東芝、新エンジン「CEVO」搭載の高画質機「REGZA Z2」
-新超解像やゲームモード強化。3チューナ+Wチャプタ
REGZA Z2シリーズ |
東芝は、新システムLSI「レグザエンジンCEVO(シーボ)」を搭載し、新超解像技術による画質向上や動作速度の高速化を図った液晶テレビ「REGZA Z2シリーズ」を3月25日より発売する。
47型の「47Z2」と42型「42Z2」、37型「37Z2」の3モデルを用意し、価格はいずれもオープンプライス。店頭予想価格は47型が32万円前後、42型が25万円前後、37型が20万円前後。
2010年6月発売のZ1シリーズの後継機となり、サイドエッジ式のLEDバックライトを採用するとともに、LEDエリア駆動技術を導入。レグザエンジンCEVOによる映像処理などとあわせ、コントラスト向上などの高画質化を図っている。なお3Dには対応しない。
USB HDDへのデジタル放送録画にも対応。地上デジタルトリプルチューナとBS/110度CSデジタルダブルチューナを搭載し、2つの裏番組の同時録画が可能。また、CELL REGZA 55X2/XE2などで搭載していた「おすすめサービス」をZ2シリーズにも採用。東芝製品ユーザーによる録画ランキングや特集を抽出し、人気番組やおすすめ番組をチェックできる。本体メニューも新感覚のグラフィックを採用し、直感的な操作を可能にした。
47Z2 | 42Z2 | 37Z2 |
■ 直下型“相当”のLED制御。ゲームモードも強化
REGZA Z2シリーズ | LEDバックライトスキャンや新パネルを組み合わせ、コントラスト向上や残像低減を図った |
47/42/37型の各モデルとも、1,920×1,080ドット/フルHDの新開発広視野角IPSパネルを搭載。新パネルでは並行配列の導光板を採用し、光の直線性を向上することで、光の拡散を抑えてコントラストを改善。液晶素材も改善し、カラーフィルタからの光漏れを抑えている。
LEDバックライトは左右エッジライト方式で、エリア制御にも対応。47/37型でコントラストを従来モデルより45%向上。42型でも23%向上している。新開発のバックライト専用カラーフィルターと蛍光体の採用により、色再現性も改善。HDTV規格(ITU-R BT.709)で99%(従来モデルは95%)を達成した。
LEDバックライトは上下8分割、左右2分割の合計16カ所でのエリア制御に対応。パネルは 120Hz駆動だが、バックライト制御やレグザエンジンCEVOによる処理の高精度化などにより、4倍速相当に残像を低減できる「アクティブスキャン240」とし、残像低減と高コントラスト化を両立した。特に新エンジンの処理能力向上や、動き検出エリアの拡大による残像低減効果が大きいという。
新IPSパネルやLED部分駆動でコントラスト改善 | バックライトスキャン技術を導入 | 「アクティブスキャン240」により、残像感を低減した。上下方向の動き検出も従来モデルより大幅に改善している |
レグザエンジンCEVO |
新開発のレグザエンジンCEVOは、40nmプロセスで製造したデュアルコアプロセッサ(従来のレグザエンジンは65nm)で、メインプロセッサの処理能力を約3.4倍に向上。専用のグラフィックアクセラレータなども搭載し、テレビに特化した高速処理を実現する。
CELLレグザで培ったノウハウやソフトウェア資産をレグザエンジンCEVOで継承。3種の半導体チップを積層したBGAパッケージに格納している。プロセッサを一新し、処理能力を向上したことで、画質の向上だけでなく、高速なユーザーインターフェイスや録画処理、ネットワーク機能なども強化された。
CELL EVOLUTIONが「CEVO」の語源 | メインLSIウエハー | レグザエンジンCEVOの基板 |
レグザエンジンCEVOの概要 |
3次元フレーム超解像処理のイメージ |
レグザエンジンCEVOでは、超解像技術「レゾリューションプラス6」を導入。同社の第6世代となる超解像技術で、新たに3次元フレーム超解像技術を採用している。従来は表示フレーム単位での超解像処理を行なっていたが、表示フレームのほか、前2フレーム、後ろ1フレームの合計4フレームを参照し、より高精度に元映像を復元する。
複数フレームを使った精細感の向上とともに、色情報の復元により、色の境界の解像感も高めるという。色超解像では4:2:0フォーマットのデジタル放送信号を4:4:4で信号処理し、パネルに表示できる最大値まで色情報を復元する。なお、色超解像が適用されるのはデジタル放送(4:2:0)と、外部入力のSD映像で、外部入力のHD信号には対応していない。
また、「新MPEG圧縮フレーム解析3次元ノイズリダクション」を搭載。MPEGのI、B、Pフレームのすべてのフレーム情報を取得しながら、それぞれのフレームに対して、最適な超解像処理を適用するもので、新たにパターン抽出型の3次元ノイズリダクション制御を追加。より精度の高いフレームごとの映像補正が可能になったという。
また、写真に最適化した「写真モード」を追加したほか、アニメ用の「アニメモード」も搭載。30pの映像素材を60i映像として処理せずに、2-2プルダウン処理により30pを復元し、ちらつきを低減する「60i-30p変換プログレッシブ処理」も新たに搭載した。
