“ポラロイド完全復活”でビデオカメラなどを'10年発売

-5,480円の「DV130」。フィルムも来春以降復活


サミット・グローバル・ジャパンのジョヴァンニ・トマセーリCEO

12月3日発表


 サミット・グローバル・ジャパン株式会社は3日、日本における「ポラロイド」ブランドのイメージング製品事業を開始すると発表。今後発売するデジタルカメラ/デジタルビデオカメラやインスタントカメラなどの新製品を披露した。

 発表会では、CEOのジョヴァンニ・トマセーリ氏から今後の事業戦略が説明され、日本初投入となるデジタルビデオカメラやデジタルカメラなどのラインナップが紹介された。また、ゲストとして俳優の黒沢年雄さんや、モデルの小森純さん、元ギャル社長の藤田志穂さんが来場。かつてのインスタントカメラにまつわる思い出や、新製品の感想などを語った。



■ '10年にデジタルビデオカメラなど発売。インスタントカメラ復活も

 米Polaroidは、'08年12月に米国連邦破産法第11章(Chapter11)の適用を申請し、事実上経営破綻していた。その後、Gordon Brothers GroupとHilco Consumer Captialの2社が合同でPolaroidを買収。その2社と、写真関連製品の開発などを手がけるGlobal Industrial Servicesなど3社からなるコンソーシアムのSummit Grobal Groupが5年間の独占的生産・販売で契約を結んでいる。そして、11月に設立された日本法人のサミット・グローバル・ジャパンが国内での販売を行なう。なお、過去の製品のサポートは日本ポラロイド株式会社('10年より株式会社フロントランナーに社名変更)が行なう。

 発表された新製品は、プリント機能を持つ“インスタントデジカメ”の「Polaroid TWO」(オープンプライス/店頭予想価格19,800円前後)や、コンパクトデジカメの「t1235」(同15,800円前後)、デジタルビデオカメラ「DV130」(同5,480円前後)、12型デジタルフォトフレーム「i1201」(同19,800円前後)など。これらの製品は米国では既に販売中で、日本での発売は、2010年第1四半期からの順次開始を目指す。

発表されたコンパクトなデジタルビデオカメラ「DV130」プリント機能を持つデジカメ「Polaroid TWO」デジタルカメラ新製品(右手前)とポータブルプリンタ(左奥)

 また、携帯電話やデジカメにある写真をBluetoothやPictBridge機能で伝送してプリントするポータブルプリンタ「PoGo」(2008年発表/発売)の公式サイトでの販売を12月3日より行なう。直販価格は9,800円。

 デジタルビデオカメラの「DV130」は、130万画素CMOSを搭載し、640×480ドット/30fpsのMPEG-4で記録。静止画記録も行なえる。SD/SDHCカードスロットを備え、8GBまでのSDHCカードに対応。本体メモリは64MB。カラーは全4色だが、日本で販売されるのは当初ブルーとレッドのみとなる。

 デジタル4倍ズームを搭載。本体側面にスライド収納式のUSB端子を備え、パソコンに直挿ししてデータ転送などが行なえる。液晶モニタは2型。AV出力端子も備える。電源は単3電池2本で駆動する。

DV130は全4色だが、日本では当初ブルーとレッドのみ販売予定としている
側面に、収納式のUSB端子を装備するカメラのレンズ部SDカードスロットやAV出力端子を装備


■ 春以降にフィルムのポラロイドが復活

 上記デジタル製品のほかに、2008年に製造が中止されたフィルムタイプのポラロイドカメラ製品についても、オランダの工場を取得して製造を再開。2010年春以降にモノクロモデルを、カラーモデルを秋以降に発売予定としている。

ジョヴァンニ・トマセーリCEO

 サミット・グローバル・ジャパンの代表取締役CEOを務めるジョヴァンニ・トマセーリ氏は、フィルム製品の製造中止について、「理由はあったと思うが、さびしいものだった。ブログなどで“閉鎖すべきでない”という声もあった」と振り返る。時代の変化に伴い、デジタル製品への移行を進めていた旧経営陣に対し、「ポラロイドブランドのカギは“インスタントであること”」とし、撮影したその場でプリントして楽しめることの重要性を訴えた。

 一方で、ビデオカメラやフォトフレームなどのデジタル製品については「クリエイト」、「キャプチャー」(撮影)、「印刷」、「アーカイブ」、「シェア」の各方面でビジネスを展開。コンシューマ向け以外に法人向けも重要視しており、警察や医療機関、不動産などでの活用も提案した。

 売上額の見通しについては、1年目が約20億円、2年目は約80億円、3年目には約120億円を見込む。120億円の内訳は、デジタルカメラが約36億円、インスタントのフィルムカメラが約40億円、インスタントのデジタルカメラが約30億円、デジタルビデオカメラ約8億円など。

発表されたデジタルイメージングの新製品インスタントフィルムカメラ製品のロードマップ3カ年の売上見通し

 同社の取締役には、かつてオリンパスで'96年に業界初の81万画素デジカメを開発し、米コダック社長を務めた小島佑介氏も就任している。自らを「絶対プリント主義」という小島氏も登壇し「これまでデジカメ時代の幕開けを担ってきたが、なぜ画素競争に参加したかというと、プリントし、その感動を伝えるため。写真を撮るだけ、見るだけなら携帯電話でもいいが、感動を分かち合うならプリント。デジタル時代になっても、インスタントプリントに勝るものは無い」と復活に向け自信を見せた。

小島佑介取締役12型の静止画向けデジタルフォトフレーム会場には、歴代のポラロイドの名機も展示された


■ “ポラロイドの黒ちゃん”も感心

 発表会にゲストとして来場したのは、40年以上前に当時珍しかったポラロイドカメラのユーザーだったという黒沢年雄さんと、モデルの小森純さん、元「ギャル社長」で、最近では農業プロジェクトの「ノギャル」などでも知られる藤田志穂さんの3人。

黒沢年雄さん

 黒沢さんは、かつてハワイで買ったというポラロイドカメラについて「当時は珍しかったおかげで、たくさんの女性と知り合いになれて、“ポラロイドの黒ちゃん”と呼ばれていた。フィルムが高かったので、米兵から安く譲ってもらった」と振り返る。

 会場に用意されたフィルムのポラロイドカメラで黒沢さんが小森さん、藤田さんの2人を撮影すると、「今でもキレイに撮れる」と改めて感心していたが、ひと足先に新製品を試した小森さんがデジタルのポラロイドで撮影してみると、プリント前に好きな写真を選べることや、本体の小ささにも驚いた様子。さらに、小森さんがポータブルプリンタを使って、携帯電話からBluetoothで写真を送り、プリントすると、その手軽さに「僕は機械に弱いけど、これは簡単で素晴らしい」とした。

 小森さんは、「人にも教えやすいし、自分も使いやすい。旅行に持って行きたい」とお気に入りの様子。藤田さんも「写真はいろんな人と共感するアイテムだから、その場でプリントできるのはすごい」と語った。製品のカラーバリエーションのうち、女性2人は特にピンクカラーのモデルが欲しい、と話していたが、残念ながら現時点では日本でピンクの発売予定は無いとのこと。2人が壇上からジョヴァンニ・トマセーリCEOに笑顔で(ピンクの発売を)「お願いします」と頭を下げる場面もあった。

黒沢さんを、小森さんが「Polaroid TWO」で撮影し、プリント自らを「機械オンチ」とする小森さんも簡単に使えたという藤田さんも、「女性にも持ちやすいサイズ」と納得


(2009年 12月 3日)

[AV Watch編集部 中林暁]