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空飛ぶVR体幹トレーニング、ゴルフを映像分析など、スポーツ×最新技術展示「SPORTEC」

 日本最大級のスポーツ・フィットネス・健康産業の総合展示会「SPORTEC(スポルテック) 2017」が7月25日に東京ビッグサイトで開幕した。様々なスポーツと、映像/音声などのテクノロジーを組み合わせたサービスや製品が多数展示されている。開催期間は7月27日まで。入場料金は2,000円(税込)だが、事前登録で無料となる。

マルチ映像でフォームをチェック、音声で同期するヤマハ「Chimeca Sports」

 ヤマハは、選手を様々な角度から撮影してフォームを簡単にチェックできるシステム「Chimeca Sports」を展示している。複数台のスマホでマルチアングル撮影し、撮影を止めると自動で専用のサーバーにアップロードして同期、タブレットやPCにマルチ画面で表示できる。

「Chimeca Sports」。撮影用のスマホや、操作/閲覧できるタブレット、サーバー(タブレットの下にある筐体)が連携

 従来のマルチアングル撮影システムに比べて手軽に導入でき、撮影後すぐにチェックして練習に活かせる点が特徴。専用サーバー(256GB~)と、カメラとして使うスマートフォン複数台、スマホ用アプリで構成する。スポーツ向けの計測機器やアプリケーションなどを手掛けるスポーツセンシングと協力して開発した。

 スマホとサーバーは無線LANで接続し、複数台接続した後、1台のパソコンやタブレットからの操作で同時に録画を開始。アングル数に上限はないが、標準は4台までとし、タブレットなどで表示する際のレイアウトは、左右に並べる「2カメラ」や、右側にメイン、左側にサブ画面を縦に3つ並べる「1カメラ/3ワイプ」などの様々なパターンを用意する。再生などの操作は、専用アプリを使わなくてもWebブラウザ上から行なえる。

複数のスマホをカメラとしてマルチアングル撮影
タブレットのWebブラウザから表示
音の波形で映像を同期

 複数映像の同期には、ヤマハのマルチアングル動画ソリューションのChimecaを採用。記録された音の波形から開始点などを合わせて同期させるのが特徴。各スマホ映像の解像度はVGA程度と軽く、タブレットなどで合わせた場合にフルHD相当となるように扱いやすくしている。

 動画の確認時には、スマイルや星などのアイコンでタグ付けが可能。良いシーンや悪いシーンをタグ付けしてコーチと選手などの間で共有できる。

 サーバーに保存された映像は日時から検索できるほか、ファイルに名前を付けて見つけやすくすることなども可能。録画中でも他の動画は再生できる。選手などがサーバーから映像をダウンロードして個人でチェックすることも可能。スマホ用アプリは現時点ではAndroidのみだが、iOS版も提供予定。

タグ付けで、動画の重要ポイントなどを共有できる

カシオはゴルフの自主練もできるクラウド&アプリを参考展示

 カシオ計算機は、ゴルフなどの様子を撮影し、スイングの分析ができるハイスピードカメラと三脚などのセット「EX-SA10 GSET」や、体の傾きをチェックできるウェアラブルセンサー「CMT-S10G」などを展示。これらを組み合わせた新たなシステムとして、専用アプリやクラウドを介してレッスン後も自主練習ができる仕組みを参考展示している。

ゴルフ上達にハイスピードカメラ(右)を活用。カシオブースでは、レッスンプロなどによるプレゼンテーションも実施

 EX-SA10 GSETは、ハイスピードカメラのEX-SA10で撮影した映像を、スロー再生や、体の傾きを動画にオーバーレイした線(ライン)で、アドレス、トップ、インパクトなどの把握などが可能になる機材のセット。また、ウェアラブルセンサーのCMT-S10Gは、スイング中の腰の前傾、回転、水平それぞれの角度をスマホで確認できるのが特徴。いずれも'16年より販売されている。

スイングのフォームを「ライン」で分析

 今回のシステムはこれらに加えて「CASIOクラウド」と専用アプリを用意することで、コーチが複数の生徒のデータを一元管理したり、生徒の個人練習時にもコーチの指導内容をチェックできるのが特徴。「教えてもらった内容が、レッスン以外の時に再現できない」といった問題を解消できるという。

レッスン支援ソリューションで利用する製品と、サービスの仕組み
開発しているアプリ画面

 今回の展示を通じて、サービス導入時期を検討し、ニーズが高ければ来春ごろの提供開始を目指すという。ゴルフ以外のスポーツへの応用も見込んでいる。

VRで空を飛び、体幹を鍛える「イカロス」

 ドイツのICAROS(イカロス)が紹介しているのは、VR映像を活用して体幹トレーニングができるというフィットネスマシン「イカロス」。'16年にグローバルで発表し、今回初めて日本で出展された。

