富士フイルム、世界初の裸眼3D動画対応デジタルカメラ
-Wレンズ&CCDで立体視。柴咲コウが3D撮影を体験
富士フイルム株式会社は、初の3D動画/静止画撮影対応デジタルカメラ「FinePix REAL 3D W1」を8月8日に発売する。また、3D対応デジタルフォトフレーム「FinePix REAL 3D V1」も同日より発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格はカメラのW1が6万円前後、フォトフレームのV1が5万円前後の見込み。また、10万円前後でのセット販売も想定している。
■ FinePix REAL 3D W1
レンズとCCDを各2基搭載したコンパクトデジタルカメラ。撮影した2つの動画または静止画を左右の目に異なる映像として見せ、専用メガネなどを必要とせずに立体視を可能にする。記録メディアは内蔵の42MBメモリと、別売SD/SDHCカード。
レンズは光学3倍(F3.7~4.2)のフジノンレンズ2基。35mm換算の焦点距離は、35~105mm。撮像素子は1/2.3型の有効1,000万画素CCDを2基搭載する。
動画撮影時のフォーマットは3D/2DともにAVI。動画解像度は640×480/320×240ドットから選択できる。液晶モニタは2.8型/約23万画素で、液晶モニタ上では左右の目に異なる映像を見せるため、バックライトの光る向きを高速で左右に切り替える「ライトディレクションコントロール」を採用。このため、動画のフレームレートは30fpsだが、バックライトの向きも同じ速度で切り替わるため、実質的には15fpsの動画として見えることになる。ステレオマイクも内蔵し、音声記録形式はWAV。
なお、動画撮影時はファイルが約2GBになると自動停止する。2GBのSDカードに記録できる時間は、3D動画の640×480ドットで14分、320×240ドットで28分、2Dの640×480ドットで28分、320×240ドットで54分までとなる。
静止画は2DがJPEG、3DがMulti-Picture Format(拡張子は.MPO)で、3Dの場合はJPEGを2枚同時に撮影。記録解像度は最大3,648×2,736ドット。同様の見せ方で、モニタ上で3D表示が行なえる。また、2つのレンズ/CCDを利用して、1度のシャッターで2枚の異なる2D画像を記録することも可能。テレ/ワイドや、モノクロ/カラー、低/高感度といった組み合わせで撮影できる。
3Dで撮影した動画/静止画をPCで見ると動画の拡張子はAVI、静止画はMPOで表示。パソコンとUSB接続してデータ転送が行なえ、パソコン上で動画を再生すると、左目用のレンズで撮った映像が見られる。静止画はそのままの拡張子では見られないが、拡張子をJPEGにすることで表示できる。なお、静止画ではPCでのチェック用にMPO+JPEGの同時記録モードも用意する。赤外線でデジタルフォトフレームのV1にファイルを送信することも可能。
バッテリ/SDカードを除く重量は約260g。付属バッテリ利用時の静止画撮影枚数は約230枚(3D AUTO時)。外形寸法は123.6×25.6×68mm(幅×奥行き×高さ)。
カメラのW1で撮影したファイルを3Dで見る方法として、カメラの液晶モニタ、フォトフレームのV1で見る方法以外に、静止画を専用紙にプリントする有料サービス「3Dプリント」も同じく8月8日より開始。サイズは2L/KG判で、料金は1枚500円を予定。開始当初は、同社サイトのみで注文を受け付ける。
□製品情報
http://fujifilm.jp/personal/3d/camera/finepixreal3dw1/index.html
■ FinePix REAL 3D V1
8型/800×600ドット液晶搭載のデジタルフォトフレーム。上記のW1で撮影した3D/2Dの動画や静止画を表示でき、3Dの裸眼立体視が可能。再生フォーマットはAVIとJPEG(MPO含む)で、W1以外で撮影したファイルも表示できる。
3D表示の方法はカメラのモニタとは異なり「パララックスバリアシステム」を採用。3D表示モード時には縦方向にスリットを設けて左右に見える画像を分離する。このため、3Dの表示解像度は縦方向が半分の400×600ドットとなる。
パネルの輝度は約250cd/m2、内蔵メモリは512MBで、SD/SDHCカードやxDピクチャーカード対応のカードスロットを装備する。USB端子(ミニB)を備え、パソコンからもデータを取り込める。本体にステレオスピーカーも内蔵する。
操作は本体タッチパネルまたはリモコンで行なう。消費電力は3D表示時が約15W、2Dが約9W。外形寸法は216×30.9×162mm(幅×奥行き×高さ)、スタンドを含む重量は約630g。
■ 柴咲コウさんも3Dに驚く
古森重隆社長兼CEOは、これまで「カメラに、フィルムメーカーらしい高画質と技術革新をもたらした」と同社のデジタルカメラの歴史を振り返り、「“目で見た瞬間を撮影すること”をコンセプトに開発を続けてきた。今回の新製品は、“全て目で見たまま映像に残して欲しい”という思いに通じている」。
こういった独自機能を投入した背景については「独自のもの、先端の技術でカメラ文化の発展に貢献するという企業理念がある。デジタルカメラの世界では時代をリードするものを作り続ける役割があり、それで十分やっていける」とした。
新製品を説明した電子映像事業部副事業部長兼商品部長の三ツ木秀之氏は、映画館の3D上映導入など昨今の状況を受け、「2009年は3D映像元年といえる。5年後は3D撮影対応モデルがワールドワイドで10%を占めると予測している。この製品が市場を切り開く革新的商品になる」と自信を見せた。
また、常務執行役員 電子映像事業部長の樋口武氏は、3D映像の今後の方針として「デファクトスタンダード化し、テレビなどでも3Dが楽しめるように提携などを行ない、世界に広げていきたい」とした。発表会場では、参考展示としてビクターの業務用3D液晶ディスプレイを用いて、W1で撮影した映像を表示するデモを行なっていた。
発表会場には、新製品の広告キャラクターを務める女優の柴咲コウさんも登場。W1を手にした柴咲さんは、「シャッターを切る前から3Dですね。キレイ」と驚いた様子。様々な方向にカメラを向け、「遠近感があるところで撮るとより一層立体的に写ります」と笑顔を見せ、「3Dで実際撮影してみて面白いと思いました。こういったものを個人が所有して、プリントできることはすごいこと」と話した。
(2009年 7月 22日)
[AV Watch編集部 中林暁]