東芝、Blu-rayレコーダ「VARDIA」3モデルを2月発売

-エントリー機からBD本格展開。TVセット販売を加速


2月中旬発売

標準価格:オープンプライス


D-B1005K

 東芝は、Blu-ray Disc対応製品を強化し、Blu-ray Discレコーダ「VARDIA」3モデルと、BDプレーヤー「SD-BD1K」を2月中旬に発売する。また、薄型テレビ「REGZA」のBlu-rayプレーヤー搭載新シリーズ「R1BDP」も併せて発売する。26型の「26R1BDP」と32型の「32R1BDP」の2モデルを用意する。


品番種類HDD容量店頭予想価格
D-BW1005KVHS一体型
BDレコーダ
1TB14万円前後
D-B1005KBDレコーダ1TB13万円前後
D-B305KBDレコーダ320GB10万円前後
SD-BD1KBDプレーヤー-2万5,000円前後
品番タイプサイズ店頭予想価格
32R1BDPBDプレーヤー内蔵
液晶テレビ
32型13万円前後
26R1BDP26型11万円前後
D-BW1005KD-B305KSD-BD1K
32R1BDP(左)、26R1BDP(右)BDプレーヤーを左側面に装備BD対応製品を一斉発表

 東芝は、2000年代初頭から次世代DVDとしてHD DVDを推進してきたが、2008年にHD DVDの終息を宣言。フラッシュメモリを強化した応用製品などの開発を提案し、AV機器への展開を模索してきたが、2009年にBDの事業化検討もスタート。2009年8月にはBlu-ray Disc Associationに加入していた。今春から本格的に国内においてBlu-ray対応製品を展開する。

BDドライブ部

 「ブルーレイVARDIA」は、地上/BS/110度CSデジタルチューナを2系統、地上アナログチューナを1系統装備。無劣化のDRモードでの録画/再生に対応するほか、MPEG-4 AVC/H.264に変換し、最高5.5倍長時間録画も可能となっている。AVCの録画モードはAF(2倍)/AN(3倍)/AE(4倍/5.5倍を選択)の3モード/4種類が用意される。

 HDD容量はD-B1005KとD-BW1005Kが1TB、D-B305Kが320GB。HDDやBD-R/REへの録画のほか、DVD-R/RWへのハイビジョンMPEG-4 AVC記録「AVCREC」やDVD-R/RWへのVR記録にも対応する。なお、従来のVARDIAやRDシリーズ、カンタロウシリーズで記録したVideoフォーマットやVRフォーマットのディスクは、記録した機種でファイナライズ後、再生のみ可能としている。

前面にUSB端子やSDカードスロットも装備するREGZAのリモコンからレグザリンクで録画予約可能
D-B1005Kの背面

 BDプレーヤーとしてはBD-LIVEに対応。また、AVCHDディスクの再生のほか、AVCHDビデオカメラをUSB接続して、HDDに取り込むことも可能となっている。D-BW1005Kでは、VHSテープの再生に対応するほか、VHSのBD/DVDへのダビングに対応する。

 今回発表のブルーレイVARDIAは、Blu-rayレコーダのエントリーモデルと位置付けられており、従来のDVDレコーダ「VARDIA(RDシリーズ)」とは異なるプラットフォームで設計されている。REGZAからのHDMIリンクによる録画予約などのシンプルな操作を訴求しており、「大容量HDD搭載」、「BD録画/再生」、「レグザリンク対応」の3つの要望に応えたとする。

 そのため、従来のVARDIAシリーズと同等の編集機能やネットワーク機能等は搭載していない。また、HD Recで録画したDVDディスクとの互換性も無い。編集についてはチャプターマークの追加・消去や、イン点、アウト点を指定したカット編集が可能だが、フレーム単位の編集やプレイリストの作成はできない。また、スカパー! 連携/CATV連携機能も備えておらず、RD-X9などで搭載していたUSB HDD録画にも対応しない。

 従来のVARDIAシリーズが、“RD”から始まる型番だったが、今回は“D”型番となっているのもそうした過去のVARDIAとの違いを明らかにするためという。なお、開発/生産については、「レグザリンクなどの東芝の技術は入っています。個別にどの商品が自社開発/生産かというのは他の製品でも触れていませんので、控えさせていただきます」(東芝DM社 TV&ネットワーク事業部 下田乾二事業部長)とした。