本体は新デザインの薄型キャビネットと、新開発アルミダイキャストスタンドを組み合わせた「スリムミニマルデザイン」。47型でも最薄部29mmで「業界最薄」としている。また、キャビネットには帯電防止素材を採用し、ほこりの付着を防ぐ「ホコリクリア」を採用している。
29~33mm厚の薄型新デザインを採用 | キャビネットは「ホコリクリア」仕様に | REGZA Phone内の写真を無線LANを介して、REGZAに表示。写真モードも搭載した |
入力端子はHDMI×4やD5×1など。ゲームの映像入力遅延を抑える「ゲームダイレクト 3」も搭載。メモリ制御技術の「FIFO(First In First Out)」を倍速処理プロセスに適用し、映像遅延を0.7フレーム(約11.9msec)まで抑えている(Z1シリーズは約19.3msec/約1.2フレーム)。ゲームモードでは、ゲームフル、ゲームノーマル、ポータブルズーム、Dot by Dot、レトロゲームファイン、SDゲームファインの6種類が選択できる。
ポータブルゲーム用の「ポータブルズーム」も改良。SD解像度の入力映像を画面いっぱいに表示するとともに、自己合同性超解像と色超解像(D2入力時)を適用し、高画質化が図れる。D2入力時(480i/p)には「SDゲームファイン」(画面サイズ)が選択可能で、Wiiに最適な自己合同性超解像処理と色超解像処理を適用した2倍拡大モードとなる。
ゲームダイレクト3では、遅延を0.7フレームまで抑制 | ポータブルズームは「3倍」、「4倍」を廃止し、1系統となった |
■ 地デジ3チューナで「W録」。Wオートチャプタや高速起動も
番組視聴中でも地デジW録が可能 |
地上デジタルチューナは3系統、BS/110度CSデジタルは2系統搭載。別売のUSB HDDへのデジタル放送録画にも対応し、2つの裏番組の同時録画が可能となっている。USBハブを介して、4台までのUSB HDDを同時に接続でき、最大8台までのUSB HDDを登録できる。
なお、地上アナログチューナは省かれ、REGZAシリーズで初めての地アナチューナ非搭載モデルとなる。また、従来のZシリーズで搭載していたLAN HDDへの録画機能も省かれた。
新たにCELL REGZA(XE2、X2シリーズ)で採用した「おすすめサービス」をZ2シリーズに展開。東芝製品からインターネットを介して集計したランキングデータを表示し、気になる番組を確認できる。BSや地デジのランキングや、i.NETサーバーがピックアップしたおすすめ番組を録画できる。
番組表の「高速レグザ番組表」に強化し、おすすめサービスと連動。番組表上で、ランキング上位の番組を紹介するため、いままで知らなかった人気番組を発見できるという。番組表の起動速度も、Z1シリーズの約1.8秒から約0.3秒まで改善。全画面書き換え時間も同約1.5秒から0.3秒まで高速化した。
おすすめサービス | 高速レグザ番組表。王冠が付いている番組が「おすすめサービス」に含まれる人気番組 |
番組視聴中でも地デジW録が可能 |
CMなどを自動検出し、チャプタを付与。リモコンでCMスキップを可能にする「マジックチャプター」は、W録中の番組にもチャプタを付与できる「Wマジックチャプター」に強化。録画リストから、チャプタ一覧を表示し、任意の箇所から再生開始することもできる。
REGZAブルーレイやアイ・オー・データ、バッファローなどのDTCP-IPサーバーへネットワークダビングする「レグザリンクダビング」に対応。対応の同社レコーダはRD-X10/BZ800/BZ700/BZ600。HEC対応のHDMIケーブルで対応のREGZAブルーレイと接続した場合は、LANケーブルを利用せずに、HDMIケーブル一本でダビングできる。
メニュー画面もレグザエンジンCEVOの採用にあわせて、新感覚の3Dグラフィック「レグザメニュー」に一新。録画リストや番組表、今すぐニュースなどの機能を簡単に呼び出せるほか、メディアプレーヤーの新機能にもここからアクセスする。
DLNAのDMP(デジタルメディアプレーヤー)、DMR(デジタルメディアレンダラー)にも対応。DLNA対応レコーダ内の番組などをネットワーク経由で再生できるほか、DLNA対応のPCに保存した音楽データを呼び出して、レグザのスピーカーで再生することも可能。
レグザメニュー | DLNAのDMP/DMR機能も搭載。REGZAを操作して、DLNAサーバー(DMS)のコンテンツをREGZAから再生(DMP)できるほか、スマートフォンなどのDMC(コントローラ)から、DMS内のコンテンツをREGZA(DMR)に出力指示し、REGZAで再生できる |
Appsコネクトも、「アートリモコン」や「見るナビ」などの新アプリを5月上旬より順次配布予定 |
スピーカーは、47/42型が10W×2ch+サブウーファ10Wの2.1ch構成で、37型は10W×2ch。音響パワーイコライジング技術「CONEQ」も搭載する。SDカードスロットも装備し、SDカードに記録したAVCHD映像やMP4映像の再生に対応する。
