CCIF、Winnyユーザーへの啓発メール送付スキームを発表
-3月1日より4権利者が運用開始。「今後はShareにも」
権利者団体やISP事業者団体などで構成される「ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害対策協議会」(CCIF)は22日、「Winnyユーザーへの啓発メール等送付スキーム」を発表した。同スキームの運用を3月1日より開始するという。
CCIFは2008年5月、権利者団体とISP(インターネット接続業者)事業者団体等で設立。ファイル共有ソフトを使用した著作権侵害問題と、その対応策について協議を行なっており、2010年2月8日には「ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害への対応に関するガイドライン」を策定した。
同ガイドラインでは、権利者からの著作権侵害行為の中止要請や、ISPが発信者に発信を中止するよう通知を送る流れなどに関して、権利者団体とISP双方における手続きの透明性を確保するとともに、ファイル共有ソフトによる著作権等の権利侵害が違法行為であることの周知啓発を図る事を目的としている。
今回発表された「Winnyユーザーへの啓発メール等送付スキーム」は、前述のガイドラインをもとに、ファイル共有ソフト「Winny」を使用して著作権侵害行為を行なったユーザーへの啓発メールなどの送付を、権利者とISP事業者団体の対応手順として発表したものとなる。
3月1日より、日本国際映画著作権協会(JIMCA)、日本音楽著作権協会(JASRAC)、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)、日本映像ソフト協会(JRA)の4団体が運用を開始する。参加ISPは600事業者以上になるという。
スキームとして、まず権利者団体が著作権を侵害していると思われるファイルに関する情報をもとに、協議会で検証されたツール(Winny用)を用いて、そのファイルを入手。その後、侵害ファイルが自己、または自己の会員に無許諾で複製されたものかを確認。
侵害ファイルと確認できたら、ISPに対して、定められた様式を使った啓発文書の送信を依頼。侵害ファイル入手元のIPアドレスやポート番号、入手日時、ファイル名、ハッシュ、侵害ファイルの権利者名や権利内容、侵害の確認方法などもISPに提示する。
ISPでは要請を受け、それがガイドラインの要件を満たしているかを確認。確認が取れれば、IPアドレスやタイムスタンプから違法ファイル発信者を特定し、権利者団体が作成した啓発文書を発信者に送付、または同内容のメールを送付するという流れになる。
ユーザーからの問い合わせなどの対応として、通知メールを送付した事実に関する問い合わせはISPが対応。通知メールの内容及び、著作権等の権利侵害に関する問い合わせは、権利者団体が行なう。
■ 「Shareなど他の共有ソフトも今後追加」
登壇したCCIF会長の桑子博行氏は、「権利者団体とISPが連携することで、Winny等のファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害に対応していきたい」と語った。また、「今回のスキームはWinny対応だが、確認ツールが対応できれば、Shareなど他の共有ソフトも今後追加していきたい」と述べた。
なお、CCIFでは今後、同スキームの運用状況の確認や分析を実施。また、ファイル共有ソフトを使用した著作権侵害に対して、啓発メールの効果向上のための施策、権利者による対抗措置、ISPによる防止措置を検討するという。
(2010年 2月 22日)
[AV Watch編集部 大類洋輔]