プラットフォームが違うため、EPGは従来のVARDIAとは大きく異なるものとなっているスタートメニュー録画リスト

 映像DACは12bit/148MHz、音声DACは24bit/192KHz。SDカードスロットを装備し、カードに記録したAVCHDやJPEGの再生が可能。AVCHD取り込み専用のUSB端子やEthernetを装備する。

BDレコーダのリモコン扉を開くと10キーなどが現れる

 出力端子はHDMI×1(24p、DeepColor対応)、D4×1、S映像×1、コンポジット×1、光デジタル×1、アナログ音声×1を装備。入力端子はS映像(BW1005Kのみ)×1とコンポジット×1、アナログ音声×1を備えている。HDMI連携機能のレグザリンクにも対応し、レグザとの併用時に録画予約から番組再生までの基本操作が行なえる。

 消費電力は30W(D-B1005K)/28W(D-B305K)/47W(D-BW1005K)で、待機時はD-B1005K/B305Kが6.6W、D-BW1005Kが5.8W。外形寸法はD-B1005K/B305Kが430×318×61mm(幅×奥行き×高さ)、VHS一体型のD-BW1005Kが435×399×100mm。重量は4.5kg(B1005K)/4.3kg(B305K)/7.2kg(BW1005K)。リモコンが付属する。

SD-BD1K

 BDプレーヤーの「SD-BD1K」はBDビデオのほか、AVCHD/AVCRECディスクの再生にも対応。SDメモリーカードスロットも備えており、カードに記録したMP3/WMA/JPEGファイルの再生も可能となっている。

 BD-LIVEにも対応。出力端子はHDMI(DeepColor、24p対応)×1と、コンポーネント×1、コンポジット×1、アナログ音声×1、同軸デジタル音声×1、光デジタル音声×1を装備する。消費電力は20Wで、待機時0.5W。外形寸法は435×218×51mm(幅×奥行き×高さ)、重量は2.3kg。リモコンが付属する。

  32/26R1BDPは、同社初のBDプレーヤー内蔵の液晶テレビで、USB HDDを追加することでデジタル放送録画にも対応する。ただし、Blu-rayへの録画機能は備えていない。「おまかせドンピシャ高画質2」や、超解像技術「レゾリューションプラス2」などを備えている。詳細については別記事で紹介する。

SD-BD1KのリモコンREGZA R1BDPシリーズUSB HDD追加で録画対応

 


■ REGZAとのセット販売を加速。RD型番の高機能は「検討中」

東芝DM社 TV&ネットワーク事業部の下田乾二事業部長

 東芝デジタルメディアネットワーク社 TV&ネットワーク事業部の下田乾二事業部長は、「東芝は2010年、国内市場にBlu-ray対応商品を導入します」と宣言し、「これまでテレビを中心に高画質、高性能を追求し、製品を投入してきた。昨年末にはCELL REGZAを最高峰のテレビとして発売するなど、REGZAは常に本質をキーワードに画質を追求してきた。その中で“最高画質のディスクも対応してほしい”という声を頂き、Blu-ray商品の導入に至った」とBD参入の経緯を説明した。

 BDレコーダの需要については、2009年に292万台、2010年には370万台、2011年には450万台まで拡大すると予測。また、テレビとBDとの同時購入が増えていることを紹介し、DVDレコーダでは「テレビと同時購入」が26%、「ほぼ同時」が5%だったのに対し、BDでは「同時購入」が41%、「ほぼ同時購入」が4%と大幅に伸長しているという。下田事業部長は、この結果を「大画面テレビ購入者の画質への期待の現れ」と分析し、BDレコーダの市場投入が急務であることを訴え、東芝でも新VARDIAの投入により、REGZAとのセット販売の強化を狙うとした。具体的には「他社並みの(セット販売率)40%ぐらいを期待している」という。

東芝はBlu-ray市場に参入BD参入の意義テレビ/レコーダのセット販売が40%を超える状況
新VARDIA/REGZAを披露

 また、楽天リサーチの調査結果を引き、BDレコーダ所有者のうち70%が今後購入するとしたら「1TB以上を検討する」との回答を得ていることから大容量HDDにこだわったラインナップ構成としたという。

 今回BDへの参入を決めた理由については、「ひとつは営業上の理由です。HD DVDから撤退した直後は考えていなかった。しかし、お客様の声として、『BDはいつ出るのですか?』という声が高まってきた。また、最高画質を謳うCELL REGZAのような商品を出すなかで、最高の画質を出せるBDを、過去の経緯から出さないというのは東芝としていかがなものかという話になり、今回のBlu-rayの発売に至った。技術者としても、一旦決まれば前を向いて進むだけです(下田事業部長)」とする。

