ソニー、フルHD AVCHD/10倍手ブレ補正の「サイバーショット」

-TransferJet/GPSにも対応。ズームの「HX5V」と薄型「TX7」


DSC-TX7のダークブルー

2月5日より順次発売

標準価格:オープンプライス

 ソニーは、コンパクトデジタルカメラ「サイバーショット」の新製品として、フルHDのAVCHD動画撮影が可能で、ワイヤレスで撮影画像を転送できるTransferJetに対応。裏面照射型CMOSを登載した2機種を発売する。

 発売日は薄型の「DSC-TX7」が2月5日。光学10倍ズームでアクティブ手ブレ補正やGPSも備えた「DSC-HX5V」が3月5日。価格はどちらもオープンプライスで、店頭予想価格は同じ45,000円前後の見込み。カラーリングは「TX7」がダークブルー、シルバー、レッド。「HX5V」がゴールドとブラック。

 

MS-JX8G

 また、TransferJetに対応した8GBのメモリースティックPRO-HG Duo「MS-JX8G」も2月5日発売する(オープンプライス/実売1万円前後)。TransferJet対応モデルである「DSC-TX7」と「DSC-HX5V」に挿入すると、TransferJet機能が使用できる。なお、両機種ともメモリースティックとSDメモリーカードが両方使えるスロットを備えているが、他社のTransferJet対応メモリーカードを挿入してもTransferJet機能は利用できない。


■ DSC-TX7/DSC-HX5V

 最大の特徴は、コンパクトデジタルカメラでありながら、1,920×1,080ドット、フルHDのAVCHD形式で動画撮影ができること。コンパト向けのAVCHD形式として、パナソニックが1,280×720ドットのAVCHD Liteに対応しているが、サイバーショットはビデオカメラと同じフルHD対応としている。

 また、走査方式はインターレースの1080/60iで、プログレッシブのAVCHD Lite(720/60p)とは異なる。AVCHDの記録モードは1,920×1,080/60i 17Mbpsと、1,440×1,080/60i 9Mbpsに加え、PCとの親和性を考慮し、MP4(MPEG-4 Visual)での録画も可能。MP4は1,440×1,080/30p 12Mbps、1,280×720/30p 6Mbps、640×480/30p 3Mbpsから選択できる。なお、撮影したAVCHD動画のメディアへの書き出しは、既発売の同社DVDライターでもサポートする予定。

 なお、連続撮影できる動画の最長時間はAVCHDでも29分、MP4モードでは約29分または最大2GBという制限がある。「コンパクトカメラでは短い動画撮影を行なう場面が多く、動画撮影の停止を忘れた場合も考慮している」(ソニー)とのこと。バッテリ面の連続動画撮影時間はTX7が55分、HX5Vが75分程度(いずれも1440×1,080/60i 9Mbps時)。メモリースティックとSDカード、どちらにも動画記録は可能。

【お詫びと訂正/2010年3月21日修正】
 記事初出時、連続撮影がAVCHDの場合でも2GBで停止するとしておりましたが、正しくはAVCDHDの場合はファイル容量の制限はなく、29分の制限のみでした。お詫びして訂正します。

 両機種とも、1/2.4型、有効1,020万画素の裏面照射型CMOSの「Exmor R」を採用。薄型の「TX7」は光学4倍のカールツァイス バリオ・テッサーレンズを搭載し、35mm換算で焦点距離25~100mm相当、F値は3.5-4.6。光学式手ブレ補正や、秒間10枚の高速連写、スイングするようにカメラを横に振るとパノラマ撮影ができる「スイングパノラマ」などの機能が利用できる。

 

DSC-HX5Vのブラックゴールドゴールドの背面

 「HX5V」は光学10倍ズームのGレンズを採用。35mm換算の焦点距離は25~250mで、F値はF3.5~5.5。同社ビデオカメラで採用している、ワイド側で従来比約10倍の手ブレ補正角を実現した「アクティブモード」も搭載。前述のフルHD/AVCHD撮影と組み合わせて、ビデオカメラのような高画質/揺れの少ない撮影が可能になるという。

GPSアシストデータをネットから取得
 また、「HX5V」はGPSとコンパス機能も内蔵。撮影画像に位置や方位の情報を付加することができ、付属ソフト「PMB(ピクチャーモーションブラウザー)」や、Google Earthと連動させ、地図上に、そのポイントで撮影した写真を表示するといった使い方もできる。GPSによる測位を高速化するため、軌道上の各衛星の概要情報と、詳細な軌道情報(GPSアシストデータ)を、付属ソフトのPMB(ピクチャーモーションブラウザー)がインターネット経由で取得。カメラをPCに接続すると、そのデータがカメラ側に転送され、GPS測位の所要時間を短縮している。

