シャープ、60型で壁掛けできる「フリースタイルAQUOS」
-最薄部2.7cm。ネット機能も強化し「AQUOS第二章」
60F5(左)と40F5(右) |
シャープは、壁掛け可能な薄型テレビ「フリースタイルAQUOS」の新シリーズ「AQUOS F5」を9月15日より順次発売する。60型の「60F5」と、40型「40F5」、32型「32F5」、20型「20F5」の4モデルをラインナップし、価格はいずれもオープンプライス。店頭予想価格は8万~38万円前後。
型番 | サイズ | 解像度 | 特徴 | 発売日 | 店頭 予想価格 |
60F5 | 60型 | 1,920×1,080ドット | UV2Aパネル 倍速 USB HDD録画 壁掛け | 10月28日 | 38万円前後 |
40F5 | 40型 | 9月15日 | 15万円前後 | ||
32F5 | 32型 | 1,366×768ドット | UV2Aパネル USB HDD録画 壁掛け | 11万円前後 | |
20F5 | 20型 | 10月28日 | 8万円前後 |
40F5 | 32F5(左)と20F5(右) | 32F5とチューナ部、録画用USB HDD |
モデルがフリースタイルAQUOSを持って登場 |
6月に発売した20型のフリースタイルAQUOS「LC-20FE1」と同様に、薄型のディスプレイ部と小型の地上デジタルチューナ部で構成される薄型テレビ。チューナ部をディスプレイから省くことで、薄型/軽量化を図り、壁掛け設置をしやすくした。壁掛け用のスリム金具とスタンドも付属する。
ディスプレイ部とチューナ部の間は、5GHz帯のIEEE 802.11a/nの無線で映像/音声信号を伝送。チューナ部で受信したデジタル放送のMPEG-2 TSストリームを、ディスプレイ側でワイヤレスで受けて視聴できる。なお、LC-20FE1ではディスプレイ部にバッテリを内蔵し、電源やアンテナ線接続を行なわずにテレビを視聴できたが、AQUOS F5シリーズはバッテリを内蔵していない。家庭内の持ち運びよりも、壁掛けなど設置の自由度を訴求する製品となる。ただし、外付けのバッテリの発売も計画しているという。
シャープでは「AQUOS第二章の幕開け」として、多彩な設置スタイルや充実したネット機能を活かした「フリースタイル」を積極的に提案していく。
60F5 | バッテリを装着し、フリースタイルAQUOSを持って登場 | 別売バッテリも開発中だが、今回の展示で使ったのはあくまで発表会用のものとのこと |
■ 最薄部2.7cm、金具込みでも4cmの薄型。専用金具も
60F5 |
ディスプレイ部は、60/40型が1,920×1,080ドットのフルHDで倍速駆動に対応。32/20型は1,366×768ドットで倍速非対応となる。いずれもUV2Aパネルを採用し、バックライトはLED。テレビコントラストは60/40/32型が100万:1、20型が40万:1、視野角が上下/左右各176度。
カラーは60型のみ、ブラック(B)とシルバー(S)。その他のサイズはブラック(B)とホワイト(W)となる。
最薄部2.7cmという薄さが特徴で、重量も同社の同サイズ製品に比べて約30%~50%削減。前キャビネットとベゼルを融合するなどで部品点数を削減したほか、板金を鉄からアルミに変更して軽量化。さらに、スピーカーや背面キャビネットも薄型/軽量化を図った。これにより40型で8.5kg、最薄部2.7cmと従来モデル(LC-40V5:重量14kg、最薄部4.7cm)より大幅に薄型/軽量化した。
重量は20型が2.5kg、32型が5.5kg、40型が8.5kg、60型が21kg。全モデルで壁掛けに対応し、専用スリム金具が付属。専用金具利用時には、壁から表示面までの距離が4.0cmとなる。20型以外の3モデルでは、VESAマウント(200mmピッチ)に対応し、汎用の液晶アームなども利用できる。
チューナもワイヤレス伝送のため、電源ケーブルさえあれば壁やサイドボードなど、さまざまな場所に設置できる。省スペースで設置可能な専用設計のスタンドも付属する。
VESAマウントに対応。エレコム製のアームで32F5を保持 | 新デザインのスタンド部 |
フリースタイルAQUOSではベゼル廃止などで部品点数を削減し、ディスプレイ部を軽量化 | 従来のAQUOS |
