「PIE 2009」で各社が動画撮影対応デジカメを展示

-秋発売の3D動画カメラや、HDMI搭載「EXILIM STATION」も


開催期間:3月26日~29日

入場料:1,000円(事前登録で無料)


 カメラや周辺機器のメーカーなどが多数参加する「フォトイメージングエキスポ2009」(PIE2009)が3月26日に東京ビッグサイトで開幕した。展示は東4~6ホールと会議棟で行ない、期間は3月29日まで。入場料は1,000円だが、Webでの事前登録で無料となる。出展社は136社/812小間、うち海外出展は12社となっている。

 各社のブースでは、発表されたばかりのデジタルカメラ新製品に触れられるようになっており、多くの来場者に注目されていた。動画撮影対応デジタルカメラと周辺機器を中心に紹介する。


■ フルHD/AF撮影対応の「GH1」が人気のパナソニックブース

DMC-GH1K(コンフォートレッドモデル)

 パナソニックブースでは、25日に発表されたフルHD AVC撮影対応の「DMC-GH1K」を展示。実機に触ることができ、同社ブースの中でも最も多くの人が集まっている。

 「DMC-GH1K」は4/3型1,210万画素のLive MOSセンサーを搭載。動画AF対応ズームレンズが付属するレンズキットとして4月24日に発売し、価格はオープンプライス、店頭予想価格は15万円前後の見込み。記録メディアはSD/SDHCカード。

 AVCHDまたはMotion JPEGの動画撮影に対応し、AVCHDでは最大1,920×1,080ドット、Motion JPEGでは最大1,280×720ドットで記録可能。ポップアップストロボ部にステレオマイクを内蔵し、音声はドルビーデジタルステレオで記録。ウインドノイズ低減機能も備えている。マイク入力も備え、別売でステレオマイク「DMW-MS1」(オープンプライス/店頭予想価格12,600円前後)を用意する。


レンズキットとして発売

天面にマイクを内蔵

ストロボをポップアップさせるとマイクは撮影者側に向くので、動画撮影時は閉じたほうがよさそうだ
VIERAやDIGAとの連携を紹介するコーナーも

 動画撮影時のフルタイムオートフォーカス(コントラストAF)にも対応。なお、フルタイムオートフォーカスは、レンズ名に「HD」が入った対応レンズのみで機能し、それ以外のレンズでは、「AF」ボタンを押したときのみオートフォーカスが働く。

 記録したSDカードをVIERAやDIGAのSDスロットに挿入し、動画/静止画のダイレクト再生が可能となっており、HDMI端子からテレビなどに出力できることから、ブース内ではVIERAやDIGAとの接続を訴求するコーナーも用意していた。


動画はAVCHDまたはMotion JPEGで記録できる

動画のマニュアル露出も可能

ウィンドノイズの低減機能も備える

側面にマイク入力やHDMI端子を装備

液晶モニタは回転式

オプションのマイク装着時

 そのほか、ブース内にはAVCHD Lite規格の動画撮影対応モデルも展示。3月6日に発売された光学12倍ズーム搭載の「DMC-TZ7」や、防水/防塵モデル「DMC-FT1」を手にとって試すことができる。

DMC-FT1。動画撮影した状態で、水槽に入れられるデモも



■ キヤノンはAVC記録対応の「Kiss X3」を展示

 フルHD動画撮影機能をエントリーモデルのKissシリーズにも採用したキヤノンのブースは、撮影コーナーがメリーゴーランドのようになっており、動画撮影機能を試しやすいようになっていることが特徴。

EOS Kiss X3

 「EOS Kiss X3」は1,510万画素のCMOSセンサーを搭載。動画記録はMPEG-4 AVC/H.264で、音声はリニアPCMモノラルで記録する。4月下旬より発売し、価格はオープンプライス。店頭予想価格はボディのみで9万円前後の見込み。

 背面のAFボタンを押すことで、動画撮影でもAFが利用可能。AFのターゲットを上下左右ボタンで移動することもできる。なお、動画撮影中はミラーアップした状態となるため、液晶モニタを使ったライブビュー機能を利用する。

 また、動画再生時に利用できるモノラルスピーカーを備えていることも特徴。液晶モニタ右脇の部分に内蔵されている。

Kiss X3の天面操作ボタン部

動画撮影はシャッターボタンではなく、上下左右ボタンの左上にあるボタンで開始/停止する本体右側にある4つの穴がスピーカー部

 ブース内には、同社デジタルビデオカメラ「iVIS HF20」用の防水ケース「WP-V1」も展示。水深40mまで対応(IEC/JIS保護等級IPX8相当)し、ダイビングや、雨天時のアウトドア撮影などで利用できる。4月下旬に発売し、価格は62,790円。水槽に入れて撮影するデモを行なっていた。

撮影コーナー。メリーゴーランド風になっており、動いている様子が撮影できる

防水ケース「WP-V1」

水中撮影のデモも



■ ソニーの1080p撮影対応「サイバーショット 」

サッカーW杯をイメージしたステージを用意。中央にトロフィーも

 ブースは、ソニーがオフィシャルパートナーを務める2010年のFIFAワールドカップのプロモーションと連動し、サッカーをモチーフにしたステージを中央に用意。2010年大会の優勝トロフィーの実物を特別展示している。

