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ボーズ、46型ディスプレイ「VideoWave」発表

−単体でサラウンド。クリックパッドリモコン採用


VideoWave entertainment system

 ボーズは、ディスプレイ単体でサラウンドサウンドが楽しめる「VideoWave entertainment system」を発表した。46型の液晶ディスプレイと、入力端子などを備えたコンソールユニット、クリックパッドリモコンと呼ばれる特殊なリモコン、iPod用Dockをセットにしており、価格は682,500円。11月3日より発売する。

 なお、この価格には送料と設置サービスが含まれている。取り扱い店舗は、表参道に11月3日〜14日まで期間限定で開設される「Bose Museum Store」と、同社の直営店7店舗のみとなる。




■スピーカーを追加せず、ディスプレイだけでサラウンド

 「VideoWave entertainment system」には2つの特徴がある。1つはディスプレイのみで迫力と広がりのあるサラウンドを実現する音響機能。もう1つは、付属のクリックパッドリモコンを使い、接続した機器を含めた簡単な操作性を実現している事。なお、製品にはチューナが内蔵されておらず、BDプレーヤーなどの映像を表示するためのディスプレイとなる。そのため、テレビを見る場合は別途接続するBDレコーダなどのチューナを使う必要がある。

左からコンソールユニット、iPod用Dock、クリックパッドリモコン セットの一覧

 音響面の特徴は、テレビ単体でサラウンド再生ができる事。ディスプレイの解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)。液晶の方式や輝度、コントラスト比などの詳細は明らかにされていないが、倍速駆動タイプのパネルを使っているという。3D表示には対応しない。

 ディスプレイの奥行き(スタンドを除く)は約15cmで、最近の液晶テレビと比べると厚い。これはパネルの背面に多数のスピーカーユニットを搭載し、長い音道(ウェーブガイド)やアンプを内蔵しているため。

 具体的には低域用に6個のウーファユニットを3個ずつ、背面対向で配置したウーファブロックを内蔵。これによりウーファから発生させる余分な振動を互いに打ち消し合いつつ、そこから放出された低音は、ディスプレイ背面に作られた総延長1.9mのウェーブガイドを通り、地面に向かって豊かな低音となって放出される。

側面。スタンドを除いた厚みは約15cm 背面のカットモデル。大量のスピーカーユニットが搭載されている ウーファ部分。反対を向いたユニットが3個ずつ、6個まとめて搭載されている
背面に内蔵されたウェーブガイド。青い矢印のように低音が通る ウェーブガイドの先。地面に向けて低音が放出されるポート部分

 ミッドレンジ用には7個のユニットをディスプレイ上部に、上に向けて配置。ツイータは2種類搭載しており、1つは「PhaseGuide sound radiator technology」と呼ばれるのもので、ツイータから放出された高域音を長いチューブの中に通し、その先端に設けた細かなメッシュのような穴から放出する。この機構により、小さな孔から指向性の高い音がビームのように放出され、音を壁などに反射させる事で、広がりのある音場や、テレビ画面よりも大幅に外側に定位する音像などを実現している。さらに、通常のツイータユニットもセンターチャンネル用に、テレビ下部にも1つ内蔵。地面に向けて放出している。

 総合すると、ウーファ6個、ミッドレンジ7個、ツイータ3個で16個のユニットを内蔵。ただし、ウーファは1個のアンプでドライブするため、内蔵アンプは11chのものを、これもディスプレイの背面に内蔵している。

中央に見えるのがミッドレンジユニット 上部に向けて3個搭載されているのがミッドレンジ。左写真の中央と、左右の3個ずつで、合計7個のミッドレンジを内蔵。その下にある、青い矢印で説明されているのが「PhaseGuide sound radiator technology」を使ったツイータ。ユニットが左側にあり、そこから細長いチューブを通り、右の微細孔から高音が放出される ディスプレイ側面にフラッシュを当てて撮影した写真。ツイータの放出部分が、銀色に反射して見える部分
底面に備えられたもう一つのツイータユニット。センターの音を担当する 背面に内蔵された11chのアンプ 下に向けて放出された音を邪魔しない様、独特の形状のスタンドを採用している

