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パナソニック、5万ルーメン4Kプロジェクタで東京五輪を“演出”

セレモニープロジェクション

パナソニック コネクティッドソリューションズとシステムソリューションズ ジャパンは、オリンピックのTOP(The Olympic Partner)スポンサーとして、東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会の全競技・非競技施設に競技サポートや映像演出といったソリューション、大会現場を支えるさまざまな運用サービスを提供。開閉会式では、世界最高輝度5万ルーメンの4Kプロジェクターを使ったプロジェクションマッピングで演出を支えた。

パナソニックは、1992年のバルセロナ大会でデジタル放送機材を納入して以来、29年以上、過去13大会にてオリンピックに協賛・貢献してきた。開閉会式でのプロジェクションマッピング用プロジェクターは2012年のロンドン大会から過去3大会に渡り納入している。

セレモニーを支えたプロジェクションマッピング技術としては、2016年のリオ大会では最大輝度2万ルーメンで解像度WUXGAのプロジェクターを約110台、'18年の平昌大会では約80台納入していたが、東京 2020大会では過去最大の投影面積が求められた上、演出面で「卓越した明るさと鮮やかな色再生」も必要とされたという。

これに対し、同社は世界初の最高輝度5万ルーメンを実現した4K対応プロジェクター「PT-RQ50KJ」で対応。リオ大会比で投射面積が1.7倍、照度が1.2倍に進化したプロジェクターで「東京大会ならではの明るく、迫力のあるプロジェクションマッピング」を実現した。プロジェクターの単体性能が向上しながら、冷却機構の効率化によるコンパクト化も実現し、設置台数を約60台に削減することが可能となり、設置・調整時間の短縮も図られた。

演出面で求められた「鮮やかな色再生」では、朝日が登る力強さをイメージしたという「サンライズレッド」に代表されるように、演出で「赤」が使われる場面が数多くあったものの、「2波長青色レーザー+赤色レーザー+蛍光体」の光源システムを採用したことで、赤色レーザーにより赤色の色域、青色レーザーの2波長化で青色の忠実性が増したことで、従来機種比で色再現領域を114%拡大し、印象的な演出に貢献した。

松原洋二郎氏

同大会で放送分野、開閉会式セレモニーでのソリューション部門実行責任者を務めた松原洋二郎氏は、大会は無観客開催だったものの、「迫力ある明るさと、高解像度、かつ息を呑むような映像美は、東京大会初の4K放送を通じて、その臨場感を楽しんでいただけたと思う」とコメント。特にパラリンピック開会式では「プロジェクションマッピング」がSNSトレンドワード入りを果たしたことも挙げ、視聴者から好評だったと振り返った。

放送分野では、東京 2020大会で初となる4K/HDサイマル放送用に、過去最大の回線数(4K×45回線+HD×76回線、8Kも対応)を必要とするなか、これまでに蓄積してきたノウハウを活かし、大会利用環境を想定したテストや事前準備を進めながら、5カ月間でのべ2,250人によるサポート体制を構築して対応した。

4Kスタジオカメラ
4Kインテグレーテッドカメラ

アスリートの決定的瞬間や、これまで捉えきれなかった映像を逃さないための技術としては、4K対応のスタジオカメラやカムコーダー、リモートカメラを約180台導入したほか、スイッチャー、約1,400台の業務用ディスプレイ、放送用モニターも活用された。

特に同社が得意とするリモートカメラは、屋根の上の高所など、従来では撮影が困難だった場所からアスリートの決定的瞬間を捉え、迫力ある映像中継に貢献。撮影現場にあわせたカメラの画質調整もリモートできめ細かくサポートし、カメラの性能を最大限に引き出せたという。

映像制作現場では、スイッチャー、ルーターの4K対応を図り、それぞれ小型化、一体化、IT化することで省システム化を実現。その操作性を活かしたオペレーションにも貢献した。

特にカヌー競技が行なわれた海の森水上競技場では、4K対応IT/TPプラットフォーム「KAIROS(ケイロス)」が活用され、従来スイッチャーでは困難だったコンテンツをレイアウトフリーで自由に編集できる機能を活用し、会場の大型映像機器への画像切り出しスイッチャーとして使用。現場からは操作性や作業効率の良さが高く評価されたことも明かされた。

RAMSAラインアレイスピーカー

音響システムでは、有観客から無観客での開催変更に柔軟に対応しながら、現場でのさまざまなサポートを実施。セレモニーではオリンピックスタジアムに常設設備として納入済みだったRAMSAラインアレイスピーカーを効果的に活用。会場フィールド内にスピーカーを追加配置することで、演出のための音環境を最適に構築。セレモニークルーとともに、VIPや報道関係者、選手などの参加者を対象に迫力ある音を届けた。

レッツノート
会場セキュリティカメラ
大会警備本部

そのほか、競技場やスタッフ業務などにレッツノートとタフブックなどノートPCを約12,000台納入したほか、警備用としてカメラ約8,000台(既設1,000台含む)やセンサー約2,500台、警備スタッフ着用用のウェアラブルカメラ約250台も納入して、円滑な大会運営をサポートした。

パナソニックは「様々なパートナーとともに、多様な現場に寄り添う『現場プロセスイノベーション』を通じて、お客様そして社会の課題を解決し、サステイナブルな未来へ、たすきをつなげていきます」とコメント。北京大会についても、「スポーツを通じて世界平和を目指すオリンピック憲章に共感し、スポンサーをしてまいりました。引き続き北京についても貢献させていただきたいと思っています」としている。

特設サイト「パナソニック ビジネスソリューションTOKYO 2020 スペシャルサイト」では、東京 2020大会を支えた技術について、動画なども交えながら解説されている。