ソニー、デジタル一眼の中級機「α77」、「α65」

-トランスルーセントで秒間12コマ。有機EL EVF


右が「α77」、「α65」

 ソニーは、一眼デジタルカメラαシリーズの中級モデルとして、トランスルーセントミラー・テクノロジーを採用し、有機ELの電子ビューファインダーも搭載した「α77」、「α65」の2モデルを10月14日に発売する。価格はオープンプライスで、ボディのみの店頭予想価格は「α77」が15万円前後、「α65」が95,000円前後。

 レンズキットも用意。「α77」に広角ズームの「DT16-50mm F2.8 SSM」をセットにした「SLT-A77VQ」が実売21万円前後。「α65」は、「DT18-55mm F3.5-5.6 SAM」をセットにした「SLT-A65VK」が実売10万円前後、同セットに「DT55-200mm F4.5-5.6 SAM」を追加したダブルズームレンズキット「SLT-A65VY」が12万円前後となる。


「α77」にCarl Zeissレンズを取り付けたところ「α65」に50mmレンズを取り付けたところ「α65」のダブルズームレンズキット。「DT18-55mm F3.5-5.6 SAM」と「DT55-200mm F4.5-5.6 SAM」をセットにしている

 エントリーモデルとして発売されている「α55」、「α33」で搭載された、「トランスルーセントミラー・テクノロジー」を採用した中級モデル。内部にミラーを搭載しているのは通常のカメラと同じだが、ミラーが透過型となっており、レンズからの光の大部分がミラーを素通りし、常にCMOSセンサーに光が当たっている状態になる。そのため、通常のカメラと異なり、ミラーを上げないまま撮影やライブビュー表示&撮影ができる。

 ミラーは従来の一眼レフのように、CMOSに対して斜めに配置されており、CMOSに光が透過する以外に、一部の光は上方向に反射する。上部には位相差検出用のAFセンサーが配置されており、画像のコントラスト検出でAFを行なうミラーレスのデジタルカメラと比べ、高速なAF動作を実現。また、高速な連写が行なえるほか、高速連写時でも被写体を追従できるAF性能を実現。連写中にファインダーから像が消えないという利点もある。

 連写スピードは、α77が秒間12コマ、α65が秒間10コマとなる。記録メディアはメモリースティックDuoとSDメモリーカード(SDXC対応)。

発表会場に展示されたα77α77の分解展示。中央にあるのがミラー部分。透過タイプとなっており、反射した光を上部のAFユニットに送り、透過した光がセンサー(右の写真)に届く



■2,430万画素CMOS搭載

 「α77」と「α65」に共通する特長は、有効画素数約2,430万画素のExmor APS HD CMOSセンサーを採用した事。サイズはAPS-C。画像処理エンジンの「BIONZ」も、高画素化により増加した情報量の高速処理や、低ノイズ処理を実現した新開発のものを採用している。

 ISO感度は100~16000まで設定可能で、拡張設定でα77のみISO 50設定も可能。また、AF測距センサーがα77は11点クロスの19点、α65は3点クロスの15点(α55と同じ)となる。

「α77」

 さらに2モデルとも、電子ビューファインダーに有機ELを採用。解像度はXGA(1,024×768ドット)。高解像、高コントラストで、視野率約100%を実現。視野角33.3度の広さを持っている。EVFであるため、ファインダー内で設定や撮影画像確認などの様々な情報が表示できる。

α77の分解展示から。中央にあるのが有機ELビューファインダーのユニットα65トランスルーセントミラー・テクノロジーを採用している

 ボディ内手ブレ補正機能を備え、全てのαレンズで効果が得られるという。補正効果は2.5~4.5段。また、新たに装着レンズの倍率色収差、歪曲収差、シェーディング(周辺光量低下)を撮影時に自動補正する機能も追加した。なお、導入当初の対応レンズはSAL1650、SAL1855、SAL55200-2、SAL18250で、その他のレンズについてもファームウェアアップデートで対応予定。

