことが、直下型ではある。実際、QUALIA005に採用された最初期のトリルミナスではこの弱点が指摘されていた。直下型LEDバックライトで、しかも前述のLEDバックライトのエリア駆動までを組み合わせるとなると、さらにシステム設計の難度が上がる。よほどうまくLEDバックライト側の光学設計と液晶パネルの動的駆動を最適化しないと、粗が目立ってしまうはずだ。

 しかし、さすがは3世代目のトリルミナス。そうした問題は全く感じられない。直下型LEDバックライトで、この最適化がうまくいっていないと、グレースケールパターンやグラデーションパターンを画面内に移動させながら表示すると、パターンに不自然な色変化や輝度変化が知覚されるはずなのだが、実際にテストしてみても、そうした問題は起こらなかった。明暗分布の激しい映像が動いても違和感はない。

 弱点は、無理矢理探すとすれば1点ある。それは、表示映像のしっとり感を出すためなのだろうか、液晶表示面のノングレア加工を抑え気味にしている関係で、表示映像が環境光の影響を受けやすい。画面に相対する方向に窓があったり、あるいは照明器具の光が画面に差し込むような位置関係に設置していると黒が浮いたように見えるのだ。

 もし、KDL-55XR1を視聴したときに「言われるほど黒が黒くない。コントラスト感に乏しい」と思ったら暗室にして視聴してみてほしい。それで改善されれば、原因は外光や照明光だ。設置位置を再検討したほうがいい。


「モーションフロープロ」の動作概念図

 残像低減機能については、それまでのBRAVIAに搭載されていた倍速駆動技術の「モーションフロー」を拡張した「モーションフロープロ」が搭載されている。これは他社でも採用しているような予測フレーム挿入補間方式の「モーションフロー」に加え、RGB-LEDバックライトのエリア駆動を活用した疑似インパルス駆動までを付加したハイブリッド技術になる。

 具体的には、上から下に走査するようにRGB-LEDバックライトモジュールに対してバックライトの明滅(バックライトブリンキング)を行なう。

 今回の評価では、「モーションフロープロ」モードを有効にすると、ピーク輝度が下がり(照度計で確認)、黒挿入が行なわれていることは確認できたものの、残像低減に際しては「モーションフロー」モードと大きな差異は認められなかった。筆者的にはモーションフローでも十分な残像低減が実現できていると思うので無理に「プロ」にする必要はないと感じる。メーカー側も同意見なのか、デフォルトでは「モーションフロープロ」ではなく「モーションフロー」モードに設定されている。

 バリエーションだけが増えて、その技術をどう設定すれば実機で有効なのかがわかりにくいのはソニーに限らないが、KDL-55XR1でも、設定項目とカタログ表記の技術名が一致していなかったり、設定値がどの技術を有効にするのかがマニュアルにも詳しく記載されていなかったりしている。よって、以下の解説は筆者の評価に基づくものであることをあらかじめお断りしておく。

 以下に、KDL-55XR1のプリセット画調モードのインプレッションと、高画質化機能の活用法を記しておく。


【プリセットの画調モード】
 1,920×1,080ドットのJPEG画像をPLAYSTATION 3からHDMI出力して表示した。撮影にはデジタルカメラ「D100」を使用。レンズはSIGMA 18-200mm F3.5-6.3 DC。撮影後、表示画像の部分を800×450ドットにリサイズした。
 
●スタンダード

 色温度は「中」設定で、白色が純白に近い。カラースペースは「ワイド」設定の広色域モードを選択しており見た目にも鮮烈だ。シャープネスは強めで、映像に眠っているディテールを強気に掘り出して見せようとするきらいがあるものの、全体としてのバランスは良好。

 奇をてらわず、KDL-55XR1の映像表現能力のおいしいところを使う設定で一番常用性が高い。

 
●シネマ1

 映画視聴向けの画調モードで、マニュアルには「映画スタジオの編集環境に準じた」とあり、スタンダードと比べると暗部階調描写に力点を置いた画調となっている。ただ、エリア駆動バックライトシステムの効果もあって、黒が浮くような安直な階調ブーストではない。

 色温度を最低の「低2」としただけでなくバックライト輝度も「最小」設定としているため、赤味が強く、そしてとても暗い。暗室での視聴向きだ。

 カラースペースも「スタンダード」の標準色域モードに設定され、全体的にとても硬派な画調となっている。

 
●シネマ2

 基本的なコンセプトは「シネマ1」と同じで赤味のある暗めな画調。「シネマ1」との違いは、暗部階調を「シネマ1」よりもさらに強調して階調情報量を増やしているところと、広色域モードを選択して色味を「スタンダード」に寄せているところ。