バックライトシャーシなども大幅に薄型化 | 従来のAQUOS |
40F5を「壁ごとラック」で設置 |
ディスプレイ部にはHDMI入力も装備しており、Blu-rayプレーヤーなどを接続可能。BD/DVDビデオの映像はワイヤレス伝送できないため、直接ディスプレイ部にHDMI接続する必要がある。なお、20型のみHDMIミニ端子となる。
USB端子を装備し、USB接続したデジタルカメラやUSBメモリ内の写真や音楽ファイルの再生も可能。スピーカー出力は60型が10W×2ch、40/32型が5W×2ch、20型が2W×2ch。ヘッドフォン出力も装備する。
20型用に壁掛けフック「AN-20WL1」も用意される。価格は6,300円。また、60型用と40/32型用の「壁ごとラック」も近日発売予定。価格はオープンプライス。
20F5は自立スタンドを装備 | 壁掛け用のフレーム | 最薄部は2.7cm |
■ ネットワーク機能も強化。無線ルータ接続も
チューナ部 |
チューナ部は、地上/BS/110度CSデジタルチューナを搭載し、外形寸法170×180×36mm(幅×奥行き×高さ)、重量約0.7kg。消費電力は19W(待機時8W)。USB端子も装備し、別売のUSB HDDを接続することでデジタル放送録画にも対応する。録画形式はMPEG-2 TSのストリーム記録となる。
家庭内のAQUOSブルーレイ内の録画番組やDLNAサーバー内の動画や音楽、写真などをネットワーク経由で再生できる「ホームネットワーク」機能も搭載。DLNAプレーヤー/レンダラーとして動作する。
また、ネットワークサービスの「AQUOS City」から、YouTubeやYahoo! for AQUOS、T's TV、ひかりTV、アクトビラ、TSUTAYA TVなどのテレビ向けネットワークサービスを利用できる。スマートホーム画面では、テレビ映像を見ながらのAQUOS Cityサービス選択なども可能となっている。
スマートホーム |
チューナとディスプレイの無線接続(IEEE 802.11n/a)は、従来からの直接接続「Wi-Fiダイレクト接続」のほか、新モデルではルータやアクセスポイントを経由してディスプレイとチューナを無線/有線接続可能となった。
同社製品との連携機能「スマートファミリンク」を搭載。AQUOS PHONEで撮影した動画(MP4/3gp)や写真(JPEG、MPO)、音楽(MP3)などをタッチパネルを使ってAQUOSに無線LAN経由で伝送し、テレビの大画面で楽しめる。また、AQUOS PHONEの「AQUOSリモート」アプリから、テレビの操作やキーワード入力が可能。
AQUOSインフォメーション機能も搭載。番組検索結果に基づく「おすすめ番組」や未視聴の録画番組を通知してくれるほか、新着ニュースやウェザーニュースによる「天気情報」、TSUTAYA TVの「おすすめ情報」などを表示できる。
リモコン |
リモコンは、10キーを省き、円形のホイールコントローラを採用した独特なデザイン。「マイサークル」ボタンを押すと、画面上にアイコンが表示され、テレビ画面に表示されたUIを見ながら利用したい機能を選択できる。チャンネル選択時には、チャンネルUIを立ち上げた上でホイールを回転させて局を選ぶ「ぐるぐる選局」が行なえる。リモコンで10キーのUIを呼び出したり、番組表からの選局にも対応する。
【ディスプレイ部の仕様】
型番 | 60F5 | 40F5 | 32F5 | 20F5 | |
解像度 | 1,920×1,080ドット | 1,366×768ドット | |||
パネル | UV2A | ||||
倍速 | ○ | - | |||
スピーカー | 10W×2ch | 5W×2ch | 2W×2ch | ||
端子 (ディスプレイ部) | HDMI入力×1 USB×1 Ethernet×1 ヘッドフォン出力×1 光デジタル音声出力×1 | HDMI(ミニ)入力×1 USB(ミニ)×1 ヘッドフォン出力 ×1(ミニミニ) | |||
VESA | 200mmピッチ | - | |||
消費電力 | 未定 | 約74W | 約54W | 未定 | |
年間消費 電力量 | 未定 | 0.35W | 0.35W | 未定 | |