 これらのユニットを使い、サラウンド再生を実現しているが、設置する部屋の形状や、スタンド設置/壁掛けなど、設置方法によってもサラウンド感は変わってくる。そこで、同社シアター機器に投入されている独自の自動音場補正技術「ADAPTiQ」も内蔵。これを用いて、最適なサラウンドに自動的に設定されるという。

 ディスプレイには入力端子は備えておらず、専用ケーブルで付属のコンソールユニットと接続する。コンソールユニットには入力端子として、HDMI×4、コンポジット×3、コンポーネント×2、アナログ音声×3、光デジタル音声×2、同軸デジタル音声×2を搭載。

 ドルビーTrueHD、DTS、AACのデコーダを内蔵し、リニアPCM 5.1chの入力にも対応。DTS-HD Master Audioはサポートしない。

 また、iPod用ドックも同梱。アナログ接続となるが、iPodの再生音を「VideoWave entertainment system」のスピーカーで再生する事ができる。その場合、ディスプレイをOFFにして、アンプ+スピーカーだけを可動させる「Video mute」機能も使用でき、オーディオ機器のように扱う事もできる。

 スタンドを含めた外形寸法は1,130×340×754mm(幅×奥行き×高さ)で、48.1kg。コンソールは421×237.5×77.5mmで3.4kg。クリックパッドリモコンの重さは131g。

コンソールユニットの前面。USB端子などを備えている コンソールユニットの背面


■クリックパッドでシンプルな操作性を実現

 もう1つの特徴は、付属のクリックパッドリモコンを使った操作性。これは、6月に発売された5.1chホームシアター「Lifestyle」シリーズに搭載された「Unifyテクノロジー」を進化させたもので、コンソールユニットに接続したBDレコーダやプレーヤー、AppleTV、iPodなどを、クリックパッドリモコン1つで手軽に操作できるというもの。

 クリックパッドリモコンには電源、ソース切り替え、ボリューム(上下)、チャンネル(上下)、ミュート、戻るボタンに加え、中央に押しこむ事もできるパッドタイプのボタンを搭載。さらにその中央に、上下左右のカーソルキーと、「OK」ボタンを備えている。

クリックパッドリモコン

 ソース選択ボタンを押すと、ディスプレイの画面に、コンソールユニットに接続した機器の名前だけが「BDプレーヤー」、「AppleTV」などといった文字で表示され、接続されていない端子名は登場しない。機器名前をカーソルキーで選び、OKボタンを押す。

 例えばBDプレヤーを選ぶと、ソースがそれに切り替わり、ディスプレイにはオリジナルのメニューが表示される。画面の外周を囲うように「再生」、「一時停止」、「ポップアップ」、「早送り」などのボタンが現れる。このボタン配置はクリックパッドと連動しており、パッド上で指を動かすと、画面のボタン上に表示された“光るしるし”も、同じように動く。目的のボタンまで指を動かし、そのままパッドを押しこむと、その操作が行なえる。

 画面に表示されるボタンは接続機器によって異なり、通常の使用で使われるボタンが厳選して登場する。そのため、各機器のリモコンにある全てのボタンが現れるわけではない。BDレコーダの場合、チャンネルは上下ボタンや、画面上に表示される1〜9、そして0の10個の数字ボタンでチャンネルのダイレクト切り替えもできる。

ソース選択画面 BDプレーヤーを接続した際に表示される画面。外周を囲うようにメニューボタンが表示され、中央にソースの映像が表示されている。また「一時停止」のボタン部分の下に、光のしるしが表示されているのに注目 クリックパッドリモコンのパッド上で指を動かす
すると、画面に表示された光のしるしも同じように移動。写真では「リプレイ」のボタンに移動している これはiPodをソースとして選択した画面。周囲に表示されるボタンが、BDプレーヤーとまったく違うのに注目 BDプレーヤー独自のメニューを表示させているところ。このメニューは、クリックパッドリモコン中央のカーソルキーで操作できる

