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東京五輪の主要拠点へ、パナソニックセンターが一新。「レガシーとして次の世代へ」

 パソナニックは、2017年7月24日、次世代を担う子どもたちや若者を対象とした参加型アクティビティを開催する「いっしょにTOKYOをつくろう。」プロジェクトを開始すると発表した。同プロジェクトは、スポーツ、文化、教育をテーマにした様々なプログラムを、2020年まで継続的に行なうもので、東京2020公認プログラムに認定されている。

 パナソニック ブランドコミュニケーション本部 スペースクリエイツ部の西貝宏伸部長は、「オリンピックとパナソニックは、スポーツと事業活動という手段は違うが、よりよい社会の形成に貢献したいという重なり合う理念を持つ。パナソニックは、オリンピック/パラリンピック推進本部を中心に、多くの企業とのコラボレーションにより、技術とソリューションで貢献するために継続的な取り組みをしている。同時に力を入れているのが東京2020に向けたムーブメントの醸成であり、パナソニックセンターを主要な拠点として展開。これをより広く展開していくための取り組みが今日の発表になる」と位置づけた。

パナソニック ブランドコミュニケーション本部 スペースクリエイツ部の西貝宏伸部長

 パナソニックは、オリンピックの映像音響カテゴリーのTOP(The Olympic Partner)スポンサーとして、1988年のカルガリー冬季オリンピック以降、オリンピック活動に貢献してきた経緯があり、今回のプロジェクト発表を行なった7月24日は、3年後の2020年には、東京オリンピック/パラリンピックの開幕式が予定されている日であり、開幕までちょうど3年という節目で発表したことになる。

「いっしょにTOKYOをつくろう。」ブロジェクトと連動してパナソニックセンター東京をリニューアル

 プロジェクトの第1弾として、江東区全校の小学校5~6年の約8,000人の児童を対象に、パナソニックセンター東京の教育施設「Active Learning Camp」を見学し、オリンピックについて能動的に学ぶ「東京都江東区オリンピック・パラリンピック教育推進計画に位置づけらた教育プログラム」、小中学生を対象に、各種文化プログラムの取材体験を通じて、表現力の向上や文化の理解を促進する「KIDSプレスセンター」、スポーツの魅力を、アートとテクノロジーで表現し、観客と一体で体験できる新たな映像インスタレーションを発案、制作を行なう「Sports Design.Camp」の開講、筑波大学の学生によるオリンピックやパラリンピックの理念や精神をテーマとした子供向け体験型講座の「大学生発案によるオリンピック・パラリンピックワークショップ」、オリンピアンやパラリンピアン、指導者による競技体験を通じて、子供たちにオリンピックやパラリンピックを身近に感じてもらう「オリンピック・パラリンピック競技体験」を、それぞれ開催する。

 パナソニックセンター東京の浜崎佳子所長は、「2020年に東京を訪れたすべての人々にワクワク、ドキドキしてもらい、世界を誇れる東京を感じてもらい、子供たちや未来を作る若者たちと一緒に、様々なアクティビティを継続的に行なっていくプロジェクトになる」とした。

パナソニックセンター東京の浜崎佳子所長

パナソニックセンター東京「NEXT」に進化。東京五輪の重要拠点

 一方、同プロジェクトの会場として活用する東京・有明の同社ショールーム「パナソニックセンター東京」の1階展示スペースもリニューアルした。

 「NEXT」をキーワードに、BtoB事業における社会貢献をベースにした次の100年に向けたパナソニックの姿や、東京オリンピック/パラリンピックでの貢献、次世代育成や、スポーツ・文化・教育の啓発などの活動を通じて、新たな体験価値を提供する場へと革新し、事業とブランド価値向上に貢献することを目指すという。

東京オリンピック/パラリンピック展示エリア
オリンピック憲章とパナソニックの理念を示しながら、スポーツ、文化、教育の3つの軸で展示

 NEXTには、パナソニックの新たな姿のNEW、体験活動によるEXPERIENCE、顧客やパートナーとクロスバリューを生み出すX(CROSS)、感動を生み出す技術のTECHNOLOGYおよびTOKYO 2020の意味を持たせたという。

