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PS VRの遅延は18ms以下。TVは必須? ヘッドフォンは? SIEが詳細情報公開

 ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)はPlayStationのブログにおいて、10月13日の発売を控える「PlayStation VR」(以下PS VR)の、より細かな情報を公開。表示レイテンシーやVRへの没入感を高める3Dオーディオなどについて、詳しい解説を行なっている。

PlayStation VRのヘッドセット

PS VRのハードウェアや、TVとVRの両方に表示する機能について

 PS VRは既報の通り、PlayStation 4と接続し、コントローラーの「DUALSHOCK 4」や、モーションコントローラーの「PlayStation Move」を使い、没入感のあるゲームプレイが可能。映像コンテンツをバーチャルシアターのように楽しめる「シネマティックモード」も備えている。

 対象年齢は12歳以上。快適に遊ぶための推奨スペースは、プレイヤーがPS Camera/TV方向を向いて、約1.5m離れたところに座った状態で、合計で縦3m、横1.9m。しかし、「それより小さなスペースでもプレイすることはできる」という。また、壁、家具、物体が周りにないようにしてプレイするよう呼びかけているほか、1時間毎に15分程度の休憩を取ることも推奨している。

 VR体験ができるのはPS VRを装着している1人だけだが、VR表示を行なっている間、テレビに、VRの右目に映っている映像を無加工でトリミング表示する「ミラーリングモード」を用意している。これにより、PS VRを装着していない人も、ゲームの世界が楽しめる。

 コンテンツによってはVRとは異なる映像をテレビに出力する「セパレートモード」も用意。VRとは違った視点でゲームをプレイでき、例えば、PlayStation Storeから無料でダウンロードできるゲーム「THE PLAYROOM VR」では、VRヘッドセットを装着した1人と、DUALSHOCK 4を持った4人の最大5人が一緒に遊べる。こうしたVRとテレビ表示を両方行なう機能は「ソーシャルスクリーン」と呼ばれている。

 PS VRには、5.7型、解像度1,920×1,080ドットの有機ELディスプレイが搭載されている。このディスプレイは、ひとつのピクセルを構成するサブピクセルに赤、緑、青の3原色を間引くことなく使っており、「非常に豊かに色彩を描写でき、これにより圧倒的な没入感を生み出す」という。

 プレーヤーの頭部が動き、その動きが反映された映像が目に届くまでの遅延時間である「レイテンシー」は18ms(0.018秒)以下。快適かつ臨場感溢れるVR体験には、レイテンシーの低さが重要で、「最近の研究によると、レイテンシーが20ms以下になれば、現実と仮想現実の違いが分からなくなると言われている」という。

 表示のリフレッシュレートは90Hz、または120Hz。高ければより滑らかな表示となるため、60Hzのゲームも、検知した頭の動きに応じてフレーム補間画像を生成することで120fpsで表示する「リプロジェクション」技術が搭載されている。

 また、このリプロジェクションによる補完をせず、90fpsで動作するVRゲームも開発中とのこと。「今後、VRゲームの開発ノウハウがさらに蓄積されていくことで、120fpsで動作するVRゲームも開発可能になると考えている」という。

 PS VRがあればテレビの無い環境でもゲームが楽しめるが、ユーザーの動きを検知するPS Cameraの初期設定に、テレビを見ながら行なう設定があるほか、「THE PLAYROOM VR」など、PS VRだけではプレイできないタイトルや設定もあり、「基本的にはTVを接続して使うことを前提としている」とする。

 また、PS VRはPCなどと接続しても利用できず、「PS4のみで使用できる」という。

新型のPS Camera

映像を仮想空間で楽しむ「シネマティックモード」

 「シネマティックモード」は、映画館のような仮想空間をVRで表示。そこに浮かぶスクリーンに、PS4のゲーム、Blu-rayなどの映画、YouTubeなどのネット配信動画を2D表示し、鑑賞できるもの。

 見え方のイメージは、約2.5メートル先にスクリーンがあるように感じ、サイズは117型相当/視野角54度の「小」、163型相当/視野角71.5度の「中」、226型相当/視野角90度の「大」から選択できる。

「シネマティックモード」のスクリーンサイズ変更画面

 2Dコンテンツの表示解像度は最大960×1,080ドットだが、仮想空間内の画面の解像度は、画面サイズおよび表示されているコンテンツの解像度によるという。なお、PS VRは両目で1,920×1,080ドットの3D映像をサポートしている。

 ゲームだけでなく、PS4用アプリの「メディアプレイヤー」を使い、全天球カメラなどで撮影された360度の写真、動画を表示する事も可能。

 シネマティックモード使用時も、ゲーム側が対応していれば、「SHARE」ボタンでゲームのスクリーンショットやプレイ動画配信などの機能は利用できる。

 シネマティックモードを使うことで、VRに対応していないPS4のゲームも、PS VRを装着してプレイできるが、全てのゲームで可能なわけではなく、PS4にプリインストールされた「プレイルーム」や、「Tearaway PlayStation 4」のように、PS Cameraを使うPS4ゲームはシネマティックモードに対応していない。

 また、シネマティックモードでは、3Dゲームや3D映画を2Dで表示するため、3Dコンテンツの3D表示には対応していない。将来的に、シネマティックモードでの3D表示が可能になるか否かについては、「現時点ではお伝えできる情報は無い」という。

3Dオーディオで臨場感をアップさせる

 PS VRでは、様々な方向や距離から耳に入る音をシミュレーションし、音声を出力する「3Dオーディオ」に対応している。これにより、「従来の7.1サラウンドサウンドなどに比べ、VR内での没入感が格段に増す」という。

 利用にはヘッドフォンやイヤフォンが必要だが、特殊な製品である必要は無く、ステレオミニ接続できるモデルが利用可能。

 逆に、ヘッドフォン自体がサラウンドサウンドを生成してしまうタイプの製品では、PS VRの3Dオーディオと干渉してしまうため、サラウンドサウンドモードをオフにするよう推奨。PS向け周辺機器として発売されているワイヤレスサラウンドヘッドセット「CUHJ-15001」を利用する際も、7.1chバーチャルサラウンド機能を使うワイヤレス接続ではなく、有線接続で利用するよう推奨している。

プロセッサーユニットの役割は?

 なお、PS VRとPS4は「プロセッサーユニット」と呼ばれる小さな箱を介して接続するが、このユニットは、VRヘッドセットへの映像表示と同時に、120fpsの映像を60fpsに変換し、テレビに表示する前述の「ソーシャルスクリーン」機能を担当している。

プロセッサーユニット

 また、3DオーディオデータをPS4から受け取り、通常のヘッドフォンで正しく聞こえるようにする演算処理も行なっている。シネマティックモードを使う際には、通常の映像信号をPSから受け取り、右目、左目の映像としてPS VRのディスプレイに合った補正を加えて出力する役割も担っている。