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ソニー、毎秒1,000フレームのスーパースロー撮影が可能なスマホ向けCMOSセンサー

 ソニーは、DRAMを積層し、高速読み出しやスーパースロー撮影に対応したスマートフォン向けCMOSイメージセンサーを開発した。従来の裏面照射型画素部分と信号処理回路部分との2層構造の積層型CMOSイメージセンサーに、さらにDRAMを積層した3層構造を採用。DRAM積層は業界初で、5日から米国サンフランシスコで開催されているISSCC(国際固体素子回路会議)で発表した。

 DRAM積層により高速読み出しに対応。動きの速い被写体の撮影時にもフォーカルプレーン歪みを抑えた静止画や、フルHDサイズで毎秒1,000フレームのスーパースロー撮影などの高機能を実現する。毎秒1,000フレームのスーパースロー撮影は、従来製品の約8倍という。

DRAMを積層。従来の積層型イメージセンサー(左)と、DRAM積層3層型イメージセンサー(右)

 また外付けのISP(画像処理回路)で信号処理することで、通常速度の動画とスーパースローモーション動画を、シームレスに繋いだ躍動感のある動画作品をスマートフォンで撮影できるとする。

 高速読み出しのために、画素部分から読み出したアナログ映像信号をデジタル信号へ変換する回路を、従来の2段から4段構造に倍増するなどにより処理能力を向上。また、イメージセンサーから他のLSIへ信号を出力する場合、通常はインターフェイスの速度制約を受けるが、今回の開発品ではDRAMを積層し、高速に読み出した信号を一旦DRAMに保存することで、規格に合わせた速度で出力可能となる。その結果、1,930万画素サイズの静止画1枚を120分の1秒(従来比約4倍)で読み出す高速撮影を実現。これにより、速い被写体撮影時に起こりがちなフォーカルプレーン歪みを抑制できる。

フォーカルプレーン歪みを抑制。読み出し30分の1秒の撮影画像(左)と、新センサーによる読み出し120分の1秒の撮影画像(右)

 イメージャーのサイズは1/2.3型で、画素数は5,520×3,840ドット(2,120万画素)。読み出し速度は8.478msec(4:3/1,930万画素)/6.962msec(16:9/1,710万画素)。フレームレートは、静止画が30fps、動画が60fps(4K)、240fps(フルHD/720p)。

 3層にそれぞれ搭載された回路間のノイズの低減など、設計上の技術的な課題を克服。また、ソニーが長年培ってきた積層型の製造技術や知見などを活用し、3層化で構造が複雑になっても、高い品質と信頼性を実現しているという。

断面構造