 これまで、パナソニックセンター東京1階の展示は、BtoC商品中心の内容となっていたが、今回のリニューアルでは、これにBtoBの要素を組み合わせたのが特徴。従来から常設展示している、パナソニックが考える2020~2030年の暮らしを提案する「Wonder Life-BOX」や、2015年10月から子供向けにオリンピック/パラリンピックの教育を支援する「Active Leaning Camp」に加えて、新たに東京オリンピック/パラリンピック展示エリア、NEXTコミュニケーションエリアを設置した。

短焦点の高輝度プロジェクターを使い、着物の世界を紹介
NEXTコミュニケーションエリアでは、リオオリンピック閉会式でのスタジアムプロジェクションマッピングの実例などを展示
2020~2030年の暮らしを提案する「Wonder Life-BOX」

 東京オリンピック/パラリンピック展示エリアでは、オリンピック憲章でも示されているスポーツ、文化、教育の3つの軸で展示。「スポーツ」では、パナソニックによるオリンピックへのスポンサーシップの歴史や商品紹介、トーチなどの展示、東京オリンピックから新たに加わる空手、スケートボード、サーフィンなどに関する展示を行なう。「教育」の切り口からは、Active Leaning Campを通じて、オリンピックに関する子供向けの情報提供を行っている。また、文化では、七夕や十五夜などの日本の年中行事に込められた思いを展示したり、アニメーションで紹介する。

 NEXTコミュニケーションエリアでは、全天球型VR映像ドームシアターや、リオオリンピックなどでのスタジアムプロジェクションマッピングの実例を展示。光IDソリューションのLinkRayや、しゃべった言葉を英語や中国語などに翻訳して拡声器から直接発声するメガホンヤク、デジタルサイネージソリューションのAcroSignといったBtoB商品も展示する。

包み込むようにシャワーを浴びることができるTheシャワーを展示。パラリンピック向けにも活躍しそうだ
パナソニックセンター東京では、光IDソリューション「LinkRay」を使用して様々な情報を入手できる
陸上100メートルの王者であるウサイン・ボルト氏の世界記録9秒58を記録した時の歩幅を再現。2.75mもある
スポーツクライミングでは実際に壁に埋め込まれている
サーフィンでは、スペースプレーヤーを利用して壁に波を映し出し、まるでサーフィンをしているような写真が撮れる
スケートボードは競技の雰囲気を演習
さらにスケートボードでは「指スケ」で遊ぶことができる
空手ではミラーディスプレイを使って空手の型を真似できる

 また、「いっしょにTOKYOをつくろう。」プロジェクトと連動し、大型スクリーンでパナソニックの様々な取り組みを紹介する。

 なお、パナソニックセンター東京では、2015年度には、オリンピック/パラリンピック特別企画展「The World of Sports」を開催し、2万7,000人が来場。2016年度には特別企画展「文化のちから~くらしを彩るニッポンの美意識」を開催し、約1万3,000人が来場している。また、2015年10月からオープンしている「Active Leaning Camp」は、これまで4万5,000人が来場。学校関係で約2,000校が来場している。

歴代のトーチも展示している
表彰台も用意して記念撮影ができるようになっている。カメラシェアリングサービス「PaN」で撮影
PaNによる撮影には、天井から吊り下げたLUMIXを使用
パワーアシストスーツ「ATOUN MODEL A」。腰部負担を軽減して重い荷物を移動できる。子供たちが体験できるようにしている
しゃべった言葉を英語や中国語などに翻訳して拡声器から直接発声するメガホンヤク
全天球型VR映像ドームシアター。BtoCの提案だけでなく、店舗などにも導入できるBtoB提案にもつなげる
全天球型VR映像ドームシアター動画撮影する360度ライブカメラ
映像から選手の脈拍がわかる非接触バイタルセンシング。2017年4月のパナソニックオープンでプロゴルファーのパットシーンの脈拍を測って話題になった
Technicsショールームは引き続き1階フロアに設置されている

