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「ウォー・マシーン」ブラピが来日、26日配信。「Netflixはロックスター」
2017年5月22日 16:22
Netflixは、ブラッド・ピットが代表を務める製作会社プランBと共同製作した戦争アクション・エンタテインメント映画「ウォー・マシーン:戦争は話術だ!」を、5月26日から日本を含む全世界同時配信する。これを記念し22日、主演・プロデューサーを務めるブラット・ピットと、監督のデヴィッド・ミショッド、プランBの共同社長でプロデューサーのデデ・ガードナー、同じくプロデューサーのジェレミー・クライナーが来日し、記者会見を開催した。
「ウォー・マシーン:戦争は話術だ!」は、実在の人物を描いたベストセラーから発想を得たオリジナル映画。1人の将軍の栄光と衰退を描きながら、戦争の不条理さと人間の滑稽さを表現した、新しいスタイルの戦争アクション・エンタテインメントになるという。ブラッド・ピットに加え、ティルダ・スウィントン、ベン・キングスレーなど、オスカー俳優陣も参加している。
製作を担当したプランBは、ブラッド・ピットが代表を務め、「マネー・ショート 華麗なる大逆転」、「ワールド・ウォーZ」、本年度アカデミー賞作品を受賞した「ムーンライト」を手掛けた事でも知られている。
ブラッド・ピットが演じるのは、生まれ持ったカリスマ性と巧みな話術で、アフガニスタン駐留米軍の司令部将軍にまでに登りつめた主人公グレン・マクレーン将軍。ストイックな愛国者で、強烈な訛と歯に衣着せぬ言動がトレードマークの英雄で、ブラッド・ピットが演じてきた役の中でもかなり“クセが強い”キャラクターだ。
ブラッドは、演じた主人公について「監督と一緒に話し合いながら役作りをしていったのだけれど、とにかく大笑いの連続だった。戦争の愚かさ、滑稽さを見せるためには、将軍自体の愚かさ、滑稽さを見せていきたいと考えた。劇中、彼はとてもおもしろい走り方をするのだけれど、その走り方は監督が実践して、僕がそれを真似したんだ。ズボンが短いのは僕のアイデア(笑)。将軍は、自分が偉大な存在だと思いこんでいるのだけれど、傍から見ると滑稽というキャラクターなんだ」という。
物語は2009年のアフガニスタンからスタート。911テロをきっかけに火蓋が切られた戦争も8年が経過し、アメリカ国内の経済も停滞。オバマ大統領は混迷が続く戦いを収束させるべく、歴戦の英雄グレン・マクレーンを司令官として送り込む。腹心の部下達を引き連れて意気揚々と着任したマクマーンは「平和で自由な国作り」という理想に向かって猪突猛進。しかし、撤退を望む米政権内の思惑や食わせ物のアフガン大統領、容赦ないマスコミの追求によって山のように試練が押し寄せる……。なお、撮影は4Kで行なわれている。
デヴィッド・ミショッド監督は作品を作るキッカケについて、「アメリカとオーストラリア両国は、アフガニスタンの戦争に16年間関わっている。これはとても恐ろしことだ。なぜこんなにもこの戦争は長引いているのか、能力のある人達が関わっているのに、なぜこの戦争の先に“勝利があるフリ”をしているのか……そういった点について、マイケル・ヘイスティングスが書いた“The Operators”という本を読んで学ぶことができた」と説明。
さらにブラッドは、「作品の中心にいる将軍は、上り詰めるために現実世界や戦場、民間人の世界からもかけ離れてしまったような存在。その根底には1人の人間の妄想があると考えた。作品は将軍個人を描くところから始まり、彼の世界を描き、そしてマクロな、戦争全体にフォーカスしていく。そしてアメリカ全体、ペンタゴンは何を考え、ホワイトハウスの興味はどこにあるのか、滑稽な物語からだんだんシリアスになり、勝利とは何か、どう定義すべきなのか、そしてそれが手に入るのか、今まで通りでいいのか、という問いを投げかけたいという気持ちが、作品を作るキッカケになった」と解説した。
ブラッドは今回タッグを組んだ監督の印象について、「“The Operators”の映画化権を取得した時に、魅力的な作品だけれど、どう映画にしたらいいのか浮かばなかった。そこで、デヴィッドの作品のファンだったので彼に渡したところ、素晴らしい脚本を書いてくれた。複雑な作品だけれど、彼なりの視点で形にしてくれたんだ。僕は、映画監督というユニークな人達と関わってきたけれど、デヴィッドはその中でもユニークな監督で、自分のビジョンを持っている。とても尊敬している」と讃えた。
ブラッドは、従来の映画と、Netflixで配信する作品の違いについて、「正直に言って、今回Netflixと組まなかったら、この作品は作られなかったか、例えば6分の1の予算規模で小さなところで作る……という事になっていたかもしれない。今の(映画の)スタジオの状況では、こうした作品を作るのは難しくて挑戦的な事なんだ。Netflixが伸びているのは、コンテンツが良いから。リスクを負って、いい作品を視聴者に投げかけているから。だからこそ、映画製作者にはチャンスだと思う。Netflixにとっては大胆な試みだったと思うが、我々にとって素晴らしい事だ」とコメント。
プランBのデデ・ガードナープロデューサーも、「プロデューサーとして、Netflixほど良いパートナーはいない。大胆なものを、勇気あるものを、デイビッドのビジョンの実現をサポートしてくれたのは素晴らしい事。Netflixの場合は(コンテンツの公開が)ずっと続くので、野心的なものが作らせてもらえる。プロデューサーの立場から言うと、Netflixは最もカッコイイ“ロックスター”みたいな存在(笑)。'70年台の映画作りがそうであったように、“これがやりたい”と言えばOKしてくれるし、予算も出してくれる。神からの贈り物と言っていい」と、Netflixを讃えた。