三洋、3D映像対応の“世界最短焦点”DLPプロジェクタ

-32cmの距離で80型を投写。エンタメ/教育など想定


7月発売

標準価格:オープンプライス


 三洋電機は、業務向けの超短焦点プロジェクタ新モデルとして、3D映像にも対応した「PDG-DWL2500J」を7月に発売する。価格はオープンプライスで、想定売価は45万円前後。

 世界最短という、32cmの距離から80型の画面を投写できる“壁ぴったりで大画面”を実現するDLPプロジェクタ。DLPチップは0.65型/1,280×800ドット。映画館のチケット売場での映画告知やアミューズメント施設といったエンターテインメント分野での利用や、教育現場、企業のプレゼンテーションなどの利用を想定する。

PDG-DWL2500J

 特徴は、フレームシーケンシャル方式の3D映像投写に対応した点。別途対応動画やアクティブシャッター方式(DLP-Link/赤外線)の3Dメガネを用意することで、3D動画視聴が行なえる。本体には、3Dメガネとの同期制御用の3D SYNC OUT端子(ミニDIN3ピン)も備える。なお、Blu-ray 3Dには対応しないほか、サイドバイサイドなど他の3D方式にも対応しない。

 発表会の3Dデモでは、NTTデータ三洋システムが'09年10月より販売を開始したレンダリングソフト「SOSpace」(600万円~)で作成したCG動画を、アナログRGB接続したパソコンから投写。プロジェクタ本体の発売は、こうしたソフトと合わせたソリューションとして提案していくという。


3Dメガネを使って立体視が可能床面に3D映像を投写するデモ。アナログRGB接続したパソコンからの映像を投写していた。床面のため、映像を斜め方向から見ることになるが、見る場所を多少移動しても、立体的な映像として見ることができた
投写デモ。電子黒板と合わせて、教育現場などでの利用をイメージ

 もう1つの特徴は、同社の従来モデル「LP-XL50」に比べ約1/2の小型化を実現したこと。床面など省スペースでの設置が可能になった。なお、LP-XL50は液晶だったが、今回DLPを採用したことも、小型化を実現した要因のひとつだという。

 小型化により、80型の投写距離は、従来の45cmから32cmに短縮。光線射出角度を5度以上アップさせたほか、近付いたことで懸念される映像の歪みに対しては、非球面レンズを2枚増やして対処した。


本体サイズを約1/2まで小型化。設置スペースを大幅に削減している主な仕様
光線射出角度を5度アップ80型の投写距離を32cmまで短縮最大投写サイズは110型

 レンズは固定焦点(F2.5/f=4.83)で、フォーカスは手動。光源は275Wランプで、明るさは2,500ルーメン。コントラスト比は2,000:1。周辺照度比は85%。投写サイズは60~110型(投写距離23~45.5cm)。

 入力端子はHDMI(Ver.1.3a DeepColor)を1系統と、アナログRGB(D-Sub 15ピン/コンポーネント兼用)を2系統(1系統は出力兼用)、S映像とコンポジットを各1系統、アナログ音声を3系統(RCA×1、ステレオミニ×2)装備。ステレオミニ音声出力と、10Wのモノラルスピーカーも搭載する。そのほか、RS-232Cのコントロール端子や、Ethernetも備える。

 外形寸法は321×385×170mm(幅×奥行き×高さ)、重量は6.5kg以下。リモコンが付属する。

操作ボタン部レンズ部端子部


■ 短焦点プロジェクタで世界シェア3割へ

三洋電機の吉年慶一氏

 同社執行役員 デジタルシステムカンパニー プロジェクター事業部長の吉年慶一氏は、超短焦点プロジェクタのこれまでの経緯について説明。「2006年に超短焦点モデルを世界で初めて発売してから、2007年には壁ぴったり設置のモデルを発売するなど、従来のプロジェクタの概念を打ち破ってきた。その後、より高輝度になり、ワイドXGA対応とするなど、業界をリードしてきた」と強い自信を見せた。

 一方、3D市場の動向については、映画館の3D対応スクリーンの数がデジタルシネマ全体の約50%にあたる約7,000に上るという調査や、40型以上の3Dテレビ需要が今後大幅に増加するとの予測を元に、同社もプロジェクタで3Dに取り組んでいく方針を表明。

 ターゲットとしては、ハイエンドのデジタルシネマと、コンシューマの3Dテレビの間の市場を想定。設置の自由度の高さや、手軽に大画面を実現できること、3D映像によるインパクトなどの長所を活かし、中小規模の3Dシアターや、サイネージ、3D映像制作、教育などの分野で新規市場の創出を狙う。同社は短焦点プロジェクタで世界シェアの25%を占めており、今回の新モデル投入などにより、30%まで拡大することを目標として示した。

3D市場の動向と予測ターゲット市場と、想定するニーズ

主な想定利用シーン。映画館のエントランスなどで床面に3D映像を投写教育現場。立体で見せることにより興味を持たせ、学習効果の向上を図る博物館では、恐竜などをリアルに体験できる


(2010年 5月 18日)

[AV Watch編集部 中林暁]