スマートフォンなどのアプリを使って、REGZAを操作する「レグザAppsコネクト」にも対応。REGZAの操作や、番組にタグ情報を付与して、ユーザー間で共有できる「タグリスト」に対応したRZタグラー/コマンダーなどが利用できる。新たにiOSだけでなく、Android版とWindows/Mac版も開発し、5月上旬より配布予定。さらに今後の予定として、放送中の番組選択を手軽に行なえる「RZ現在番組」や、接続したBDレコーダ「REGZAブルーレイ」の録画番組をREGZAで再生できる「RZ見るナビ」、リモコン画面のデザインを変更できる「RZアートリモコン」という3つのアプリを、年央を目途に無償配布するという。
YouTubeにも対応し、テレビ向けのUI「YouTube Xl」で映像を楽しめる。また、アクトビラやTSUTAYA TV、T's TV、ひかりTV、Yahoo! JAPANなどのテレビ向けネットワークサービスにも対応する。
ネットワーク機能も強化 | YouTubeに対応。YouTube XLの画面を表示する | リモコン |
AR家電の概要 |
購入前にAR(拡張現実)アプリを使って、設置サイズをイメージできるというサービス「REGZA設置シミュレーション」も3月中旬に開始する。Androidスマートフォン向けに「AR家電」という名称のアプリを提供するほか、携帯電話向けサービスも実施。携帯電話ではARマーカーを設置して写真を撮影。QRコードのWebページから入手したメールアドレスに写真を送ると、製品が合成された状態で写真が返信される。
REGZAを購入したいが、「42型が置けるかどうかわからない」といった場合にARを使って実際の設置イメージをつかめるというもの。「測定誤差もほとんどない」とのことで、REGZAだけでなく、パソコンや冷蔵庫などの多くの家電製品でも対応する計画。購入シミュレーションができる「未来のカタログ」と位置づけて展開する。
REGZAの設置イメージを購入前に確認できる | 冷蔵庫もARで設置イメージを確認 |
■ 3D対応のZシリーズやスマートTVへの対応も
東芝VP社本村氏(右) |
東芝ビジュアルプロダクツ社 映像第一事業部 TVマーケティング部の本村裕史氏は、「新エンジン『レグザエンジンCEVO』を搭載した第1弾」と切り出し、REGZA Z2シリーズを紹介した。
「REGZA Z2000以来の約4年振りのメインLSIの大きな変更になる。CELL REGZAの思想を受けついだ圧倒的なパフォーマンスを実現するためのもの。自社開発の最新鋭のLSI」とレグザエンジンCEVOをアピール。「CELLのソフトウェアで実現していた機能をハードウェアでLSI化し、CELL REGZAの高画質、高機能を詰め込んだ。Z2シリーズは、レグザエンジンCEVOを使って、CELL REGZAの思想を超薄型のテレビで実現したもの」とし、「今後もCEVOを使ってネットワークを強化した、スマートTVという方向も考えている」と語った。
なお、Z2シリーズは3D対応ではないが、「今後はさらなるZシリーズ、それ以外のREGZAでも対応する。スマートTVのアクションも進めている」とした。
型番 | 47Z2 | 42Z2 | 37Z2 |
サイズ | 47型 | 42型 | 37型 |
解像度 | 1,920×1,080ドット | ||
パネル方式 | IPS | ||
映像処理 | レグザエンジンCEVO | ||
超解像 | レゾリューションプラス6 | ||
視野角 | 上下左右178度 | ||
バックライト | LEDエッジライト | ||
コントラスト比 (ダイナミックコントラスト) | 1,600:1(200万:1) | ||
チューナ | 地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×2 | ||
録画機能 | USB HDD | ||
音声出力 | 10W×2ch+10W | 10W×2ch | |
スピーカー | フルレンジ:2.0×6.5cm サブウーファ6cm | フルレンジ 2.0×6.5cm×4 | |
入出力端子 | HDMI入力×4、D5入力×1、コンポジット入力×2、 HDMIアナログ音声入力×1、イヤフォン出力×1、Ethernet×1、 USB×2(録画専用1系統)、光デジタル音声出力×1、SDカードスロット | ||
レグザリンク | HDMI連動、レグザリンクダビング、DLNA(DMP/DMR)、 REGZA Phone、Windows 7対応、PCコネクト | ||
ブロードバンド | YouTube、テレビ版Yahoo! JAPAN、インターネットブラウザ(NetFront)、 アクトビラ ビデオ・フル、ひかりTV、TSUTAYATV、T's TV | ||
消費電力 | 168W | 160W | 140W |
年間消費 電力量 | 116kWh/年 | 113kWh/年 | 93kWh/年 |
外形寸法 (幅×奥行き×高さ) スタンド含む | 112.7×25.7×75.6cm | 101.7×25.6×69.4cm | 90.5×20.8×62.8cm |
重量 (スタンド含む) | 21kg | 16kg | 12.5kg |
(2011年 3月 2日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]