 個人的にはシネマ2の方が映像鑑賞には向いていると思う。

 
●ダイナミック

 色温度を「高」設定にしている関係で白は青みを帯びている。暗部の階調はやや殺し気味でコントラスト感を強く出そうとする意志を感じる。

 シャープネスは過度にあげられているため、ちょっとざらざらした質感になっている。

 発色は派手で、人肌も赤味が強くなる。あまり映像鑑賞には向かないが、昼間の陽光が差し込んでいるときや、遠く離れた場所から見る場合には見やすいかも知れない。

 

【高画質化機能活用法】
●モーション・エンハンサー

 このメニューは「モーションフロー」にまつわる設定のようだ(項目名も「モーションフロー」にすればいいと思う)。

 「切」「標準」「スムーズ」「クリア」の四段階設定が選べるが、筆者が試用してみた限りでは、モーションフローが有効になるのが「標準」と「スムーズ」で、弱く効くのが「標準」、強く効くのが「スムーズ」になる。「スムーズ」はCGやアニメにはいいが、時々エラーが映像に乗るので、「標準」が最も常用性が高い。

 「クリア」が「モーションフロープロ」モードになる。「クリア」設定では「標準」設定程度のモーションフロー効果に、バックライトのエリア明滅が付加されたものになるようだ。前述したようにピーク輝度が落ちるのであまりお勧めしない。


●シネマドライブ

 いわゆる2-3プルダウン系の機能設定になり、「切」「オート1」「オート2」が選べる。

 「オート2」は一般的な2-3プルダウン処理を行なう。「オート1」ではこれに加えてモーションエンハンサー機能を併用する。通常は「オート1」設定でいいだろう。


●ゲームテキストモード

 BRAVIAの映像エンジンの高画質化ロジックを極力バイパスして映像を表示し、映像のにじみを抑え、表示遅延を低減する。PCやPS3などのゲーム機をHDMI接続時など、ベースバンド映像を表示する際には出来るだけ有効にすべき。


●DRC-MFモード切換

 DRC-MFとは「デジタル・リアリティ・クリエーション:マルチ・ファンクション」の略で、入力映像に対して算術的な画素補間を行なって解像感を高める、ソニー特有の映像処理のこと。

 地デジ放送の1,440×1,080ドットのインターレースやDVDビデオの720×480ドットのインターレースには効果が高いのだが、結構エラーも多いので、BSデジタルやBDの1,920×1,080ドット映像の視聴にはオフがいい。

PCディスプレイ的な表示モードの「ゲームテキストモード」。“画”という字の“田”の部分や、“る”、“な”、“は”などの○の部分に着目 高画質化機能やDRC-MFの影響で、"画"という字の"田"の部分や、"る"、"な"、"は"などの○の部分が白く抜かれてしまっている


●黒補正

 暗部をより沈み込ませてコントラストを稼ぐ機能。後述のLEDコントロールをうまく手なずけられれば、KDL-55XR1では活用する必要はないと思う。

「黒補正」オフ。暗部階調がよく見える 「黒補正」オン。暗部階調が沈められてしまう

●アドバンスC.E.

 映像の平均輝度に応じてバックライトとコントラストを動的に調整する機能。具体的には、暗いシーンでの暗部階調表現の持ち上げを行なう。後述のLEDコントロールをうまく手なずけられれば、KDL-55XR1では活用する必要はないと思う。

「アドバンスC.E.」オフ 「アドバンスC.E.」オン。明るいところがより明るく、暗いところがより暗くなる


●LEDコントロール

 バックライトのエリア駆動の効き具合を調整するもの。「切」「弱」「標準」が設定でき「中」や「強」設定はない。

 「弱」と「標準」との違いは、明暗表現をより液晶画素駆動に頼って行なうのが「弱」、バックライトに頼って行なうのか「標準」となる。KDL-55XR1のポテンシャルをフルに活用するならば「標準」で常用すればいい。

「LEDコントロール」オフ 「LEDコントロール」標準設定。滝の右横の岩肌の質感がよく見えるようになる


●オートライトリミッター

 映像の平均輝度上限を設定して映像が過度に明るくなりすぎないように輝度ダイナミックレンジを自動調整する。暗い部屋で長時間視聴する際には有効だが、KDL-55XR1のポテンシャルは殺されることになるので出来れば「切」で常用したい。