「イカロス」のデモ

 スマホをセットしたVRゴーグルを装着し、専用の「イカロスマシーン」に手足を乗せてバランスをとることでトレーニングできるもの。マシンに乗せているのは、左右の肘から先、膝から先の部分だけで、体の中心は浮いた形のため、何もしていないように見えても、体を支えるために力を入れる必要がある。

手足をのせるイカロスマシーン
VRゴーグルを装着

 連携するゲームアプリとして、空を飛ぶような体験ができる「Flight」、深海を進む「Deep」、急降下する「Gravity」の3種類を用意。Flightは、グライダーのように滑空しながら、空中に浮かぶ輪の中を通れるように体を傾けて上下や左右に移動し、ゴールを目指すもの。VRゴーグルは、SamsungのGear VR、Oclus Rift、HTC VIVEに対応する。価格は、本体が7,900ユーロ(ドイツからの輸送費などは別途必要)。

Flightの画面。目の前にある輪をくぐれるように進む
VRで空を飛ぶフィットネス「ICAROS」のデモ

 実際に乗って体験してみた。最初にICAROSのDaniel Breitkreuzセールスマネージャーがプレイしている姿を見ると、それほど大変そうには見えなかったが、乗ってみると、最初は思い通りに飛べないため、まっすぐの姿勢を保つだけでも難しかった。しばらく乗っているとだんだんコツがわかり、輪の中をくぐれるようになってくる。

 手足だけで体を支えるといっても、腹筋ローラーのような激しい負荷ではない。しかし、全身に適度に力が入り、終わってみると、数分間の短い時間ながら、想像していたよりも全身がほどよく疲れた。プレイしている最中は、ゲームをクリアしようとがんばるため、止めたいという気持ちにはならない。

 同社は、イカロス以外のモデルとして、「VRモーターバイク“R”」も現在試作しているという。

パソコンを置いて仕事しながらフィットネス

 SPORTECには、様々なトレーニングマシンの最新機種などが展示されている。中でもユニークだったのは、ノートパソコンなどを置いて仕事をしながらトレーニングもできる「CITTA(チッタ)」シリーズ。ジョンソンヘルステックジャパンのブースに展示されていたHORIZONブランドの新製品で、8月下旬に発売予定。

「CITTA TT5.0」で仕事しながらウォーキング

 ジョギングやウォーキングができるトレッドミルの「CITTA TT5.0」(14万6,000円)と、エアロバイクの「CITTA BT5.0」(75,000円)を用意。前方にノートパソコンやマウス、飲み物などを置けるデスクトレイを備え、仕事をしながら簡単にトレーニングできる。

 フィットネスマシンメーカーならではの本格的な作りながら、丸みを持たせたデザインやコンパクトなサイズで、家庭での使いやすさに配慮したシリーズ。テーブルトレイを外して、本格的なトレーニングにも使える。

テーブルトレイは取り外し可能
右側のマシンはロングハンドレール(オプション)を取り付けた状態

 ジョンソンヘルステックジャパンでマーケティング&プランニング ウェブマーケティングを担当する大澤五月氏は、21日に発表したプレスリリースも、今回のCITTAに乗りながら作成したとのこと。「ダラダラせずに、時間を決めて仕事できる」点もメリットだという。

CITTA BT5.0。乗っているのはジョンソンヘルステックジャパンの大澤五月氏

そのほかにも様々なスポーツ&ヘルスケアとテクノロジーの連携

 タニタは、フィットネスクラブなどに向けたシステムとして、同社の活動量計を会員証とし、体組成計などと連携してトータルで健康管理できる仕組みを紹介。既に様々な施設などに導入されているほか、自治体の健康促進施策として採用される事例も増えているという。

タニタ活動量計を会員証として、フィットネスクラブに入店するイメージ
体組成計のデータを3Dグラフ化して健康状態を詳細に表示
サービスの全体イメージ

 フィットネスクラブのプログラムなどに使われる音楽を制作・販売しているBRAVOグループのフィットネスミュージック事業部も出展。様々な音楽ジャンルの楽曲が用意され、プログラムなどに応じて選べる。曲のテンポが分かるようにジャケットなどにBPMも表示。

BRAVOのフィットネス向けCD
GARMINは、GPSランニング/トライアスロンウォッチ「ForeAthlete 935」を展示
トレッドミルでGARMINデバイスを体験可能
会場では、様々なブースで実際のレッスンやトレーニングのデモなどが行なわれている