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鴻海、中国・広州に第10.5世代液晶工場。「8Kエコシステムの中心」

 鴻海精密工業は、中国・広州に、第10.5世代ディスプレイ工場を、2019年に稼働させることを発表した。フル稼働時には、世界最大のガラス基板を用いた2,940mm×3,370mmの液晶パネルを生産。大阪府堺市のSDPの堺工場の第10世代のサイズ(2,880mm×3,130mm)を上回ることになる。新工場では、年間9万枚を生産し、シャープブランドの8Kテレビなどに採用されることになる。

3月1日に行われた鍬入れ式の様子。左から5人目が郭台銘会長(写真提供・鴻海精密工業)

 2017年3月1日には、工場が建設される広州市増城区の広州工業団地内の現地で、鴻海精密工業の郭台銘会長などが参加し、「鍬入れ式」を行なった。鴻海グループの副総裁であり、シャープの社長を務める戴正呉氏は参加しなかった。

挨拶する郭台銘会長。「新工場出荷額の5~7倍の効果を、GDPにもたらすような工業サプライチェーンを構築する」と語った(写真提供・鴻海精密工業)

 新たな工場は、広州市の人民政府と共同で建設。投資額は610億人民元(約1兆円)で、年間920億人民元(約1兆5,000億円)の生産高を見込んでいるという。また、サプライチェーン全体で1万5,000人の雇用を生み出すことができると見ている。

 鴻海精密工業傘下の堺ディスプレイプロダクト(SDP)の子会社である、SAKAI SIO International GuangZhou Co., Ltd,(SIO)が運営。SDPが第10世代の大型ディスプレイ生産で培った生産技術ノウスウを活用。世界最大の8Kディスプレイの生産拠点工場になるほか、65型、75型ディスプレイを市場に提供し、スマートテレビや電子黒板、デジタルサイネージなどの各種ディスプレイ製品向けにも液晶パネルを供給することになる。

 SDPの代表取締役である孫月衛氏は、「第10.5世代ディスプレイ工業団地で生産される8Kディスプレイは、SDPが、パートナー企業と協力して構築を進める8Kエコシステムの中核的存在となる。2019年という年は、『8Kの製品やソリューションを市場に提供し続け、技術により人々の生活をより豊かにする』という、我々のビジョンを実現する上で重要なマイルストーンになる」とコメントしている。

 SDPでは、新工場を、8K技術の開発を進めるSDPの戦略拠点としての役割のほか、最先端の8Kエコシステムの中核的役割を担う拠点に位置づける考えだ。

 鴻海精密工業の郭台銘会長は、「鴻海グループは、過去30年間に渡って、深せん市から佛山市、中山市、珠海市と、珠江デルタ地区に投資を続け、企業活動を拡大してきた。そして、今回、広州市にも投資を行う。我々のゴールは、珠江デルタ地区に、シリコンバレーハイウェイ101のような情報技術ハイウェイを築き、そして新工場出荷額の5~7倍の効果を、GDPにもたらすような工業サプライチェーンを構築することだ」と語った。