 パナソニックセンター東京の浜崎佳子所長は、「パナソニックセンター東京は、2002年9月のオープン以来、今年で15年目を迎え、世界191カ国から、約1,000万人が来場している。江東区や有明地区は、東京オリンピックの中心地であり、その立地を生かして、単なる競技大会で終わるのではなく、スポーツ、文化、教育と一体となった取り組みを進めていく」とした。

 東京都江東区の山崎孝明区長は、「パナソニックセンターがある江東区は、オリンピックでは10会場11競技、パラリンピックで7会場8競技が行なわれる東京オリンピック/パラリンピックの中心地。ぜひ、これを成功させ、レガシーとして次の世代に残したい。江東区では、4年間に渡って、合計2万人の児童が、パナソニックセンター東京で学習することになる。私は、1964年の時には大学生で、代々木の選手村でボーイのボランティアをやっていた。そのため試合は見ることができなかったが、そのときに選手と触れあった経験や感動がいまにつながっている。だからこそ、子供たちにも経験をさせ、しっかりとした人間に育てたい。その点でも、勉強の場、体験の場を作ってもらったパナソニックの取り組みには感謝したい」と述べた。

東京都江東区の山崎孝明区長

 また、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 企画財務局企画部アクション&レガシー担当課長の福田陽代氏は、小中学生からのポスター募集企画、東京2020大会マスコットデザイン募集、高校生による映像作品の制作、大学連携などを進めることを示しながら、「東京オリンピック/パラリンピックの開催準備、機運上昇への貢献を感謝している。パナソニックセンター東京では、子供や若者を含む多くの人の参画を見込んでいるが、これは東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会も同じ思いであり、東京2020を盛り上げ、素晴らしいものにしたい。パナソニックセンター東京はその重要な拠点になる」と語った。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 企画財務局企画部アクション&レガシー担当課長の福田陽代氏

 会見では、ゲストとして、バレーボールのパナソニック パンサーズの福澤達哉選手、ラグビーのパナソニック ワイルドナイツの福岡堅樹選手、藤田慶和選手、そして、水泳の森下友紀選手、サーフィンの宮坂莉乙子選手、宮坂麻衣子選手が登壇。北京オリンピックに参加した福澤選手は、「北京オリンピックに参加して以来、常にオリンピックが軸になって取り組んできた。4年に一度のオリンピックには、どの選手も強い想いを持って臨んでいる。オリンピックは大会ごとにヒーローが誕生する。東京オリンピックでは、その点にも注目したい。選手だけでなく、日本の人たちがチームジャパンの一員として、大きなムーブメントを起こすことに期待したい」とし、リオオリンピックに参加した福岡選手は、「競技人生の最後が東京オリンピックになる。それに向けて完全燃焼する。自分のメダルのほかにも、日本の選手のメダル獲得にも注目したい」と発言。藤田選手は、「リオオリンピックでは最後にメンバーから外れてしまった。ぜひ、リベンジしたい。世界のトップアスリートが最高のパフォーマンスを出す場所。それによって、子供たちに夢を与えたい」とした。

バレーボール パナソニックパンサーズの福澤達哉選手、ラグビー パナソニックワイルドナイツの福岡堅樹選手、藤田慶和選手、水泳の森下友紀選手、サーフィンの宮坂莉乙子選手、宮坂麻衣子選手

 また、森下選手は、「パラリンピックの選手は、それぞれが自分の障害を生かして競技を行なっている。誰にもできない泳ぎでメダルをとりたい。東京という場所で、オリンピックを、生で見れる刺激は大きい」とコメント。宮坂莉乙子選手は、「サーフィンは自然を相手にしているため、怖いというイメージがあるが、自然と向き合ったときに自然がしっかり返してくれる。東京オリンピックで、初めてサーフィンが種目に加わる。その素晴らしさを伝えたい。パソナニックセンターのサーフィンの展示を体験したが楽しかった」とし、宮坂麻衣子選手は、「サーフィンの競技内容を知っている人が少ない。サーファー人口が200万人、競技人口は20万人。オリンピックに参加するサーファーが、その素晴らしさを全世界の人たちに伝えたい」と述べた。

 なお、パナソニックでは、東京オリンピック/パラリンピック関連で1,500億円の売上高を目指している。