IDT、マルチディスプレイ出力対応のDisplayPortチップ
-デイジーチェーン接続でのマルチ出力も可能
日本アイ・ディー・ティー合同会社(IDT)は3日、DisplayPortのマルチディスプレイ出力を可能とする新LSI「PanelPort VMM1300」の説明会を開催した。
DisplayPortの特徴 |
IDTはレシーバ/トランスミッタチップ「PanelPort」シリーズなど、DisplayPort向けの半導体ソリューションに力を入れており、VMM1300はその新製品となる。DisplayPortは、VESAの標準規格として定められており、PCとディスプレイ間のDVI接続の置き換えとともに、DVIやノートPCの内部デジタル接続で利用されているLVDS技術の置き換えを狙っている。
VMM1300は、DisplayPort v1.1aに準拠し、VESA Direct Drive MonitorやHDCP v1.3、EDIDv1.4などをサポート。音声伝送には対応していない。チップセットのサンプル出荷はすでに開始しており、8月より本格生産を予定している。
現時点では主にパソコン用ディスプレイやPCのマザーボード/グラフィックカードへの搭載を想定。特徴は、DisplayPort用のレシーバ/トランスミッタ機能を統合し、1系統のDisplayPort出力から、3台までのマルチディスプレイ出力が行なえること。同チップを搭載したハブでは、1系統の入力を3系統に出力でき、3台を1つのディスプレイとして扱うだけでなく、同じ画面を3画面出力するコピー機能などの、柔軟な表示が行なえる。DisplayPortのマルチディスプレイ出力ソリューションは世界初としており、IDTではViewXpandと名付けている。
マルチモニタ出力は、VMM1300を搭載したハブ利用のほか、搭載ディスプレイを数珠つなぎにするデイジーチェーン(カスケード接続)でも表示可能。DisplayPort v.1.1ではカスケード接続のマルチモニタ対応は規格に含まれていないが、次期バージョン1.2の機能を先行してVMM1300に盛り込んでいるという。
3系統のディスプレイに同時出力 | 同画面の3系統出力にも対応 | デモにはVMM1300搭載の1入力3出力ハブを利用 |
米IDTのJi Park氏 |
米IDTのバイス・プレジデント兼ビデオ&ディスプレイ・オペレーション担当ゼネラルマネージャー Ji Park氏は、DisplayPortの利点を強調するとともにマルチディスプレイ化の利点を説明。フラウンホーファIAO研究所による「ディスプレイ3台を使える業務環境では、生産性が35.5%向上する」とするデータなどを紹介し、VMM1300のマルチディスプレイ対応の利点を訴えた。
また、従来のDVIではグラフィックカードの追加が必要となるほか、電源消費が増えるなどの欠点があるが、DisplayPortにおいては、出力ポートは1系統だけで、電源をPC側から供給できるなどのメリットがあると説明。また、USBディスプレイをマルチディスプレイとして使う場合、帯域幅が不十分で圧縮による画質劣化があること、HDCPをサポートしないなどの欠点があるとし、DisplayPortの優位性を解説した。
DVIやUSBのマルチディスプレイ出力時の課題 | PanelPort ViewXpandの特徴 | ターゲットとなる市場 |
(2009年 6月 3日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]