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VR/8Kも映像制作に活用。Premiere Proなど「Adobe CC」アップデート開始

 アドビ システムズ(Adobe)は、映像編集/制作ソフトの「Premiere Pro CC」や「After Effects CC」などを含む「Adobe Creative Cloud」のアップデートを6月22日より提供開始。Premiere Proでは、新たに8K映像や、VR映像編集/制作向けの機能追加などを行なう。

Premiere Pro CC

 Adobe CCの映像制作向けソフトは、ビデオ編集の「Premiere Pro」、エフェクト追加などの「After Effects」と同ソフトの機能である「Character Animator」、オーディオ/波形編集の「Audition」が含まれる。その他にも、写真編集の「Photoshop」や「Lightroom」、アニメーションツール「Animate」などもバージョンアップされる。なお、アップデート後のソフト名/バージョンは、現在と同じ「Creative Cloud 2015」。

 利用料金は、Premiere Pro CCやAfter Effects CC、Audition CCなどの単品がそれぞれ月額2,180円、これらのソフトに加え、Photoshop CCやIllustrator CCを含む20種類以上が利用できるコンプリートプランは月額4,980円。これらのプランでは、20GBのクラウドストレージも利用できる。

Premiere Pro/After Effectsなど映像制作向け

 「Premiere Pro CC」の新バージョンは、360度映像対応のカメラで記録した歪んだ映像を、16:9などのアスペクト比で表示して編集可能にする「VR表示」モードを追加。HMDなどを装着しなくても、VR映像としてどのように見えるかを確認可能。マウスでドラッグして視点を変えられる。360度映像は、正距円筒図法(エクイレクタンギュラー)の形式をサポートする。

VR表示モードに対応
VRビデオ設定

 また、VR映像出力時には、書き出しオプション内において立体視の対応VR形式が指定可能となる。これにより、YouTubeでVR再生するための動画書き出しなどが行なえる。

市販の360度カメラや、GoPro用リグで撮影したVR動画に対応

 8K(7,680×4,320ドット/60fps)の高解像度映像にも対応。デジタルシネマカメラの「RED WEAPON」で記録された8K映像をネイティブサポートする。元のファイルから720pなどの低解像度なコピーを作成し、プロキシ編集できるため、MacBook Proなどでも8K映像の編集/プレビューが行なえ、高解像度なファイルとプロキシファイルの切り替えなどもスムーズに行なえるという。

8K映像に対応し、サイズの小さなプロキシファイル(写真右側)で確認できる

 After Effectsは、Cinema 4Dとの間の3Dワークフローの高速化を行なう。また、複数の2D静止画を元に、Webカメラで撮影した人の顔の動きに合わせて3Dアニメーション動画をリアルタイム作成するCharacter Animator機能も強化。カメラ映像へのアニメーションの忠実度を高めるという「ライブアウトモード」や、キャラクターに動きを付けるためのリギングのスピードを上げる機能を採用する。

 音声編集ソフトの「Audition」では、より使いやすいオーディオ編集が行なえ、「コンテンツを誰でもプロ並みにミックスできる」というエッセンシャル オーディオパネルを採用。

古田正剛マーケティングマネージャー

 アドビシステムズの古田正剛マーケティングマネージャーは、今回のアップデートについて、映像業界の現在~今後のトレンドに触れながら、「8Kを含む高解像度やVR、モバイル環境を含めて幅広く対応できるようになった」とアピールした。

 なお、Premiere Pro CCやAfter Effectsの機能強化への取り組みと、今後の映像制作におけるAdobeのVR/高解像度映像の広がりなどについては、6月10日のインタビュー記事に詳細を掲載している

Premiere Pro/After Effects/Auditionの新機能まとめ
動画需要の増加予測
映像制作において8K/VR/モバイル対応を進める

PhotoshopやAnimateも機能強化

 Photoshopは、新機能として、ゆがみフィルターに「顔ツール」を搭載。目の大きさや高さ、幅、傾き、間隔といった細かい調整をスライダーで行なえるもので、目や鼻、口といった各パーツのみを変形できる。これにより、全体のバランスを崩さずに目だけを大きくしたり、顔の幅をスリムにするといった加工が可能になる。

Photoshop CCの「顔ツール」。他のパーツを変えずに、目だけを小さくすることなども可能

 また、「コンテンツに応じた切り抜き」にも対応。水平がとれていない画像を切り抜いて傾きを直したい場合に、画像を切り抜いた部分にできるスペースを自動で埋めて、自然な補正ができるようにした。

「コンテンツに応じた切り抜き」の例。回転させて切り抜くと、隙間の部分が自動で埋められる

 「Flash Professional」から'16年より名称変更されたWeb/アニメーション制作ツールの「Animate CC」は、HTML5 Canvas書き出しや、オーサリング機能の強化などを行なっている。また、スマートフォン連携機能としては、手書きした模様や身近にある物をパターンとしてブラシに活用することなどが可能。スマホアプリの「Capture」で撮影し、クラウドのライブラリに保存してAnimateのブラシとして活用可能になっている。

スマホアプリのCaptureで撮影した手書きの模様を、Animateのブラシとして活用する例

 ロイヤリティフリー素材を制作に活用できる「Adobe Stock」では、素材寄稿者(コントリビュータ)向けポータルサイトを提供予定。これにより、コントリビュータは手持ちの素材をAdobe BridgeやLightroomから直接アップロードすることが可能になる。当初は写真素材のみだが、ビデオ素材も今後対応予定としている。

Adobe Stockの新機能など
Dreamweaverは、2017 Betaとして提供開始。背景色が黒のUIを採用し、色の変更も可能。モダンUI対応となった