●クリアホワイト

 白やグレーについてのみ選択的に色温度を上げる設定。通常は「切」でよし

「クリアホワイト」オフ 「クリアホワイト」オン。白が青白くなる


●カラースペース

 色空間の設定になり、「スタンダード」か「ワイド」が選べる。「ワイド」で広色域モードになる。広色域モードはやや記憶色に振った発色になるが、色ダイナミックレンジはかなり拡大されるので違和感がなければ「ワイド」で常用してもよいと思う。

「カラースペース」スタンダード 「カラースペース」ワイド。赤が鋭くなる
「カラースペース」スタンダード 「カラースペース」ワイド。緑が深くなる
「カラースペース」スタンダード 「カラースペース」ワイド。青の色味が濃くなる

●ライブカラー

 発色を記憶色再現方向に振る強度を設定する。カラースペースを広色域モードにしていれば「切」設定で不満はない。

「ライブカラー」オフ 「ライブカラー」オン。発色を記憶色再現方向に調整するモード


●ディテールエンハンサー

 明暗が高周波で変化している部分の、明暗変化を強調するデジタルフィルタ処理。DVDビデオ映像などではいいがHD映像では映像が劣化するだけで使う意味がない。

「ディテールエンハンサー」オフ設定 「ディテールエンハンサー」強設定。陰影の濃い部分を、選択式にさらに濃くするような効果が得られる


●エッジエンハンサー

 映像の輪郭を選択式に強調するデジタルフィルタ処理。こちらもDVDビデオ映像などではいいがHD映像では使う意味はない。

「エッジエンハンサー」オフ設定 「エッジエンハンサー」強設定。明暗の際だった箇所の陰影を強調するような効果が得られる。輪郭が太めになってしまう箇所もある



■ まとめ

 RGB-LEDバックライトシステムの「トリルミナス」は2004年に発売された今は亡きブランド「QUALIA」の「QUALIA 005」に初めて採用されたが後が続かず、2007年に発売されたBRAVIA「KDL-70X7000」で復活を遂げたという経緯がある。KDL-70X7000は約400万円と非常に高価だったが、KDL-55XR1は50万円前後であり、「トリルミナスが普及モデルラインに降りてきた」ということを実感させてくれる。

 人間の目は輝度には敏感で色には鈍感という特性があるが、RGB-LEDバックライトの発色の良さは、そんな人間の目にも違いを分からせるほど違って見える。

 今回の評価の際には筆者周辺の映像機器に詳しくない数人にKDL-55XR1のスペック詳細を伏せた上で見てもらったのだが、「普通のテレビの映像よりもなんだかリアルに見える」、「妙に強い立体感を感じる」というような感想を漏らしおり、画質マニアではない一般の人にも十分伝わる高画質になっている。

 初代トリルミナスの荒削りぶりの記憶があったので、今回の“初”のエリア駆動には少々不安があったのだが、その不安は杞憂であった。暗いところがしっかりと暗く、それでいて明るいところは明るい。色味も暗色から明色までリニアに見える。KDL-55XR1の画素は、液晶画素の表現というよりも、なんというか、プラズマディスプレイやブラウン管の自発光画素のポテンシャルに近づいたうえで、両者のいいとこ取りのような質感がある。

 ネット関連機能はまだ未成熟な感じはあるが、PCやゲーム機への接続にも配慮されており、マルチユース・モニタとしてのポテンシャルも十分。価格は同画面サイズ他機種よりも高いが、「とにかく今ある最高の画質が欲しい」というユーザーにはKDL-55XR1はお勧めできる。「BRAVIA史上最高画質」だけでなく、液晶テレビ史上最高画質を争う機種と思う。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200808/08-0828/
□製品情報
http://www.ecat.sony.co.jp/bravia/lineup/series.cfm?series=xr1
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(2008年11月21日)

[Reported by トライゼット西川善司]


西川善司 大画面映像機器評論家兼テクニカルジャーナリスト。大画面マニアで映画マニア。本誌ではInternational CES他をレポート。僚誌「GAME Watch」でもPCゲーム、3Dグラフィックス、海外イベントを中心にレポートしている。映画DVDのタイトル所持数は1,000を超え、現在はBDのコレクションが増加中。ブログはこちらこちら。近著には映像機器の仕組みや原理を解説した「図解 次世代ディスプレイがわかる」(技術評論社:ISBN:978-4774136769)がある。

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AV Watch編集部

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