NEC、1枚超解像技術採用の局向けフルHDトランスコーダ
-SDからリアルタイム変換。「HD設備投資の抑制可能」
NECは、SD映像をフルHD映像に変換可能な「1枚超解像技術」を用いたトランスコーダ「SRVC-1000」を30日より、放送事業者向けに発売する。価格は312万9,000円。
同社は、2011年の地上デジタル放送移行に向けて、HD映像放送のニーズが高まると想定。既存のカメラなどのSD映像機器を活用しながらのHD化や、これまでのSD映像資産をHD化し有効活用するソリューションとして、主にCATVや地方テレビ局、一部キーテレビ局などへ同製品を導入していくとする。なお、2011年までに国内累計3,000台の販売を見込んでいる。
1Uハーフラックサイズのトランスコーダ。NEC独自の「1枚超解像技術」を採用し、低解像度(SD)の動画を1,920×1,080ドットのフルHD解像度に変換して、表示することが可能。エッジ先鋭化処理や混色分離処理などを行なうことにより、鮮明で自然な解像度の高い映像を生成でき、通常のアップスケーリング処理時の問題であった、映像のぼやけやエッジの粗さを改善できるという。搭載するシステムLSIはNECエレクトロニクスが開発した「μPD9281GC」。
地上デジタル放送移行に伴い、HDが普及 | 2011年までに国内累計3,000台の販売を見込む | 1枚超解像技術を使用 |
また、リアルタイムで動画の超解像処理を行なえことも特徴。「1枚超解像技術」は1枚のフレーム画像から処理を行なうもので、複数枚のフレームから高解像画像生成を行なう「複数枚超解像技術」と比較して、メモリ容量や計算能力を最小限に抑えることが可能なため、リアルタイムで処理ができるとしている。
アップスケーリング時の課題 | 超解像技術ON/OFFの比較 |
【サンプル画像比較】
1枚超解像技術ON | 1枚超解像技術OFF |
注:テレビ画面に映し出した超解像ON/OFF映像をデジタルカメラで再撮したもの |
リア。オプションを追加するとDVI-D端子なども使用可能に |
超解像変換を適用する輪郭傾斜範囲の調整や、超解像変換時の輪郭補償量の調整、超解像変換前の映像帯域の調整などの画質調整機能を搭載。4:3から16:9表示にする際に、両サイドにバックカラーを付加できる「サイドパネル」や、上下をカットする「Vカット」、水平方向に伸長する「フルサイズ」の3種類のアップコンバート機能も備える。
入力端子はHD/SD-SDI(BNC)を、出力はHD-SDI(BNC)を各1系統装備。D-Sub15ピンの制御端子やブラックバースト端子(BNC)なども備える。DVI-D/SDI変換などの別売オプションも用意する(各オープンプライス)。外形寸法は210×500×44mm(幅×奥行き×高さ)。
■ 「放送事業者のHD化に貢献」
発表会では、同社第三ネットワークソリューション事業部の渡辺俊彦事業部長が製品を説明。既存のSD放送設備やSD映像資産を活用しながらHD化が図れることで、新たにHD設備を導入する場合と比べ、大幅に設備投資を抑制可能とし、「放送事業者のHD化に貢献できる」と述べた。
第三ネットワークソリューション事業部の渡辺俊彦事業部長 | 既存のSD機材を活用してHD化可能で、大幅な設備投資の抑制ができるという |
(2009年 11月 30日)
[AV Watch編集部 大類洋輔]