 展示では、1080p AVC動画撮影が可能なコンパクトデジタルカメラ「サイバーショット DSC-HX1」の実機に触れることが可能。「Exmor」CMOSセンサーや「Gレンズ」をサイバーショットで初めて採用したモデルで、1,440×1,080ドット/30fps/約12Mbpsの動画撮影に対応。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は55,000円前後の見込み。

 CMOSシフト手ブレ補正機能を搭載し、静止画/動画撮影の両方で利用可能。動画撮影時のフォーカスはフルオート。ステレオマイクを内蔵し、動画撮影時の音声はAACステレオで記録する。本体にスピーカーも内蔵する。本体側面に、付属アダプタでHDMI出力が可能な専用端子を備え、テレビなどに動画を1080pで出力可能。静止画では、最大224度の「スイングパノラマ」撮影にも対応する。

DSC-HX1

最大1,440×1,080ドットで動画撮影が可能

分解モデルも展示している



■ 富士フイルムの3D動画/静止画対応デジカメは秋に発売

 

試作機で実際に3D撮影が可能なコーナーを用意
 富士フイルムのブースでは、正面中央に設置された「FinePix REAL 3D」のコーナーが人気。2基のCCDセンサーとレンズを搭載し、3D動画/静止画撮影が行なえるデジタルカメラの試作機が展示され、実際に3D静止画/動画が撮影できる。

 試作機はやや厚みのある筐体だが、製品イメージとして、薄型で丸みを帯びた形状のモデルをショーケース内に展示。また、専用フォトフレームも用意するという。これまでコンセプトモデルとして国内外のイベントで試作機が展示されており、製品は2009年秋の発売を目指すという。価格は未定。

 立体視の仕組みには、CIPA(カメラ映像機器工業会規格)の汎用フォーマットとして2月に制定された「MPF」(Multi-Picture Format)を採用。製品化されれば最初のモデルになるという。

 左右の目の視差を利用し、本体モニタ上で裸眼立体視を実現。ファイルとしては動画はAVI、静止画はJPEGで、2つのCCDで記録した静止画または動画を、左右それぞれの目に見せる映像として交互にプログレッシブ表示する動作を本体内で行ない、立体視を可能にするという。なお、動画のフレームレートについては公表していない。


3D動画撮影時。写真では分からないが、実際はモニター上でも3D表示されていた

モニター上で3D再生が行なえる

静止画撮影時

試作機はまだ厚みがある

製品イメージ。右は同時期に発売予定のフォトフレーム

人気だったREAL 3Dのコーナー

 試作機のCCDは600万画素。動画の記録サイズは640×480ドットとなっているが、フルHDを含む高解像度化についても検討しているという。動画撮影時の音声はモノラルマイクで記録。記録メディアはSDカードを使用している。

 3D表示の方法としては、現状では本体または対応フォトフレームのみとなっており、そのままではパソコンで表示することはできない。今後、パソコンで2D表示できるソフトの開発を進め、パソコンからフォトフレームに出力して表示するといった方法も検討するとしている。テレビへの出力についても検証中としている。



■ HDMIでテレビに出力できる「EXILIM STATION」も発売へ

参考展示された「EXILIM STATION」

 カシオのブースでは、同社コンパクトデジタルカメラ「EXILIM」で撮影した動画や静止画をHDMI経由でテレビなどに出力可能な「EXILIM STATION」を参考展示。4~5月の発売を予定し、価格は未定だが、1~2万円前後になるとみられる。

 SDカードスロットを備え、テレビなどにHDMI接続することで、静止画/動画プレーヤーとして利用可能。EXILIMで撮影した動画/静止画のほか、一部モデルで搭載されている超高速連写の「ハイスピードムービー」や、静止画合成機能「ダイナミックフォト」のファイルもテレビなどで見られることが大きな特徴。

 SDカードを挿入すると、内部の動画や静止画が撮影の日付ごとに分類され、カレンダー形式で表示できる。操作はリモコンで行なう。USB端子も備え、SDカードから別途USB HDDなどにファイルをコピーすることも可能。


SDカード内の動画/静止画をカレンダー上で表示

ハイスピードムービーも再生可能

背面にHDMI出力とUSB端子を装備

加賀ハイテックのブースでは、コダックのフォトフレームが参考展示。液晶以外に有機ELのモデルも展示していた。日本での発売は未定エグゼモードのブースでは、発売中の小型プロジェクタや、ペン型/腕時計型カメラなどを展示
ニコンは、D90の動画撮影体験ができるジオラマを用意ビデオカメラにも見えるが、ニコンのゴルフ向けレーザー距離計「レーザー550S」。距離や高低差などを液晶で表示できるオリンパスは、夏に発売予定のマイクロフォーサーズ対応デジカメを参考展示


(2009年 3月 27日)

[AV Watch編集部 中林暁]