 複雑な操作を行なう場合はクリックパッドで「メニュー」を選ぶと、そのレコーダのメニュー画面が表示され、そこからは上下左右のカーソルと「OK」ボタンを使う事になる。

 なお、AV機器の制御にHDMI CECは使っていない。新「Lifestyle」シリーズと同様に、セットアップ時に、接続したAV機器のリモコンのボタンを、コンソールユニットに向かって幾つか押すように指示される工程があり、その中で接続した機器をコンソールユニットが特定する。コンソールには各社・各機器のリモコンコードが内蔵されており、その機器に合ったメニューをディスプレイに表示する。

 クリックパッドリモコンは電波式のリモコンで、どんな向きでも操作できるのが特徴だが、赤外線は出ない。そのため、クリックパッドで操作の指示を受けると、コンソールユニット側が赤外線を出して、接続したAV機器を操作するという仕組みになっている。

 なお、接続機器は今後も増えていくが、コンソールユニットに備えたUSB端子を介してのファームアップデートが可能。新しい機器の操作にも順次対応するという。また、例えば現時点ではCSなどの3桁番号のチャンネルは数字のダイレクト選局ができないが(111と入力しても、1chが選ばれてしまう)、そうした部分も今後のアップデートで使いやすく対応していく予定だという。



■実際に体験してみる

 発表会において、サウンドを実際に体験してみた。森林の中で虫の声が響き、上空でカミナリが鳴っているようなサラウンドサウンドでは、包み込まれるような左右方向に広大な音場が出現。さらに、上方から定位感が明瞭なカミナリの音が降り注ぐ。とてもディスプレイの背面から出ているとは思えない広がり、定位、そして明瞭さを兼ね備えたサウンドで驚かされる。

 現在のテレビは薄型化している事で、ブラウン管時代と比べて音の厚みや音圧、広がりなどが乏しいサウンドになっている機種も多いが、VideoWave entertainment systemにそうした問題は当てはまらない。低音の量感もサブウーファ無しとは思えない豊かさだった。価格はかなり高価だが、送料やセットアップの費用も含まれた価格であり、前述のような操作の“簡単さ”も特徴としている。スピーカーを使わないシンプルな外観、操作性でありつつ、高いサラウンド機能も備えたプレミアムなモニターとして、独自の存在感を放つ製品と言えそうだ。


 ボーズは現在の一般的なリビングが抱える問題として、テレビ用やレコーダ用など、リモコンの数が増加すると共に、それらのボタンが増え、操作が複雑になっている事を指摘。そのため、機器に詳しい人しか使えず、例えサラウンドシステムがテレビに接続されていても、結局テレビのスピーカーだけで音を聴いている状況が多いという。

 そこで、ボタンの数が少なく、直感的に操作できる「クリックパッドリモコン」を用意し、それのみで操作を完結できる環境を「VideoWave entertainment system」で提案。さらにスピーカーを別途設置する必要のないサラウンド機能をディスプレイに内蔵する事で、迫力のサラウンドをシンプルに楽しめる点を最大の魅力として訴求している。

 さらに、その“実体験の場”として、東京・表参道に11月3日〜14日まで期間限定で「Bose Museum Store」を開設。同社のイヤフォンやiPodスピーカーなど、様々な機器が体験でき、その場で購入もできるストアとなっており、その目玉として「VideoWave entertainment system」も用意。そのサラウンドや操作性を体験できるようになっている。なお、同店は14日までだが、そのほか7店舗の直営店ではその後も継続して「VideoWave entertainment system」が販売される。

 なお、「Bose Museum Storeにはこうした最新モデルに加え、1968年に作られた、初代モデル「2201」(22個のユニットを持つ8分の1球面体スピーカー)など、同社歴代の名機も展示。これまでの歩みを振り返られるようになっている。さらに、書家・柿沼康二氏が、ボーズの音や考え方にインスパイアされて書き下ろしたという作品も展示。耳だけでなく、目でもボーズの音を体感できるスペースとなっている。

左の建物がBose Museum Store Bose Museum Storeの内部 最新機種が一堂に展示されており、音を体験できる
歴代の名機も見る事ができる。写真は初代モデル「2201」 書家・柿沼康二氏の作品も展示されている

(2010年 11月 2日)

[ AV Watch編集部 山崎健太郎]