 また、営業の現場においても「テレビの市場はエコポイントもあり伸びているが、その中でやはりお客様の声が大きかった。また、BDのソフトが増えて、これを最高の画質で見てみたいという声が流通や販売の現場から非常に多くいただいた」という。そのため、「映像の楽しさを、私たちからも最高の組み合わせを提案したいと考えた(映像マーケティング事業部 日本部 岡田淳部長)」とする。

VARDIAとREGZAの開発部門を融合し、商品力強化を図る

 なお、編集やスカパー! 連携など、これまでのVARDIAと比べると機能が省略されている点については、「今回の製品はBDのエントリーモデルと位置付けている。DVDのVARDIAで入っているような編集機能などについては今検討している。今回はエントリーモデルということで、割り切ってやらせていただいている(下田事業部長)」という。

 加えて、ブルーレイVARDIAでは昨年モデルから20%強の省電力化などを実現したことや、同時発表のBDプレーヤー内蔵REGZA「R1BDPシリーズ」のレグザリンクなどの特徴を紹介した。なお、2009年10月には東芝DM社の組織を改編し、VARDIAとREGZAの開発部門を一体化。4月をめどに、テレビの開発拠点となる埼玉県深谷工場にVARDIAの開発部門を集結し、相乗効果により東芝映像商品の商品力を高めていく計画で、「今後のブルーレイVARDIA、Blu-ray対応REGZAに期待してほしい(下田事業部長)」という。

東芝DM社映像マーケティング事業部 日本部 岡田部長

 東芝DM社映像マーケティング事業部 日本部の岡田淳部長は、国内映像商品の販売戦略について説明。今後の商品展開について「CELL REGZAの拡大」、「REGZAのLEDモデル拡大」、「Blu-ray対応製品の投入」の3点を挙げて解説した。

 CELL REGZAについては、12月に発売し目標の1,000台を突破し、「100万円のテレビとしては良く出るなという印象で、予想以上の反響です」と言及。「2010年には第2弾としてCELLのDNAを使った製品を出していきたい」という。

 LEDバックライト搭載モデルについては、2010年上期から大幅に強化し、全インチサイズの19~55型までを全面展開する計画。BDは「最高のテレビに最高のプレーヤー/レコーダを繋げることで新しい感動をお届けしたい」とした。


CELL REGZA戦略を拡大LEDバックライト搭載テレビを大幅拡充BDレコーダも拡充

 国内市場においては、薄型テレビの伸びが続いており、2010年に1,300万台程度の市場規模となるとともに、BDレコーダについては「すさまじい伸びが続いており、2009年は170%ぐらいの伸びで300万台。2010年も123~125%ぐらいの伸びで370万台市場になる」と予測し、その中でテレビとのセット購入が年々増えていることを紹介。2009年のセット購入率は41%で、「年末商戦では瞬間風速で50%を超えた」という。

 このセット販売を「販売戦略上、一番大きなポイント。セットで楽しみたいというお客様の声に応えていきたい」と言及。「セット購入の拡大」、「レグザリンクの使いやすさ提案」、「BDプレーヤー搭載REGZAによる新規市場開拓」の3つの柱で拡販を図る。BDプレーヤー搭載REGZAについてはパーソナルや2台目の需要を狙っていく方針。

プロモーションには福山雅治氏を起用「さあレグザにブルーレイを」

 プロモーションには、REGZAと並び福山雅治氏をBlu-ray商品の広告にも起用。「龍馬伝も好調のようで、福山さんの支持層も広がっている。REGZA/VARDIAも若い方からお歳を召した方まで広く訴求したいが、福山さんとともに広い層に浸透するよう取り組みたい」という。

 また、パラマウントジャパンと協力し、店頭キャンペーンを実施。3月31日までの対象製品購入者に、パラマウントの45作品の中から好きなBDタイトル1枚をプレゼントする。BDレコ-ダ購入者に対しては、三菱化学メディアの協力を得て、BD-R 5枚パックを1,000名にプレゼントする。

 岡田部長は、「(会場で)CELL REGZAにBDを接続しているのでぜひ体感してほしい。BDはこんなに美しいということを実感していただけると思う。次々と新しい製品を投入し、新しい感動、映像、音の楽しさを広げていきたい」と訴えた。

パラマウントなどと共同プロモーションオプティマス・プライムも展示CELL REGZAとの組み合わせを訴求

(2010年 1月 14日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]