外形寸法 (ディスプレイ部のみ) | 1382×21~35 ×824mm | 926×27~33 ×548mm | 728×27~33 ×434mm | 486×24~33 ×295mm | |
重量 (ディスプレイ部のみ) | 約21kg | 約8.5kg | 約5.5kg | 約2.5kg |
■ '12年には「フリースタイル」を3割に
執行役員 AVシステム事業統括 兼 AVシステム事業本部長の中村恒夫氏 |
執行役員 AVシステム事業統括 兼 AVシステム事業本部長の中村恒夫氏は、2000年1月1日に「20世紀に、置いてゆくもの。21世紀に、持っていくもの。」をキャッチフレーズにブラウン管から液晶テレビの乗り換えを提案したシャープが、薄型テレビの薄型、軽量、省エネ、高画質化、大画面化などを実現してきたことを紹介。
そして、「本格的なデジタル放送時代を迎えた2011年。『フリースタイル』を提案する」と宣言。「本来お客様が薄型テレビに期待している『夢の壁掛けテレビ』や、『好きな場所にどこでも置ける』テレビを実現し、普及させる。AQUOS第2章の幕開け」として、新フリースタイルAQUOSを紹介し、アンテナ線から解放され、好きな場所におけることを訴えた。
会場では、ファッションショー形式で、モデルがフリースタイルAQUOSを持ってウォーキング/ポージングを行ない、自由な設置性をアピールした。
ファッションショーのような形式で「フリースタイル」をアピール |
執行役員オンリーワン商品・デザイン本部長兼ブランド戦略推進本部長 岡田圭子氏 |
執行役員オンリーワン商品・デザイン本部長兼ブランド戦略推進本部長の岡田圭子氏は、フリースタイルAQUOSのコンセプトを説明。「テレビはデジタル時代になって、画質や機能は進化した。しかしリビングの置き方は変わっていない。ソファの前に“どん”とテレビがある、という家庭が多く、視聴スタイルは以前のまま。しかし、ライフスタイルには変化が表れてる。生活空間が変化し、リビング、ダイニング、キッチンなどがオープンな一つの大きな空間になるなど、インテリアの考え方が変わっている。テレビの楽しみ方は、テレビやドラマなどの放送だけでなく、Web動画や英会話、画面を見ながらのトレーニング、コミュニケーションなどネットを組み込んで変化が訪れている」と現状を分析。こうした生活空間、テレビを取り巻く環境の変化に対応するものが「フリースタイルAQUOS」とする。
コンセプトは、「どんな空間にも設置できる一枚のテレビ」。20型バッテリ内蔵モデルでは家の中を持ち運べる「キャリングフリー」、壁掛け/据え置き自在な「レイアウトフリー」、壁掛け/寄せで省スペース設置ができる「スペースフリー」といった特徴を紹介。こうした特徴を生かして、新しい視聴スタイルを提案していくという。
3つのフリーをアピール | ワイヤレス化でアンテナ線の束縛から自由に | 壁掛けを訴求 |
シャープでは、2008年に薄型を訴求した「AQUOS Xシリーズ」を展開していたが、2011年現在との違いとしては、「空間づくりがオープンになっており、ダイニングにもテレビを設置したいというニーズも増え、また女性でも設置できるような軽さも求められている。テレビだけでないネットサービスなど見るものも多様化しており、それらに対応したことで新しい楽しみかたを広げられる」(岡田 ブランド戦略推進本部長)としたほか、「ワイヤレスやLEDの技術が普及し、低コストかつ軽量化ができるようになった。当時はコンセプトだったものが、今は普及のステージに入ったと考えている」(中村 AVシステム事業本部長)とする。
今後の展開については、「2011年の下期で10%をフリースタイルに、'12年には30%まで持っていきたい」(中村 AVシステム事業本部長)と説明。壁掛けするか否かは購入者しだいとなるが、「我々のアンケートでは4割の人が、軽くて、配線の手間がなく、薄ければ、『壁掛けがしたい』と回答している。今回その3つの課題を改善できた。この4割に近づけるべく、この商品をスタートとして取り組みたい(AVシステム事業本部 液晶デジタルシステム第1事業部長 喜多村和洋氏)という。
(2011年 8月 25日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]