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スマホ移行時、着うたフルと同一楽曲の再入手が無料に

−JASRACらが特例措置。著作権使用料などを1年間免除


 日本音楽著作権協会(JASRAC)や日本レコード協会(RIAJ)、イーライセンス、ジャパン・ライツ・クリアランス(JRC)、ネットワーク音楽著作権連絡協議会(MMRC)の5社/団体は共同で、スマートフォンにおける音楽配信の市場拡大を図る「スマホでも音楽」キャンペーンを展開。配信事業者らに対して参加を求めている。

 このキャンペーンは、フィーチャーフォンのユーザーがAndroidスマートフォンへ乗り換える際に、既に着うたフルなどで購入した楽曲と同一の音源を、買い替えや追加料金などを必要とせずにスマートフォンにもダウンロードできるようにするという特別措置。期間は2012年12月31日までの約1年間。参加事業者により、ユーザー向けにサービスが提供される。

 なお、レコチョクは今回のキャンペーンに則ったスマートフォンへの楽曲移行施策「おあずかりサービス」を2012年1月より開始する予定。詳細は別記事に記載している。

 「スマホでも音楽」キャンペーンに各配信事業者が事前に申請しておくことで、対象楽曲の著作権および原盤権の使用料を免除。このため、ユーザーは着うたフルと同じ楽曲を無料でスマートフォンにダウンロードできるようになる。なお、対象となる楽曲はフルレングスの着うたフルやダウンロードシングルで、着うたは対象外。また、iPhoneはこのキャンペーンの“スマートフォン”には含まれない。

 キャンペーンを展開する背景としては、フィーチャーフォンからスマートフォンへのシフトが進んでいることから、従来の携帯電話で購入した着うたフルなどの音楽をスマートフォンへ引き継げないといった不満が増し、それが違法配信の蔓延につながり、正規の配信ビジネスが成長しないという懸念がある。

 このため、フィーチャーフォンからスマートフォンへの音楽コンテンツの引継ぎを実現することで、端末の買い替えと共に楽曲もスムーズに移行できるようにして、ユーザーの利便性を向上。スマートフォン市場における正規の音楽配信ビジネスの拡大と発展を目的としている。

 参加できる配信事業者の条件としては、フィーチャーフォン/スマートフォンの両方で許諾を得て配信サイトを運営していること、ユーザーに対してIDを割り振っており、楽曲購入ログのデータベースを持っていること、購入ログに対してIDと紐付けできるということがある。

 申請先は、音楽著作権に関するものがCDC(著作権情報集中処理機構)、原盤権に関するものが日本レコード協会が窓口(個別事業者が窓口となる場合もあり)となる。これらの窓口が、レコード会社などの各権利者と協議して、申請が通ればその配信サービスのユーザーは前述の通り、楽曲の再ダウンロードが無料となる。



■ 苦戦するスマホ向け音楽配信の市場拡大へ

 今回のキャンペーン開始に際して、JASRACやレコード協会らは、音楽配信事業者に対して理解と協力を求める説明会を行なった。

JASRAC 送信部の小島芳夫部長

 JASRAC 送信部の小島芳夫部長はキャンペーンの趣旨について「フィーチャーフォンで正規に音楽をダウンロードしていた優良な顧客を救済し、不満を解消するのが目的。再度Androidで楽しんでもらって、市場を拡大したい。権利者にとっては、違法配信対策としても十分に機能するだろう」と述べた。


日本レコード協会の畑陽一郎理事

 レコード協会の畑陽一郎理事は、「モバイル配信ビジネスは、昨年から今年は苦戦しており、会員社の売上実績は前年比85%くらいの状況。原因の一つは、着うたフル自体がいま苦戦しているとともに、ユーザーが圧倒的なスピードでスマートフォンに移っていることがある。その中で着うたフルで曲を買っていた人がスマホ向け配信サービスには移っていない。これは、スマートフォンにおける配信事業を拡大する中で解決しなければならない課題の一つ」と厳しい現状を指摘した。

 配信事業者からは「歌詞など楽曲以外のコンテンツについては引き継げるのか?」という質問もあり、これに対してJASRACの小島氏は「JASRACとしては、優良ユーザーでいてくれるのであれば、検討していいと考えている」と前向きな姿勢を見せた。また、既に終了している着うたフルサービスで購入した楽曲については、その楽曲自体が配信停止されているものでなければ基本的に対象となるが、申請が通るかどうかについては個別対応になるという。


(2011年 12月 22日)

[ AV Watch編集部 中林暁]