「スクール・ニューディール」想定のプロジェクタ展示会

-三洋が開催。12,000ルーメンのサイネージ向け新製品も


7月3日開催(関係者向け)


「スクール・ニューディール」需要も見込む
 三洋電機株式会社は3日、デジタルサイネージやオフィス/学校教育向けのデータプロジェクタ製品を展示する、流通業者向けのイベントを開催。電子黒板などの投写デモを交えて、新製品の説明を行なった。

 今回の展示会では、同社がグローバルで高いシェアを持つホール/シネマ用の大型モデルや、オフィス/文教向けの中小型モデルを展示。また、政府が4月に取りまとめた経済危機対策のひとつ「スクール・ニューディール」構想で補正予算が計上されたことを受けて、学校のICT環境整備やエコ化などで注目されつつある電子黒板などにも焦点を当てた展示となっている。


教室をイメージしたコーナーで黒板に投写するデモ。地デジチューナをプロジェクタに接続し、テレビ映像を投写

 学校向けの製品としては、黒板に投写しても正確な色表現を行なえる「黒板モード」を使って、実際の教室に見立てた展示コーナーを用意。地デジチューナからの映像を「LP-WXU300」で投写し、教室内で簡単に大画面テレビ視聴ができるシステムとして提案していた。また、欧米などでは普及が進みつつある電子黒板を実現するソリューションを、同社製品を使って説明していた。

 三洋はサイネージや教育現場に向けたプロジェクタの強みとして、高輝度/広色域再現をはじめとした画質面や、フィルタ/ランプのメンテナンス性の向上をアピール。新たな拡大が見込まれる教育向け市場におけるシェア拡大を図る。


市場動向の予測。2009年は落ち込むものの、販売台数は730万台とみているプロジェクタ製品における同社の強み
電子黒板の例。黒板やホワイトボードなどに赤外線ユニットを装着し、ペンの動きを読み取り、プロジェクタで投写する同じく電子黒板で、読み取りに磁気センサーを採用する例。ボードとプロジェクタがアームで一体化しており、一度に昇降できる超短焦点プロジェクタ「LP-XL51」を使って、テーブルの下から投写。テーブルを画面として利用できるというソリューション


■ デジタルサイネージ向け新製品も

「PDG-DHT100JL」2台とプレーヤー2台を使った投写デモ

 デジタルサイネージ向けの製品も展示。フルHDプロジェクタ2台を横に並べて設置し、フルHD動画再生が可能なメモリ内蔵プレーヤー2台からのデータを、1つの横長の映像として同期させて投写するデモが行なわれていた。

 使用プロジェクタは、フルHD DLPパネル搭載の「PDG-DHT100JL」。6,500ルーメンの高輝度タイプで、カラーホイールは高輝度用の4セグメントと広色域再現用の6セグメントの2つを搭載。2台のプレーヤーから送られた映像の同期(エッジブレンディング)は、プロジェクタのファームで行なっている。同製品は、2009年夏発売予定の「非圧縮高解像度映像無線伝送システム」にもオプションで対応予定。

 プレーヤーは株式会社映像センター(AVC)が販売している「AVC-STHD7」。ストレージとしてCFカードを搭載し、前面のUSB端子にUSBメモリを接続することで自動でデータをコピー。PCレスで動作し、容量が一杯になると自動で上書きされる。CFカードは交換も可能。プロジェクタとはHDMIで接続し、2台のプレーヤーはハブを介してLAN接続している。


PDG-DHT100JLの仕様AVC-STHD7。前面にUSB端子を備えるプロジェクタとプレーヤーはHDMI接続
輝度7,500ルーメンのDLPプロジェクタ「PDG-DET100JL」

 そのほかの製品として、6月17日に発表された輝度7,500ルーメン/1,400×1,050ドット(4:3)パネルのDLPプロジェクタ「PDG-DET100JL」や、“ツインランプ方式”で長寿命化させた「LP-WTC500L」などの投写を会場内で行なっていた。

 また、2009年秋に発表予定とする、輝度12,000ルーメンの高輝度液晶プロジェクタも参考展示。3LCD方式に黄色成分を独立して制御するカラーコントロールデバイスを組み込んだ、「QuaDrive(クアッドライブ)エンジン」を搭載し、色再現性を向上。ランプは2灯式。メンテナンス性を高めた「アクティブメンテナンスフィルターシステム」(AMF)も採用している。


設定不要の無線LANを内蔵した小型モデル「LP-XU355」「LP-WTC500L」(左)と「LP-XTC50」(右)三洋のプロジェクタ製品ラインナップ


(2009年 7月 3日)

[AV Watch編集部 中林暁]