 両機種とも撮影補助機能を強化。露出アンダーとオーバーの写真を2枚撮影して、カメラ本体で合成してバランスの良い写真を作り出す「逆光補正HDR」を備えたほか、前述の「スイングパノラマ」は、新たに顔や動き検出と組み合わせた撮影が可能になり、スイングしながらパノラマ撮影をしている最中に、人間や、動いている車などを検出すると、その部分の画像を大きく録り、最終的なパノラマ写真に出力。顔や動体が不自然に細切れになる事を防げるようになった。



 

TX7のシルバーレッドシルバーの前面パネルを上げたところ

 「TX7」の液晶は3.5型で約92万画素、同社のデジタルフォトフレーム「S-Frame」Xシリーズで採用されているTruBlack技術を採用。液晶にウルトラARフィルムを用いて反射を軽減すると同時に、空気層に特殊樹脂を封入することで、さらにコントラストを高めた表示が行なえ、従来モデル「TX1」の液晶と比べ、コントラストが21%向上したという。「HX5V」の液晶は3型で約23万画素。両モデルともHDMI出力などを備えている。

 画像管理ソフト「PMB(Picture Motion Browser)」を同梱し、AVCHD動画編集も可能。また、カメラの本体メモリに機能限定版ソフトの「PMBポータブル」も収録。画像をPCに取り込まなくても、手軽にネットワークサービスにアップロードできるという。

 「TX7」の外形寸法は97.8×17.5×59.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は本体のみ133g、撮影時149g。「HX5V」のサイズは102.9×28.9×57.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量は本体のみ170g、撮影時200g。

 

 

TX7の上部背面

 

TX7と組み合わせると、パーティーショットで任意のタイミングで撮影が可能に
 なお、サイバーショットには、ユニークな周辺機器として、顔検出機能を用いて自動的に周囲の人物を撮影するパーティーショット「IPT-DS1」が存在する。「TX7」はこのパーティーショットと組み合わせると、従来の対象機種ではできなかった「オーダー撮影」が可能になる。

 これは、任意のタイミングで撮影を行なうもので、パーティーショットに内蔵されているタッチセンサーに触れると、人物の検索、構図合わせ、セルフタイマー(2秒)を経て、撮影が行なわれる。従来の対象機種の組み合わせでは、撮影が全てオートで行なわれていたため、「今のタイミングで、撮影して欲しい」というユーザーニーズに応えられなかった。



■ TransferJet

 「DSC-TX7」と「DSC-HX5V」は、近接無線転送技術のTransferJetに対応。対応する8GBのメモリースティックPRO-HG Duo「MS-JX8G」と併用する機能で、対応機器同士で静止画が手軽に転送できる。

 

TJS-1
 具体的には、対応したカメラ(対応メモリースティック挿入済)同士を用意し、カメラの再生ボタンを押すと転送モードに移行。カメラ同士をかざすことで、任意の画像が転送され、シェアする事ができる。例えばパーティー会場で記念撮影をした後で、写真が欲しい人のカメラに、PCを使わずに画像を送る事ができる。転送速度は約20Mbps。なお、動画ファイルのカメラ同士の転送には非対応。ファイルサイズが大きく、転送にかかる時間も増えるためだという。しかし、動画撮影機能が大きな特徴なモデルでもあるため、「ファームウェアのアップデートや将来の機種などでの対応を検討したい」(ソニー)と言う。

 さらに、TransferJet対応のステーション「TJS-1」も14,910円で2月5日発売。USB接続のリーダとして使用できる製品で、PCや、2008年以降のBRAVIA(USB端子付モデル)、デジタルフォトフレームなどを接続。ステーション対応カメラ(対応メモリースティック挿入済)を上に乗せると、カメラからメモリースティックを取り出さずに画像が転送できる。速度は50Mbps。

 転送にはカメラ側の制御が必要であるため、メモリースティックのみが対応していても、カメラ側が対応していなければTransferJet転送はできない。TJS-1はUSBバスパワーで動作。外形寸法は110×62×16mm(幅×奥行×高さ)で、重量は約100g。


(2010年 1月 18日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]