ひかりTV、NHKのBSデジタル番組を12月にIP再送信へ

-iPhone用の録画予約アプリも。TVショッピング開始


12月にNHKのBSデジタル番組が再送信予定

 NTTぷららは、運営するIPTVサービス「ひかりTV」の事業展開についての説明会を16日に開催。その中で、BSデジタル放送のNHK BShi/BS1/BS2を12月にもIP再送信する見通しを明らかにした。

 ひかりTVでは、サービス開始当初より、対象地域(9月16日現在17都道府県)で地上デジタル放送のIP再送信を行なっており、既報の通り10月1日よりIPTVで初のBSデジタルIP再送信サービスとして、WOWOW(BS9)が視聴可能(オプション料金月額2,415円)になる。

 さらに、同社の板東浩二社長は16日の説明会で「NHKからの再送信同意を得た上で、12月よりNHKのBShi/BS1/BS2を提供開始する」とした。料金は、地デジの再送信と同様に基本料金に含まれるためオプション料金は不要(NHKへの受信料は別途必要)。

 地デジの再送信サービスを利用するには「フレッツ 光ネクスト」などNGN回線への加入が必須だったが、BS再送信は従来のNTT東西の光回線を持っているすべてのユーザーが利用可能になる。これは、地デジ再送信の場合視聴可能エリアを限定しなければならないため、その制限を掛けられる方法がNGN回線を利用するほかに無かったためだという。なお、BSデジタルの配信ビットレートは現状の地上デジタル再送信と同等で、「NHKとWOWOWに映像を確認してもらい、了解を得た」としている。

地デジの再送信エリアでは、年度内に石川と沖縄が追加される

 その他、民放のBSデジタル放送の再送信については協議中で、板東社長は「希望としては今年度末~来年春くらいに提供したい。送信にはプラットフォームの設備構築やネットワーク構築に一定の期間が必要なため、各社の同意を得てから約半年の期間が必要」と述べた。

 板東社長はBSデジタルの再送信のメリットとして「BSアンテナの設置が不要なほか、“ゲリラ豪雨”などの影響(降雨減衰により受信障害が起きる問題)をIPだとカバーできる」とアピールした。

 一方、地デジの再送信についてもエリア拡大を進めており、年度内には(再送信同意を得た上で)石川県と沖縄県で提供開始予定としている。



■ TVショッピングを16日より開始。iPhone用の予約録画アプリも近々公開

テレビショッピングの画面

 説明会では、年度内に開始予定と予告していたテレビ画面上でのショッピングサービス「ひかりTVショッピング」(tコマース)を9月16日より開始したことも発表。専用画面から、テレビのリモコン操作で買い物ができる。

 開始時点の商品としては、ひかりTVが視聴可能なテレビ本体や、録画できるUSB HDD、動作確認済みの無線LANルータといったAV/通信製品を中心に「割安な価格で提供する」としている。住所や決済方法などは、既にひかりTV契約時に登録した情報を利用できるため、入力の手間が不要なことも特徴。課金は代引き、または月々のひかりTVの利用料金との合算が可能。

 将来的には、通信販売会社との連携を検討中で、「テレビショッピングの番組を見ているときにdボタンを押して、注文できるといったサービスを、できれば年度内に提供したい。これができれば商品の幅を広げられ、主な購入層である女性向けの商品が多くなるのでは」(板東社長)とした。


テレビやHDDなど、ひかりTVに関連した商品が販売されている商品の詳細ページ「ひかりカエサル」のぬいぐるみも


リモート予約サービスの内容

 また、8月5日よりパソコンと携帯電話、iPad向けに提供を開始したリモート録画予約サービスが、iPhoneでも利用可能になることを明らかにした。専用アプリを開発中で、「近々公開予定」だという。

 このサービスにより、外出先からも、パソコンや携帯電話の公式ホームページやiPadアプリから「ひかりTV」の多チャンネル放送番組や、地デジのIP再送信番組の録画や視聴予約が可能。VODのお気に入りを登録する「マイビデオ登録」にも対応する。

 なお、6月1日より発売した500GB HDD内蔵のSTB「IS1050」(47,800円/10月末まではキャンペーン価格で42,800円)はこれまでリモート予約に対応していなかったが、10月からアップデートで対応予定であることも明らかにした。このチューナは現在売り切りだけの提供だが、年内にはレンタルも開始予定としている。


iPadの番組表画面。ジャンルでの絞り込みや、キーワード検索も可能iPhone用アプリも近々提供予定だというHDD内蔵のSTBでもリモート予約が可能になる予定

 そのほか、年度内にトライアルを提供予定としていた「スタートオーバー」機能(追っかけ再生)については、同社が配信権を持つプロ野球のパ・リーグ4球団(ライオンズ、ホークス、マリーンズ、オリックス・バファローズ)が主催する試合を対象とし、10月のクライマックスシリーズのファイナルステージでトライアルを実施する予定。ひかりTV独自編成のチャンネルでの提供となり、番組時間内であれば途中から見始めた場合でも番組の最初から視聴できる。

 「スタートオーバー」機能を他の多チャンネル放送番組に採用する見込みについては未定だが、「ニーズが高まれば大いに可能性があるのでは」とした。

スタートオーバー機能の説明ひかりTVの対応機種。CELL REGZAなどハイエンド機種から、小型液晶テレビまでラインナップを広げているNTTぷららの板東社長


■ HD拡充や3Dコンテンツなどで、年度末140万会員へ

 コンテンツ施策については、多チャンネル放送番組を中心にHD化を進め、前述のNHK BShiやWOWOW、地デジを含め、年内に全93チャンネルのうち、58チャンネルをHD対応とする予定。

 VODで配信している3D番組については、9月16日現在で提供しているのは「全仏オープンテニス2010 ダイジェスト映像」と、「FashionTV presents Girls Award 2010」、「プロ野球公式戦 阪神対東京ヤクルト」のダイジェスト(17分)、3DCG映画「くもりときどきミートボール」、アニメ「ヒピラくん」。

 今後の3D番組の提供数については明かされなかったが、3Dテレビがまだ普及していないことから板東社長は「マーケットの規模を見ながら積極的に対応したい。7月に世界初のプロ野球公式戦3D生中継を行ない、まだ家庭には3Dテレビが少ないため量販店などでも上映してもらったところ、多くの人に集まってもらえた。特にスポーツやアニメ関係で提供していきたい」と述べた。

HDコンテンツを拡充3Dコンテンツの例。現在提供している番組と、終了した番組映画の劇場公開前に「プレビュー公開」として配信するという企画も行なっている

 ひかりTVの会員数は、2010年3月末時点で101万、9月末には120万会員となる見込みで、半年で約20万人の純増を続けている。今回説明された施策などでこのペースを保ち、年度当初の目標通り2010年度末で140万会員の獲得を目指している。

会員数の推移会員数の獲得実績と目標


(2010年 9月 16日)

[AV Watch編集部 中林暁]