「α77」の背面

 動画撮影も強化。AVCHD Ver.2.0に対応し、1,920×1,080ドット、60p/60i/24pでの撮影が可能。撮影ビットレートは60pで28Mbps(PS)、60iと24pでは24Mbps(FX)と17Mbps(FH)から選択可能。24pで映画のような情感豊かな映像が撮影できるほか、1,440×1,080ドット、640×480ドットのMP4ファイル録画にも対応する。

 さらに、動画撮影時のマニュアル設定も可能。P/A/S/Mの各露出モードで、ユーザーの設定を活かした動画撮影ができ、ピクチャーエフェクトも活用できる。ただし、絵画調HDR、ソフトフォーカス、ミニチュア、リッチモノクロームのピクチャーエフェクトには非対応。音声面も、NR機能を使い、風切り音ノイズを抑えて録画できる。


音声面の収録品質も向上したという。マイクは本体上部に搭載60pや24p動画の撮影にも対応した

 ピクチャーエフェクトは合計11種類15項目を用意。新たに絵画調HDR、ソフトフォーカス、ミニチュア、リッチトーンモノクロ、ソフトハイキーを追加した。下位モデルで採用されているポップカラー、トイカメラ、レトロ、ハイコントラストモノクロ、ポスタリゼーション(カラー/モノクロ)、パートカラー(青/緑/黄色/赤)も使用可能。

 顔認識機能も備え、8人までの個人の顔登録も可能。笑顔を認識して自動撮影するスマイルシャッター機能も備えている。

 液晶モニタは3型、92.1万画素のエクストラファイン液晶で、TrueBlack技術も採用。α77は3軸のチルト機構を採用し、自由なアングルに調整できるほか、常にレンズの光軸付近に液晶を配置できるような機構を採用する事で、違和感なく構図確認や調整ができるという。α65の液晶モニタはバリアングルチルト可動式となる。


「α77」の液晶モニタは3型で、3軸のチルト機構を採用。常にレンズの光軸付近に液晶を配置できるような機構を採用する事で、違和感なく構図確認や調整ができる
「α65」α65の液晶モニタはバリアングルチルト可動式

 α77のボディはマグネシウム製で、防塵防滴性能を備えている。これに合わせて、別売の縦位置グリップ「VG-C77AM」や、フラッシュ「HVL-F43AM」という防塵防滴仕様の周辺機器も新たに登場。また、標準ズームレンズの「DT 16-50 F2.8 SSM」も防塵防滴仕様となる。ただし、これらは「完全な防塵防滴性を保証するものではない」という。α65のボディはエンジニアリングプラスチックで、防塵防滴機能は無い。

縦位置グリップ「VG-C77AM」、フラッシュ「HVL-F43AM」を取り付けたところ

 GPS機能も備え、画像のExif情報に位置情報を自動記録可能。付属のソフトウェアPMB(ピクチャー・モーション・ブラウザ)を使い、地図上に撮影した写真を表示する事もできる。ほかにも、スイングパノラマや3Dスイングパノラマ機能なども備えている。

 内蔵フラッシュのガイドナンバーは、α77が12(ISO 100時)、α65が10(同)。USB 2.0端子やHDMI出力も備え、ブラビアリンクやブラビア プレミアムフォトにも対応。バッテリは「NP-FM500H」を使用。静止画の撮影可能枚数はα77がファインダー使用時で約470枚、α65が約510枚。外形寸法はα77が約142.6×80.9×104mm(幅×奥行き×高さ)、α65が約132.1×80.7×97.5mm(同)。重量はα77のボディのみが約653g、バッテリとメモリースティックPROデュオを含めると約732g。α65は約543g、約622gとなる。


 



■Aマウント用新レンズも

DT 16-50mm F2.8 SSM

 Aマウント用新レンズも11月中旬に発売する。「α77に最適」という、F2.8の標準ズームで、「DT 16-50mm F2.8 SSM」。SSMによる静粛なオートフォーカスと、シーリング処理による防塵・防滴設計が特徴。価格は87,150円。



(2011年 8月 24日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]